ECサイトで売上を上げる! (後編) 広告に頼らず見込み客リストを作ってリピートしてもらう方法
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【実践編】
第9回 ECサイトで売上を上げる! (後編) 広告に頼らず見込み客リストを作ってリピートしてもらう方法
ネットに限らず通販ビジネスはリピーターの獲得が命だ。1回の広告出稿やカタログ配布を行い、1回購入されただけでは赤字になってしまう。一度購入した人に二度三度と再購入してもらい、利益を上乗せする方法を、今回もアクセス解析から考えていこう。
「広告だけで集客する通販」は成功できない
「ネット通販は、ショッピングカートを入れたサイトを作ったらできあがり」と思っている人が、今でもいる。メーカー系などで多いようだ。だが、通販というのは初期費用がかかるものだ。従来のカタログ通販でもカタログを作成するのに膨大な費用がかかり、その配布にもコストがかかる。配布先として十分なリストを得るまでが大変だ。こうしたリストをしっかり構築して初めて、ビジネスの土俵ができるという点は、カタログ通販でもネット通販でも変わらない。
「魅力的な商品を品揃えして、リスティング広告を出すしかないじゃないか」と店主から言われることもある。手っ取り早い方法かもしれないが、それでは毎回広告費を払わなければならないから、売れゆきが増えても利益が大きくならない。広告は最初の集客方法にはなるが、1人の顧客で見ると、最初は広告で訪れた人が次に来るときには広告なしで訪れるようにならなければならない。毎月広告から集めた新規顧客ばかり、というのでは商売にならないのだ。とにかく通販サイトは「リピーター獲得」が勝負の分け目。そのためには、さまざまなレベルで顧客リストを整理し、メールを何度も送って、その提案によって再訪してもらう、といった努力が必要になる。だから「どんな訪問者がリピートするのか」を、じっくり考えてみよう。
母集団をいかに集めるか
ネット通販にはいくつかのレベルの顧客リストがある。「メールマガジン登録者」「会員登録者」「購入者」「複数回購入者」、そして「VIPクラスの得意客」など。こうしたリストを生み出すため、通販サイトはまず、なにかしら「母集団」を持たなければならない。
たとえば最初は、購入前に何度も訪れる人たちとなるだろう。特に高額商品では多いが、購入までの検討期間が長く、間に何度もサイトを訪れてみる、あるいはライバルサイトと商品比較を行って、次第にサイトを絞り込む、といったパターンの客だ。
あるいはエンターテイメントコンテンツなどが楽しくて、何度も通っているうちに、良い商品があるから買ってみようというパターンもあるかもしれない。この場合、通販のための会員登録とは別にゲームのアカウントなどを持ってもらうことが、通販への誘導のための前段階となる。ゲームアカウントの取得は、会員登録よりは一般的にはハードルが低いから、リストは多くなるし、基本的にサイトへの安心感は持っている人たちだから、多くを通販に誘導できると考えて良いだろう。
通販カタログビジネスで、購入者の母集団として「カタログ配布先」リストがあるのと似ている。そこに対して連絡をすれば、だいたい決まったパーセンテージの人が反応して購入してくれるから、担当者としては非常にやりやすい。期末に売り上げを上乗せしたいと思えば、セールを企画し、母集団に「当サイトを訪問いただいたお客様にご案内する特別セール」という案内メールを出せば良いわけだ。
プレゼントで集め、さらに「断らせる」
こうした母集団を持つのに、一番手っ取り早い集客策は、「プレゼント」ということになる。魅力的な賞品を用意し、フォームを作成し、プレゼントサイトに登録する、というのが基本的な作業。ちょうどみんなが欲しいと思っているタイミングにプレゼント賞品がぴたりとはまれば、2週間の締め切り期間で3,000人、5,000人といったリストが手に入る。
もちろん、単にプレゼントに応募したいだけの人ということも多いので、このリストはそのままでは使えない。応募者に対しては、締め切りや当選発表のタイミングでメールを送信しなければならない。人は3週間たつと自分がプレゼントに応募したということを忘れるものだ。だから、プレゼントの募集期間を2週間ぐらいにして、3週間以内に当選発表をメールで送れるぐらいのスパンにするのが望ましい。何しろ、自分が応募したことをすっかり忘れて、スパムメールと勘違いし、「どこで私のアドレスを入手したんだ!
」と怒ってくる人はびっくりするぐらい多いのである。
このときも、単純に当選落選を伝えるメールにするのではなく、「当選されなかった方にはダブルチャンスとして、今特別価格のセールにご招待している
」といったオファーを加えておくべきである。そうすれば、プレゼントリストから購入者のリストを作ることができるのだ(なおアクセス解析する場合には、こうしたメールには必ず独自のURLを入れ、あとでそのURLをカウントすればプレゼントリストからどれだけの人が反応してくれたかを追いかけることができる。その方法は後述する)。
ちなみに、プレゼントで集めたリストの3分の2は、自分が落選したとわかるや、「もうメールは送らないでほしい」と断ってくる。これは初めてだと非常につらい体験だ。メールを送って数日間、膨大な断りメールを読み続けるのはしんどいことである。しかし、逆に考えれば、つまり、3分の1が残ると考えれば、これは非常に喜ぶべきことだと言わなければならない。元のプレゼントリストが5,000人なら、1,700人が残る計算だが、プレゼントが50,000円の海外旅行だとすると、1人獲得単価は30円。リスティング広告では不可能な高効率だと言うことになる。
この1,000人のリストにまたメールでお得なオファーを送り、それに反応してくれたのが10%であれば100人。ここまで来ればかなりレベルの高い見込み客ということになる。
1,000人が残るプレゼントを毎月行っていれば、年間に12,000人のリストが残り、そこにメールを送れば1,200人がサイトを訪れる、といった目算が立つのだ。その1,200人はもうこのサイトで一度名前や住所を書いた人たちだから、一般的なサイト訪問者に名前を書かせるよりもずいぶん楽。つまり「購入に近い」と言うことができるのだ。
プレゼントについては誰でもプレゼントだけではなく、商品購入者だけ対象にしたり、会員登録者を対象にしたり、それぞれのレベルのリストを作成する目的に応じて形式を変えていけば良い。
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