資料請求を増やす、当たり前(でもとっておき)の秘策(前編)
―何を解析すればいいのかわからないあなたに―
Webサイトの“見える化”&“カイゼン”講座【実践編】
第5回 資料請求を増やす、当たり前(でもとっておき)の秘策(前編)
未曾有の不況下、ホームページはますます成果を求められており、「資料請求」や「問い合わせ」を受け付けて、営業に結び付けるのも大きな使命となる。今回から2回に分けて、「資料請求」の効果向上について、実践方法を検討していこう。
「見込み客になる訪問者は総数の半分」と考えよ
多くのホームページで、資料請求や問い合わせのページがある。しかし、どこのホームページでも、思うように請求数が得られていない。あまりに成果が出ないため、ホームページとはこんなものである、ともったいない思い込みをしている会社もあるぐらいだ。
しかし、それは本当にもったいないことである。ホームページを良くすることにより、まだまだ成果を伸ばすことはできるはずなのだ。たとえば月に1万人が訪れるサイトを考えてみよう。今のホームページでは、検索などから訪れた人が1ページしか見ないで帰ってしまうことが多い。これを「直帰」と呼んでいる。平均で47%ぐらい。ほぼ半数の人が1ページで帰っている。1ページで帰ってしまう人は、顧客になるはずの人と、まったくニーズのミスマッチな人に分けることができるだろう。ミスマッチな人はすぐ帰ってもあまり痛くはないが、顧客になるはずの人は帰らないようにしたい。また、すぐに帰らない人のなかも一枚岩ではない。まず、既存顧客と新規見込み客に分けることができるだろう。B2Bサイトなどでは、取引先が7割以上といった状況もある。
もちろん、たとえばB2Bサイトに一般生活者が訪れ、1ページで帰らずノウハウコンテンツを見て楽しんで帰った、ということもある。B2Bサイトにとって、この人たちは顧客にならない。技術系のコンテンツなどが設置されているサイトでは、大学の研究者などが検索で多く訪れ、情報を得ていくが、こうした層も顧客にならない、つまり資料請求はしない人たちだと思っておく必要がある。もちろん、研究者はメーカーにとって、(将来)重要な顧客になることもあるから、別にその人たちの訪問を断る理由はないわけだが、資料請求を増やすという目的からすると外れた訪問者ということになる。ざっくりと数を整理してみよう。
総訪問者数: | 10,000人 |
直帰者数: | 5,000人 うち、引き留めたい訪問者2,500人 |
非直帰者数: | 5,000人 うち、見込み客になる人数2,500人 |
訪問者の半数、5,000人が見込み客と考えてみよう。つまり、資料請求を増やすための大きな戦術としては、
- 直帰している訪問者のうち、見込み客になる人を帰らせないようにする
- サイトを何ページも見ている人が資料請求に進むようにする
ということになるだろう。
資料請求する人の気持ちのなかにある“警戒感”
資料請求をする、というのを訪問者側の立場で考えると、どんなものになるだろう。一般的に資料請求はフォームを使って行われる。つまり、会社名、部署名、氏名、所番地、電話番号、メールアドレスなどを書き込まなければならないのだ。
物理的には資料を宅配してもらうために、所番地や電話番号も必要なのだが、もしかすると、ここで所番地を書いたがために、ダイレクトメールががんがん届くようになるかもしれない。電話での営業攻勢が始まるかもしれないのだ。個人情報の扱いが粗くて、どこかに漏れ出す危険もあるだろう。そう思うと、入力する手がついためらってしまうというもの。それを押して氏名や所番地を明かし、資料を送ってもらおうというのだ。これは一種、勇気のいる行動と言える。
プレゼントページの決まり文句に「ふるってご応募ください」というのがあるが、「ふるって」というのは「奮って」、つまり勇気を振り絞って、といった意味合いだ。もともとこうした応募行動というのには心理的なハードルがあることがわかる。
では、ホームページから実際に資料請求する人の気持ちはどんな言葉で説明がつくだろう? そう、それだけ「良い商品」だと感じている、「良い資料だからもらっておきたい」と思っている、ということになる。
特に資料請求が多いのはB2B向けの製品だが、企業としてはいくつかの製品から会議で検討して絞り込まなければならないから、必要な製品については会議にかける資料が必要となる。稟議書に添えるものも要るだろう。一番簡易にはホームページをプリントアウトして会議にかけるということもある。そのために、製品情報ページはプリントアウト用のページを用意しておくことも大切だ。
資料請求のもう1つの心理的なハードルは、「たいした資料じゃないんじゃないか」ということがある。誰しも、資料をもらってみたら、ホームページで見られる程度の、つまらないチラシのようなものが届いてがっかりした経験を持っている。
大学のホームページでは、学校案内パンフレットなどはサイト上で電子パンフレットとして閲覧できるので、資料請求は入試の募集要項が目的となっている。つまりそれは、「選ぶ前の資料集め」というより、「受験することをほぼ決めた状態」に変わってきているのだ。顧客のステータスが変わり、資料請求数は減るかもしれないが、そこからの最終コンバージョン(大学なら「実際に受験する」)に至る率は高くなっているわけだ。こうした状況では、どんなものが届くのか請求側に納得感があり、いわば事務的なものを用意しておけば良いということになる。
しかし、一般の企業ではそうはいかない。新規の見込み客にとってその製品は未知のものであり、詳しくわかる良い資料が用意されていなければならない。ホームページの内容をそのまま印刷した程度のものであれば、営業攻勢を受けるリスクをおかしてまで請求する意味は薄い。最初からホームページをプリントアウトすれば良いのだ。
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