実践編

悪いのはフォームなのか? その前か?

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悪いのはフォームなのか? その前か?

さて、資料請求を増やしたいホームページで、Webマスターが考えるのはほぼ100%、「フォームが面倒だから資料請求が増えないのではないか?」ということだ。実際にフォームの記入は面倒なものだ。しかし、だからと言って、フォームを簡便化すれば資料請求が増えるとは限らない。そもそも資料請求しようという気持ちがないところにフォームの面倒さはあまり関係がないのだ。

図3を見てみよう。上下の例はどちらもコンバージョン率0.1%。月に10,000人が訪れて、サンキューページが表示された回数は10回となっている。

同じコンバージョン率でも、中間ポイントは大きく違う
図3 同じコンバージョン率でも、中間ポイントは大きく違う

コンバージョン率の算出式は「10÷10,000×100=0.1%」だ。しかし、この式には、「どうしたら資料請求を増やせるか?」という意味合いは含まれていない。そこで、アクセス解析ではこの間に中間ポイントをとって、その中間ポイントの前に問題があるのか、後に問題があるのか、見極めるという作業をするわけだ。図3ではまさに資料請求フォームのページを中間ポイントして見ている。

上の例では、10,000人の訪問者のうち、資料請求フォームのページを見たのは1%の100人。この100人のうち10人がサンキューまで進んでいるのだから、ここは10%もの確率となっている。これは決定率の高い、優秀なフォームかもしれない。あわててフォームを変更してはいけないのだ。

一方、下の例では、10,000人の訪問者のうち、資料請求フォームに10%もの1,000人が進んでいる。ところが、そこから実際に資料請求したのは1%の10人にすぎない。こうなると、資料請求フォームのページに何か問題がある、ということになりそうだ。

実際の多くのサイトでは、図3の上の例のような状態になっている。つまり、資料請求フォームのページ自体は入力を完了させる力は決して低いものではないのだが、フォームの前の各ページに資料請求フォームのページに訪問者を誘導させる力が低いのだ。それがまさにここまで述べてきた、モチベーションを持たせる誘導リンクの欠如によって引き起こされている。各ページを見ている訪問者に、いかにして「良い資料があるらしいから資料請求しよう」「資料請求のページに行ってみよう」と思わせるか。そこが非常に重要なのである。

上の例で、せっかく10%もの決定率を持っている資料請求フォームを変更して、この決定率を下げてしまうようなことがあれば目も当てられない。データを見ないでサイトを運営することの危険は大きいのだ。たとえば同じ10,000人の訪問者で、決定率10%の資料請求フォームを持っているなら、総訪問者数のうち、資料請求フォームに移動する確率を現状の1%から2%に引き上げるだけで良い。そうすると、資料請求フォームの到達数が200人になり、決定率10%であれば20回サンキューページが表示されることになる。つまり、資料請求数を倍増できるのだ。訪問者数を増やす必要はない。それでも資料請求を増やすことはできるのである。

最初の話に戻ろう。訪問者のなかには、

総訪問者数:10,000人
直帰者数:5,000人 うち、引き留めたい訪問者2,500人
非直帰者数:5,000人 うち、見込み客になる人数2,500人

といった状況があった。となれば、今、資料請求フォームに到達している100人は非直帰者5,000人で見込み客になる人数2,500人のうちの100人となる。資料請求を完了した10人について言えば、

10÷2,500×100=0.4%

と、実質のコンバージョン率は4倍ということになるわけだ。次の戦術を考えるなら、

  • 直帰者のうちの引き留めたい2,500人のうち、50人を資料請求フォームに移動させる
  • 非直帰者のうち、見込み客になる2,500人のうち、さらに50人を資料請求フォームに移動させる

となる。これで資料請求フォームページの訪問者は100人から200人に増え、決定率10%ならば、資料請求数は10回から20回となるのである。訪問者数を変えていないのだから、あらたな広告コストはまったくかかっていない。今働いているサイトからもっと良い果実を得ることができるのだ。

現実には、顧客になりやすい訪問者に絞り込んで少し増やし、さらにサイト内を最適化して直帰者と非直帰者の双方から少しずつ資料請求フォームへの誘導を高めるというのがソリューションだということになるだろう。

次の値を見てほしい。

【現状】
総訪問者数:10,000人
直帰者数:5,000人(直帰率50%)
非直帰者数:5,000人
資料請求フォーム到達数:100人(非直帰者の2%)
サンキューページ到達数:10人(フォーム到達者の10%)

↓↓↓

【改善後】
総訪問者数:11,000人(集客10%アップ
直帰者数:4,950人(直帰率45%
非直帰者数:6,050人
資料請求フォーム到達数:212人(非直帰者の3.5%
サンキューページ到達数:21人(フォーム到達者の10%)

青文字のところが改善ポイントだ。

  • 訪問者を1,000人増やし
  • 直帰率を5ポイント引き下げ
  • 資料請求フォームへの到達率を1.5ポイント引き上げた

わけだ。これにより、サンキューページの到達者は倍増した。全体のコンバージョン率は0.19%となる。1,000人増やすことで11人のコンバージョンを得たことになり、ここの決定率は1.1%に達する。仮に広告で1クリック100円かかっているとしても、100円×1,000人=100,000円のコストで、11人獲得したことになるので、1人獲得コストは9,000円程度ということになる。営業のクロージング率(契約締結率)が10%なら、11人の獲得で1ないし2の契約が得られるわけだから、B2B商材であれば悪い数字ではないだろう。

さて後編となる次回は、この続きとして、どんな要因で資料請求が増やせるのか、もう少し解析からの改善方法を検討していこう。

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