日本では75.1%の検索がスマホから、調査データにみる検索とSEOの今【SEO情報まとめ】
モバイル検索の重要性はわかっている――つもりでも、「日本では75.1%の検索がスマホから」という調査データを見るとどうだろうか。ドイツのSEO会社による大規模データで、「順位ごとのCTR」「リッチリザルト」「検索意図」などさまざまな軸からモバイル検索とPC検索を考えてみてほしい。
ほかにも、コア ウェブ バイタル(CWV)、Webサーバーでトラブルが起きたときのSEO的に正しい対処などなど、SEOとサイト運営に役立つ情報を、今週もまとめてお届けする。
- フィールドデータがないページのCWV評価はどうなる?
- PCとスマホで別URL構成のサイトでは、ランキング要因になるCWVはPCとモバイルのどちらの指標?
- ブラウザの拡張機能がコア ウェブ バイタルを悪化させる!?
- コア ウェブ バイタルを満たしているサイトは約22%。多い? 少ない?
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今週のピックアップ
日本では75.1%の検索がスマホから、調査データにみる検索とSEOの今
1位のクリック率は「スマホ < PC」という結果も (SISTRIX) 海外情報
SEOツールを提供するドイツ企業のSISTRIX(シストリックス)がモバイル検索とPC検索に関する調査を実施し結果を公開した。特に注目したい、2つの調査結果を紹介する。
PC検索とモバイル検索の比率
- 調査対象国全体では、PC検索が約36%、モバイル検索が約64%
- 日本に限定すると、PC検索が約25%、モバイル検索が約75%
全体では、3分の2の検索がスマートフォンで行われている。日本だけで見ると4分の3の検索がスマートフォンからで、これは調査対象国のなかではインドと南アフリカに次ぐモバイル比率の高さだ。
ただし、注意すべき点がある。検索の対象となる業種やトピックによって、モバイル/デスクトップ比率は大きく変わるのだ。天気関連では8割弱がモバイル検索だが、B2BソフトウェアやB2B営業の分野ではPC検索のほうが少し多い。
こうした点にも留意しながら、正しく現実を把握して、(ほとんどのサイトでは)モバイルファーストでサイト運営していく必要があるだろう。
検索順位ごとのクリック率
順位 | PC検索でのCTR | モバイル検索でのCTR |
---|---|---|
1位 | 35.8% | 29.7% |
2位 | 13.0% | 14.8% |
3位 | 8.4% | 9.9% |
4位 | 6.3% | 7.4% |
5位 | 4.9% | 7.0% |
モバイル検索もPC検索も1位のクリック率が最も高いのは共通しているが、PC検索のほうが6ポイントほど高いクリック率だ。
もう1つ大きく異なるのは1位と2位以下との開きだ。PC検索のほうが、1位と2位以下の開きが大きい。くわえて、PC検索のほうが順位が下がるほどクリック率がより低くなる。
つまり、次のように考えられる:
- PC検索ではモバイル検索よりも上位表示、特に1位表示がクリック率への影響度が大きい
- モバイル検索では、1位でなくても(PC検索よりは)検索トラフィックを獲得するチャンスがある
理由として、スクリーンサイズの違いによる検索結果の構成が考えられる。
PC検索では、スクロールしなくてもスクリーンに表示されるいわゆる「ファーストビュー」で多くの結果が目に入る。1位以降のページに訪問しなくても、ファーストビューに出てきた結果だけで求めていた情報が手に入ることも多そうだ。
対して、モバイル検索ではファーストビューの結果はかなり限られる。スクロールして検索結果の続きを見るパターンが多そうだ。スクロールする流れのなかで、2位、3位、4位……の結果も(ついでに)見るのではと推測できる。
さらに、モバイル検索ではPC検索と比べると検索し直すのが面倒に感じるユーザーも多いのではないだろうか。もう一度検索するよりも、今出ている結果のなかで見つけようとする心理が無意識に働く可能性もありそうだ。
日本ではモバイル検索のほうが多いという結果を先に紹介した。となると、モバイル検索では1位ではなく2位以下でもそう悲観しなくてもいいのかもしれない。
元記事では、ほかにも次のようなデータを紹介している。すべて英語だが、興味がある人は眺めて考察してみてほしい:
- モバイル/デスクトップ比率の分布
- 検索ボリューム軸でみたモバイル/デスクトップ比率
- 検索意図軸でみたモバイルモバイル比率
- 検索結果のリッチリザルト軸でみたモバイルモバイル比率
なお、このデータの元になった調査の詳細は明らかにされていない。どのような方法でデータを収集したかは不明だ。対象国や、年代や性別など対象者の属性もわからない。唯一わかるのは、8000万種類のキーワードと数十億回の検索クエリを分析したということだけだ。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
グーグル検索SEO情報
フィールドデータがないページのCWV評価はどうなる?
ラボデータが代わりに使われるのか? (John Mueller on Twitter) 海外情報
まもなくランキングシグナルに組み込まれるコア ウェブ バイタル(CWV)は、Chrome ユーザーエクスペリエンスレポートと呼ぶ実際のChromeユーザーのデータ、いわゆるフィールドデータから算出している。
しかし、フィールドデータではある程度のトラフィックがあるURLでなければ使い物にならない。では、十分な量のフィールドデータが集まっていないページのコア ウェブ バイタル評価はどうなるのだろうか? 代わりにラボデータが使われるのだろうか?
グーグルのジョン・ミューラー氏によれば、次のようにするという:
- フィールドデータがないからといってラボデータを利用することはない
- あまり情報を持っていない新規サイトを評価するときと同じように処理する
We don't defer to lab data. If there's no field data that's similar to other situations where we don't have a lot of data for a site (new domains, etc).
— 🍌 John 🍌 (@JohnMu) March 9, 2021
具体的にどのようにするのかは述べていないが、過去の発言から考察するに、おそらくサイト内で類似したページがあればそのデータを参考し、類似したページがない場合はサイト全体のデータを参考にすると考えられる。まったく情報がない新規サイトの場合は、ひょっとしたら仮の評価を暫定的に与えるのかもしれない(これは筆者の完全な推測だが)。
なんにせよ、フィールドデータとラボデータの違いをきちんと理解したうえで、コア ウェブ バイタルの改善に取り組む必要性は変わらない。
- CWV改善がんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
- ホントにSEOを極めたい人だけ
PCとスマホで別URL構成のサイトでは、ランキング要因になるCWVはPCとモバイルのどちらの指標?
モバイルだけど、それは本当には重要じゃない (John Mueller on Twitter) 海外情報
PC向けサイトとスマホ向けサイトを(レスポンシブや動的切り分けではなく)別々のURL構成で公開している場合、PC向けページとスマホ向けページのどちらのコア ウェブ バイタルがランキング要因として使われるのだろうか?
コア ウェブ バイタルがランキング要因になるのは今のところはモバイル検索だけの予定だ。したがって、検索順位に影響を与えるのはモバイル向けページのコア ウェブ バイタル指標になる。
We announced that the page experience ranking factor would only apply to mobile, and that we'd use the mobile data for that. The URL doesn't really matter so much.
— 🍌 John 🍌 (@JohnMu) March 13, 2021
だからといって、PC向けページのコア ウェブ バイタル改善を後回しにしていいということでは決してない。新しいシグナルがランキング要因になると聞くと、アルゴリズム周りのことがどうしても気になってしまうが、重要なのはグーグルがなぜそれをランキング要因にしたかを理解することだ。どんなランキングシグナルであれ、検索ユーザーに利益をもたらすことが共通の要素としてある。
ランキングに与える影響を過度に気にしせずに、次のように考えて改善に取り組んではいかがだろうか?
コア ウェブ バイタルは、ユーザー体験を向上させるためのヒントとしてグーグルが教えてくれているものだ。うまく役立てなきゃもったいない!
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ブラウザの拡張機能がコア ウェブ バイタルを悪化させる!?
スマホでは影響なさそうなのが救い (Addy Osmani on Twitter) 海外情報
コア ウェブ バイタルは、グーグルが「Chromeユーザー エクスペリエンス レポート(CrUX)」と呼ぶデータをもとに算出される。CrUXは、実際にChromeを使ってサイトを見ている一般ユーザーのデータを収集したフィールドデータだ。
となると、こんな疑問が浮かぶのではないだろうか?
実際のユーザー環境では、さまざまな原因でサイトの表示に悪影響がでていることがあるのではないか。たとえば、次のようなものだ:
- ネットワーク環境
- デバイスの性能
- CPUやメモリなどのリソース消費状況
実際にそのとおりで、CrUXのデータはサイト側だけでなくユーザー側の事情で数値が変わる。
さらには、ブラウザにインストールしている拡張機能(アドオン)がコア ウェブ バイタルに悪影響を与えることもあるようだ。というのも、拡張機能のなかには、バックグラウンドでJavaScriptを実行したりネットワーク通信したりしてブラウザの動作を遅くするものもあるからだ。
ユーザーが自分で遅くしているのだが、ユーザーがインストールしている拡張機能はサイト側では対処しようがない。もし拡張機能がコア ウェブ バイタルのスコアを悪くしているとしたら悲しくなる(さらに確かめようがないのも悲しい)。
1つ救いがあるとしたら、一般的に、拡張機能はPC版のブラウザで利用することだろか。コア ウェブ バイタルがランキング要因として使われるのは(今のところは)モバイル検索だけだ。モバイルユーザーのコア ウェブ バイタルに拡張機能が悪影響を与えている可能性は低い。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
コア ウェブ バイタルを満たしているサイトは約22%。多い? 少ない?
LCP・CLSが良好は5割未満 (Chrome UX Report on Google Group) 海外情報
コア ウェブ バイタルに関する最新データが公開された:
- LCPが良好: 47.99%
(最大コンテンツの描画) - FIDが良好: 89.46%
(初回入力遅延) - CLSが良好: 45.99%
(累積レイアウト変更」) - LCP/FID/CLSがすべて良好: 21.98%
これは2021年2月のChromeユーザーエクスペリエンスレポートの集計データで、826万サイトの統計だ。
FIDに関しては、9割近いサイトが良好な数値を記録している。一方で、LCPとCLSが良好なのはどちらも5割に満たない。コア ウェブ バイタルのすべての3指標が良好なのは2割強だ。
コア ウェブ バイタル改善の余地があるサイトがウェブにはまだまだ多く存在するようだ。あなたのサイトは良好に含まれているだろうか? Search Consoleのウェブに関する主な指標レポートで確認してみよう。
Chrome UX Reportのアナウンス用グーグルグループでは、Chromeユーザーエクスペリエンスレポートの月ごとの集計データがこのように毎月公開される。
- CWV改善がんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
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