編集長ブログ―安田英久

常時HTTPS化+ドメイン名変更、SEOの悪影響ゼロで進めた手順をすべて公開!

Web担が検索エンジンからのトラフィック減など一切なしに常時HTTPS化とドメイン名変更を進めた手順を公開

今日は、常時HTTPS化とドメイン名変更に関する話題を。Web担では10月にこの両方を一気に進めましたが、検索エンジンからのトラフィック減など一切なしに完了しました。そこでやった手順をお届けします。

ドメイン名を変えるなら常時HTTPS化も

Web担では、オープン当時の社名に基づくドメイン名「impressrd.jp」を長らく使っていましたが、すでに会社が「株式会社インプレス」になっているため、全社的な統一性の観点からドメイン名を変えることにしました。

そして、ユーザーログイン機能があるサイトであるため、Wi-Fi環境でのセキュリティ担保なども目的として、常時HTTPS化を行いました。

  • 旧URL:
    http://web-tan.forum.impressrd.jp/

  • 新URL(ドメイン名変更+HTTPS化):
    https://webtan.impress.co.jp/

実は、この移行作業にはかなりの不安がありました。というのも、Web担には、2万7000記事ほど+各種コンテンツで10万インデックス以上がグーグルに登録されているのですが、

数万コンテンツ以上あるニュース系のサイトがHTTPS化やドメイン名変更した場合、ちゃんとした手順でやっても、検索トラフィックが減少して数か月は元に戻らないことがある

という話が、SEO専門家やメディア系の実体験としてあったからです。

しかし実際には、結果としては何の影響もありませんでした。拍子抜けなぐらいでした。

そこで、どんな手順でドメイン名変更とHTTPS化を進めたのかを記録として残しておきます。

御社でも同様に問題なく移行したい場合は、グーグルが提供している次の情報をしっかりと参照するといいでしょう。

事前準備: ネゴ・周知・念押し

前述のように、ドメイン名変更で検索トラフィックが激減してしまったサイトが社内でもあったため、事前に関係者にリスクの周知をしっかり行いました。

特にボスには、

最大で半年ぐらいはトラフィックが激減する可能性があります、でもいつかやらなきゃいけないので、やります。

と何度も伝え、経営会議でも

もうすぐやりますが、リスクがあります

と伝えました。

編集長として検索トラフィックが減ったら大変なことです。周知していたからと言っても、実際に発生したらそのビジネスインパクトは大きな問題で言い訳はできません。

とは言うものの、事前にレポートライン上の人や営業担当にリスクを伝えておくのは重要なことです。これは、数か月かけて何度か行いました。

事前準備: インフラ側の準備

今回は、サイトの中身はほぼ変更せずにドメイン名と常時HTTPS化だけを行っています。

「ついでにサイトのリニューアルも」と欲張りたくもなるのですが、SEOを重視するならば、大きな変更を同時に行うのは厳禁です。なぜなら、もし検索トラフィックが減少したときに、何が原因なのか切り分けが難しくなるからです(ドメイン名変更とHTTPS化はグーグルから見ると同じ「URLの変更」なので気にせず同時に)。

移行前の準備として、当然のことながら、次のようなことをまず行います。

  • 新ドメイン名を社内承認して決定
  • ドメイン名を確保
  • 新ドメイン名用のサーバー証明書を確保
  • 新ドメイン名用のサーバーを構築

そのうえで、新サーバーで既存のシステムをテストしました。テストでは、次のような点を重点的にチェックしました。

  • CMSがちゃんと動作するか
  • サイト内検索がちゃんと動作するか
  • 広告配信、レコメンド、アクセス解析などがちゃんと動作するか

システム面ではいくつか修正があったので、要変更点をすべて記録しておきました。

実際の移行: Search Consoleでの移行手続きとリダイレクトに注意

入念にテストして問題なさそうだったので(実際には漏れがいくつかあったのですが)、実際の移行作業を開始しました。

移行は金曜の夜に行いました。これは、万が一トラブルがあっても土日でリカバーして読者さんに迷惑をかけないようにという意図です。

  1. 旧サイトをメンテナンス状態に入れる
  2. 旧サイトのシステムをバックアップ
  3. 旧サイトの最終CMSデータベースを新システムに反映
  4. 新システムの設定関係を確認
  5. 要変更点を新システムに反映
  6. 新サイトを最終チェック
  7. 新サイトを公開

ここまでは通常の移行作業なのですが、SEO、つまり検索エンジンからのトラフィックを減らさないために大切な手順があります。それは、次の2点です。

  • リダイレクト設定
  • Search Consoleでの移行処理

リダイレクト設定

旧サイトから新サイトへのリダイレクト設定は何よりも大切です。

まずはセキュリティの観点から旧サイトの領域にあった内容はすべて削除します(不要なものは残さない)。そのうえで、旧サイトの領域にリダイレクト設定だけを置きました。

中身はごくシンプルなもので、次のような.htaccessを残しただけです。今回はURL構造の変更など一切していませんので、すべてのアクセスがそのまま新しいサイトにリダイレクトされるようにしました。

<IfModule mod_rewrite.c>
  RewriteEngine On
  RewriteRule ^(.*)$ https://webtan.impress.co.jp%{REQUEST_URI} [R=301,L]
</IfModule>
Apacheのリダイレクト設定

旧サイトに張ってもらっている数百万本のリンクはSEOの観点からは非常に重要な資産です(もちろんリンクをたどって来る読者さんにとっても)。

ですので、それらのリンクが新しいサイトに引き継がれるようにするリダイレクト設定は必須です(ちなみに当初302リダイレクトになっていたミスを指摘いただいて、すぐに301に変更しました)。

ちなみに、この旧サーバーは原則として未来永劫この状態で動かし続けることになります。

気持ち的には数年たったら古いサーバーは閉じてしまいたくなるのですが、検索エンジンからみるとそういうわけにはいかないようです。このサーバーを止めてしまうと、再クロールなどの時点で古いURLに対するリンクの価値が消えてしまいますので。

サイトに対して張っていただいているリンクをすべて新URLに向けてもらえれば旧サーバーは削除できるのですが、なにせ数が多すぎるので、そうもいきません。また、ソーシャルブックマーク系、フォーラム投稿、ニュースアグリゲーション系などのように頼めばリンク先を変えられるわけではないものも含まれていますからね。

システム部門に対しても、「旧サイトのドメイン名とかサーバーを消したら末代まで呪うからね」と脅してあります。

Search Consoleで移行手続き

もう1つ、SEO的に大切な手順があります。それは、Search Console(旧Webmaster Toolですね)でのサイト移行(アドレス変更)手続きです。

これは、「Search Consoleに登録してるこのサイト、URLを変更したからね」とグーグルに伝える機能です。この手続きを行っておくと、検索結果に旧サイトが表示された際に、新サイトに誘導してくれるのです(180日間)。

※2017-12-06追記 ドメイン名変更をせずにHTTPS化だけの場合、Search Consoleのアドレス変更ツールは利用できませんので、ご注意ください。
  1. まずSearch Consoleにログインして、新サイトをSearch Consoleに新しいプロパティとして追加しておきます。

    Search Console: https://www.google.com/webmasters/tools/

  2. 次に、Search Consoleに登録している旧サイト(移行元)の登録を開き、右上の歯車アイコンから[アドレス変更]をクリックします。

  3. 「アドレス変更」画面で、さきほど追加した新しいサイトを選び、301リダイレクトなどがちゃんと動作していることをSearch Consoleのシステムに確認させたら、[送信]ボタンをクリックします。

  4. これで、Search Consoleへのアドレス変更指示は終了です。

    Search Console上のメッセージで(メールアドレスを登録していればメールでも)、移行リクエストの確認メッセージが届きます。

  5. グーグル側での移行処理中は、Search Consoleで「アドレス変更」画面に次のような表示がされるようです。

    移行処理が完了すると、次のような表示に変わります。

  6. 忘れないうちに、新サイトのプロパティでサイトマップ送信や独自URLパラメータ処理の設定を反映しておきましょう。

Web担では、httpとhttpsそれぞれで旧サイトをSearch Consoleに登録していたので、両方のプロパティでこのアドレス変更手続きを行いました。

HTTPS化でありがちなうっかりミス

Web担は新ドメイン名で常時HTTPSに移行したのですが、1つミスがありました

というのも、HSTS設定は行っていたのですが、HTTPのURLへのアクセスをHTTPSにリダイレクトする設定にミスがあり、ちゃんと動作していなかったのです。

これはけっこう気づきにくいミスでした。なぜなら、ブラウザではHTTPのサイトにアクセスすると、ちゃんとHTTPSにリダイレクトされるからです。

しかし、検索エンジンのクローラーはHSTS設定に従ってくれるわけではないようなのです。そのため、人間が見ると常時HTTPSへの移行が完了しているように見えても、検索エンジン側ではHTTPとHTTPSの2つのURLがあるように見えるという状況に陥ってしまうのです。

常時HTTPSのサイトを新たにつくる場合は、まずHSTS設定なしでサイトを構築してチェックし、問題なくHTTP→HTTPSリダイレクトを確認してからHSTS設定を追加することをオススメします(技術者ならばwgetなどを使って確認すれば問題ないですが)。

ちなみに、このリダイレクトをミスしていた原因は、Webサーバーの手前のWAFでHTTPSを解除していたことでした。Apacheの場合、正しい設定は次のとおりです:

<IfModule mod_rewrite.c>
  RewriteEngine on
  RewriteCond %{HTTPS} off
  RewriteRule ^(.*)$ https://%{HTTP_HOST}%{REQUEST_URI} [R=301,L]
</IfModule>
HTTP→HTTPSのリダイレクト設定(通常のサーバー構成の場合)
<IfModule mod_rewrite.c>
  RewriteEngine on
  RewriteCond %{HTTP:X-Forwarded-Proto} !https
  RewriteRule ^(.*)$ https://%{HTTP_HOST}%{REQUEST_URI} [R=301,L]
</IfModule>
HTTP→HTTPSのリダイレクト設定(WAFやロードバランサでHTTPSを解除するサーバー構成の場合)

移行したらやらなきゃいけない外部システムの設定変更

これで、SEO観点でのサイト移行は完了です。実際に検索トラフィックを含めサイトへのアクセスはすべて以前と変わりなく処理され、まったく問題は発生しませんでした。

ただし、Search Consoleからのメッセージにあったように、検索結果での自動リダイレクトは180日間なので、もしかしたらその後に問題が発生するかもしれません。とはいえ、180日間でクロールしきれないほどのページ数はありませんので、おそらく問題はないでしょう。

ちなみに、サイト自体とSearch Console以外でも、けっこうな数の移行関連の設定変更がありました。次のようなものです。

  • アクセス解析(Googleアナリティクスなど)、DMP、記事レコメンドシステムなどの、登録ドメイン名変更。

    特に今のGoogleアナリティクスでは、新しいドメイン名を参照元除外設定に追加しなきゃいけない点に注意が必要です。

  • スパムよけにcaptchaの外部システムを利用している場合、登録ドメイン名の変更が必要です(Web担ではこれを忘れていてユーザーさんからの連絡で気づきました!)。

  • TwitterやFacebookなどソーシャルメディア公式アカウントに記載しているサイトURLも変更しておきましょう。

  • Twitter、Facebook、GoogleなどのOAuth認証を利用するアプリケーションがある場合、そのドメイン名設定を変えておきましょう。

  • 名刺の記載URLも変えなきゃいけないですね。

  • サイトの死活監視をしている場合、そちらの登録も変えておきましょう。

  • サイト名が変わると、FTPのアップロード先が変わることが多いはずです。関係者に新しいアップロード先を周知しましょう。

  • 外部システムにデータ送信する際に、登録元のIPアドレスを制限されている場合、サーバー変更でドメイン名が変わったことを知らせる必要があります(たとえばYahoo!ニュースなど)。

  • メディア系ならば、Googleニュース、SmartNews、Gunosyなどの登録ドメイン名変更が必要ですね。

あとからじっくりやるところ

まず、ドメイン名が変わっていますので、サイト内リンクで旧サーバー名が記載されているものがあれば、すべて修正する必要があります。

Web担では原則としてサイト内リンクはずっとパスだけの記載(プロトコルやサーバー名は省略して「/」で始まるパス名だけのリンク)にしていたので、この点は問題ありませんでした。

また、常時HTTPS化にともない、さらに登録済みコンテンツに関して修正が必要でした。というのも、非HTTPSのURLで画像などを参照しているコンテンツがある場合、ページ表示で鍵が壊れてしまうからです。

CMSのデータベースから「http:」を検索して対象をリストアップし、1つずつ修正していきます。

ちなみに、CSSで(なぜか)サーバー名込みで画像を参照している部分がありましたので、それはCSSファイル置き場を検索して修正しました。

実はこれらの作業はさくさくやるべきなのですが、Web担では後回しにしちゃってまして、まだ全部は完了していませんorz

まとめ

要は、グーグルさんの推奨する手順をちゃんと守れば、ドメイン名変更でもHTTPS化でも、問題なくできる可能性が高まるということですね。

冒頭に示したグーグルさんのヘルプにある「アドレス変更ツールの使用」と「概要: URL の変更を伴うサイト移転」をしっかりと読み込んで移行プランを進めてくださいませ。

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