1万円の本を100万部サクッと売る、だれでもできる方法――顧客は何に金を払うのか
今日は、顧客がなぜあなたの商品にお金を払うのかについて。「1冊1万円の本を100万部さくっと売るには」というお題で考えてみましょう。
1冊1万円の本を100万部売るには?
私がまだ紙の出版の世界にいたころに、ボスからこんな風に言われたことがありました。
1冊1万円の本を100万部売るには、どうしたらいいと思う?
あなたは、この問いにどう答えますか?
「タレントに宣伝させる」「限定感を出す」「とにかくテレビCMを打つ」「その本でしか得られない情報を入れる」――いろいろあると思いますが、ボスの答えは次のとおりでした。
本に2万円を挟んで売る。
そりゃそうですよね。1万円出して2万円手に入るなら、だれでも買います。というか、借金してでも製造部数ぜんぶ仕入れますよ。
だれかがお金を払うのは、それによって価値を得られるから
要はボスが言いたかったのは、「お客さんが何かにお金を払うのは、払ったお金より大きな価値を得られる(と期待する)から」ということ。
1万円払って2万円手に入るというのは、非常にわかりやすい「払った金以上の価値を得る」関係です。とはいえ、1万円の本に2万円付ければ出版社はモーレツな赤字になるので、実現はできません。
だから現実的には「読者が得る1万円以上の価値ってどんなものだろう」を考えながら書籍を企画することになります。それが「企画」なのです。その「価値」とは、
- 今までできなかったことができるようになること(による利益創出)
- 今までやっていたことを短時間で確実にできるようになること(による利益創出)
- 昇進試験に確実に合格することで半年後から得る昇給
- 「○○の資格をもっています」と言えることで増える転職のチャンス
- 「良いレストラン知ってるね」とまわりの人から認められる喜び
- 会社では満たしにくい承認欲求を、プライベートなSNSで満たす喜び
- 友だちの話題についていけない不安をなくすことによる安心
- 外タレのコンサートを見に行くよりも刺激的で楽しい時間
- ゲームのガチャにお金を払うよりもワクワクできる楽しみ
などなど、いろいろありますよね。
価値はお客さんが決める
ただし、その「お金を払って得たい価値」を考える際に大切なポイントがあります。
それは「価値はお客さんが決める」ということです。
言い換えれば、「価値がある」とあなたが思って(思い込んで)いるものでも、実際にお客さんにとって価値がなければ意味がないし、それを価値だと思う人の数が少なければビジネスにはなりにくいということです。
たとえば、「笑福亭仁智さんが目の前で創作落語『源太と兄貴』を演じて、さらにその裏話もしてくれること」は、私にとってこのうえない幸せであり、非常に価値があります。でも、おそらく読者の方のほとんどは「???」でしょう。
でも、今ならば「Instagramでいいね!が10倍になる写真を、カメラが苦手な人でも確実にできる4つのポイント」を教えてもらえるという期待があるのならば、そこに価値を感じる人の数は多いでしょう。
大切なのは、「あなたにとっての価値」ではなく、「お客さんにとっての価値」なのです。
往々にして企業は、企業視点での価値判断をしがちです。そうした場合の価値表現には、こんな表現が多くなるのではないでしょうか――「質が高い」「こだわっている」「独自である」などなど。
でも、お客さんがそれを「価値がある」と感じられるものなのかは、お客さんの立場になって考えてみるべきなのかもしれません。そのために大切なのは、適切な顧客理解に基づく判断なんですね。
今、あなたがやっているビジネスは、だれにどんな価値を提供しますか? それは、払うお金よりも大きな価値を得られるとお客さんが感じられるものですか?
もし、今それが定義できていないとしたら、どんなセグメントの人をどう調査して顧客のニーズを探りにいくのが良さそうでしょうか?
そうして想定した「お客さんにとっての価値」は、どんな風に伝えて、またテストしていけばいいでしょうか?
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