初代編集長ブログ―安田英久

マーケターが意識すべき「顧客が本当に欲しかったもの」 ―― 「御茶ノ水駅はどっち?」

だれかが何かをしたいというとき、実際にその人が求めていることは別のことだというのが多くありますよね。

今日は、マーケティングや営業の現場で実際によく発生している「顧客が欲しいと言ったもの」と「顧客が本当に欲しかったもの」の違いに関して、ちょっとした例をあげながら解説します。

まずは、マーケティングや営業とは直接は関係ないですが、私が経験した、ある出来事から。

御茶ノ水駅はどっち?

以前に、神保町の駅前で通行人に話しかけられたことがありました。深夜の日付が変わって少しという時間帯でした。

御茶ノ水の駅へはどう行けばいいですか?

話しかけてきたのは、日本人と中国人らしき2人組。

私は「方角としてはあちら、道筋は、この道をあちらに行って、2つ目の信号を左に曲がってずっと道なり」と伝えました。

とはいえ、神保町から御茶ノ水駅に行くには、そこそこ時間がかかります。おそらくホテルかどこかに帰ろうとしているんだと思うのですが、なんとなく気になった私は聞いてみました。

どこへ行くんですか?

すると先方は「新宿に行く」とのこと。御茶ノ水駅からJR中央線で新宿に行こうとしていたのですね。

しかし、今いる場所のすぐそばには都営新宿線の神保町駅があり、それに乗っても新宿には行けます。

それを伝えると先方は「もう都営新宿線は動いていないのでは?」とのこと。私は「まだ大丈夫ですよ」と伝えて、乗り口を教えてあげました。

深夜の旅行者が本当に知りたかったこと

彼らが私に聞いたのは「御茶ノ水駅に行くにはどうしたらいいか」でした。

でも彼らが本当にしたかったのは「新宿にたどり着くこと」。彼らは、自分たちが把握している情報をもとに、まず直近ですべきことを「御茶ノ水駅に行くこと」だと判断して、その方法を私に聞いたのでした。

しかし実際には、彼らが把握していた都営新宿線の終電時刻が間違っていて、その時間でも新宿まで行く電車はちゃんと動いていました。

もし私が、彼らが求めていた「御茶ノ水への行き方」だけを教えていたら、彼らは遠くまで歩かなければいけないうえに、少し迷えば中央線の終電も逃していたかもしれません。

だれかが何かをしたいというとき、実際にその人が求めていることは別のことだというのが多くありますよね。

会社から帰宅したあなたに奥さんが「今日はどんな日だった?」と聞くときも同じです。その質問で彼女が求めているのは、あなたが今日何をしたかの情報を聞くことではありません。そうではなく、あなたと会話をすることが目的なのです。

顧客が本当に欲しかったもの

こういうことは、あちこちで起きています。

情報システムの世界では「顧客が本当に必要だったもの」という画像が有名です。

「顧客が説明した要件」と「実際に顧客が必要としていたもの」のズレと、プロジェクトの各メンバーの解釈のズレなどをわかりやすく示したものです。見たことがない方は、ぜひ検索して調べてみてください。

顧客が本当に必要だったもの→ https://www.google.co.jp/search?q=顧客が本当に必要だったもの&tbm=isch

マーケティングや営業の現場でも、こうしたことは起きています。

たとえば、私が書籍の編集を担当していたときには、「読者アンケートなどで『セキュリティの書籍が欲しい』というリクエストが多くても、実際にセキュリティ本を出すとなかなか売れない」というのがありました。

またWeb担でも、「記事広告を出稿したい」というクライアントさんのところに行ってビジネスの現状やターゲット層、現状の営業状況などをヒアリングしたら、本当にそのクライアントさんがやるべきことはメールやイベントなどでのリード獲得だったということも多々あります。

グループインタビューでの被験者の発言を真に受けて失敗したという例も耳にしますよね。UXやユーザー中心設計の世界では、こんなことが言われます。

ユーザーの声は聞くな、そうではなく、観察しろ

顧客のニーズやペインを正しく把握して、適切なコミュニケーションや体験を提供するには、「顧客が本当に欲しいもの」「顧客が本当に困っていること」を正しく観察したり引き出したりして、対応することが大切なんですね。

それは、単にアンケートやデータ分析の結果から抽出すればいいというものではなく、適切な「洞察」に基づいて「なぜ顧客はこう発言したのか」「この行動の背景にある感情の動きは何か」を判断しなければいけません。

なかなか難しいものですが、それを繰り返すことが大切なんですよね。

「御茶ノ水駅にはどう行けば?」と聞かれた出来事から、マーケティングの基本を思い出しました。

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