初代編集長ブログ―安田英久

Web担当者って何をする人? 良いWeb担当者とは?

「狭義のWeb担当者」と「広義のWeb担当者」を分けて考えるのがポイントです

今日は「Web担当者って何をする人? 業務分掌は?」「どんなWeb担当者が良いWeb担当者?」というトピックについて。「狭義のWeb担当者」と「広義のWeb担当者」を分けて考えるのがポイントです。

長らく週刊連載で続けてきたこのコラムですが、7月24日からWeb担の編集長を四谷に引き継ぐことにともない、毎週の更新は今回でいったん終了いたします。

今後も、新編集長の采配により、不定期に(または強制的に定期で!?)更新していく可能性もありますが、いったんは区切りでございます。

長らくの(初代)編集長コラムのご愛読、誠にありがとうございます。7月24日からの新編集長のもとでのWeb担を、引き続きなにとぞ、よろしくお願いいたします。

Web担当者って何をする人? どんなWeb担当者が良いWeb担当者?

まず結論から。

Web担当者」とは、次のようなことをする人だと私は定義しています。

  • 主にデジタルを活用して、
  • 企業と顧客の関係を構築・維持・改善し、
  • 短期的または中長期的にビジネス指標に影響する業務を、
  • 企画・設計・実施していく

このように定義すると、その業務分掌は、単に「ホームページ」「Webサイト」の管理・運用に限りません。

まず、次のようなものが考えられます。

  • メール
  • ネット広告
  • ソーシャルメディア

これらはすでに仕事でしているWeb担当者さんも多いと思いますが、さらには次のようなことも仕事に含まれてきます。

  • アプリ
  • 顧客のリサーチ
  • CRM
  • オフライン施策との連携(マス広告、店舗、流通、コールセンター、BtoB営業など含む)

そして場合によっては、上記のことを効果的に実現していくための「組織のあるべき姿への調整」も、仕事として進めていくべき場合もあることでしょう。

私はこうしたことを「広義のWeb担当者」の仕事だと定義しています。

では、「良いWeb担当者」とは、どんな人のことを言うのでしょうか。それは、

  • 前述のことを実現するために、
  • ビジネス顧客技術を理解し、
  • 必要な社内外ステークホルダーとコミュニケーションしながら、
  • ビジネスの進め方を改善していける人

だと私は定義しています。

お客さんの環境が変わっていけば、仕事の仕方も変わっていく

どうでしょうか。考えていた「Web担当者の仕事」と違うという人もいるのではないでしょうか。

「Web担当者の仕事」がこんな風になった背景には、世の中のインターネット環境、ユーザーのメディア利用状況、テクノロジなどの「変化」があります。そうした環境がどんどん変化していったために、企業で「Web担当者」と呼ばれる人たちがするべき仕事も変わっていったのです。

1990年代後半から2000年代初頭の「企業Web担当者」は、本当に「ホームページ担当」「Webサイト担当」でした。

当時は、企業経営者からみたWebの価値はさほど高くありませんでした。そのため、社内でも新しいモノ好きな(主に技術系の)人が、半分趣味みたいな感じで「企業ホームページ」を立ち上げていました。会社に許可を得ずに会社のホームページを立ち上げていたこともあるという、牧歌的な時代です。

当時のWeb担当者さんの仕事は、ホームページを作り、更新し、運営していくことでした。

しかし、インターネットとマーケティングをとりまく環境は、その後急速に変化します。

まず、2005年ごろには、ほとんどの人がネットを利用できる状態になっていました。そもそもマーケティングで大切なのは「(ターゲット層の)人が集まる場所で活動すること」ですから、この頃から企業にとってWebの価値が高まっていきました。

そして、2010年代になってスマホの利用が急激に伸びました。パソコンの前に座っていなくても利用できる「真のパーソナルデバイス」であるスマホを多くの生活者が持って使っている状況は、企業にとって「活かすべきチャンス」です。またスマホは、ガラケーの時代に比べてデスクトップWebと同様の枠組みで顧客接点をつくれるため、企業にとっても取り組むモチベーションも高くなりました。

さらに、スマホをみんなが使うようになり、ソーシャルメディアが本格的に使われるようになりました。マス広告がこれまでと同様には効きにくくなってきていることを感じていた企業にとっては、顧客の考えていることを知り、ダイレクトに顧客とやりとりできるソーシャルメディアは非常に魅力的です。

また、テクノロジの面でも、ビジネス側が興味をもつような、次のような変化が起きました。

  • アドテクが進化してターゲティングの精度が向上した
  • 単なるアクセス解析ではない、ビジネス目的でのオーディエンスデータを活用できる環境が整ってきた
  • 社内CRMデータと顧客行動データの統合などができるようになった
  • マーケターが考える個別対応を実現する仕組みがMAなどによって整ってきた

こうした環境の変化によって、企業Web担当者がするべき(する価値がある)仕事の幅がどんどん広がっていったのです。

ビジネス価値を認められると、見る指標も変わってくる

Webやソーシャルなどをビジネスに活用することの価値を企業が認めるようになると、Web担当者さんの仕事もさらに変わってきます。具体的には、前述のような「やること」が増えるだけでなく、Web担当者が意識するべき評価指標も変わっていきました。

時代的な変遷をわかりやすく示すと、次のように変わっていきました。上が昔ながらの指標で、時代とともに下のほうに変わっていったと読んでください。

  • ホームページがあるかないか、かっこいいか

  • 総PV数・総UU数/ソーシャルメディアのファン数

  • 広告のクリック数やクリック率(CTR)

  • 直帰率・訪問ごと平均閲覧PV数

  • コンバージョン数、コンバージョン率(CVR)、広告費対効果(ROAS)/エンゲージメント率

  • セグメントの分け方と、セグメントごとの適切なコミュニケーション、ユーザーの反応・行動

  • 複数チャネルで統一したコミュニケーションができているかどうか

  • 顧客のLTVを考えたトータルの投資対効果(ROI)

  • 顧客と企業の関係の、どのような部分にどのような価値を生み出しているか

  • 企業としてのビジネス指標(売上・コスト・利益)にどのような形で貢献しているか

上記はかなり極端な表現にしていますが、要はWeb担当者の仕事が「ビジネス指標(売上・原価・利益)にどのように価値をもたらしているのか」を、より具体的に判断するようになってきたのです。

この変化の背景にあるのは、企業にとってWebやデジタルの価値が高まっていったことがあります。「価値があるなら企業活動として進めるべきである」→「予算と人を付けよう」→「それならちゃんと成果を判断しなきゃいけない」という流れですね。

人によっては「なんかよくわからない利益貢献とか数字で出さなきゃいけないの、面倒すぎる」と思うかもしれません。でもそれは、企業がWebやデジタルに価値を感じてカネとヒトをあてていることの裏返しなんだと考えれば、当たり前なんですよね。

広義のWeb担当者・狭義のWeb担当者

とはいえ、いわゆる「ホームページ運営」「Webサイトの管理」という仕事がなくなったわけではありません。そうした昔ながらの「Webの仕事」が必要なのは変わっていません。

その一方で前述のような「もっと幅広いマーケティング的な仕事」に関しても、「Webチームって、デジタル詳しいよね」ということでが担当業務に加えられたり、「自分たちのやっていることが本当に価値をもつようにするには必要だ」ということで自ら進んでやるようになったりということで、仕事の範囲に含まれるようになってきました。

そのため私は、Web担当者さんの仕事に関して言及する際には、「広義のWeb担当者」と「狭義のWeb担当者」という表現を使うことが多くなってきました。

  • 「広義のWeb担当者」とは、この記事で言っているような、幅広い業務を行っている人たちです。
  • 「狭義のWeb担当者」とは、「ホームページ運営」という意味での、もとものWeb担当者さんの業務を行っている人たちです

どちらが偉いとかスゴいとかいう話ではありません。分けて考えなければ話がしづらいという観点での区別だと思ってください。

さて、あなたは、どちらのWeb担当者でしょうか。そして、その役割を、いまちゃんと果たせているでしょうか。もしできていないとしたら、どんな風に進めるのがよさそうでしょうか。

そんなこと言われても……

こんな風に広義のWeb担当者がやるべき仕事を解説すると、次のように思う人もいることでしょう。

そんなに広範囲なの、大変すぎる!

わかります。大変です。

でも、自分が顧客側の立場で企業を見ていて、こうしたことをちゃんとできていない企業にイライラすることはありませんか?

Webと店頭とコールセンターが縦割りバラバラの運営っぽく毎回同じことを説明しなきゃいけないとか、広告で興味をもったキャンペーンに該当する内容がサイト上で見つけにくいとか。

いまは、企業よりも顧客のほうが進んでいる時代です。顧客のほうがいろんなサービスを知っていて、企業が提供しているサービスはそれよりも劣っていることが多いものです。

そして、彼らはどこかで「良い体験」をすると、「今までどおりの体験」を提供している他の企業のサービスを「ダサい」「使いづらい」「サービスが悪い」と感じるようになります。

広範囲で大変なのは事実ですが、いまの顧客に企業活動全体として良い体験を提供していくには、こうした幅広いことに企業として取り組んでいかなければいけないのです。

それって、私じゃなくて、もっと偉い人の仕事では?

わかります。一介のサラリーマンにそこまでビジネス課題の中心になるようなことを期待されても困りますよね。そもそも、そんな給料もらってませんよね。

当然のことながら、企業活動としての戦略を定めて社内で推進してくのは、経営層やCMOやマーケティング責任者の仕事です。今すぐあなたがやる仕事ではないかもしれません。

でもね、あなたのキャリアパスの先にあるのは、こうしたことなんです。こうしたことが今やっている仕事の延長線上にあるとわかって考えられる人に、あなたの上司はもっと信頼して仕事を任せたいと思っているはずなんです。

もちろん、もらっている給料に見合った仕事だけをしていくことには反対しません。でも個人的には、こんな風に枠組みを広げて自分の仕事を考えていくほうが、「ワクワクしながら仕事をできる」んじゃないかと思います。「目の前の作業」を日々するにしても、「この作業は、企業と顧客の関係においてどういった意味をもつのか」を考えながらすることで、仕事に意味が出ますからね。

さらに言うと、社内で本来こうしたことを考えるべき人が、ちゃんと戦略を考えていないという場合も……多々あることでしょう。だとすると、おそらく社内でいちばんネットと顧客を理解しているあなたが意見を出して進めていかなければ、だれもできないんじゃないでしょうか!

広告とかは代理店に任せてるからね……

それ、そのままだとヤバいことになる可能性がありますよ!

具体的には、「アドフラウド」「ブランドセーフティ」「ビューアビリティ」といった観点での出稿の把握とコントロール、ちゃんとできていますか?

ここで上記の項目について詳しくは説明しませんが、デジタル広告の世界もどんどん変化しています。要は「お金を出している広告主が、最終的にどんな場所でどんな風に広告が出て、どこに広告費が流れているのかを把握」できていないと、それがリスクになる時代になってきています。

また、広告やWebサイトをとりまく法律も、どんどん変わっていっています。少し前までは問題なかったことも、規制の対象になってしまうことがあります(世の中のモラルを考えない企業の行動のせいなんですけどね)。

そうしたことを意識せずに広告代理店やWebサイト制作会社に丸投げしていると、消費者の信頼を失ったり、場合によっては株主から突っ込まれたりする、そんな時代になってきています。

消費者に対してどういう企業でありたいのか、信頼をどう確保していくのか――時代の変化とともにそうした「関係性」を考えていけるのが「良いWeb担当者」なのです。

Web担当者とは? あなたはどんな仕事をしていく?

広義のWeb担当者として自分の仕事を進めていこうとすると、あなたの役割は、「サイト運営」「広告をまわすこと」「ソーシャル運用」などの「作業」をすることではなくなります。

潜在・顕在・既存の顧客を増やし、彼らと会社(ブランド)との関係をより良くしていくことで、ビジネスに貢献すること、それが自分の仕事 ―― そうとらえるほうが、Web担当者としてのあなたの仕事は、もっと楽しく、ワクワクするものになるはずです。

もし今の仕事が「作業」だったとしても、そのルーチン作業がビジネスにどのように貢献するか、上司やステークホルダーに確認しましょう。そうすれば、毎月1項目ずつでも改善していけるでしょうし、もっと良い枠組みがあればそちらへの切り替えを提案できます。

そして、「もっとより良いやり方があるはずだ」「根本的にこういう点を考えるべきだ」「このままだとヤバい」という意見があるのならば、上司やステークホルダーに具体的に話して提案していきましょう。なぜなら、あなたの上司は、おそらくあなたよりもデジタルを前提とした顧客体験を知らないはずなのですから。

そして、ビジネスはあなた1人では進みません。前述のように、Web担当者の仕事は、いまや会社全体に関係しています。他の部署の人の経験や考えを尊重し、協力して進めるようにしましょう。

彼らを「Webのことが何もわかってないやつら」だと考えていては、物事が前に進みませんよ(そう思ってしまう気持ちはわかりますが)。

そうではなく、彼らのビジネス経験と顧客理解をこちらが理解して、「Webやデジタルを彼らの仕事にうまく活かせれば、もっと彼らにとっても良い状況にできる」ことを彼らが腹落ちして、喜んで協力してくれるようにコミュニケーションしていきましょう。

そして、広告代理店や制作会社などの外部パートナーは、「外注」ではなく「任せられる専門家」として尊重しましょう。

Webはすでに「自分ががんばってなんとかする」規模の世界ではありません。それぞれの専門家の協力を得ながら全体を進めなければ良い成果を導き出せない、それほど複雑で大規模になってきているのですから。

あなたの「Web担当者」としての仕事が、もっと楽しく、顧客からも企業からも好ましい価値のあるものになるといいですね。

だって、Web担当者の仕事って、こんなにワクワクできて、楽しいものなのですから!

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