JARO(日本広告審査機構)は、2024年度における審査状況を発表した。JAROが受け付けた相談(苦情・称讚・照会・JARO関連・広告以外)について集計分析している。
性的な広告表現への苦情が増加
まず、2024年度にJAROが受け付けた相談総数は10,796件(前年比99.3%)。そのうち苦情は8,450件(同96.8%)でやや減少し、上位の業種に変化があった。称賛は28件(同147.4%)ですべてがテレビCMだった。照会は1,727件(同112.8%)も増加。化粧品や医薬部外品、保健機能食品などが大きく増加し、医院・病院、医療機器などの相談も増加した。

苦情についてここ数年の推移を見ると、2020年をピークに徐々に減少している。また上期のほうが多い傾向が続いていたが、2024年度は下期(4,355件)が上期(4,095件)を上回った。苦情の媒体別上位は、前年度と同じく「インターネット」「テレビ」「ラジオ」が上位。インターネットは前年比107.2%と増加したが、他の媒体は減少している。

苦情の業種別件数では、1位「オンラインゲーム」、2位「電子書籍・ビデオ・音楽配信」、3位「医薬部外品」が上位。上位2業種はインターネット関連であり、「表現が不快だ」とする苦情が前年比162.5%、155.0%で増加した。
オンラインゲームは「性的な表現」「猟奇的な表現」などへの苦情が増加。「著名キャラクターへの類似性」「オプトアウトしても繰り返し表示される」といった苦情も多い。なお広告主別に見ると、1位の海外事業者が184件と突出していた。「電子書籍・ビデオ・音楽配信」は、406件中322件が電子コミックで、「性的な表現」への苦情が215件寄せられた。
寄せられた苦情の具体例としては「スマートフォンでディズニー映画について調べていたところ、性的な漫画の広告が表示された」「普通のサイトに、股間をあらわに腰を振る未成年と思われる少女の広告が出る」「子どもと見ていた動画共有サイトで、男性器増大の広告がいきなり出てきて困った」といったものがあり、“視聴時間帯で広告を切り替えてほしい”といった提案もなされている。
詐欺と思われる事例の苦情もあり、「有名メーカー製」「大学との共同開発」などとうたった偽物の通販が81件寄せられた。これも海外事業者によるもので、購入すると劣悪品が届くという。投資詐欺の苦情も46件あった。


苦情申立者の年代・性別を見ると、10代男性、30代女性、50代以上男性、50代女性が増加した。10代からの苦情はオンラインゲーム、電子書籍・ビデオ・音楽配信、加工食品など。性的な広告への苦情(705件)は、30代(182件)と50代(204件)で特に多かった。

全体の傾向として、2024年度は性的な広告表現への苦情が増加したため、広告主4社(苦情件数144件)に情報提供を行い、業種として苦情の多かったオンラインゲーム、電子コミックの業界団体にも2025年4月に情報提供をJAROでは行っている。

なお、苦情8,450件のうち、広告主が特定できた苦情は7,919件(2,945事業者)。苦情の多い広告主上位50社(全事業者の1.7%)の苦情件数は2,165件で、苦情全体の27.3%を占める。ごく一部の広告主に苦情が集中しており、苦情が年間1件の広告主は2,058事業者で広告主全体の約7割だった。

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