【計算できる?】ビール990円、ポテサラ860円で合計12,220円。それぞれ何個ずつ頼んだ?
これは根性が試される…? 合計金額から注文数を求めよう

あづいです。

あづい…。ビールの美味しい季節だよね…。

近所にポテトサラダ、通称ポテサラとビールがとってもおいしいお店があるんです。この間、友達と2人で行って、ポテサラとビールを頼み続けたら、合計金額が1万円以上になったんです!食べ過ぎ飲み過ぎって大笑いしてました。

それはおもしろい算数の問題になりそうだね。ビールとポテサラはそれぞれいくら?

ビールが990円、ポテサラは860円です。合計金額は12220円、さて、自分たちはいくつずつ頼んだんでしょう~。

むむむ…。意外とムズイ。

先輩、降参ですか?

ビール8杯、ポテサラ5個だね! 結構、飲んで食べたね。

すごい! どうしてわかったんですか?

鶴亀算と根性! そんなこんなで定時になったので、ビール飲んで帰るね〜。

えー、解き方、教えてください…。
昔から、算数も数学も苦手なアユムは、希望が叶ってマーケティング部門に異動してきました。Web担で見るような「すごいマーケターになりたい!」と胸を躍らせていたが、配属後、理想と現実のギャップに苛まれることに。データ、数字、%、小数。うわぁーん、どうしたら、数字に強くなれるのでしょうか……。
そこに現れたのが、大人向け数学教室「大人塾」を運営し、数学苦手な社会人に対して指導をしているアジアゾウをこよなく愛するモリさん。

この記事を読むべき人:問題を解きたい方
この記事を読む必要がない人:二元一次方程式を理解している方
この記事でわかること:根性で問題を解くということ
一見「鶴亀算」で解けそうだけど、解けない…

モリさーん。ビールが990円、ポテサラは860円、たらふく飲んで食べて合計金額は12220円のとき、それぞれいくつ頼んだかと先輩になぞなぞを出したら、少しは悩んでくれたのですが、結局答えられてしまいました。

ふーむ、これはド根性鶴亀算問題ですね。ビール8杯、ポテサラ5個。これは、算数の問題ではなくなぞなぞなんですか?

まあ、算数もなぞなぞも同じようなものです。先輩も鶴亀算と根性といっていましたが、鶴亀算は以前、学習しましたよね。だったら解ける気がします。

鶴亀算を補足すると「異なる2種類のもの」があり、その合計数量と合計金額(または合計値)がわかっているときに、それぞれの内訳を求めるための計算方法です。本連載がスピンアウトした書籍『コレ解ける? 数字がこわくなくなるおとな算数ゆるトレ』でも楽しく解説していますので、ぜひお手にとってご覧ください。

では、ビールの個数を𝒳、ポテサラの個数を𝒴とおいてみます。

いい調子ですね。

990𝒳+860𝒴=12220
あれ、でも、式が1つしかできないから、鶴亀算で解けそうにないです。

そうですね。この問題は、個数の合計がわからない、つまり、情報が1つ足りない状態です。では、まず、ド根性で解いてみましょう。合計金額でビールだけを買ったとしたとき、マックス何杯頼めますか?

12220÷990≒12.34… だから、マックス12杯ですね。

では、一旦、ビール12杯、11杯…と頼んだ場合のビールの支払額と残金を根性で書き上げていきましょうか。

こんな感じですか。7まで書いて、根性を使い果たしました…。
ビール | ビールの金額 | 残金 |
12 | 11880 | 340 |
11 | 10890 | 1330 |
10 | 9900 | 2320 |
9 | 8910 | 3310 |
8 | 7920 | 4300 |
7 | 6930 | 5290 |

まあ、暑いので、これくらいで良しとしましょう。この残金が860円の倍数のとき、つまり、860で割り切れるとき、ポテサラの個数も出て、合計金額にも一致しますね。

たしかに。

このとき、自動的に、十の位が奇数の残金のパターンは答えから消えます。

なんでですか?

860の十の位の数である6の倍数は、偶数です。偶数は、何をかけても偶数になるので、奇数になりません。

ムムム…わかったような、わからないような。

たとえば、860×1=860のとき十の位は6。860×2=1720のとき十の位は2。860×3=2580のとき十の位は8。というように、ポテサラの個数(860円の倍数)の十の位は必ず偶数になります。

それで十の位だけを見るのですか?

そうです。十の位が奇数(1、3、5、7、9)の残金は、860で割り切れるはずがないので、すべてを計算するまでもなく、まずは十の位に注目すると時短につながりますね。

十の位が奇数の候補を消しました!これで犯人(ホシ)はだいぶ絞られたってことか…。
ビール | ビールの金額 | 残金 |
12 | 11880 | 340 |
10 | 9900 | 2320 |
8 | 7920 | 4300 |

ビール12杯のときは残金340円でポテサラは1個も買えませんので、残りの10杯と8杯のときの残金を、それぞれ860で割ってみましょう。

あっ。4300÷860=5 割り切れました! これでビール8杯、ポテサラ5つと出るんですね。でも、こんなに暑いのに、こんな根性で解くのは面倒ですね。
鶴亀算の考え方を応用する

たまには根性で解くのもよいものです。が、他の方法でもアプローチしましょうか。

お願いします!!!

さきほど、12220÷990≒12.34… と出しましたね。これは、ビールを12杯飲んでも合計金額に届かないことを表しています。

えっーと?

ビール12杯だと990×12=11880円で、340円分、合計金額に達しません。これは、注文した商品の合計個数が12個よりも多いことを意味します。そこで、まずは合計個数を13個だと仮定して考えてみましょうか。

ビール13杯だと、990×13=12870円になります。

支払った金額を650円オーバーしてしまいますね。

それはダメじゃないですか?

その13個の中で、ビールの杯数が減り、ポテサラの個数が増えれば、オーバーする分が少しずつ小さくなります。

どういうことですか?

ビールとポテサラの差額はいくらですか?

990-860=130円です。

ということは、合計個数の13個のうち、ビールを1杯とポテサラを1つを交換していくと、合計金額が130円ずつ安くなりますよね。

そうですね。ポテサラのほうが安いですからね。

ちょっと表にまとめましょうか。
ビール | ビールの金額 | ポテサラ | ポテサラの金額 | 合計金額 |
13 | 12870 | 0 | 0 | 12870 |
12 | 11880 | 1 | 860 | 12740 |
11 | 10890 | 2 | 1720 | 12610 |
10 | 9900 | 3 | 2580 | 12480 |

あ、合計金額がちゃんと130円ずつ安くなってることがわかります!

ですね。それでは、1回の交換で130円の差が埋まるということは、ビール13杯のみのときの差額650円は何回の交換でカバーされるでしょう?

650÷130=5 5回の交換、つまりポテサラが5個のときですね!

はい、そして、合計が13なので、13-5=8、ビールは8杯ですね。

交換するってこういうイメージなんですね。

そして、現在は仮に合計個数を13としましたが、14として計算したらどうなるでしょう?

990×14=13860円になり、合計金額の12220円を1640円オーバーしますね。これを130で割ると1640÷130≒12.6回か。割り切れないですね。

そうです。12.6回とは、12回でも13回でもぴったりにならないことを意味します。実際に確認してみましょう。12回交換するとビール2杯、ポテサラ12個です。

990×2+860×12=12300 実際の合計金額を80円オーバーしています。

じゃあ、13回交換するとどうなりますか?

13回交換すると、ビール1杯、ポテサラ13個になります。990×1+860×13=990+11180=12170円になって、今度は合計金額より50円足りなくなってしまいます。

その通りです。割り切れないということは、何回交換してもぴったりの金額にならないということなんです。だから合計個数が14個では解けないんです。

なるほど! 割り切れるかどうかで、その個数で解けるかどうかがわかるということですね。

このように、合計個数がわからない場合は、仮の合計個数を1つ1つ当てはめていく必要があります。

今回は13個ですぐに求められたからよかったですけど、数が合わなかったら大変ですね。

その通りです。ちなみに、今回は、具体的な商品の合計個数(正の整数)という条件があり、根性で計算できるのでド根性鶴亀算と呼びました。

条件がないと、もっと大変なことになるんですか?

はい、このような式の本名は、二元一次方程式っていいます。この方程式、実は、正の整数に限らなければ解はいくらでも存在します。

な、なるほど。暑い夏に肝が冷える話ですね。

今日のは解けてよかったですね。暑くて溶ける前に解けた万歳!

それでは、解けた喜びをかみしめながら、今日もビールとポテサラに行ってきます!

ビールを飲みながら解くのは難しそうですね…。飲み過ぎに気を付けて!
ポイント
- 条件が1つ足りないときは問題を解くときに根性が必要
- 割り切れるかどうかで解の存在がわかる
- 合計個数を1つずつ試す
今日の問題をおさらい
Q1.ビール990円、ポテサラ860円で合計12220円。それぞれいくつずつ頼んだ?
解き方①:ド根性法
- 高いほう(ビール)で最大何個買えるか計算:12,220÷990≒12.34...→最大12個
- 表を作って残金を計算
- 残りの候補で割り算して確認
解き方②:合計個数を仮定する方法
- 合計個数を予想(12個は不足、13個を試す)
- 全部高いほう(ビール)で買った場合の金額を計算
- オーバー分を価格差で割る:650÷130=5
- 交換回数が整数になれば解ける
- 合わなければ合計個数を1つずつ増やす
答え:ビール8杯、ポテサラ5個
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