なるほど!アクセス解析ケーススタディ

売上につながる分析を的確に行える/ネットプライス+RTmetrics

ネットプライス/株式会社ネットプライス
Powered by RTmetrics(オーリック・システムズ株式会社)

リアルタイム性とモバイル対応が魅力
売上につながる分析を的確に行える

ネットプライスは、ギャザリング(共同購入)という切り口でECサイトを運営している会社だ。1999年からネットビジネスを行い、着実に業績を上げてきた同社だが、本格的なアクセス解析ツールの導入は今年(2008年)の初頭と遅い。どのような考え方でアクセス解析の重要性を捉え、どのようにツールを選んでいったのだろうか。ネットマーケティングチームのリーダーを務める近藤時教氏に伺った。

野本 幹彦(フリーライター)

ネットプライス株式会社の運営サイト「ネットプライス」の概要や今回導入したアクセス解析ツール「RTmetrics」の概要は記事の末尾を参照。

買う人が多いほどより安く。ギャザリングを中心にサービスを展開

株式会社ネットプライス
営業本部
マーケティングディビジョン
ネットマーケティングチーム リーダー
近藤 時教氏

ネットプライスは、ECに特化したネットビジネスを行っている会社だ。ネットマーケティングチームの近藤氏は、ネットプライスの特色を次のように話す。

「我々はインターネットでの小売業を行っており、主にギャザリング(共同購入)を行っている会社です。週に1回、火曜日13時に商品の入れ替えやサイトの改善を行い、700~800点の商品を扱っています。ギャザリングに目を向けたのは、短期間で商品を変え常に新鮮な商品を取り扱うことにフォーカスして、在庫を持たない形で集客力を上げていけると考えたからです。人が集まることによって商品の価格を下げていけるところも、我々の強みとなっていると思います」

また、ネットプライスグループとして、商品のクチコミサイト「モノペディア」、ブランド買取サイト「ブランディア」(デファクトスタンダード)、美容・コスメ関連のオリジナル商品を企画・販売している「シアン」、海外の商品を手軽に買える「sekaimon」(ショップエアライン)、ドロップシッピングサイト「もしもドロップシッピング」、オークション情報サイト「オークファン」、20~30代女性のファッションに特化したECサイト「LOVE EXPRESS」(エムシープラス)などのサイトも、それぞれグループ内の別会社で運営している。2007年2月には、ネットプライスドットコムをホールディング会社とする体制になり、今後もECを中心とした事業を展開していく予定だ。

「昨年くらいまで我々は、特に意識してアクセス解析や分析を行ってきてはいませんでした。ページビューを見て、売れている商品をザックリと見ていって、データよりも感覚的に商品の販売やサイトの運営をやってきたという感じでした」と近藤氏は話すが、近藤氏がマーケティング部に入り、細かなデータをまとめてSEOやリスティング広告の評価を行い始め、その効果が出てくることによって、次第にアクセス解析の重要性が社内に浸透し始めたという。

「インターネット上での集客のあり方が最近変わってきているという実感は、以前からありました。以前は、バナー広告などの純広告やメルマガなどからの集客がメインだったのですが、ここ数年は検索エンジンや検索連動型広告からの集客がメインとなってきています。SEOを行い、検索連動型広告の効果を測っていくには、細かなデータを出していってCPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価)という観点で見ていかなければ、効果的な集客を行うことができません。このように、集客のあり方が変わってきていることによって、アクセス解析の重要性も増してきていると思います」

リアルタイム性とコスト携帯電話の対応を考えて選択

2007年の時点で、ネットプライスではリアルタイム性とコストの2つを重視してツール選びを行ってきたと近藤氏は言う。「我々は週ごとに商品を入れ替えていかなければならないので、1日単位や時間単位での分析ができなければなりません。また、コスト面でもなるべく安価なものを利用したいと考えていました」

結果的に、最初に選択したのは、無償で利用できる「Google Analytics(グーグルアナリティクス)」だった。しかし、すぐに有償のツールが必要だと考え始めるようになる。

「無償で利用できるということでGoogle Analyticsを利用し始めたのですが、データが蓄積されることによって若干の重さを感じるようになってきました。また、ほぼリアルタイムでのデータの更新もできなかったので、タイムリーな情報がほしいと考え、2008年の頭に有償のツールに変えることにしました」

週一で商品を入れ替えているネットプライスでは、商品のレイアウト次第で売上げが大きく左右されている可能性もある。リアルタイムにCTR(Click Through Rate:クリック率)やコンバージョン率の高い商品を調べて、その商品をより目立つ場所に配置する必要があると近藤氏は言う。また、曜日ごとにページビューやセッションを比較して、その原因を常に追究していく必要もあったようだ。いくつかのツールが候補にあがるなか、ネットプライスは「RTmetrics(アールティメトリクス)」を採用する。

「候補にあがったツールのなかで、RTmetricsは決して安い製品ではなかったのですが、我々が求める機能が実装されているという点で利用を決めました。リアルタイムな分析も行え、設定の幅が広くて制限が少なくROI解析ができる。経路分析もグラフィカルでわかりやすく、各担当者レベルで分析していけるといったところが選択の決め手になったと思います。また、キーワードごとにリファラを見ることができるので、キーワード単位の集客を調べることができ、費用対効果の高い広告がどれであるかという仮説を立てることができます。特に経路分析などの機能は、画面上をクリックしていくだけでユーザーの行動を図で見ていけるので便利だと思いました。

同様な機能を持つツールもあったのですが、そちらはページビューに応じた従量課金制であるため、製品別に多くのページがある我々のようなビジネスではコストが高くなってしまいます。さらに、パケットキャプチャ型でモバイル端末にも対応しているということも重要な選択肢でした」

図1 RTmetricsでユーザーの行動経路を可視化した分析画面。指定ページを基軸として、ユーザーの動線をビジュアル表示できるので、入り口からどのように、サイトを移動しているかを把握できる。逆順の分析も可能だ。

今後さらに携帯電話からのインターネット利用が増えていくことが考えられるなか、コンシューマ向けのECサイトを運営するネットプライスにとっては、モバイル端末からのアクセスも分析できなければ話にならない。

「実は、我々はもともとモバイル向けの事業にも力を入れていて、2000年3月にインターネット上でギャザリングを始めた半年後には、iモード公式サイト“ちびギャザ”というサイトを立ち上げています。現在の売上構成比を見ても、モバイルの売上が55%~60%を占めていて、携帯キャリアの公式サイトとしても認知されているのですが、大手のECサイトほどの認知度はまだありません。今後もっと認知度を上げていきたいと考えているため、アクセス解析も行っていかなければなりません」

また、導入時の代理店の対応もよかったと近藤氏は言う。「導入検討時に対応してくれた代理店の対応が非常によく、我々の疑問にすぐに答えてくれました。他のツールの営業の方に比べ格段に技術力が高いことを感じたので、安心できましたね」

カート落ちを未然に防ぎデザインや商品を改善できた

RTmetricsを導入して4か月ほどしか経過していないが、ネットプライスではツール導入の大きな効果が見られたようだ。

「お客様がカートに商品を入れて、決済するまでの間にキャンセルしてしまうことを“カート落ち”というのですが、RTmetricsを入れてからは、このカート落ち率が格段に下がったと思います。お客様がカートに商品を入れるということは、その商品に非常に高い興味を持っているということで、我々としては決済画面まで持っていってほしいわけです。しかし、インターフェイスの悪さから、これまではカート落ちをしてしまうケースがありました」

RTmetricsを導入してからは、カート以降の遷移を見ていくことで、ユーザーがどこで離脱していくかを調べられるようになったという近藤氏は、改善を行うことでカート落ち率を2~3%程度抑えることができたという。わずか2~3%でも、ネットプライスでは数百万円の売上に影響するので非常に大きな効果だ。

また、デザインやレイアウトなどの改善も日々行っていると近藤氏は続ける。

図2 「ROI・コンバージョン解析」を使えば、コンバージョンに至るきっかけとなった参照元ページや入り口ページ、訪問者がどのようなキーワードを検索してきたかを簡単に把握できる。

「トップページから各カテゴリへの誘導というのも重要なので、現在どのコンテンツが見られているかということをベースにレイアウトを変えます。また、ページ全体の構成としてどの部分が最もクリックされやすいか、ということも調べて、レイアウトに反映させるようにしています」

売上に貢献したエピソードとしては、サイト内検索のワードに注目することによって、これまで知らなかった売れ筋商品を見つけられたことだ。

「あるとき解析を行っていると、ある美容商品に関するキーワードのサイト内検索数が非常に多いことに気づきました。テレビでメイクアップアーティストの方が紹介したことによって人気に火がついたようなのですが、まだ我々のサイトでは扱っていなかった商品だったのです。そこで、すぐに各ベンダーに問い合わせ、商品を取り寄せて販売するようになったのですが、関連商品も含め数か月間で1万個以上売れる結果となりました」

定期的な勉強会でツールへの理解を深める

導入前の段階では経路分析などのグラフィカルな部分は使いやすいと考えていた近藤氏だが、全体的なインターフェイスに関しては多少の不満があるようだ。

「設定が細かくできるのは良いのですが、インターフェイスが難しいというのは、RTmetricsの改善してほしいところですね。新卒の新入社員に、RTmetricsを使いこなせと言っても、いきなりは無理があると思います。もう少し使いやすいツールになれば便利になると思います」

ネットプライスでは、マーケティング部がRTmetricsの分析結果を定期的にマネージャ以上の社員に報告しているほか、各売り場の担当者もRTmetricsを使って自分の知りたい情報などをチェックしているという。導入時にこれらの社員を教育していく上で苦労はなかったのだろうか。

「いかにRTmetricsを“仕組み化”していくかということには苦心してきました。正規表現の使い方がわからないとか、どんなURLでサイトが構築されているかがわからない、といった意見も最初は出てきました。

各担当者に対しては役割に応じて見るべき指標を示し、その使い方をレクチャーしていきました。ある程度、これらの解説をドキュメント化し、定期的に勉強会も行っています。RTmetrics側もセミナーや説明会を行ってくれていますので、我々マーケティング部がこれらのセミナーを受け、その内容を適宜、社内勉強会で伝えていっています」

データ分析と効果検証の継続が成果へとつながる

近藤氏は、1999年ごろからインターネット関連の会社でマーケティングを行っていた前職を持ち、MBAを取得した後、2005年にネットプライスに入社したという経歴を持つ方だ。インターネットでのマーケティングというものを近藤氏はどのように捉えているのだろうか。

「売上を地道に伸ばしていくためには、効果的な施策を行っていく必要があります。そのためには、データを基に効果検証を行い、仮説を立てていくことが不可欠です。たとえ数字が苦手であっても、地道にコツコツデータを収集していくことで、ある程度の効果は生まれてくるはずだと思っています」

今後は、「RTmetricsのクリップマップという機能を完全には使いこなせていないので、これをもっと使いこなしてサイトのデザインやテキストの内容などを改善していきたい」という近藤氏に、将来的なサイトの方向性などを伺った。

「ネットプライスでは現在、送料無料キャンペーンを行っています。これを機会に、ギャザリングのおもしろさとお得感をぜひ実感してほしいですね。我々としてもこういったキャンペーンを次々と企画して、その結果を解析してサイトを改善していきたいと思っています。トレンドをつかみつつ、週に一万個以上売れる商品をどんどん取り入れていくことで、サイトの認知度を上げていきたいですね」

▲ページ先頭に戻る

ネットプライス サイト概要

購入数が増えることで商品価格が下がり、お得に購入できるショッピングサイト。商品はすべて毎週火曜日に入れ替えが行われる。商品のカテゴリは幅広く、常に数百点の商品が用意されている。クチコミや同じ商品を買った者同士のコミュニティサイトも用意され、特集やキャンペーンなども満載。また、PC用のサイトだけでなく、携帯専用のサービス「ちびギャザ」(http://m.netprice.co.jp/)も用意されている。


▲ページ先頭に戻る


株式会社ネットプライスの選んだアクセス解析

携帯からのアクセスも正確に把握でき
サーバーに負荷をかけずに導入できる

RTmetrics(オーリック・システムズ株式会社)
http://www.auriq.co.jp/

RTmetricsはパケットキャプチャ型で、基本的にウェブサーバーとは別に、解析専用のサーバーでデータの蓄積や解析を行うシステムとなっているため、ウェブサーバーに負担をかけることなく運用できることが大きな特徴となっている。また、機器のための初期費用はかかるが、従量課金制ではないため、中規模~大規模サイトに適したアクセス解析ツールだといえるだろう。オーリック・システムズによれば、1日10億PV以上の大型サイトでの導入実績も持っているようだ。また、ネットワークを流れるパケットを取得して解析するため、携帯電話や新たな機器からのアクセスも正確に計ることができることも大きな特徴となっている。

新たに搭載されたEVX機能では、標準分析データをより見やすいビジュアルと操作性で各データの解析を行うことができるようになり、特定の情報を軸にクリックしていくことで、さまざまな角度から分析を行うことができる。また、APIを提供しているので、自社の業種や業態に合った解析項目をカスタマイズしたり、独自のレポートを作っていくことも可能だ。もちろん、特定の解析情報を特定のメンバーだけで閲覧できるような細かなアカウント管理も行え、複数ドメインやディレクトリ別のレポートを作成することも可能だ。

RTmetricsは、オプションのプロフェッショナルサービスを利用することによってさまざまなトレーニング、初期導入支援、コンサルティング、カスタマイズ、運用支援などのサービスを受けることができる。また、マーケティング担当者向けコースやウェブマスター向けコースなどの各種トレーニングも随時行われており、導入後もアクセス解析ツールの使い方や考え方を学習することが可能だ。また、セミナーなども随時行われているようなので、興味のある人はぜひ問い合わせてみよう。

▲ページ先頭に戻る

※社名、所属部署、利用サービス、価格など、この記事内に記載の内容は、取材時点または記事初出時点のものです。

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

ビューアビリティ
インターネット広告が「閲覧者が見られる状態にあるか」の観点と、それを確保するため ...→用語集へ

連載/特集コーナーから探す

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]