Instagramで「コメント誘導」はNG? 正しいコメントの集め方
最近、Instagramを見ていると、
- 「忘れないように保存してね!」
- 「AとB、どっちが好き?コメントで教えて」
- 「〇〇について、教えてください!」
- 「『△△△』とコメントしてくれたら、◎◎をDMで送ります」
といった投稿をよく見かけませんか?
これらは、ユーザーからの反応(エンゲージメント)を促すための手法ですが、最近は特に「コメントを集める」方法が話題になっています。
そのきっかけとなったのが、公式アカウント(@instagramforbusiness)の2025年1月3日の投稿です。記載内容全文をざっくり日本語にします。

コミュニティとの本物のエンゲージメントを高めることに注力してください。
投稿がエンゲージメントベイト(餌、誘い文句)であると判断した場合は、表示を制限したり、フィード上の優先度を下げたりすることがあります。ユーザーは、Instagram上で「いいね」や「シェア」、「コメント」などのアクションを誤解させたり、誘導したりする投稿を好みません。
そのため、私たちは投稿がエンゲージメントベイトであると判断した場合、表示の機会を減らします。たとえば、エンゲージメントベイトの一例として、「この投稿が誰のことを指しているのか知りたければシェアボタンをクリックしてね」と促すような投稿が挙げられます。本物のコール・トゥ・アクション(行動喚起)を通じて、友人とコンテンツをシェアするよう促すこと自体は問題ありません。しかし、そのようなテクニックを使って人々をシェアボタンに誘導するのはやめるべきです。
SNSはコメントが命? 投稿を盛り上げたいSNS担当者のジレンマ
SNSを運用するうえで、「コメント数が多い=投稿が盛り上がっている」という状態は、非常に理想的です。
Instagramでも同様で、コメント数が増えるとエンゲージメント率が上がり、アルゴリズムによってより多くの人に表示されやすくなります。その結果、アカウント全体の評価が高まり、フォロワーの増加やブランドの認知拡大にもつながります。
こうした背景から、コメント欄を活性化させるための「自動チャットボットツール」も登場しています。このツールをInstagramアカウントと連携させると、「〇〇とコメントしてくれたユーザーに自動でDMを送る」といった設定が可能になります。
この仕組みを使って、コメントを効率よく集め、投稿のリーチを伸ばす手法を取り入れるアカウントが増えてきています。
「コメントを促す行為=すべてがNG」というわけではない
こうした状況を背景に、先述のInstagram公式アカウントによる発表が行われました。これをきっかけに、
- 「コメントを誘導するとInstagramでリーチが伸びなくなる」
- 「コメント誘導は規約違反で、アカウントがBAN(凍結)されるらしい」
といった、さまざまな見解やウワサが広まり始めました。しかし、Metaの公式情報を見ていると、少し矛盾を感じる場面もあります。
たとえば、InstagramのCEOであるアダム・モッセーリ氏自身が、自身の公式アカウントで「質問をコメントで教えて」と書き、コメントを促す投稿を行っているのです。
CEO自身がそのような投稿をしていることからも、「コメントを促す行為=すべてがNG」というわけではないと考えられます。
では、「エンゲージメントベイト」や「コメント誘導」は本当にInstagramの規約違反にあたるのでしょうか? アカウントを安全に育てながら、効果的に運用していくには、どのような考え方が必要なのでしょうか。
現時点のInstagramにおいて、エンゲージメントベイト・コメント誘導は規約違反には該当しない
2025年4月に開催されたMeta公式のウェビナー「Instagram & Threads Masterclass」では、担当者から以下のような説明がありました。
- 質問を投げかけたり、ユーザーにアクションをお願いしたりすること自体に問題はない
- 自動化ツールの利用も認められており、規約違反にはならない
- 「いいねと思ったら絵文字をコメントしてね」といった誘導も、“ユーザーを騙そうとしていない”限り問題ない
一方で、以下のような注意点も挙げられました。
- これらの手法を使って不正にエンゲージメントを稼ごうとする行為はNG
- 判断が難しいグレーゾーンも多く、「これをやったら絶対ダメ」と明確に線引きするのは難しい
つまり、手法そのものよりも、
- 「ユーザーを騙そうという意図があるかどうか」
- 「不正に獲得しようとしているかどうか」
といった「使い方」や「意図」が重要であるという姿勢が示された形です。あくまで筆者の個人的な見解ですが、たとえば以下のような行為はNGに該当するのではないかと考えています。
- 「〇〇とコメントしたら△△をDMで送ります!」と言っているのに、実際には送られない
- 「この投稿にコメントしないと不幸が起こる!」など、不安をあおる言葉で誘導する
エンゲージメントベイトを使わずに、正しくアカウントを盛り上げる方法
エンゲージメントベイトをできるだけ使わずにアカウントを活性化させる方法について、投稿の設計とコメントを促す工夫の観点から考えてみました。
【投稿設計】自然と反応したくなるコンテンツ作り
(1)共感型キャプション(例)
- 「こういうとき、みなさんはどうしてますか?」
- 「◯◯、実はやったことないんです。どう思いますか?」
- 「◯◯派の人、いる?」など
ユーザーに“参加させる”というより、自然と話したくなる場を提供することがポイント。
(2)体験・ストーリー型投稿
- Before/Afterの変化の話
- 裏話や失敗談など“人間らしさ”を出す投稿
- 「実はこの裏側では…」という制作秘話など
共感や感情が動くと、シェア・保存・コメントが自然に増えます。
【コメント促進】自然な対話を生む方法
(1)質問を“アンケート化”する
- 「A派?B派?コメントで教えて!」
- 「どっちのデザインが好き?」→ 選択肢型は参加ハードルが低い
- 「〇〇なとき、あなたならどうする?」など
ユーザー視点に立った設問にすることで、答えたくなります。
(2)コメント欄を“ナレッジスペース”にする
- 「おすすめのお店あったらコメントで教えてください」
- 「他にも知ってる人はコメント欄にお願いします!」など
“役立つコメント欄”を目指すことで、ユーザーの参加意欲が高まります。
(3)ユーザーの声を次の投稿に反映する
- コメント紹介(例:「前回の投稿で〇〇さんが言ってたことが印象的だったので」)
- 回答型投稿(例:「コメントで多かった疑問に答えます!」)など
双方向のやり取りが生まれることで、エンゲージメントの好循環が育まれます。
コメント誘導は“誠実に・自然に”が基本
エンゲージメントベイトやコメント誘導の施策は、一時的にアカウントを盛り上げるのに効果的です。しかし、「こうした施策がなければ全くエンゲージメントが得られない」という状態は、本当のファンが少ないことを示しているとも言えます。
理想は、投稿内容に対して自然にコメントが集まる状況です。投稿の企画自体がユーザーの反応を引き出せる内容になっているかを振り返りながら、「思わずアクションしたくなる」ような発信を目指して運用していきましょう!
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