キーワードカニバリゼーションとは? 自サイトでのカニバり状況を調査する3つの方法
SEOに配慮し、ユーザーの視点に立ったコンテンツを頑張って作ったのに、検索順位が上がらない。
それどころか、同じキーワードで自サイトにある複数のページが競合してしまっている。最良のコンテンツが埋もれてしまい、訪問者は関連性の低いページにたどり着き、検索順位やコンバージョンが打撃を受けている。
キーワードのカニバリゼーション(共食い)がサイトで発生すると、検索エンジンは混乱し、オーソリティは低下し、検索順位は下落する。
この記事では、キーワードカニバリゼーションの問題を明らかにして解決することで、検索順位を守り、コンバージョンを促進する方法を紹介する。
まずは「キーワードカニバリゼーション」とは何かを理解し、SEOへの影響を把握したうえで、キーワードカニバリゼーションを見つける方法を理解しよう(対策は後編でお届けする)。
キーワードカニバリゼーションとは?
「キーワードカニバリゼーション」は、サイト上の複数のページが「同じキーワード」や「同じ検索意図」をターゲットにしている場合に発生する現象で、「キーワードの共食い」とも呼ばれる。
サイトにこうした状態のページがあると、検索エンジンのボットが「最も関連性の高いページ」を判断するのが難しくなる。要は、「質の低いページ」と「最高品質のコンテンツ」が検索結果を奪い合うことになる。
たとえば、グーグルで「email marketing」(電子メールマーケティング)を検索したら、そのキーワードをターゲットにしている同じサイトからの複数のブログ記事が検索結果にでてきたとしよう。

君はどれをクリックするだろうか?
こうした重複によってサイト内のページ同士に競合関係が生まれ、検索順位が変動し、ユーザーをいら立たせることになる。
注意が必要なのは、「キーワードカニバリゼーションは偶然起こるわけではない」ということだ。
以下のような場合に問題が発生することが多い:
- 同じ検索意図を満たす類似のキーワードを対象として、複数のページを最適化している
- 新しいページを公開した後、古くなったページを統合していない
- 類似のコンテンツを繰り返し公開している
- eコマースの商品ページやカテゴリページの最適化の管理が間違っている
キーワードカニバリゼーションはなぜSEOに悪影響を及ぼすのか
キーワードカニバリゼーションが君のサイトに及ぼす悪影響には、以下のようなものが挙げられる:
- オーガニック検索順位の低下とトラフィックの減少
- クロールの割り当ての浪費
- 貴重なサイト内リンク価値の喪失
- パフォーマンスの低いページの特定が困難になる
1つずつ理解していこう。
オーガニック検索順位の低下とトラフィックの減少
複数のページが同じキーワードをターゲットにしていると、検索エンジンは結果に表示するべき最も関連性の高いページを特定するのに苦慮することになる。
その結果、そのキーワードで検索したときの順位が変動し、最もパフォーマンスの高いページへのトラフィックが減少してしまう。
クロールの割り当ての浪費
検索エンジンはサイトごとにクロールを割り当て、インデックス化する前にボットがクロールできるページ数を制限している。グーグルによると、重複コンテンツはこの割り当てを浪費する可能性があるという。

キーワードカニバリゼーションが発生している状態では、「検索エンジンのボットがサイトをクロールする割り当て」がカニバリゼーションされたページで消費されてしまう。そうなると、より重要なページのインデックス化と検索順位決定が遅くなり、サイト全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼす。
貴重なサイト内リンク価値の喪失
サイト内リンクは、検索エンジンがページ間の関係を理解するのに役立つもので、重要な検索順位決定要因だ。しかし、複数のページが同じキーワードをターゲットにしていると、サイト内リンクを通じて渡される価値(サイト内リンクエクイティ)が断片化してしまう。
たとえば、Semrushブログでは2本の記事が「SEO trends in 2024」(2024年のSEOトレンド)をターゲットにしており、このキーワードでグーグルの検索結果ページに表示される。


「SEO trends in 2024」というアンカーテキストを含むサイト内リンクを、2つのページに分割しなければならなくなっている。この断片化によって、優先したいページに渡されるオーソリティシグナルが減少し、検索順位が下がる可能性がある。
また、サイト内リンクをたどって関連性の低いページに誘導された読者は、そこで質の低い体験をするかもしれず、直帰率が高くなってしまう可能性がある。
パフォーマンスの低いページの特定が困難になる
キーワードカニバリゼーションによって複数のページにトラフィックが分散するため、パフォーマンスの低いページを特定するのが難しくなる。つまり、最高の結果をもたらす可能性のあるページを最適化する機会を見出せないということだ。
キーワードカニバリゼーションが問題とならない場合
同じキーワードに対して複数のページが表示されるすべてのケースが問題であるとは限らない。以下に2つの例を挙げる。
検索意図が異なる
たとえばSaleshandyの場合、「cold email guide」(コールドメールガイド)の検索で、同じ検索結果に同一サイトからの複数のページが表示されている。

しかし、これは大きな問題ではない。というのも、各ページが対応する検索意図が異なるからだ。一方のページでは「コールドメールに関する一般的な情報」を提供し、もう一方のページでは「コールドメールのテンプレート」を提供している。
異なる意図を満たしているページは、競合するわけではない。
異なる場所をターゲットにしている
たとえばマクドナルドは、英国、米国、南アフリカなど、国ごとに異なるランディングページを用意している。

これらのページは同じキーワードに対して表示される可能性があるものの、地理的に異なる場所を対象としているため、問題はない。
キーワードカニバリゼーションを見つける3つの方法
キーワードカニバリゼーションは小さな問題のように思えるかもしれないが、SEOの取り組みが無駄になってしまう可能性もある。自分のサイトでこうした問題を見つけるための方法を確認しよう。
次の3つだ:
- Moz ProのKeyword Explorerツールを使う
- Google Search Consoleを確認する
- 「site:」検索演算子を使う
詳しく見ていこう。
キーワードカニバリゼーションを見つける方法①
Moz ProのKeyword Explorerツールを使う
MozのKeyword Explorerは、検索順位を分析してキーワードカニバリゼーションの可能性を明らかにするキーワード調査ツールだ。
※このツールを利用するにはMoz Proのサブスクリプションが必要だが、30日間の無料トライアルで試すこともできる。
このツールを使う大きな利点は、「キーワードをインポートしなくてもサイト内のカニバリゼーションの問題を発見できる」ことだ。Keyword Explorerでは、検索結果に表示される際のキーワード(ランキングキーワード)を自動的に取得できるため、複数のページが表示されるキーワードを確認できる。
カニバリゼーションの問題をチェックするには、Moz Proアカウントにサインインし、Keyword Explorerにアクセスする。左のメニューで[Keyword Research]>[Explore by Site]を選び、さらにメニュー項目の右にある下向き▽をクリックしてメニューを開く。

[Ranking Keywords]をクリックする。

入力バーで[root domain]を選択した状態でウェブサイトのURLを入力し、検索ユーザーの地域を選択して、[Analyze]をクリックしよう。

結果には、すべてのキーワードの順位、表示されるページのURL、検索難易度、検索ボリュームが表示される。
専門的なアドバイス
右側にドロップダウンのアイコンがあるキーワードは、そのキーワードに対して複数のページが表示されていることを示す。アイコンをクリックすると、他に表示されるページを確認できる。

他のページの順位をクリックすると、URLが表示される。

最後に、「Export CSV」アイコンをクリックし、CSVファイルとしてデータをダウンロードすると、オフラインで分析できる。

※注: 複数のページが表示されるからといって、必ずしもキーワードカニバリゼーションを示すとは限らない。その他のページがメインページと同じ検索意図をターゲットにしていないか念入りに調べよう。
キーワードカニバリゼーションを見つける方法②
Google Search Consoleを確認する
Google Search Consoleは無料のSEOツールで、サイトオーナーがオーガニック検索パフォーマンスを観察して最適化するのに役立つ。これを使い、同じキーワードに対して表示されるページを分析することで、潜在的なキーワードカニバリゼーションの問題を明らかにできる。
Google Search Consoleを使ってキーワードカニバリゼーションを確認するには、まずGoogle Search Consoleにログインし、左側のメニューで[検索パフォーマンス]>[検索結果]をクリックする。

下にスクロールすると、グラフの下に「クエリ」表がある。ここに、君のサイトのインプレッションとクリックを生成しているキーワードが表示される。
キーワードカニバリゼーションを分析したいキーワードがあったら、表内のキーワードをクリックしよう。すると、そのキーワードでクエリフィルタが作成される(ページの上部に選択したキーワードが表示される)。

専門的なアドバイス
分析したいキーワードが見つからない場合は、カスタムクエリフィルタを使って複数の関連キーワードを一度に確認しよう。
ページ上部の[+フィルタを追加]をクリックし、[検索キーワード]を選択する。

[検索キーワード]ダイアログボックスが表示されるので、[フィルタ]タブの下にあるドロップダウンリストで「正確なクエリ」を選択する。析したいキーワードを[キーワード]欄に入力し、[適用]をクリックする。

下にスクロールして「ページ」タブに切り替えると、そのキーワードに対して表示されるページを確認できる。

ここで探すのは、「同じキーワードに対して複数のページでインプレッションとクリックがある」ところだ。それがあるならば、キーワードカニバリゼーションの可能性がある。
手作業でページをチェックし、同じ検索意図をターゲットにしているかどうかを確認しよう。検索意図が同じなら、表示順位を改善するためにカニバリゼーションの問題を解決する必要がある。
キーワードカニバリゼーションを見つける方法③
「site:」検索演算子を使う
検索エンジンで、「site:」検索(「サイトまたはドメイン」の検索演算子)を使ってキーワードカニバリゼーションの問題を発見できる(例:「site:impress.co.jp キーワード
」)。
たとえば、僕はサイト検索演算子を組み合わせた次のような検索を実行する:
site:moengage.com email marketing strategy
これは、「moengage.com
」のドメイン名にあるページに絞り込んで「email marketing strategy
」のキーワードで検索するものだ。
Google検索でこれを検索すると、キーワード「メールマーケティング戦略」をターゲットにしているページを見つけられる。

興味深いことに、同じ検索文字列をBingでも使える。

専門的なアドバイス
サイト内検索は、あるキーワードが入っているサイト上のすべてのページを照合する。結果を手作業でチェックし、検索意図が似ているキーワード向けに最適化されたページを特定する必要がある。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。キーワードカニバリゼーションの見つけ方について説明した今回に続いて、後編となる次回は、キーワードカニバリゼーションを解決する方法を紹介する。(後編は4/28公開予定)
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