検索順位が、ある日突然下落する――あなたはその事態に備えられているか?(前編)
この記事では、過去に経験したことのないような要因で検索順位が下がる脅威について迫りたいと思う。まず検索順位を維持するために必要と考えられている要素を検討しよう(前編)。それから、こっちのほうがもっと重要なのだが、たとえ検索順位が下がっても成功を維持するSEO戦略を策定するにはどうすればいいかについて、後編で解説する。
賢明なSEO担当者なら、ページの検索順位が、ある日突然に下がることは予期しているはずだ。自分のSEO施策が変わっていなくても、それは起こりえる。
原因はペナルティだとは限らない。検索結果で競合に抜かれるかもしれない。オーディエンスのほとんどがよそのサイトに行ってしまうような、アルゴリズムの変更があるかもしれない。いつの日か、Siriのクローンがさらに進化して、検索順位など意味がなくなってしまうかもしれない。
君はその日に備えているだろうか? バックアッププランを用意しているだろうか?
防弾チョッキは、撃たれたる前に身につけよう
次に示す9つが、検索順位の低下に備えるための“防弾チョッキ”だ。
ペナルティを科されたサイトを抱えて僕のところにやってくるクライアントは、ひどく打ちのめされている。退職金も失業手当もなく失業状態になるに等しいグーグルのペナルティは、レイオフよりひどい。履歴書の職歴に空白ができ、ペナルティを科されたウェブサイトだけが目立つとなると、事態はクビになるより深刻かもしれない。
回復するのは困難で、時間がかかり、多くのリソースが必要になる。
場合によっては、それが原因で家庭が崩壊することさえあるのだ。
君のウェブサイトが、グーグルのペナルティから逃れられないような危険を冒しているのなら、頼むから、今すぐ変更してほしい。ぐずぐずしていると手遅れになる。後悔するのが目に見えている。
リンクの品質管理 ~品質管理の基準を持とう
リンクビルディングを自分で行っているか外注しているかにかかわらず、リンクプロファイルを監査することは重要だ。やるだけの価値はある。
視点を変えて、たった今ペナルティを科されたばかりという気持ちで見てみよう。どのリンクを削除したいだろうか? 具体的に見ていこう。
グーグルのウェブマスターツールを開き、キーワードに完全一致するアンカーテキストを使って、君のページへのリンクが最も多いサイトを見てみよう。
その中にサイトワイドリンク(サイト内のすべてのページから張られたリンク)はあるだろうか? あるとしたら、できるだけ単一のリンクに置き換えることを強く推奨する(あるいは、疑わしいと思ったらnofollow属性を追加するか、またはリンク自体を削除しよう)。
アンカーテキストを見てほしい。ブランド名やドメイン名以外で、被リンクの20%以上を占めている特定のアンカーテキストがあるだろうか? あるなら、僕の個人的な経験に基づくと、そのキーワードのせいでペナルティを科されるおそれがあり、もしかしたらサイト全体におよぶペナルティを受けるかもしれない。
その場合、アンカーテキストを変更するか、こういったリンクを削除するか、今後のリンクビルディングでこうしたリンクの影響を下げるよう努めるかの対策が必要だ。
リンクを購入したり、ひそかにリンクネットワークを構築したりしていないだろうか? すぐにやめよう。そういったリンクはいずれ、すべて削除されることになる。
リンク販売業者のリンクが必ず不利に働くわけではないとしても、君がやっているのは、実際にはありもしないオーソリティを構築しているだけのことだ。これらのリンクをグーグルが無視するようになったら、その後の価値はすべて失われる。
リンクを購入すればするほど、リスクは高まる。また通常、ペナルティを科されるのは販売業者だが、有料リンクの購入者やスパム業者も影響を受けないわけではないことを頭に入れておこう。
参照トラフィックを送らない有料リンクはすべて削除し、参照トラフィックを送るものはnofollowリンクに置き換えた方がいいだろう。なにはともあれ、こうしたリンクビルディングはすっぱりやめることだ。
卓越したデザイン ~デザインが重要
ユーザーインターフェイス(UI)とユーザー体験(UX)がなぜ大切なのかについては、これまでにも詳しく取り上げてきた。
グーグルはガイドラインで、「検索エンジンではなく、ユーザーの利便性を最優先に考慮してページを作成する」よう、明確に述べている。僕は別に、ガイドラインに従えば検索順位が保証されると主張しているわけではない(それこそ馬鹿げた話だ)。ただ、ガイドラインを守らないのは自らペナルティを呼び込むようなもので、結局はすぐにアルゴリズムによって順位を落とされてしまうと指摘したいだけだ。
ほとんどのサイトは、トラフィックを倍増させるよりコンバージョン率を倍増させるほうが、簡単に売上を2倍にできる。それにはデザインが大きな役割を果たす。
すばらしいユーザー体験は、結局のところリピート購入につながる。
人気を(人為的な操作によってではなく)実際に獲得すると、同等の売上を得るために費やすリソースが少なくて済む。
優れたデザインにすれば自然なリンクが得られる。この理屈が馬鹿げていると思うなら、どれでもいいからウェブ上で人気の高いサイトに目を向けてみてほしい。そのほとんどはツールだ。さて、僕が言っているのは必ずしもデザインの美しさについてではない。「すばらしい、無二のコンテンツ」を共有するのではなく、実際に自分でデザインしたものを示せば、真剣に見てもらえる可能性が高くなることを指摘しているだけだ。
繰り返しになるが、ウェブ上で最もリンクされているサイトに目を向けて、僕が言っていることを確認してみてほしい。
UIとUXは、A/Bテストなどの手法を使って、その効果を計測できる。これは、「自然のままの」SEOにもいくらかは当てはまることであり、これに関する詳細はここで確認できるが、UIとUXの効果のほうがずっと計測しやすい。
以下では、われわれが論じてきた、UIとUXを活用する具体的な方法をいくつか紹介する。
現代の消費者が利用するさまざまな種類の画面にページを適合させるため、レスポンシブデザインを導入しよう。
A/Bテストなど、統計的検査技術の設定方法について理解を深めよう。この重要性はいくら強調しても、し過ぎることはない。
ユーザーテストも実施しよう。対象とするオーディエンスが実際どのようにサイトとやりとりするかを見ることで、操作を可能な限り直感的にするためだ。
消費者心理を理解して、サイト自体のデザインに組み込もう。
最新オンサイトSEO ~最新のオンサイトSEOを理解する
断言しよう。オンサイトSEOは、キーワードの配置よりもはるかに有効だ
明確な目的がないページや目的を十分に果たしていないページは、パンダアップデートでペナルティを科されたり、類似のアルゴリズムで順位を落とされたりするおそれがある。
「AdSense向けに制作」されたページや、それでなくても過度に広告を使っているページは、リスクが高い。
キーワードを繰り返し使っているページや、「最適化された」SEO的な価値を優先してユーザー体験を犠牲にしているページは、同様のリスクを抱えている。
タイトルにキーワードを含めるのは現在も非常に効果的だが、それだけではなく、クリックスルー率やバイラルシェア(口コミ)を最大限に増やせるものにしなければならない。
また、ランド・フィシュキンの言うページ単位でのSEOについては、僕も彼と同じ意見だ。
ページとは、それ自体が独自というだけでなく、他のページにない独自の価値を提供するものだ。ウェブ上にある他のどんなページも提供していない独自のやり方で特定のニーズを満たすものにすること。
ユーザー体験とは、感覚的なものである。読み込みが速く、見た目もよく、直感的で、どんなデバイスでも支障なく使え、わかりやすく、楽に使えて、使いかたを忘れてしまうようなことのないものにすること。
ページはクローラーやボット向けにも、あわせて最適化しておく。具体的には次のようなことだ。
- 同じコンテンツに複数のバージョンがある場合は、「rel="canonical"」を使って「正規」のページを示すURLを1つに決める。
- robots.txtやmeta robotsタグではボットを過度に制限してはいけない。
- 一時的にダウンしているページはステータスコード404ではなく503を返すべきで、ページを永久に削除するときは301の恒久的なリダイレクトを使う必要がある。
- 内部リンクを数多く使って、サイト上のすべてのページが少なくとも1つ(できれば複数)のリンクからアクセスできるようにしよう。
使える場合はtitle要素でキーワードを使い、それと同じか非常によく似たテキストをh1要素に入れよう。本文ではキーワードを多用せず、目の前のトピックについて書くだけにとどめる。理にかなっていれば内部リンクにキーワードを使う。
meta descriptionタグではキーワードはさほど気せず、検索結果をクリックして訪問してみようという気を起こさせる記述にしよう。meta keywordsタグは気にしなくていい。
ソーシャルメディアで簡単にページを共有できるようにしよう。ただし、選択肢を多くしすぎてユーザーを混乱させないこと。
レスポンシブデザインを利用し、どんなデバイスでもアクセスしやすく使いやすいサイトにしよう。
オーサーシップ(著者情報)、メタデータ、schema.org、リッチスニペットを活用して、検索結果で目立つようにしよう。
エラーゼロ ~エラーゼロのサイトを目指す
質の高いサイトであっても、エラーがあったばかりに大きな害をこうむることがある。まずは、グーグルウェブマスターツールでエラーのチェックをして、そこに表示されたものをすべて削除しよう。
そこから先は、MozのCrawl Diagnostics(クロール診断)レポートなどのツールに進むといい。
以下に、よくあるSEO上のエラーで避けておくべきものを挙げておこう。
製品説明がなかったり、メーカーから提供される型どおりの説明文を使っている(特にEコマースサイト)。これは重複コンテンツとなる。
404ページ。発リンクでは、サイト内向けまたはサイト外向けどちらでも。
301以外のリダイレクト。
長いtitle要素(タイトルは70字を超えると検索結果に正しく表示されなくなる)。
meta descriptionタグがない。meta descriptionタグが適切に行動喚起(CTA)の役割を果たすようにつくられていれば、それは、グーグルが勝手に引き出すランダムテキストよりはるかに優れていることが多い。ただし、ロングテール戦略を追求している人は、meta descriptionを無視することで優れた成果を出す場合もあるかもしれない。
内部リンクをきちんと設定していないため、サイト上のページの中には、他のどのページからもリンクされていないページがある。
robots.txtがない。
サイトマップがない。
こうしたエラーでサイトの可能性を損なうことのないようにしよう。
洗練されたコンテンツ ~コンテンツを改良する
今あるコンテンツページを分析しよう。大きなトラフィック獲得に貢献しているものがどれくらいあるだろう? 大きなトラフィックをもたらしているページは、ユーザーを満足させているだろうか?
次に挙げる基準を満たしていないコンテンツがあれば、修正か削除が必要だ。
ソーシャルネットワークにおいてタイトル自体に共有する価値があり、クリックしてもらえる。
タイトルから期待される内容を裏切らない。
コンテンツに、ウェブの他の場所では普通見つけられないデータや独創的な解釈、独創的な価値がある。つまり、ターゲットとするキーワードで検索上位にある他のコンテンツと十分に差別化が図れている。
コンテンツの価値を計り、改良へのヒントを探すには、SurveyMonkeyといったような市場調査ツールの利用を強く勧めたい。検索上位のページと比べて君のコンテンツがユーザーにどれだけ評価されているか、テストしてみよう。
君のコンテンツの価値が検索結果上位のものを上回っていなければ、高い検索順位を得るに値しないということであり、これから先も検索順位が上がることはないだろう。
真摯なリンクビルディング ~本当に質の高いリンクを構築する
君がいる業界でトップクラスのサイトのいずれかからリンクを獲得できるまで、リンク構築に手をつけてはいけない。ここで言うのは極上のリンクだ。The New York Timesに追いつこうかというほどのサイトのことだ。
E2M Solutionsが高い検索順位にあるのは、何百というリンクを構築しているからではない。Moz、Forbes、CopyBlogger、VentureBeat、ProBlogger、SearchEngineJournalからのリンクを構築していることによってその順位を得ているのだ。
つまり、リンクを見た人に「マーケティングに『実質的な』価値をもたらさない、SEOのためだけのリンクだ」と思われるとしたら、何の可能性もないわけだ。
少なくとも、次に紹介する品質基準のいくつかは満たしているリンクを構築しなければならない。
nofollow属性がついていたとしても、構築する価値があるリンク。
ブランドインプレッションや参照トラフィックのためだけでも構築する価値があるリンク。
リンクされていることで君のサイトの信頼感が増し、こうしたサイトとリンクしていることを示せば実際にコンバージョン率が高まるようなリンク。
たとえば、われわれのブログのサイドバーは、右のようになっている。これを見れば、信頼できるサイトだと感じるだろう。
この3つの基準のうち最低1つは満たしていなければ、そのリンクには築く価値があるとは言えない。この点については後でまた論じよう。
現時点で理解しておいてほしいのは、この基準に満たないリンクは、自然に獲得できるのなら手に入れる価値があるけれど、通常は手をかけてまで構築する必要はないということだ。
共引用と共起 ~正しく理解する
SEO担当者は最近気付きつつあるのだが、自分や競合相手のページが、ウェブのリンク構造に関する従来の知識では筋が通らない形で検索結果の上位に表示されることがある。特に、次に述べる2つの現象については確かな証拠を目にしている。
共引用
あるサイトが君のサイトと同時に、オーソリティサイトや関連性のある別のサイトにもリンクしている状態を「共引用」という。つまり、あるサイト(ドメイン名)がオーソリティサイトにリンクすることが多ければ、グーグルは、そうしたリンク元サイトからのリンクをより重視する傾向がある。
これは、「よい隣人」対「悪い隣人」という概念だ。だから、高品質なソースへリンクする傾向が強いサイトからのリンクを獲得したい。そうすれば、ウェブの低品質な領域と一線を画することができる。
もっと言えば、君のほうから質の高いソースへリンクするよう努めるべきだ。「よい隣人」の仲間入りすること促し、質の高いサイトへのリンクを奨励するアルゴリズムになっているのだから。
共起
あるサイトが、リンクはしていないけれど関連するテーマの文脈で君のブランド名やドメイン名について言及している場合、これを「共起」と言う。
ランド・フィシュキンがOpenSiteExplorerの例を挙げている。このケースにおいて、検索結果に表示される説明は、本来のページにある文章ではなく、OpenSiteExplorerに言及しただけのまったく別のページからの引用した文章だ(ここで注目すべきは、以前使っていたページタイトルやリダイレクト、アンカーテキストもまた何らかの役割を担うことがあるという点だ)。
これは、特定のブランドがどういうものかを判断するのに、グーグルがリンクではなく統計データを使っていることを示す一例だ。グーグルはまた、ウェブ上にあるサイトについて理解するために、検索語をはじめとする行動データを使っているようだ。
共引用や共起の知識は手作業によるリンク構築に役立つが、この知識が本当に役立つのは、自然なリンクやブランドに関する議論を引き寄せるときだ(これについてもあとで触れよう)。
ソーシャルメディアにおける訴求力 ~訴求力を手に入れる
ソーシャルメディアにおける活動は、検索順位には、さほど大きな直接的影響を及ぼさない。相関的には重要性が示されているものの、SEOにとってはリンクの方が依然としてはるかに強力だ。
ソーシャルメディアで活動していないからといって、それだけで検索順位に悪影響が及ぶことはないだろうが、最後の決め手になる可能性はある。品質評価に関するグーグル内部のガイドラインでは、サイトの評判が品質を判断する上で大きな役割を果たすことが明瞭に示されている。
状況によっては、ソーシャルメディアでの圧倒的な成功が検索順位に疑いようのない影響を与えることもある。ソーシャルメディアが発するシグナルは、長期間にわたって検索順位に重要な役割を果たすようには思えないが、口コミが「話題の新鮮さ」という属性に影響することは確かで、非常に競争の激しいキーワードで比較的短期間にページを検索結果の第1位に押しあげる原因にもなりうる。
要するに、君のページがソーシャルネットワークで「トレンド」になれば、信頼性が上がるかもしれないわけだ。
ソーシャルネットワークの活用戦略は後ほど解説しよう。
Google Authorship ~適切に設定しておく
Google Authorship(著者情報)を設定すれば、Google+の情報を使ってコンテンツと君のユーザー情報をリンクさせることができる。設定の仕方はこちらのページで説明されている。
今のところ、著者情報は非常に重要だ。検索結果の横に顔写真が表示され、これがクリックスルー率に強いプラスの影響を与えるからだ。トラフィックをさらに増加させるためにも良い方法だというのは言うまでもない。
やがてアルゴリズムが「オーサーランク」というようなコンセプトを認識するようになり、その中で著者情報が何らかの役割を演じるようになるという可能性もある。ユーザーの好むコンテンツを書くことが多い執筆者なら、その人の作るコンテンツは将来的に検索上位を獲得しやすくなるかもしれないのだ。これが現実になるのか、なるとしてもいつごろの話かは、まだ何とも言えないが。
この記事は前後編の2回に分けてお届けする。「検索順位の低下に備える防弾チョッキ」を解説した前編に続いて、後編では順位降下に対処するためのSEO戦略を紹介していく。→後編を読む
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