もしも、「@nifty」を解析するなら(後半:検索から申し込みまで)[第13回]
誰もが知っている有名サイトをエキスパートレビューしながら、「もし、アクセス解析するなら」どのポイントに着目するかを第三者的な視点から解説。アクセス解析を用いてサイトの改善を行うための仮説構築力を身につけて、自社サイト、クライアントサイトをアクセス解析する際に役立ててほしい。
木曜9時は「かってに解析!」ということで、毎週連載「有名サイト、かってに解析!」では、毎回1つの有名サイトを取り上げ、アクセス解析で実際に解析データを見る前に、あらかじめサイトの問題点やチェックポイントにあたりをつける方法を解説していく。
今回はISP(インターネット・サービス・プロバイダ)の「@nifty」を取り上げている(以下、カギかっこ付きで「@nifty」と書くときは、企業名ではなくサイト名を指す。他のサイト、企業も同様)。様々な業種業態のサイトを取り上げ、課題の抽出や考察を行うのだが、筆者はあらゆる業種の各企業やサイトが直面している課題や戦略・戦術を十分に理解しているわけではない。あくまでもどのような点に着目したらよいのかを重視して読んでいってほしい。
「@nifty」の閲覧シチュエーションを想定
前半では、トップページの評価と閲覧シチュエーションの想定までを終えた。改めて今回の分析に当たっての想定シチュエーションだが、次のようなものだ。
今回想定したサイト閲覧シチュエーション
誰が | 既存サービス利用会員のうちISP会員以外(約800万人) |
---|---|
何の目的で | 引っ越しのためプロバイダ変更 |
何をしに | 接続サービスの新規申込 |
どこへ | サービス名を指定して接続サービスのトップページあるいはサービスページへ |
アクセス解析視点の仮想目標
アクセス解析的に言い換えると、以下のようになる。
参照元 | 検索エンジン |
---|---|
検索語 | 「ニフティ」「プロバイダ」など |
ランディングページ | サイトトップか接続サービスのページへ |
コンバージョンページ | 申込完了ページ |
「@nifty」をエキスパートレビュー!
検索からランディングページへ
それでは、このシナリオで訪問した人の視点でサイトを見ていくことにする。まずは「Yahoo! JAPAN」や「Google」で「ニフティ」と検索してみた。当然のことながら、どちらも「@nifty」が1位表示される。この検索語を利用した人は、ここから「@nifty」のトップページへ入ってくることになろう。
続いて同じく、「Yahoo! JAPAN」と「Google」で「プロバイダ」と検索してみた。2011年3月21日現在、「Yahoo! JAPAN」では、「@nifty」は残念ながら10位以内には表示されていなかった。1ページ目 にISPとして表示されていたのは、「DTI」「OCN」「ぷらら」だ。「Google」でも、「@nifty」は残念ながら10位以内には表示されておらず、検索連動型広告の表示があったのみ。1ページ目にISPとして表示されていたのは、「OCN」「ASAHIネット」「DTI」「ぷらら」だった。
「Google」の検索連動型広告の飛び先は、図1のとおりの「接続サービス」ページである。前半の図3に示したトップページの赤枠部分の一番上のリンク先と同じだ。「ニフティ」と検索してトップページに入ってきた人は、このリンクは容易に探すことができ、図1の接続サービスのページにはスムーズに入ってこられるだろう。
ランディングページから光ファイバーサービスの情報を求めて
続いて、契約したい接続サービス内容は光ファイバーを考えているとして、左上の光ファイバーのリンク(赤枠で囲んだ部分)をクリックして次へ進む。リンク先は「光ファイバーのご案内トップ」ページ(図2)だ。
それにしても、この「光ファイバーのご案内トップ」ページは、なぜこんなに長く冗長にするのだろうか? 上部赤枠部分の地震の影響についての説明はやむを得ないにしても、このページで有効なリンクの数はせいぜい20個程度。なぜ同じリンクをあちこちに配置し、何がどこにあるのかをユーザーに迷わせるのだろう。
特に気になったのは、キャンペーン関連の情報を表示している青枠部分だ。申し込みを検討しているユーザーにキャンペーン情報も見せて、さらに選択を難しくする積極的な理由があるのかという点だ。パソコンが安くなるということが「きっかけ」になってプロバイダに申し込むのだろうか?
このページで優先すべきは、
- 光ファイバーのコースは基本的には2つある(au提供とNTT提供)ことの説明
- それぞれの料金や仕様、オプションサービスと開通までの流れを基本として紹介すること
- 申し込みのステップへスムーズに誘導すること
ではないのだろうか。その上で申し込み後に、適用できるキャンペーンを提示する方がよいのではないか。
携帯電話の料金体系に比べればシンプルだとは思うが、ここで悩まされる時間は、お互いもったいない。キャンペーンを先に選ばせるのが必要な事情があることは理解できるが、ユーザー泣かせであることに変わりはない。
次にNTTの「フレッツ光」のリンク(図2中ほどの黒枠部分)をクリックして、「フレッツ光のご案内トップ」(図3)へ移る。
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