グーグル検索結果が大変動、医療・健康のクエリ60%に影響するアップデート【SEO記事12本まとめ】
グーグルが検索アルゴリズムをさらに大きく変えてきた。今回は「健康」「医療」関連のクエリ60%に影響する、「信頼性・有益性」重視のアップデートだ。
ほかにも、「超進化しているグーグルの意味理解能力」「え? これAMP? かっこいいじゃん」「サイトマップのlastmod推奨」「Ajaxクロールスキーム完全終了へ」などなど、SEO関連の情報をまとめてお届けする。
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グーグル検索結果が大変動、医療・健康の検索60%に影響する日本独自アップデート
本気出してきた (グーグル ウェブマスター向け公式ブログ) 国内情報
グーグル検索で「医療」や「健康」に関するページの評価方法を改善したことを、グーグルが公式ブログで発表した。
非常に大きな変化で、次のような特徴がある。
日本独自のアルゴリズム更新である。
「医療」「健康」の検索結果だけに影響する。
「より信頼性が高く有益な情報」が上位に表示されやすくしたもの。
この分野の検索クエリの60%に影響する大きなアップデート。
信頼性に極めて乏しい医療系のサイトのページが検索結果で上位表示される問題が起きて以来、グーグルは検索結果の品質向上に取り組んでいる。
グローバルでは「YMYL(Your Money, Your Life、お金・健康・安全・法律など)」に加えて「ニュース」関連の検索において品質評価重視への動きを強めてきた。
さらに日本のグーグルは健康や医療に関わる検索品質の向上に取り組んできた。今回のアルゴリズム更新も、その一環だろう。
実際に検索結果が大きく変化していることを辻氏も分析し、初期評価としてレポートしている。
ある程度見られましたが、これはかなり望ましい動きなんじゃないでしょうか。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2017年12月6日
大規模な動きなので完璧ではないでしょうが、対象検索語句の判定も、下げるサイトの判定もかなりうまく出来ているように思います。
(続く
続き)こういう動きの懸念として「公式・公共機関のサイト以外を落とす調整」になってそれらの情報発信量が少なくまともな情報が検索できなくなる、というのがあるのですが、もちろんその傾向はある程度ありますがちゃんと「良い」一般サイトも残してる。今まで以上に上手い処理に見えます(続く
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2017年12月6日
続き)範囲については思ったよりも緩め。リテラシーが低い人が検索する検索数多めのキーワードではしっかり処理されているものの、少しニッチなワードになると問題サイトがまだまだたくさん。でもこれは難しいところを良いしきい値で処理されているなあとか個人的には思います(続く
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2017年12月6日
続き)今回はこれまでで最大級に厳し目の処理っぽいのでなぜこのワードで?とかなぜこのサイトが?とかはありますが仕方がないかと。社会問題になる酷いWeb上の酷いサイトが多い状況を私達が作ってきてしまったわけで、それに対処するには厳しすぎる対応が必要というのはその通りと思います。(続く
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2017年12月6日
続き)YMYL系は膨大にデータを追っていますが、まだその1割も見られてませんし、まだアルゴリズム反映も完了してないかもですので、今日明日で残データを確認して何らかの形でまたご報告します。ただいよいよ覚悟の無い健康関連サイトには厳しいという流れは本格化したとのは確かと考えます。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2017年12月6日
発表後にざっと調査した段階ではあるが、辻氏は「かなり望ましい動き」「今まで以上に上手い処理」と、このアップデートを高く評価している。
そのうえで、信頼性に欠けるだろう情報を中心に扱ってきたに対しては「これまでで最大級に厳し目の処理」「覚悟の無い健康関連サイトには厳しいという流れは本格化した」と、引導を渡す勢いだ。
また、グーグルがコンテンツの品質を重視している大きな「YMYL(お金・健康・安全・法律など)」という枠組みで確認したところ、健康や医療以外の分野ではほぼ影響がないようだ。
健康以外のYMYLにどれくらい影響が出ているか確認したけど、やはりほぼ影響なしだなあ。皆無とは言えないけど流入には影響無い程度。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2017年12月6日
仕事上ではひとまず安心だ。
しかし、これで健康・医療関連の検索結果が本当にすばらしくなったのかというと、そうではない。なぜならば、本当に信頼性の高い情報を提供している医療機関や専門家が、適切な情報発信をしきれていないのが現状だからだ。
グーグルの公式ブログでも、次のように記載している。
日本のウェブには信頼できる医療・健康に関するコンテンツが多数存在していますが、一般ユーザー向けの情報は比較的限られています。
もし、あなたが医療関係者で、一般のユーザーに向けたウェブでの情報発信に携わる機会がありましたら、コンテンツを作る際に、ぜひ、このような一般ユーザーの検索クエリや訪問も考慮に入れてください。ページ内に専門用語が多用されていたら、一般ユーザーが検索でページを見つけることは難しくなるでしょう。内容も分かりづらいかもしれません。
「どのページを検索結果に出すか」は、グーグルが改善していけばいいし、そうするだろう。
しかし、検索結果に表示されたページが一般ユーザーにとってわかりづらい内容であれば、本当にユーザーの役に立つとは限らない。ほとんどの人は「正しいがわかりづらい」ものよりも「わかりやすい」ものを好むものなのだから。
情報を発信する側は、その点をちゃんと意識する必要がある。辻氏も次のように言っている。
私としては今回の調整は激しすぎるもののそれが日本のウェブには必要だったと思うので称賛されるべき状況と思います。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2017年12月6日
ここまで調整がかかった上で公的機関や医師、大手メディアが文句を言い出しても「アンタ達がいい情報を出してないかウェブの基本に無知なだけでしょw」と笑い飛ばしてもいいレベル。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人も知っておく価値あり)
グーグル検索SEO情報
グーグルの意味理解はここまで進化している! 辻氏がそのスゴさを解説
「対馬」は防護巡洋艦ではなく海防艦のほうだと判断できている (辻正浩のはてなブログ) 国内情報
グーグルが“言葉の意味理解”の能力をかなり進化させていることがよくわかる解説記事を、辻正浩氏が公開した。
同じ「対馬」の検索結果でも、検索ニーズの変化にあわせて
「島のこと」
↓
「島のこと、または船のこと」
↓
「島のこと、または船のこと(ただし防護巡洋艦ではなく海防艦のほう)」
と表示内容を変えているのだ。
同じクエリであっても、そのときどきでユーザーが何を本当に求めているのかをグーグルは考え、かつ、同じ表記でも違う意味をもつもののなかから適切なものを(日本語と英語の対応を含め)判断し、関連性が最も高い検索結果を返すように常に改善してることがよくわかる。
検索アルゴリズムの観点からも、分析に利用したトピックからも、かなりマニアックな内容だが検索の仕組みに興味を持っているなら楽しめるだろう。一読してほしい。
- SEO大好きな人用(ふつうの人は気にしなくていい)
「え? これAMP?」洗練されたデザインのAMPテンプレート、無料です
レストランやECサイト向けテンプレートも (Google Developers Japan) 国内情報
AMPプロジェクトは、AMPサイトを簡単にデザインできるテンプレートを、AMP Startというサイトで公開している。このサイトに登録されているスタイリッシュなデザインテンプレートが増えてきた。
あなたも「AMPは飾り気がないシンプルなページ」というイメージを持っているかもしれない。しかしAMP Startで公開されているテンプレートは、洗練されたデザインだ。通常のサイトに求められる多くの機能も実装しているので、「AMPは制限が多い」という先入観も捨てたほうがいい。
ブログやニュースサイトのほか、レストランやECサイト向けのテンプレートも準備されている。AMP対応に着手あるいはAMPサイトのリニューアルを計画しているなら、AMP Startのテンプレートを利用を検討してはいかがだろうか?
- AMPページのデザインをかっこよくしたい人
ページの更新をグーグルに伝えるために、サイトマップのlastmodは設定したほうがいい
ただし乱用は禁物 (John Mueller on Twitter) 海外情報
検索エンジンのクロールを促進するために利用するサイトマップには、lastmod
タグを含めることができる。lastmod
はページの最終更新日を伝えるためにタグだ。とはいえ、必須ではなく省略してもかまわない。
それでも、グーグルのジョン・ミューラー氏は利用を勧めている。
ページが更新されたことを私たちが知るのに、lastmod は優れた手段だ。可能であれば、私なら使うね。
It's a great way to know when URLs have changed, so if you can, I'd use it.
— John ☆.o(≧▽≦)o.☆ (@JohnMu) 2017年11月30日
サイトマップの lastmod
によって更新されたことがわかると、検索エンジンはそのページを優先的にクロールしようとする。したがって更新が発生したページのURLには lastmod
を追加した方がいいだろう。
ただし更新していないのにクロールさせようと企んで、偽りの lastmod
を設定してはいけない。やがて、そのサイトのサイトマップをグーグルは信用しなくなるだろう。逆効果なので乱用は禁物だ。
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- 技術がわかる人に伝えましょう
グーグル、Ajaxクロールのサポートを完全終了
今はAjaxコンテンツでも直接取得できるから (グーグル ウェブマスター向け公式ブログ) 国内情報
「#!
」や「?_escaped_fragment_
」というおかしな記号を含んだURLを使う「Ajaxクロールに関するスキーム」のサポートを、2018年の第2四半期をもって完全に終了することをグーグルがアナウンスした。
これは、GooglebotがJavaScriptを実行できなかった時代にAjaxで作られたページを正しくクロールさせるための仕組みで、特定のURLパターンがあるとGooglebotが「サーバー側レンダリング」用のURLに変換してアクセスするための技術仕様だった。
しかし、GooglebotがJavaScriptを実行できるようになったこともあり、このスキーム自体は2年以上前に不要となっている。つまり、とっくの昔に過去のものになっていた。その後もサポートはしていたようだが、もはやこのスキーム用に用意されたURLとスナップショットを取得することはない。Ajaxのコンテンツをいつでも直接取得する。
Ajaxクロールのスキームを利用している(利用していた)サイトのウェブ担当者は、対応が必要かどうかも含めて、公式アナウンスを読んでおいてほしい。技術担当者にも伝えておこう。
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