迷惑メール防止法(正式には「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」)が改正され、2008年6月6日に公布されていましたが、具体的に「いつから」「何がどう変わるのか」が明らかになりました。2週間後に迫った新法の施行を前に、企業がメールマーケティングをどうすればいいのかをを確認してみましょう。
改正された迷惑メール防止法の施行は2008年12月1日からと決定しています。そして、改正された法律に基づいた法律施行規則(省令)と、法律や省令の解釈や、特定電子メールの送信に当たって推奨される事項などをまとめたガイドラインが、総務省から発表されました。
これで、迷惑メール防止法関連の必要な情報が出そろったことになります。情報源を以下にまとめておきます。
- 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成14年法律第26号)の平成20年改正法による改正後の条文)
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/d_syohi/pdf/h20kaisei_amendedtext.pdf - 法律の新旧対照
http://www.soumu.go.jp/menu_04/pdf/169_080229_1_04.pdf - 省令(法律施行規則)
http://www.soumu.go.jp/menu_04/s_hourei/pdf/sy_081114_08121_a.pdf - 省令の新旧対照
http://www.soumu.go.jp/menu_04/s_hourei/pdf/sy_081114_08121_b.pdf - ガイドライン
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/pdf/081114_4_bs1.pdf - 電気通信消費者情報コーナー(迷惑メール対策関連)
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/d_syohi/m_mail.html
今回の改正の大きなポイントは、オプトアウト→オプトインへの変更。ここを少し解説しておきましょう。
これまでは、メールを送ることの許可を事前に送信先の相手から得ていなくても、オプトアウト(メールを送らないように依頼すること)が可能であればOKとされていました。しかし、2008年12月1日以降は、メール送信の同意を事前に得ている人以外には広告メールを送ることは認められません。
ガイドラインの記述をもとに、このオプトインに関する点を確認してみましょう。
オプトインは、「通常の人間であれば広告・宣伝メールの送信が行われることが認識されるような形」で説明されていて、そこに対して「賛成の意思表示があったといえる」ことが要件となっています。
ただし、雑誌や新聞に広告が掲載されているのと同様に、営業上のメールマガジンなども広告が掲載されていることが想定されるので、メールマガジンが送られることへの同意があれば、付随的にメールマガジンに広告が掲載されることを明示していなくても、必ずしも同意がとれていないとはいえないとのこと。
ちなみに、広告メール送信に関する同意を求めたり確認したりするメールを送信することも、それが広告メールを後から送るための手段であることから、オプトインされている必要があるとされています。
オプトインはこうやって確認
どうすれば「同意を得た」とみなされるのでしょうか。ポイントをまとめてみました。
- 同意のチェックボックスがデフォルトでオンでも「メール送信に同意する意思表示があった」と判断できるならばOK(チェックを外さなければ同意になるという記載があればなお良い)
- 非常に小さな文字でフォームの下のほうに書かれているなど、普通はそれに気付くとは考えにくい場合には、「通常の受信者が認識できるように表示されている」とはいえないのでNG
- 「第三者からメールが送られることがある」という記述は、送信を認める相手が特定されていないのでNG
- 複数の人が受け取る共有メールボックスなどは受信者のうち1人の同意があればOK
こんな場合はオプトインは必要ではない
例外として、次のような場合は同意を得ていなくてもメールを送信して問題ないとされています。
- 契約の申し込みをした人などに対して、その契約に関する事項を通知するために送るメールで広告宣伝が“付随的に”行われる場合
- すでに取引関係にある人(金融機関の口座を頻繁に利用している人や、ECサイトで何度か継続して商品を購入している人など)にメールを送る場合
- メールを送る相手が、ネット上ですでにメールアドレスを一般に公表している企業、団体や個人事業主の場合(ただし、広告宣伝メールに送信をしないように求める表示がない場合)
- フリーメールなどで広告が付随的に行われる場合
同意の記録の保存も必要に
また、広告メールの送信に同意したことを証明する記録を保存しておくことも必要になっていますので注意してください。記録は一定の期間、保存されている必要があるとされており、その期間は、最後に広告メールを送信した日から1か月間です。記録しておくべき内容は、どのメールアドレスに対する広告メールの送信に関して、どういった状況(文面など)で、いつ、同意を得たのかといったものとなります。
もちろん、オプトインした人もあとからオプトアウトできるようにしておく必要があるのは、今までどおりですね。
ざっと、確定版のガイドラインを元に、最低限必要な要素をまとめてみました。もちろん、実務においては、必ずガイドラインや省令を参考にするようにしてくださいね。ガイドラインは、省令と併せて読めば、意外と理解しやすいように書かれているものですよ。
このテーマに関しては、引き続きWeb担でもお知らせしていきます。
この記事は、メールマガジン「Web担ウィークリー」やINTERNET Watchの「週刊 Web担当者フォーラム通信」に掲載されたコラムをWeb担サイト 上に再掲したものです。
コメント
セミナー勧誘の際のメール
皆様お疲れさまです。
最近、弊社ではセミナーを開催するようになりまして、
メールでご案内をしております。
今回オプトイン方式となりましたが、
どなたか、セミナー勧誘というシチュエーションでの
実例メールをお持ちの方はいらっしゃらないでしょうか?
Re: セミナー勧誘の際のメール
編集部の安田です。
> どなたか、セミナー勧誘というシチュエーションでの
> 実例メールをお持ちの方はいらっしゃらないでしょうか?
なかなか、こういった場ではほかの人も「こんなメール送っています」とはお知らせしづらいかもしれませんね。
「セミナー ご案内」などのキーワードで検索してみると、他社がどんな感じでセミナーを案内しているかが見られます。もちろん、検索でヒットするのはWebページですが、メールの案内とWebに掲載する情報とをあまり変えずにやっているところも多いので、参考になるのではないかと。