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ストーリーを使い共感を注入する: “有用な”コンテンツを作る10のヒント(後編)

ストーリーを使う・既存コンテンツのギャップを特定する・コンテンツに共感を注入する・コンテンツの「有用性」を測定する・コンテンツを“効果的に”更新する――有用なコンテンツの作成に役立つ10のヒントの後半5つを学ぼう
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。後編となる今回は、有用なコンテンツの作成に役立つヒントの残る5つを見ていこう。 → まず前編を読んでおく

有用なコンテンツの作成に役立つ10のヒント(続き)

この記事で解説している、「有用なコンテンツを利用してブランドを構築する10の方法」は次のとおりだ:

有用なコンテンツ作成のヒント #6
ストーリーを使い、複雑なポイントをかみ砕いて説明する

ストーリーはどんなものであれ、無味乾燥な事実より効果的だ。ストーリーは楽しめるし、簡単に学べるし、真のつながりを生み出すからだ。業界を問わず、技術的なトピックをより身近で魅力的なものにする実用的なツールでもある。

たとえば、Mozに掲載されたアドリアーナ・ステイン氏のB2B販売におけるストーリーテリングの活用に関するブログ記事を見てみよう(リンク先は日本語記事)。同氏は記事の冒頭、退屈なB2B統計ではなく、「One Rand Man」という、生命保険会社が金銭的保証について教えるためのストーリーを用いている。この身近な話題に関するナラティブ(ストーリー)で読み手の興味を引き、複雑なトピックもストーリーテリングによっていかに分かりやすくなるかを示している。

ストーリーテリングの実例のスクリーンショット

ストーリーテリングに、長文のナラティブや小説のような技巧は必要ない。関連性のある短いストーリーでもインパクトを与えられるからだ。

たとえば、広告の専門家であるサラ・サル氏はLinkedInへの投稿で、自分がヴィーガンであることを警察官に伝えたという話を紹介した。

サラ・サル氏がLinkedInに投稿した記事のスクリーンショット

ユーロスターのターミナルを出ようとしたところ、警察官に呼び止められた。

私の手荷物を調べながら、愛想よく「何も申告するものはありませんか?」と聞いてきた。

何もなくてがっかりした様子だったが、菓子パンが入った箱を見つけると、「乳製品は持ち込み禁止です」と一言。

私は、してやったりといった口調で、「申告します。私はヴィーガンです」と言ってやった。

幸い、箱にはヴィーガンのマークを示すステッカーが貼られていた。EU域外からは乳製品を持ち込めないようだ。

ブランディングの重要性を示す、またとない好例だ。

それに、もう少しで乗り継ぎの最終電車に乗り遅れるところだった。

このシンプルなストーリーはブランドに合っていて記憶に残りやすく、同氏が発信している「信頼できて読みたくなるコピーライティング」(リンク先は日本語記事)とも結び付いている。

ビジネスコンテンツにストーリーテリングを取り入れる場合は、一貫して自分の業界に関連する内容にしておこう。

有用なコンテンツ作成のヒント #7
分析ツールをうまく使って既存コンテンツのギャップを特定し、対処する

分析ツールの目的として、「数値をトラッキングすること」以外にも「戦略的な意思決定を導くこと」がある。

ウェブやSEOのアナリストで、Seotisticsのニュースレターを配信しているマルコ・ジョルダーノ氏は、次のように指摘している:

分析ツールは、より良い質問をして次の行動を検討するのに役立つ。

オーディエンスとパフォーマンスのデータを収集すると、次のような判断の助けになる:

  • 優先すべきコンテンツのアイデア
  • 既存のコンテンツにおけるギャップ
  • オーディエンスに最も響く製品
  • 現在のマーケティングキャンペーンの効果
  • 顧客満足度を高める方法
  • 特に効果的なコンテンツに関する知見

これらの知見が得られるデータソース

ジョルダーノ氏は、データ分析について次のように言っている:

ほとんどの場合、次の3つのデータがあれば十分だ:

  • Googleアナリティクス(GA4)
  • Google Search Console
  • クロールデータ

Googleアナリティクスでは、ページビュー、直帰率、平均セッション継続時間などの指標について詳細なデータが得られる。

Googleアナリティクス4の分析ダッシュボードに主要な指標とユーザーエンゲージメントのデータが表示されているスクリーンショット

一方、Google Search Consoleでは、自分のサイトにトラフィックを呼び込んでいるクエリ、クリック率、平均掲載順位、合計表示回数が表示される。

Google Search Consoleのインターフェースで、ウェブサイトのパフォーマンス統計値が強調表示されている

Moz Proも優れたサードパーティツールであり、グーグルのデータを連携させて、リンク分析、ページオーソリティ、競合他社のデータ、ドメイン名概要といった知見を詳細に掘り下げられる。

Moz Proのダッシュボードで、SEOの主要パフォーマンス指標と分析ツールが強調表示されている

分析ツールを利用して、コンテンツを更新したり新規作成したりする

ジョルダーノ氏は、コンテンツクラスターのパフォーマンスをより正確に追跡するために、記事をパフォーマンス別にグループ化することを提案している。これらのパフォーマンスごとにコンテンツにラベルを付けて分析することで、

  • コンテンツの劣化
  • トラフィックの分散

を追跡できるため、コンテンツの更新や新規作成が必要な場所を特定するのに役立つ。

分析ツールを最大限に活用するには、基本的なトラフィック指標以外にも目を向けることを忘れないでほしい。次の点について、より広範な影響を考慮しよう:

  • オンラインレビューとブランドへのメンション(言及)
  • ビジネス目標との整合性
  • リピート購入率と顧客ロイヤルティ

多様なデータを利用して意思決定に役立てる方法についての詳細は、複数のデータソースから実用的なマーケティングの知見を探っているホワイトボード・フライデーの動画をチェックしてほしい(英語のみ)。

有用なコンテンツ作成のヒント #8
コンテンツに共感を注入する

コンテンツ制作における共感とは、次の効果を実現することを意味する:

  • ユーザーのニーズを予測し
  • 課題に対処できるよう導き
  • 支えになる体験を生み出す

Cape Agencyのコンバージョンストラテジストであるロシュニ・シャイク氏は次のように述べている:

コンテンツは共感を伝えるものではない。

共感はコンテンツより前に来るものだ。

コンテンツに共感を注入する方法

コンテンツに共感を注入するには、次のような方法を試すといい:

  • 相手の立場に立つ:

    潜在顧客のジャーニーを想像してみよう。君がスポーツウェアを販売しているとしたら、何を買うべきか迷っている初心者のことを考えてみてほしい。

    そうすることで、商品だけでなく、初心者向けのヒントを教えたり、最も快適な素材について説明したり、サイズ案内やスタイル提案などのリソースを含めたりできるようになるだろう。

  • 分析ツールやフィードバックを活用する:

    ソーシャルメディアの観察にはSprout Social、サイト分析にはMoz Proといったツールを利用して、何が顧客の共感を得ているかについて知見を集めよう。

    レビュー、コメント、ソーシャルメディアへの投稿に見られる感情に細心の注意を払ってほしい。顧客は不満を訴えているのだろうか、それとも肯定的な体験を共有しているのだろうか。こうしたデータを使って、共感できるコンテンツの意思決定に役立てよう。

  • 補足リソースにリンクする:

    業界レポートや業界ガイドなどの有益な外部リソースにリンクを張ることで、ユーザーの成功を重視していることを示せる。評価の高いリンクによってコンテンツの価値を高め、ユーザーのニーズを満たすことに注力している姿勢を示すことになる。

有用なコンテンツ作成のヒント #9
コンテンツの「有用性」を測定する

コンテンツの作成は始まりに過ぎない。目に見える成果を上げるには、具体的なエンゲージメント指標を用いて、その効果を分析する必要がある。

エンゲージメント指標として注目するといい点には、次のようなものがある:

  • オンページ指標:

    コンテンツがどの程度共感を得られているか把握するには、次の指標が役立つ:

    • ページ滞在時間
    • スクロールの深さ(ページのどこまでスクロールしたか)
    • 直帰率

    たとえば、直帰率が高ければ、タイトルが誤解を招くものだったり、コンテンツがユーザーの期待に応えていなかったりする可能性がある。

  • インタラクション指標:

    次の指標を評価しよう:

    • メールの開封率
    • ソーシャルメディアでの共有
    • コメント

    ここでのエンゲージメントが高ければ、オーディエンスはコンテンツを高く評価しているということなので、これを強固な基盤としてコミュニティを構築できる。

  • 行動指標:

    エンゲージメントが次の指標にどう寄与しているかを追跡しよう:

    • コンバージョン
    • リードジェネレーション
    • ソーシャルメディアのフォロワー増加

    ユーザーが継続的にコンテンツを利用し、これを共有していれば、ブランドへの信頼が高まり、売り上げにつながる。

有用なコンテンツ作成のヒント #10
コンテンツを“効果的に”更新する

コンテンツを更新することで、オーディエンスに「関連性が高く正確な情報を提供することに尽力している」というシグナルを送ることになる。ただし、更新を効果的なものにするには、表面的な微調整ではなく、戦略が必要だ。

次のような間違いをしてはならない:

  • 付加価値をもたらすことなく、古いコンテンツを書き直す
  • トレンドや競合他社による更新の後追いをする
  • 「グーグルによるアルゴリズム変更への対応」を唯一の目的としてコンテンツを更新する

そうではなく、オーディエンスのニーズやビジネス目標に沿った更新に力を入れよう。

戦略的なコンテンツ更新の指針として、次のチェックリストを活用してほしい:

戦略的なコンテンツ更新の指針となるチェックリスト
  • パフォーマンス向上の機会 ―― 検索結果の2ページ目に表示されるコンテンツ、または1ページ目に表示されるものの、上位3件に入っていないコンテンツ。

  • 時間的制約のある素材 ―― 特定の年を引用している記事(例:「2023年の厳選SEOツール」)。

  • 最適化のギャップ ―― altテキスト、モバイル対応、キーワード最適化、検索エンジン全般のベストプラクティスを確認する。

  • 古い情報 ―― リンク、画像、メタ情報、統計値を更新する。信頼性を高めるために、最新の情報を探す。

  • 見込み客を獲得するコンテンツ ―― 見込み客の獲得を目的とする記事の場合は、必ずエンゲージメントとコンバージョンに効果的な構造にすること。

  • 製品のワークフロー ―― パフォーマンスの高いコンテンツがある場合は、自然な形で製品ワークフローを示し、関連するランディングページにリンクする機会を探る。

結論: 有用なコンテンツを利用して、オーディエンスとの信頼関係を築く

低品質のコンテンツが大量にあると、持続可能な成果を上げることも、君が望むようなオーディエンスのロイヤルティを得ることもできない点を忘れないでほしい。検索エンジンも読み手も、どちらも「有用なコンテンツ」なのか「中身のないコンテンツなのか」を見分けられる。

既存のコンテンツを批判的に検証してみよう。必要であれば、思い切って更新するか、あるいは最初から作り直してみてほしい。最後に、すべてのコンテンツをより魅力的で有益なものにすることに注力すれば、オーディエンスと検索エンジンからの信頼を勝ち取れるだろう。

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