【レポート】Web担当者Forumミーティング 2022 春

SEOの超プロフェッショナル2人に聞く「5年後に地獄を見ないための考え方とは?」【13のQ&A付き】

SEOを取り巻く環境は常に変化している。サイバーエージェント・木村賢氏とso.la・辻正浩氏に「5年後に死なないためのSEOの考え方」を聞いた。講演で寄せられた13の質問にも回答する。

SEOを取り巻く環境は常に変化し、この5年間でも大きく様変わりしている。次の5年後を見据え、「Web担当者Forumミーティング 2022 春」では、“SEOの超プロフェッショナル”であるサイバーエージェントの木村賢氏、so.laの辻正浩氏を迎え、「5年後に死なないためのSEOの考え方」を語り合った(モデレーターはインプレスの安田英久)。

記事の最後では、セッション内で寄せられた13個の質問に木村氏と辻氏が回答している。リアルタイムでセッションに参加した人も、このQ&AでさらにSEOの知見を広げてほしい。

(左から)株式会社サイバーエージェント SEOラボ 研究室長 木村賢氏、
株式会社so.la 代表取締役SEO 辻正浩氏

トピック1 SEO、5年前と今で何がどう変わった? 

「そもそも5年前と今で何がどう変わったか?」について、それぞれの見解を述べあった。

辻氏は「SEO関連でいえば、5年前はちょうどWELQ騒動が起きたころ。そこからはSEOの基本は大きくは変わらない」と語り、それでも細かな変化があったものとして、次の4つを挙げた。

  • サイト信頼性を重視
  • モバイルファースト
  • AI活用の拡大
  • SEOメディアの栄枯盛衰

辻氏は、「SEOメディアの栄枯盛衰」を示す図として、育児関連の203キーワードのうち、6つのサイトで10位以内を獲得しているキーワード数の5年にわたる検索順位の推移を提示。5年前に150ワードで10位以上に入っていたようなサイトも、2~3年で順調に順位をあげてきたサイトも、近年ではどのサイトも10位以内に入っているのは20ワード以下に低迷していることがわかる。

2016年~2020年 育児関連203キーワードのサイト別10位以内の推移

木村氏も「信頼性の変化は著しく、それによって苦しんでいるサイトは多い」と評し、「5年前はCGMやUGCが今より強く、『NAVERまとめ』なども上位に上がっていた。それが大手企業など信頼性・専門性の高いメディアに置き換わっている」と語る。

さらに、AIによるユーザー行動データの取得・分析が進んだことに触れ、「オーディエンスの声として、サイテーション(ブランド・会社名等が他サイトやSNSに書かれること)や指名検索など、レピュテーション(世間の評判や評価)を大規模なデータで見るようになった。リンク効果はさほど変わっていないが、それ以外の要素が加わった感がある」と語った。

トピック2SEOの中期計画を出せって言われるけど、何を書けばいい?

木村氏は「自分の幸福のために、中期計画は自分では出さないという信念をもっている(笑)」と前置きしたうえで、経営層から「どうしても必要だ」と言われた場合に提出する計画表を示した。

SEOで見込みを正確に出すのは難しい。中期計画の例

木村氏は、「SEOの役割・立場を守るためにも数字は確約できないことを伝え、理解してもらうのが重要。そのうえで、どの施策を選択するかは経営の判断。自分が責任を取れる範囲で、最終判断する人が判断できるような“素材”を出すことが、落としどころなのでは」と語った。

木村氏の意見に辻氏も「見込みを正確に出すのは難しい」と同意を示し、辻氏も木村氏が提示した計画表に近いものを提出するようにしているという。

トピック3インデックスされにくい状況はどう変わる? クロールとインデックスのサステナビリティをどう考える?

2021年夏ごろから「インデックス率が落ちた」と言われており、辻氏への相談が増えているという。なかには、まったく影響のないサイトや、インデックス率が80%から20%に落ちたにも関わらず、トラフィックには影響のないサイトもあったという。

辻氏は「普通のサイトであれば、そこまで気にしなくて良い」とアドバイス。一方、影響を受けるサイトとしては、たとえばUGCのコメントごとに別URLを作成してインデックスさせてきたような巨大サイトなどを挙げた。

インデックス率の低下は、価値の低いページをインデックスさせる意味が減ってきたということと同義。とはいえ、『人気のないブログ記事を削除する』といったアクションは現時点では不要(辻氏)

検索評価が高くなりやすいものをクロールされやすくするなど、サイト内でメリハリをつけている。インデックス率の低下傾向は今後も増えると予想している(木村氏)

辻氏は「サイトの評価とインデックス率に関係があるのではないか」と予想する。「インデックス率を指標として改善していくならば、インデックス率が低いサイトは、サイト単位での評価を高めることが重要」と強調し、「もしかすると今後、インデックスのされやすさが、サイトの評価を表すということにもなるかもしれない」と語った。

では、サイト単位の評価はどうやったら高められるのだろうか。

辻氏、木村氏ともに「ページ単位でなく、サイトとして選ばれること。自然検索以外のSNSやマスメディアなどでも語られること。全体としてサイトとしての信頼性・価値をあげていくこと」と説明した。

トピック4信頼性重視の流れは今後どうなる?

辻氏は「この5年で変わった部分で、頭が痛いテーマ」と評し、信頼性は「ジャンル」と「サイト」の2つの軸で影響を受けると説明した。信頼性が重視されるジャンルとして辻氏は深刻度が高いジャンル、低いジャンルの図を示した。

信頼性について深刻度が高いジャンル、低いジャンル

たとえば、2010年頃まで信頼性が重要視されていたのは「がん治療」など深刻な病気などに限定されていたが、2016年のWELQ騒動のあたりから金融や健康・医療などにまで領域が広がるようになった。

具体的には、「二日酔い」などのキーワードでかつては個人ブログが上位になっていたが、近年では製薬会社のページが上位に表示されている。さらに2021年には病気や健康、映画などの著作物や育児、法律、葬式などのジャンルまで広がってきており、その傾向は現在も続いている。

少し前は、厳しくなりすぎたところから戻ってくるのではないかと考えていたが、いつまでたってもカウンターがかからない。今もどんどん対象ジャンルが拡大しており、ますます信頼性軸が重要になると考えるべき(辻氏)

では、具体的に評価されているのはどのようなサイトなのか。「一言でいうと大手サイトが有利になっている」と辻氏。辻氏は2016年から2021年のがん関連の259キーワードについて、上位(1位~10位)に表示されているサイトの推移を紹介。

2016年~2021年 がん関連259キーワードの上位(1位~10位)
に表示されているサイトの推移

それによると、2016年には個人ブログが1位、Yahoo!知恵袋や教えて!goo、広告サイトなども上位だったが、2019年9月には一切なくなり、現在は公共団体か製薬会社、医療系メディアのみに切り替わっている。

次に、辻氏は「コロナワクチン」で調べた際の上位表示サイトの6月~8月までの推移を示した。わずか2か月で大手メディアのページが下落し、ほとんどが官公庁や自治体に置き換わったという。大手とはいえ、記事や投稿で成り立つメディアやサービスは上位表示されておらず、大手サイトだから問題ないというわけではない。

信頼性重視で有利となる、大手サイトやブランドが確立している企業以外は、一見なすすべがないように見える。信頼性重視の流れに対して木村氏は、以下のように述べた。

自分たちが信頼に足るサイトであるならば、信頼性を示すこと。そうでないならば、この領域では勝負しないこと。どこで戦うかを考え、戦えるドメインで戦うという方法はある。捨てるところは捨てるという判断が必要(木村氏)

トピック5PV至上主義な人たちは、5年後どうなっている?

木村氏は「メディアはやむを得ないとしても、ECサイトやメーカーの商品紹介サイトでのPV至上主義は廃れていくだろう」と語り、メーカーのFAQでは課題解決はスムーズな方が良いからと、1セッションあたりのPV数が少なくなることをKPIとする企業もあるなど、変化が起きていることも紹介した。

辻氏も「PVが良ければなんでもいい、というのが駄目になっていくのは当然。ただ、PVを重視する人も、指標としては今後も見ていくものではないか」と語った。

トピック65年後のSEOは、どんな人が関わってる? そもそもSEOの役割って何になるの?

Webサイトの構築・運用には、SEOだけでなく、デザイナーやエンジニア、広報、広告、マーケティングなど、かなり幅広い人が携わっている。その現状を踏まえたうえで、木村氏は次のように述べた。

Webにかかわる人たちを巻き込んで施策を進めなければ成果が出ない。SEO以外の関係者を巻き込んでいくためには、その領域の知識を一定基準、身につける必要がある(木村氏)

辻氏も木村氏の意見に同意し、10年前からSEOに関わる人が増え、現在はSEOの月次定例に社長や取締役など経営陣が参加している現状を紹介し、「そのレベルでやらなければ、大きな成果をあげられない。その傾向は強くなっていくと思われる」と語った。

トピック7SEOのプロの2人に聞く、「今、順位をあげるなら何をする?」

5年先の考え方やアプローチをメインに紹介してきたが、トピックの最後に「今、順位をあげるなら何をするか」を聞いた。

SEOの基本ができていないサイトが多いので、まずは基本をしっかりやること。ユーザーにとって使いやすいサイトにするために改善をまずは、取り組んで欲しい(辻氏)

一方、木村氏は「今、力を入れているのは指名検索」と語る。サイトの外側で露出を増やし、ブランド名や商品名などで指名検索されるようにしていく。それによってSEOでサイトの信頼性が高まるというわけだ。そのためには、広報やPRとの連携が大事だ。

SEOだけで成果を上げ続けるのは地獄? SEOのプロからのメッセージ

講演の最後に、「5年後に地獄を見るSEO脳」の人へのメッセージを2人に求めた。

辻氏は「SEOだけで成果を上げ続けなくてはならない人は、SEOだけでやろうとするとうまくいかないこともある。地獄は避けられないだろう」と語る。短期での成果、実力以上の成果を求め続けている間は、地獄からは抜けられない。辻氏自身がそうであるように、SEOのエキスパートとしてやっていくなら地獄を避けられないので「どうせなら地獄を楽しもう」と呼びかけ、5年後に地獄を見るSEO脳と、その対策をアドバイスした:

  • SEO脳SEOだけでの成果を求める
    →SEO以外の施策とあわせて全体の成果を重視する(他部署との連携を含め)

  • SEO脳短期での成果を求める
    →短期的なリターンだけを見るのではなく、SEO施策もブランド施策も中長期視点をもって進める

  • SEO脳実力以上の成果を求める
    →Webサイトの実力・価値を上げていって、それに応じた成果を期待する

木村氏は「表層的に考えてSEOをやっていく人は地獄を見るだろう」と述べ、「次にどうなっていくのかを考え、施策の計画を立てることが重要。ユーザー行動やより信頼性を重視するなど、検索エンジンの大枠の方向性は予想できる。そこを考えずに、局所的に今はこれをやろう、ばかりだと5年後に幸せにはなれない」と語った。

また、「SEO以外のこともしっかり準備し、他の人を巻き込むためにも、広報や解析などSEOにプラスできるもう1つの強みを身に着けてほしい」とアドバイスを送り講演を締めくくった。

SEO専門家の脳をチラ見する13個のQ&A

講演では視聴者から質問が届いたが、時間の都合で「レポート記事で回答」としていた。予定どおり、本レポート記事で木村氏と辻氏が質問に答える。

木村氏と辻氏が回答した質問は次の13項目だ(質問文の表現は編集部で修正している場合がある):

各質問に対して、辻氏または木村氏が回答している。

――100万ページ近くの求人サイトでサイトリニューアルを進めています。「TOP」「一覧」「詳細ページ」でサーバーサイドレンダリングの導入を検討しているのですが、サーバーサイドレンダリングを導入することで、SEOにネガティブな影響は考えられますか? またインデックスが安定しない、されづらい印象があるのですが、そのあたりの見解をお聞きしたいです。

木村氏: 極端に表示速度が遅いなどの問題点がない限りサーバーサイドレンダリングがネガティブになるということはないはずです。インデックスが安定しないとしたら別の理由があるはずです。

むしろ100万ページ違い大規模サイトであるのであれば余計にサーバーサイドレンダリングをおすすめします。

――インデックス率をあまり気にしたことがなかったのですが、インデックス率はどのように計測するのでしょうか?

辻氏: 今でしたら、Search ConsoleのURL Inspection APIを使うのが最も正確に取得可能ですし、問題点も把握可能です。私はこのAPIでの自作ツールで調査していますが、データを取るだけでしたらScreaming Frog SEO Spiderなど、さまざまなツールが対応しています。

――信頼度も情報も低くないページ(意味あるページ)がインデックスされなくて困っています。この仕組みは改善されるのでしょうか。

木村氏: 実際にページを拝見していないので詳しいことはわかりませんが、意味あるページがインデックスされないのはGoogleの仕組みに問題がある可能性は極めて低く、次のような可能性が高いと思います:

  • 自分では気づかない部分で、コンテンツの品質に問題がある
  • なんらかの理由でクロールがきていないなどの技術的な問題がある

基本的に有益なサイトの有益なコンテンツはインデックスされるはずです。ただし大規模なサイトであれば以前よりもクロールされにくくなっているケースはあり、この傾向は今後も続くのではないかと想像しています。

――インデックスされやすいサイトにするために、サイトの評価を上げるためのアクションはどのようなものがありますか?

木村氏: サイト全体の評価を高めるには多方面からの強化が必要です。まずはそのサイトやブランドの強化で被リンクやサイテーションなどを増やしていくことが重要になると考えられます。

また、高品質なコンテンツを増やす(特に高品質なコンテンツの割合を増やす)ことは重要です。逆に低品質なコンテンツの割合が増えることでクロールされないページが増え、インデックスされないページが増えることがあります。

――「大規模サイト」「小規模サイト」の判断はどこで? 自社サイトが「大規模」「小規模」かどうかはどう判断を?

辻氏: Googleは次のように分類しており、それが良い目安と考えます。

  • 大規模なサイト(100万ページ以上)(後略)
  • 中規模以上のサイト(10,000ページ以上)(後略)

ただ5,000ページほどのサイトでも、毎日100以上のURLが追加される場合などはクロールの配慮が必要な場合が多いなど、例外はあります。先に示したGooleの分類はクロール割り当てに関するドキュメントですが、そこでもクロール対策を考えるべき対象として「ページ数」だけでなく「コンテンツの更新頻度」も提示しています。

効果的に対策を進めるには「この規模のサイトだからこの対策が必要」のような一般論ではなく、サイトごとに問題点を特定することが必要です。

――母体サイトのジャンルとまったく異なるコンテンツ群がBIGワードで1位表示されている現状が2022年2月ごろから続いています。ドメイン名貸しのようなものだと思われるのですが、グーグルはまだ規制対応を強化しないのでしょうか?

辻氏: 複数のジャンルで上位表示されること自体は珍しいことではありません。サイトを見ないとわからないですが、「複数のジャンルで上位表示されている」ということだけでは問題にならないと思います。

――「人気のない記事を削除するアクションは不要」との話がセッション中でありましたが、「サイト全体で低価値なコンテンツを増やさなければ、削除する必要はない」という理解で良いのでしょうか。

木村氏: 人気がないことが必ずしもSEOの役に立たないかどうかはわかりませんので、正確には個別に判断が必要だと思います。また、人気の有無とコンテンツの品質は必ずしも一致しない可能性もあります。

サイト内で、低品質なコンテンツの割合が高いとクロールに影響が出る可能性がありますので、低品質なコンテンツ自体はなるべく少なくしておくほうが良いのではないでしょうか。

表現の違いでわかりづらいのですが、次のようなことだと理解してください:

  • 「検索トラフィックが少ない」「PV数が少ない」記事を削除する ―― この判断基準にはあまり意味がないため推奨しません

  • 「検索ユーザーに価値を提供しない」「コンテンツの品質に問題がある」記事を削除する ―― クロールや評価に好影響を与える可能性があるため検討する価値あり

――「自然検索以外で求められることが重要」とのお話がセッション中でありましたが、サイト全体の評価を上げるにあたり、商品紹介コンテンツページ(重複リスクあり)を大量に作成することは、SEOに有効でしょうか? 重複リスクがあるなら、ページを作らない方がいい?

木村氏: ケースバイケースかと思います。一般的には、重複していることそのものが悪影響を及ぼすことはありません。とはいえ重複している場合、どちらかしかインデックスされないのが通常で、さらに無駄なクロールを発生させる可能性がありますので、大規模サイトでは重複させないほうが良いでしょう。

また、重複したコンテンツを大量に生成しても、サイト全体の評価が高まることはないと思われます。コンテンツを追加するのであればページごとに独自のコンテンツを追加することをおすすめします。

――「自然検索以外で求められることが重要」とお話がありましたが、SEOよりもリスティングやディスプレイ広告などに費用を投下することがSEOにもよい効果を及ぼすのでしょうか? Googleは順位をお金で売ることはしないと考えると、若干矛盾があるような気がするのですが……。

辻氏: まず「リスティング広告にお金を出すこと」と「リスティング広告で認知や行動が増えること」を分けて考えましょう。

リスティング広告にお金をいくら出しても、順位には影響はありません。Googleは、広告から発生するさまざまなデータを検索順位に影響しないように除外する処理を行っていると考えています。これはいくつかの実験でも確認しています。

しかし、リスティング広告によって増えた認知や行動は、順位に影響を与える可能性があります。Googleは「広告で発生した認知をきっかけにして張られたリンク」などを除外していませんから。わたしは「リンクを張ってくれそうな人に広告を出してリンクを集める」という意図の広告によるSEO施策を2005年から行っていましたが、どのガイドラインにも違反していません。

Googleは、直接的に広告が順位に影響を与えないように配慮していますので「順位をお金で売ることはしない」ことに矛盾していないと考えることもできると思います。

基本的な考え方は次のとおりです:

  • 今のGoogleは多くのデータを検索結果づくりに活用している
  • 広告はユーザーの認知や行動に非常に大きな影響を与えるもので、その影響の多くは検索結果にも反映される

注意していただきたいのは、前述のように「広告出稿そのものが順位に直接的な影響を与えるわけではない」という点です。あくまでも「広告に反応した人の行動が検索評価に影響する場合がある」のです。そのため「広告を出せば順位が上がる」という話ではないことには注意してください。

このあたりは前職の頃に、広告の専門家の小西さんと一緒に記事で解説していますので、よろしければご覧ください。

――「信頼性重視の流れ」でのジャンル図で映画などが、葬式よりも深刻度が高かったのが興味深いです。映画などは、どのあたりの点で深刻度が高い(中くらい)なのでしょうか?

辻氏: 海賊版対策の影響が大きいと思われます。国内では「漫画村問題」として大きく注目されましたよね。こうした海賊版が検索で上位表示されないようにするために、映画名など著作物の名前でいわゆるYMYLと同じような処理がされています。実際に、ここ数年で大手サイト以外では映画やアニメの作品名でなかなか上位表示されなくなりました。

検索エンジンの海賊版対策の不備は国内外で問題を指摘されていますが、年々その問題視の声は大きくなっています。その対策も大きくなってきているのを確認しています。

そのため、一般的なサイトのSEOであれば、作品名ではなくもっと粒度の小さい検索語句を狙っていく必要があります。

――人材・キャリア関連(中途採用、新卒採用)も2021年にGoogleが信頼性重視の枠を広げたときに、信頼性重視になった業界でしょうか。

辻氏: いえ、どのジャンルも明確に「このタイミングから」とは言えるわけではありません。多くの場合、コアアップデートのタイミングで大きく変わりますが、どの領域も、次のような流れがほとんどです:

  1. 少しづつ信頼性の影響が大きくなっていく
  2. どこかのタイミングで大きく影響するようになる
  3. その後、調整される

いわゆる検索評価ガイドラインでYMYLについて言及が始まったのは2013年版からです。人材領域(Finding a Job)が含まれるようになったのは2019年版からです。その前後からは信頼性が影響するようになっていました。

――指名検索を増やすための取り組みとは、たとえばテレビCMやディスプレイ広告などの認知施策でしょうか?

辻氏: 広告などによるいわゆる認知施策単体では、SEOに影響を与えないことが多いです。たとえば、大量投下されたテレビCMを発見したらGoogleトレンドで指名検索の影響を見てみてください。CMが終わると元に戻る場合が多く、影響は一時的な場合が多いです。そのような形では、SEOへの影響も一時的なものになりがちです。

前提になるのは「サービスがより多くの人に継続的に必要とされる状態になること」です。そのようになっていれば、認知施策なしでも口コミなどで認知は広がり、ネット上で言及もされるようになり、SEOにも影響が出てくるはずです。

その段階において拡大の速度をあげるのには認知施策は有効です。

――5年後における「コンテンツの質」はどのように変わると思いますか? 現在における「質」と併せて、ご意見伺いたく思います。

木村氏: ユーザー、特に検索者が求めるコンテンツであれば「質が高い」と言えるでしょう。また期待度よりも情報の量や詳しさなどが高いものは、さらに質が高いと言えるのではないでしょうか。

現在はあまり期待度の指標は入っていないと思われますが、あるとすれば5年後には期待度についても勘案されるようになっていく可能性はあると考えています。

もちろん、「期待度」を機械的に処理するというのはGoogleでもなかなか難しいのではないかと思いますが。

用語集
CGM / KPI / SEO / SNS / UGC / インデックス / キャリア / クロール / サイテーション / セッション / ドメイン名 / マスメディア / リスティング広告 / リンク / 検索エンジン / 自然検索 / 被リンク
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