【レポート】Web担当者Forumミーティング 2018 Autumn

コンテンツマーケティングの本質とは? 既存コンテンツ改善でEC売上114%を達成した富士フイルムの戦略

コンテンツマーケティングでEC売上114%を達成した富士フイルムの戦略とは?
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富士フイルムの写真年賀状は注文数が前年比114%と、縮小する市場でも好調だ。特に、自然検索流入は前年比172%と、大きな成果を出している。それを実現したのが、「育てるコンテンツマーケティング」だという。

「Web担当者Forumミーティング 2018 秋」に登壇した富士フイルムの角田旬氏は、デジタルマーケティングの支援を受けているFaber Companyの月岡克博氏とともに、取り組みの背景や内容を聞く形で、成果をあげるポイントを解説した。

左から、株式会社Faber Companyエグゼクティブ・マーケティング・ディレクター月岡克博氏、富士フイルム株式会社e戦略推進室角田旬氏

コンテンツマーケティングは検索体験の向上が鍵

コンテンツマーケティングとは、「魅力的/価値あるコンテンツでお客様を引きつけ、維持して、最終的には利益につながる行動をとってもらうこと」だという定義の再確認からセッションはスタート。

月岡氏は、「コンテンツマーケティングについて相談を受けると、認識間違いをしている方が多い。ぜひ認識を改めていただきたい」と強調した。コンテンツに対して次のようなことを求める人が多いという。

  • バズるコンテンツを!
  • すぐコンバージョンを!
  • カッコいいサイトにすればみんな訪問してくれる!

このような考え方ではコンテンツマーケティングは上手くいかない。継続的で安定的な成果を得るために、月岡氏は「ユーザーの検索体験をどれだけ向上することできるか」が重要と言う。

検索体験を向上させるために必要な4ポイント

そもそも「検索する」という行動自体が廃れてきていると言われることもあるが、Webサイト流入チャネルとしての「検索」はまだ十分に機能している。とある調査では世界における検索回数は増え続け、年間2兆回にも達しているという。

また、検索エンジン側もユーザーに最適な検索結果を返せるように、さまざまな進化を遂げている。多様なアルゴリズムのアップデートを繰り返しており、最近では人工知能なども活用して、検索結果を改善しているそうだ。

例えば「バレンタイン お返し」と検索すると、タイトルタグに「バレンタイン」と入ってなくても検索上位表示している。現在の検索エンジンは単にテキストやキーワードが含まれているから検索結果に出しているわけではない。ユーザーの検索意図を理解し、その答えになるようなページを検索結果に表示しているのだ。

株式会社Faber Companyエグゼクティブ・マーケティング・ディレクター月岡克博氏

こうした背景もあり、重要になるのがユーザーの検索体験を考えること。検索体験を向上させるために重要なのは、以下の4点だと月岡氏は言う。

  • [Who]“どんなユーザー”が
  • [When]“どのようなシーン”で
  • [What]“何を知りたい”と思っているのかを把握し、
  • [How(Format)]“適切なフォーマット”でコンテンツを表現する

富士フイルムの年賀状事業の現状

富士フイルム株式会社e戦略推進室角田旬氏

ここで、富士フイルムの事例に話は移っていく。富士フイルムといえば、写真フィルムの会社というイメージが一般的かもしれないが、今はそれがメインというわけではない。写真フィルムはイメージソリューションの分野だが、その他に写真で培った技術を応用したメディカルシステムや化粧品などを開発している。「さまざまな事業を展開しているが、おおもとは写真の技術が根底にある」と富士フイルムの角田氏は言う。

富士フイルムHDの事業領域

角田氏の所属するe戦略推進室は、各事業部のデジタルマーケティングを横串で支援するという位置づけだ。今回事例となるのは「フジカラーの写真年賀状」。有名タレントを起用したテレビCMがあるので、ピンとくる人も多いだろう。

年賀状は商戦期自体が1~2か月と短いので、一気に広告費や資源を投下して盛り上げるというマスの手法は重要。しかし、デジタルマーケティングならマスプロモーションに比べて顧客体験・顧客接点をより綿密に設計でき、短期間で施策のPDCA回すことができる。これまでの手法から転換期を迎えていたという。

年賀状を出すタイミングとは?

では、年賀状を出そうと思うのは、どのようなタイミングだろうか。特に写真年賀状であれば、結婚や出産など良い写真が撮れるイベントがきっかけになるということが多い。富士フイルムでは、これまでのデータからそういうことはわかっていたが、それに対して細やかなアクションがとれていなかったという。

写真年賀状を作るときは、結婚や子供の誕生などのライフイベントが中心

縮小市場で広告を増やすより、自然検索に注力

年賀状という縮小する市場で、顧客減少を食い止め、ECの売上アップを実現した取り組みの一つが、自然検索流入アップの施策だった。その取り組みのポイントは、「想いを込めて作ったコンテンツに“データ”の視点を加えて“育てる”」ことだという。

月岡氏は、富士フイルムのコンテンツマーケティングの取り組みを3つの視点で深掘りしていった。

視点① なぜ、検索を強化したのか?

一つ目の視点は、なぜ検索を強化したのかということだ。その理由として角田氏は、「(商材の)コモディティ化で競争が激化し、広告の費用対効果が悪化している」ことを挙げた。一方、ECサイトの流入元のシェアでは、検索流入が約半分を占める。

元々検索のパイは大きかった。そして、年賀状は年々縮小傾向にあると言われているが、富士フイルムで年賀状にまつわるキーワードのクエリはあまり減っていなかった(角田氏)

検索クエリは、目的別に以下の3つに分類できる。

  1. 情報収集型:インフォメーショナルクエリ
  2. 案内型:ナビゲーショナルクエリ
  3. 取引型:トランザクショナルクエリ

中でも約8割を占めるのがインフォメーショナルクエリと言われている。年賀状にまつわる検索キーワードだと、「年賀状 一言」「年賀状 いつまで」といったキーワードが当てはまる。

角田氏によれば、「年賀状 いつまで」という検索キーワードは“時期”によってユーザーの検索意図が違うという。

  • 年末であれば、いつまでに出せば元旦に届くのか知りたい
  • 年明けならば、いつまでが年賀状でいつからが寒中見舞いか

こうした検索ユーザーの気持ちに気づいたことが自然検索を見直すきっかけになったそうだ。

視点② インハウス体制の構築(社内で実施)

二つ目のポイントは「なぜインハウスか」ということだが、角田氏は3つの理由を挙げた。

  • スピード:年賀状は季節商材なので、スピード感を持って運用できる仕組みが必要
  • ノウハウ蓄積:年賀状事業で培ったノウハウを、横展開したい
  • コスト削減:アウトソースし続けるとコストがかさむ

とはいえ、多くの企業においてインハウス体制をいきなり作るのは、リソースの面からも難しい。角田氏は聴衆へのアドバイスとして「小さいチーム 小さいプロジェクト 小さい成果」とかかげた。

まずは少人数で、小さくても成果を出すことが重要だという。その成果があれば、新たな施策の予算確保や体制構築も進めやすいのが大きな理由だ。

視点③ なぜコンテンツを育成=改善したのか?

今回、富士フイルムは新規にどんどんコンテンツを制作したわけではない。ほとんどの施策が「既存コンテンツの改善」であったそうだ。その成果として、2017年期の検索流入は前年比172%と大幅増加したという。月岡氏は、「コンテンツを一度アップしたら、そのままというケースは多いが、実はアップデートでも結果は出せる」と言う。

既存コンテンツの問題点

では、既存コンテンツの課題としては、どんなことがあったのだろうか。角田氏が挙げたのは、以下の2点だ。

  • 作り手の感覚に頼ったコンテンツ制作
  • コンテンツの評価軸がPV以外になかった

感覚的なコンテンツ制作に、「検索意図」というデータを付与して改善

角田氏によれば、「社内でサーチコンソールやGAでいろいろなデータを見ていたが、数字だけになってしまう部分もあり、最終的には感覚に頼って制作していた。担当者が想いをもって作ってはいたが、データの裏付けがない不安感があったのが課題」だったという。

そこで「ミエルカ」を使って検索意図というデータの裏付けをして、コンテンツ改善をしたのである。ミエルカで特徴的なのは、キーワードの関係性をビジュアル化する機能で、たとえば「年賀状 上司」で検索する人は、何を知りたいのかを以下の図のように見せる。

ユーザーの知りたいことを見える化

丸が大きく、つなぐ矢印が太いほど、ニーズが強いことを表している。丸の大きいワードには、「宛名」「一言」「挨拶」などがある。つまり、上司に年賀状を出す時に、宛名はどう書けばいいのか、どのような一言や挨拶を添えればいいのか、を知りたいのだろうと推測できる。

角田氏は「これまでもキーワードデータの一覧表を出すことはできたが、どこから手をつければいいのかわかりにくかった。ミエルカで言葉の関連性が視覚としてわかりやすく見えたことで改善につなげやすかった」と言う。単語の羅列はなく、全体を俯瞰してイメージできるため、ユーザーのニーズが掴みやすいのだ。

その他、ミエルカには以下のような機能があって、コンテンツ改善を大きく支援したという。

  • キーワードごとの順位を表示(自社と競合サイトの現状を確認)
  • 検索やQ&Aサイトでのキーワード出現回数(網羅すべきトピックを確認)
  • コンテンツ改善例の提示

さらに、カスタマーサクセスという専任サポート担当者が必ずつくのも特徴で、施策の方向性や判断に迷うことがあればいつでも相談できる体制が整っている。角田氏も商戦期中に電話やメールで適時相談できたことが安心につながったという。

また、プロジェクトを進めるうえで重要なこととして月岡氏が勧めたのは、タスク管理表(進行表)を作ることだ。「作業内容をメールで依頼するだけという仕事の依頼方法もあると思うが、タスク管理表を使って施策ごとの改善効果を検証しながら回していくことが大事」だと言う。

タスクは管理表でシェア

ユーザーの検索意図に応えたコンテンツは検索順位もあがっていく

こうしたプロセスを経て、コンテンツを改善した結果、以下のようなキーワードの検索順位があがった。

  • 「年賀状 上司」は58位から5位
  • 「年賀状 結婚」は7位から2位
  • 「年賀状 デザイン」は圏外から6位

さらに副次的な効果として、「年賀状」単ワードでの検索でも、検索上位がキープされるようになったことも大きかったという。複数のコンテンツ群で、「年賀状」周辺のユーザー検索意図に応えられたことが影響している可能性が大きい。「検索量の多い単キーワードで順位を上げたいという相談を多く受けるが、一朝一夕にそれは難しい。ユーザーの細かい検索ニーズを、サイト単位やコンテンツ単位で網羅することで、年賀状について詳しいサイトであるという状態を作りだせたことが大きいのでは」と月岡氏は解説した。

コンテンツの評価軸をPV以外にも設定

次に、「コンテンツの評価をどうするか」といった話はよくある。富士フイルムではWeb広告出稿時のクリック単価(CPC)換算が最も成果のインパクトを示しやすかったという。別の視点では、最終的なコンバージョンのみで評価しようとする傾向もある。ただし、コンテンツに流入するのはインフォメーショナルクエリがほとんど。情報収集段階のユーザーはすぐにコンバージョンしないので、それだけだとコンテンツを正しく評価できない点が問題だ

広告費換算とCV評価

よくオウンドメディアでは情報収集段階のコンテンツしかないケースと、製品サイトなどでは事例コンテンツなどのコンバージョンに近いものしかないというケースが多い。この間をつなぐ、情報収集段階のユーザーをコンバージョンコンテンツに導くためのツナギのコンテンツが必要。そこまで考えていくと、ユーザーの検索体験の向上に繋がる(月岡氏)

たとえば、年賀状なら、干支を調べているユーザーは、干支が知りたいだけなので年賀状をネットで買ったりしない。しかし、「年賀状 結婚」と調べているユーザーは、「結婚を機に年賀状を出そうかどうか」というタイミングなので、コンバージョンに近い。そうしたユーザーに、結婚を機に年賀状を出す良さを伝えるコンテンツでリーチできれば、コンバージョンしてくれる可能性も高まるだろう。

こうしたユーザーの気持ちやタイミングを理解したコンテンツ設計が重要であるという。そのために検索キーワードを分析することも有用だ。

ユーザーの気持ちを理解したコンテンツ設計

最後に角田氏は、「コンテンツ制作においてデータだけに囚われると、画一的なものになってしまう。会社や制作者としての想いはすごく重要。想いを反映しつつ、しっかりデータを活用したハイブリッドコンテンツでユーザーに年賀状の良さを伝えていきたい」とまとめた。

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