【レポート】Web担当者Forumミーティング 2018 Autumn

広告運用の効果を最大化するために、明日から使える機械学習の5つのポイント!

広告配信の自動化で「売上は上がったが、CPAやROASが悪化した」では機械学習の意味がない!
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機械学習を用いた広告配信の自動化が進んでおり、自動入札・配信などの施策は今後のWeb広告にとってますます重要性を増している。

Web担当者Forumミーティング 2018 秋」に登壇したメディックスの當流谷(とうりゅうだに)氏は、「機械学習のメリットを最大化するには、“何を”学習させるかが重要だ」と述べ、広告代理店の立場から、機械学習を用い、広告配信の機械化、自動化を進める上で重要な「5つのポイント」を、事例を交えて解説した。

機械学習をベースにした広告配信モデルがスタンダードに

當流谷 圭氏
メディックス 第3営業部 部長 當流谷(とうりゅうだに)圭氏

當流谷氏は、冒頭、「機械化、自動化というキーワードは広告だけでなくあらゆる分野に広がっている」と述べた。

AIによる画像認識技術は、医療分野や自動運転といった分野で活用されている。広告分野においては、機械学習によって何千、何万通りの広告の組み合わせを学習して、最適なクリエイティブを自動生成する「ダイナミック広告」などがある。

また、ディスプレイ広告においては、Web上の行動履歴が類似しているユーザーを抽出して広告を配信する「類似ユーザーターゲティング」(類似配信)などが機械化、自動化の一例となる。

當流谷氏は、「機械化されたアルゴリズムに従った広告配信が、代理店の担当者の勘と経験による設定を上回る効果を残すケースもある」と説明した。代表的な広告配信ネットワークである、GoogleやYahoo!、Facebook、クリテオ、スマートニュース、LINEなども、機械化、自動化に力を入れており、今後はこれらの技術がスタンダードになりつつあるのだ。

ECにおける広告配信自動化の成功事例と失敗事例

続いて、當流谷氏は、実際に携わったGoogleでの広告配信を例に、具体的な成功事例と失敗事例をそれぞれ紹介した。

成功事例・失敗事例ともに、クライアントはECを手がける広告主で、広告効果を測る指標には、投入した広告費に対する売上獲得を評価するROAS(広告費用対効果)を用いている。そして、広告運用は、ルールベースでの手動入札で行われてきた

ルールは、クライアント特性を理解し、キーワードごとの結果やトークン数、流入数、インプレッションシェアなどを加味し、ポートフォリオで細かく管理していたもの(當流谷氏)

メディックスが提供していたルール型運用

こうした手動での広告配信は順調に成果を出しており、「ある年には、前年の売上から145%アップ、ROASも140%近く改善したこともあった」という。

しかし、数年運用を継続するうちに、担当する2社とも効果が踊り場にさしかかり、キーワードを追加するたびにレポートが増え、管理工数が増加する悪循環にも陥っていたと當流谷氏は振り返る。

手動入札に戻した失敗事例と、手動運用から脱却した成功事例

そこで、売上向上と広告配信の工数削減をめざし、クライアントのうち1社の了解を得て、人海戦術によるキーワード登録から、自動入札に切り替えることにチャレンジしたのだ。

しかし、自動入札前後で売上は1.5倍に拡大したものの、CPAは2倍になり、ROAS(広告費用対効果)は2分1に減少してしまった。その結果、期待ほどの効果を得ることができず、手動入札に戻すことになった。

自動入札の失敗事例。売上は拡大したが、ROAS(広告費用対効果)が2分の1に

撤退後はしばらく手動運用で売上を伸ばす時期もあったが、効果を出すためにキーワードを増やせば増やすほど、工数が増えるジレンマに陥ってしまい、こうした状況からの脱却は課題だった。

そんな折、もう1社のクライアントで機械学習を用いた自動入札にチャレンジする機会があった。

1社目の失敗を踏まえて準備期間を設け、協議した上で機械化にチャレンジした(當流谷氏)

その結果、売上は昨年比で117%向上し、ROASも105%とやや改善する結果を出すことができ、手動での運用からの脱却にようやく光明が見える結果となった。

広告運用の効果を最大化する機械学習5つのポイント

両クライアントにおいて、広告配信の機械化になぜ明暗が分かれる結果となったのか。當流谷氏は「単に機械化をするだけで成果につながるわけではない」と述べ、成功事例、失敗事例を通じて見えてきたポイントを5つ紹介した。

ポイント① 自動入札のロジックを理解する

自動入札はブラックボックスと言われることがあるが、そんなことはない。ロジックのすべてが明示されているわけではないが、どんな情報が使われているかは公開されている。たとえばGoogleでは、目標CPAから目標達成のためのシミュレーションを実施。貢献できるキーワードから推定コンバージョン率を算定し入札金額を算出している。

その際に、アカウント全体の過去実績値や、オークションの時間帯、OS、デバイス、ブラウザーなどの「メディアしか持ち得ない」ユーザー情報をもとに機械学習を行い、入札を繰り返している

機械学習の入札ロジックは様々なデータによって構成されている

大事なことは、自動入札を導入する前に、運用担当者がロジックを理解する必要があることです(當流谷氏)

その一例として、當流谷氏は「自動入札に切り替えたあとの結果を見て、次にどういう入札を立てるか予想することが手がかりになる」と説明する。具体的には、ディスプレイ広告の場合は配信先のデータやドメインが、フィード広告の場合はクエリデータやフィード情報が機械学習のシグナルになっているという。

ポイント② 統計的有意差の判定ができる量の確保

2つめのポイントは、信頼するに足る統計量を確保することだ。データ量が多いほど、結果の信頼性が高まるため、機械にある程度の量のデータを学習させる必要があるのだ。

當流谷氏は「母数として、最低でも週に2,000インプレッションが必要だ」と述べる。また、重要なことはインプレッション数やコンバージョン数を分散させないことで、“自動入札に好まれやすい、広告の品質を正しく評価させる”アカウント構成にすることが望ましい。

具体的には、Googleが推奨する「hagakure」というアカウント構成にすることだ。當流谷氏は、8項目からなるチェックシート(下図)を示し、1つでもチェックがつけばアカウント構成を見直した方がよいと説明した。

アカウント構成を見直す判断を行うためのチェックシート

ポイント③ 質の高いデータを学習させる

自動入札の効果を高めるには「質の高い」データを学習させる必要がある。機械学習にも「良い学習」と「悪い学習」が存在するのだ。

自動入札では、キーワードA、キーワードB、キーワードC、というように、それぞれのキーワードが検索結果に上位表示されたときにどういう結果が出るかを評価する。

つまり、キーワードのポテンシャルを判断するためのデータを収集するのだが、例えば、このときに、衣料品の「ワンピース」と漫画作品の「ワンピース」が同じキーワードとして学習されてしまうと、関連性の低い検索クエリのポテンシャルが評価されてしまう。これは悪い学習だ。

衣料品のECを手がけているならば、「ワンピース 漫画」のような関連性の低いクエリは除外し、「ワンピース 通販」「ワンピース 服」「ワンピース かわいい」などのように関連性の高いクエリのみに広告が配信されるよう学習させる必要がある

また、メディア情報だけでなく、時間帯や場所、OS、ブラウザ、検索クエリなどの情報を追加し、機械学習のシグナルを増やすこともポイントとなる。

さらに、CPAの高いキーワードは配信対象から外すというように、配信キーワードを絞ることも重要だ。

ポイント④ 適切な目標設計

適切な目標設計も自動化を成功に導く大きなポイントだ。CPAに設定した金額などの目標値が、機械学習の“唯一の”判断基準となる。設定された目標を達成できるように、オークションごとに自動で入札を繰り返すのだ。

このときに、配信結果としてCPAの実績が2000円にもかかわらず、機械学習の目標値に「1000円」というCPAを設定してしまうと、機械学習のロジックは、「目標と実績の乖離を埋めるために極端に入札を下げ、配信量を減少させようと」してしまう。

その結果、CV率が高いユーザーに広告配信が偏り、データ量が減って学習が滞ることで、本来獲得できたはずのユーザーを取りこぼす可能性につながってしまうのだ。

そうした状況にならないため「目標値は、実績値よりも少しゆるく設定し、まずは学習を促進させることが重要だ」と當流谷氏は説明する。

ポイント⑤ 適正な学習期間を用意する

最後のポイントは、適正な学習期間を設けることだ。

機械学習による自動入札を開始した当初は、学習を行う特性上、挙動にバラツキが発生する(當流谷氏)

しかし、當流谷氏の経験では、ある程度の母数があり、設定さえしっかり行えていれば、約2週間ほどで学習期間は終わり、機械学習をもとにした運用が安定的に行えるようになるという。

よくある失敗のケースでは、この初動の振れ幅に耐えられず、慌てて目標値を頻繁に変えてしまうことが挙げられる。上述した失敗事例も、このケースに当てはまる。

結果を出すためには、信じて「待つ」ことも重要だ。最初はコスト消化が進みやすいので、予算を多めにとっておく方がよいと當流谷氏は説明した。

◇◇◇

現在、メディックスでは、クラウドでビッグデータ分析が可能なデータウェアハウスの「Google BigQuery」を活用し、広告主が保有する顧客情報などを連携させ、広告やメール配信に活用する仕組みを構築、提供しており、すでに運用事例も出はじめている。

當流谷氏は「機械学習を用いた広告配信自動化は、すでに身近な存在になりつつある。マーケターはその仕組みを理解し、使いこなすノウハウを蓄積し、時流に遅れないようにして欲しい」と述べ、今回説明した5つのポイントが参考になれば嬉しいと話して、セッションを締めくくった。

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