企業の文脈にユーザーを押し込めるのはNG。コンテキストを意識したウェブKPIを ~アクティブコアのユーザー会に潜入!
アクセス解析やLPO、レコメンドなどのツールを提供するアクティブコアは、同社のツールを利用しているユーザーを対象としたユーザー会を2月9日に開催した。「KPI」というテーマで開催された同社のユーザー会に潜入してきたので、その様子をレポートする。
今回で3回目となる同社のユーザー会の全体タイトルは「ウェブKPIについて語ろう」。会場となった新橋の第一ホテル東京には、同社のユーザー約90名が参加した。
ユーザー会は、アクセス解析やWebサイト運営に関するセミナーと懇親会の2部構成。第1部として開催されたセミナーは、次のようなプログラムで進められた。
- ページビュー至上主義の終焉?
~コンテキストを意識した効果的なウェブKPIについて - サイト訪問者をセグメント化して、成果に繋げる手法
~アクティブコア 新ソリューション・リリース計画 - ウェブKPIについて語ろう!(パネルディスカッション)
各セッションについて、ポイントを絞ってレポートしていこう。
ページビュー至上主義の終焉?
~コンテキストを意識した効果的なウェブKPIについて
基調講演として登壇したのは、ご存じキヤノンマーケティングジャパンの増井氏。「ページビュー至上主義の終焉?」というメッセージから、企業サイトをどうとらえ、どのように評価指標を定めていくべきかの考え方を、「コンテキスト」という切り口を中心に説明していった。
以前は企業サイトというと「検索エンジンから自社サイトに集め、そこでコンバージョンしてもらう」というストーリーで考えられていたが、ソーシャルメディアやスマートフォンなどによる環境の変化で、企業側の想定する枠組みにとどまらない生活者の動きが増えてきている。
そうした状況では、すでに生活者と企業の関係が変わってきており、「エンゲージメント」という言葉で示されるような、顧客主導のマーケティングの重要性が高まってきている。
「顧客主導のマーケティングにおいて重要なのは、顧客が主語となる文脈(コンテキスト)。それを企業が主語となるものにねじ曲げてしまわないことが大切」だと語る増井氏は、企業の考えた文脈にユーザーを合わせる(押し込めようとする)のは間違いだと指摘する。スイッチングコストが高くなる仕組みで自社の製品を使い続けてもらうように囲い込むという発想ではなく、さりげないキズナづくりの視点という考え方を含めていくべきだと述べた。
そのうえで、KPIについて説明する増井氏が最初に説明したのが、「経営層がWebサイトに期待することは何か」という点。企業Webサイトという場において、経営層の理解を得ることは重要だ。現場のためのKPIはもちろん重要なのだが、まず、経営サイドがどんなことをWebサイトに期待するかを解説した。
その観点では、自社サイトで定義している3つの価値要素「機会」「保証」「共感」を説明したうえで、それ以外に経営サイドへの説明資料として使いやすい指標として、日本ブランド戦略研究所の算出による「Webサイト価値」や、「のべ接客人分」を表すepm、BtoBサイトの売上貢献度などを紹介した。
自社はどんな企業か? コンテキストは?
企業Webサイトでどんな価値を提供できるのかを考えるためには、「そもそも自社はどんな企業か」を見極めることが必要だ。
自社のこと、商材、顧客を分析していく切り口を紹介した増井氏は、「世の中でいわれる“標準のKPI”にとらわれるのは、まったく意味がない。今自分たちが何をできているのか、そしてステップアップするにはどんな情報が必要なのかによってKPIは変わってくる」のだという。
アクセス解析の具体的な部分としては、
- 本当に必要ではない指標は、あえて気にしない
- コンバージョンは、「誰にどうなってほしいのか」から考えて設定する
- 最終ゴールよりも、その手前で複数のコンバージョンを設定して長期で追う
といったコツを示したうえで、スコアリングや分析を自動化していくことの重要性を説明した。
コンセプトダイアグラムで考えるコンテキストとKPI
そのうえで、KGIやKPIの設定の前段階として、コンセプトダイアグラムという手法を使って情報を整理するやり方を紹介した。
コンセプトダイアグラムでは、「誰に何をしてほしいのか」をビジュアルに整理していく手法。ゴールやその手前の過程でユーザーがどんなニーズやモチベーションをもってどんな行動をするのかを図で書き、それぞれの行動に対してサイトで提供する機能を当てはめていくことで、最終的なゴールに至る手前のそれぞれの過程でどんなKPIを設定してくのがいいのかが決めやすくなるのだという。
ゴールが何であり達成できているかどうかがKGI(ゴール達成度、結果)であり、そのゴールを達成するために必要な中間指標としてKPIを定め、そのKPIの要因を分解していくことで、KPIの変動に応じて「アクションできる」、意味のあるKPIを定められるのである。
そうした一連の流れを考えるのに、コンセプトダイアグラムは使いやすい手法だ。
単なるアクセス解析データとしてのKPIではなく、自社の状態やポジション、商材の性質、顧客のニーズや行動といった「コンテキストを意識する」ことで、さらに効果的なKPIとなっていく。その考え方や方法論を解説したセッションだった。
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