サイト訪問者をセグメント化して、成果に繋げる手法~アクティブコア 新ソリューション・リリース計画
サイト訪問者をセグメント化して、成果に繋げる手法
~アクティブコア 新ソリューション・リリース計画
続いて登壇したアクティブコアの代表である山田氏は、同社の全製品のエンジン設計や開発を担当する技術者でもある。その山田氏が、同社のサービスについて、過去1年のアップデート情報や今後の動きを含めて解説するとともに、「セグメント化」をキーワードにノウハウを解説した。
アクティブコアの主力製品は、次の3つ。それぞれの製品について、2011年にどんな機能を実装したか、アップデートしたかを解説した。
- エーシークルーザー(アクセス解析・広告効果測定)
- アドインサイト(行動ターゲティングLPO)
- エーシープロポーザ(レコメンドASP)
Facebookページ対応やスマートフォン対応といった環境の変化に対応したアップデート内容や、Web担当者がより使いやすく業務に活用できるようにするためのアップデートなど数十項目が2011年に実装されている。
そして、セッションの本題「サイト訪問者のセグメントとは?」に入る。
そもそもセグメントとは、「全体を分割したうちの1つ」という意味で、マーケティング分野では顧客(ターゲット)を属性ごとに区分した分類を指す。
サイト訪問におけるユーザー行動は、認知 → 情報収集/比較検討 → 顧客化という流れをファネル(じょうご)型でとらえることが多い。しかし、実際のユーザー行動は1つのファネル型では表現できないものであり、ユーザーは認知・情報収集・顧客化のそれぞれのステップで何回もサイトを訪れており、各訪問にファネルがあるイメージで考えるべきだと山田氏は言う。
実際に、同社のもつデータによると、ECサイトでもBtoBサイトでも初回訪問でコンバージョンに至るのは約35%程度。何度もサイトを訪れた後にコンバージョンする傾向が見られる。
また山田氏は、同様に同社のもつデータから、「新規訪問者とリピート訪問者」やECの「会員と非会員」でセグメント分けしてみると直帰率や平均滞在時間が大きく異なる状況を示し、サイト全体でこうしたデータを見た場合と姿が違って見えてくることを示した。
セグメント分けのパターンとしては、次のような例が紹介された。
- ECサイト: 非会員(新規顧客) vs 会員(リピーター)
- B2Bサイト: 新規(認知) vs 比較検討 vs 既存顧客
- コーポレートサイト/ブランドサイト: 認知がない vs ブランド認知がある vs ファン
セグメント化のステップとしては、次のような進め方を提案。
- 自社の訪問者の傾向を理解する。
- 重要な指標とアクションを洗い出す。
- コンバージョンに貢献する訪問者の行動を分析する。
- 訪問者をセグメント化して計測項目を決定する。
- 効果を検証し改善する。
コンバージョンに貢献するユーザー行動を見つけてそのアクションからセグメントを作成する方法や、機会損失セグメント(コンバージョン手前の行動はしたがコンバージョンには至らなかったパターン)を見つける方法を解説した山田氏は、「KPIを定める際には、全体平均でのデータで見るだけでなく、“セグメント+指標”で見るKPIも定める」ことの価値を強調した。
山田氏によると、同社のアクセス解析ツール「エーシークルーザー」では、次期バージョンで、自由にセグメントを作り、そのセグメントに限定してデータを確認したり分析したりする機能を搭載予定だという。また、そうしたセグメントは、同社の行動ターゲティングLPOツール「アドインサイト」やレコメンドツール「エーシープロポーザ」でも利用できるとして、活用する際のセグメントの組み合わせ方などの具体例を示した。
パネルディスカッション「ウェブKPIについて語ろう!」
続いてのセッションは、パネルディスカッション。サントリー、キヤノン、阪急交通社のそれぞれで、KPIをどのようにとらえているのか、具体的にどんなデータを見ているのかといったことについて各社が話した。
「KPIという表現で指標について明確に語ることは少ない」「事業部のWeb担当者と話していると、どういったマーケティング効果を求めるのかの目的定義がなされていない場合も意外にある」といったように、控えめに自己紹介をした各社だが、実際に現場で見ている指標の話になると、さまざまなデータをかなり詳しく見て分析していることがわかる。
広告では「特定のポータルサイトに出稿した広告からの最終的なコンバージョン・離脱・CPA」を担当者がかなり細かく見て広告予算配分を調整していたり、費用が発生しないメルマガでも購買に紐尽くプロセスとして細かくブレイクダウンし、「購読解除、開封数、クリック数、コンバージョン率、どの商品が売れたか、収益にどう反映したか」などを調べていたりといった様子だ。
また、ユーザー中心のセグメント分けによるマーケティング手法として興味深い例も示された。実際に購入しているユーザーへの調査結果を製品別・用途別にクロス分析することで選び方・購入ポイント・評価ポイントを多面的に分析し、それによって見えてきた「どんな用途で製品をどう利用しているのかの具体的なイメージ」から顧客をセグメント分けして、そのセグメントを広告クリエイティブに反映したり、コミュニケーションのシナリオを作ったりといったこともしているという事例だ。
取得できるデータからは見えてこない価値に関する悩みなども語られた。広告も種類によっては、単純な費用対効果だけを見ると悪く見えるものがある。しかし、単純な数値には表れない価値があると信じて活用している担当者としては、経営層にその「現時点で取得できる数値には表れてこない価値(貢献価値)」をどう伝えるのかが難しい場合があるのだという。
セミナー終了後は、会場を移しての懇親会。「コア会」と名付けられたこの懇親会では、アクティブコアのスタッフがユーザー企業のなかに入りコミュニケーションした。
会場では、ユーザー企業との窓口となる営業スタッフはもちろん、代表の山田氏が積極的に各社の話を聞いていたほか、顧客サポートのスタッフも参加しており、企業のWeb担当者と「いつもメールでやりとりしていますが、お会いするのは初めてですね」といったコミュニケーションが広げられていた。
アクティブコアのツールは使いやすいという魅力があるが、ユーザー企業の1社に聞いたところ、同社ツールの魅力として「実現したいことをリクエストすると、かなり積極的に実現してくれる」点を挙げていた。アクティブコアのツールは、ASPサービスであるにもかかわらず、個別企業のリクエストに対応してカスタマイズしていたり、他のユーザーにも価値があるものならば機能追加としたりといったことが頻繁に行われているのだという。
そうした顧客のニーズに応えようという姿勢がにじみ出ている懇親会だった。
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