投資のキホン計算を学ぼう
突然なんですか? 透視? 見えないものを見ようとするやつですか?
?! 「インベスト」のほう。お金の話だよ。NISAとか流行ってるでしょ。
あー、投資ですね!ニートしようと思ってるのですが、腰が重くて…。年ですかねえ。
ニートじゃなくてニーサね。 めっちゃシンプルな解釈をすると、複利だったら早く投資を始めたほうが、断然お得だよ。
複利というのは、利息が利息を生む仕組み…。もし100万円を年利5%で運用したら、5年後にはいくらになると思う?
えーっと、5%ずつ増えるんですよね。5%×5年で25%増えるから、125万円ですか?
2万円以上増えてる! なんか先輩、怪しいですね。フクリとかいう有名人に騙されてませんか?
これが「複利」の力なんだ。でも、投資するときは、くれぐれもうまい話には気を付けてね。じゃ、自分は出かけてくるね。
複利はうまい話じゃないんですか? ちょっと待ってください! 複利って何ですか! せんぱーい!!
昔から、算数も数学も苦手なアユムは、希望が叶ってマーケティング部門に異動してきました。Web担で見るような「すごいマーケターになりたい!」と胸を躍らせていたが、配属後、理想と現実のギャップに苛まれることに。データ、数字、%、小数。うわぁーん、どうしたら、数字に強くなれるのでしょうか……。
そこに現れたのが、大人向け数学教室「大人塾」を運営し、数学苦手な社会人に対して指導をしているアジアゾウをこよなく愛するモリさん。
この記事を読むべき人:複利計算が苦手な方
この記事を読む必要がない人:複利計算を理解している方
この記事でわかること:単利と複利の違い、複利計算の方法
まずは基本から!単利と複利はどう違う?
(アユムはモリさんを呼び出した!)
モリさん! 100万円を年利5%で運用すると、5年後はいくらになるんですか? 自分は125万円だと思ったんですけど、違うって言われて…。
なるほど。アユムさんは「単利」で計算したんですね。
はい。利息の計算には「単利」と「複利」の2種類があるんです。まずは単利から説明しましょう。単利というのは、最初の元本にだけ利息がつく計算方法です。
ガンポン。なんか難しい単語が続きますね。ガンポンは、元の金額という意味で大丈夫ですか?
そうです。元本100万円を年利5%で運用する場合、毎年の利息は100万円×5%=5万円です。
5年間、毎年5万円ずつ利息がつくので、5年間の利息の合計は5万円×5年=25万円。元本と合わせて125万円になります。
これが「単利」です。元本に毎年利息がつきます。しかし、実際の投資や銀行の預金では「複利」で計算されることが多いんです。
複利では、元本+利息(元利合計と呼ぶ)を次の年の基準として計算します。具体的に見ていきましょう。各年、次の年の金額(元利合計)は、(1+0.05)をかけることで求められます。
1年目:100万円×(1+0.05)=100万円×1.05=105万円
2年目:105万円×(1+0.05)=105万円×1.05=110.25万円
3年目:110.25万円×1.05≒115.76万円
4年目:115.76万円×1.05≒121.55万円
5年目:121.55万円×1.05≒127.63万円
そうか、2年目は105万円に5%をかけるんですね!
その通りです。1年目に増えた5万円にも、2年目には利息がつくんです。
なるほど…。でも、これって毎年毎年計算するの面倒じゃないですか?
はい、面倒ですね。ところで、これを数式に表すと
複利の計算式:元本×(1+利率)^年数 となります。
これはですね、「累乗(るいじょう)」の記号です。同じ数字を何回も掛けることを、まとめて表す書き方なんですよ。たとえば「2^3」なら、2×2×2。2を3回掛けるという意味です。
過去の記事でも詳しく解説していますよ。
すっかり忘れていました! (1+利率)の年数の分をかける?
そうです。今回の場合だと、100万円×(1.05)^5 ですね。
その通りです。5年分の計算をひとつにすると 100×1.05×1.05×1.05×1.05×1.05となりますね。
なので、100万円×1.05×1.05×1.05×1.05×1.05≒1.2762815≒127.6万円になります。
ということは、単利だと125万円、複利だと127.6万円で、差額は2.6万円ですね。
そうです。たった5年でも、複利のほうが2.6万円も多くなるんです。
なぜ「早く始めるべき」なの? 複利は長期ほど効果絶大
でも、2.6万円って、そんなに大きな差じゃないような…。
5年だと確かにそうですね。でも、期間が長くなるとどうなるか見てみましょう。
10年後は?
単利:100万円+(5万円×10年)=150万円
複利:100万円×(1.05)^10≒162.9万円
差額:12.9万円
さらに20年後は?
単利:100万円+(5万円×20年)=200万円
複利:100万円×(1.05)^20≒265.3万円
差額:65.3万円
そうなんです。これが先輩が仰っていた複利の力です。時間が経てば経つほど、差が大きくなっていくんですね。
これが、複利パワー! ヤー。投資は長期でやったほうがいいって聞きますけど、こういう理由なんですね。理解しました。
マーケターこそ知るべき!月次成長率5%の本当の意味
複利は投資だけじゃなく、ビジネスの成長を考えるときにも使えるんですよ。
たとえば、Webサービスの月間ユーザー数が毎月5%ずつ成長している場合を考えてみましょう。
1ヵ月目で1000人のとき、12ヵ月後には何人になる?
えーっと、金額の話じゃないんですよね。となると、会員は毎月5%ずつ増えるから…5%×12ヵ月で60%増える? つまり1600人ですか?
今の計算は単利の考え方ですね。さきほどの投資と同じです。毎月〇%増加と言われたら前月比です。複利の考え方で計算します。
1000人×(1.05)^12≒1795.86人(≒1796人)
あれ、約1800人! 60%じゃなくて、約80%も増えてる!
そうなんです。毎月5%ずつ成長すると、1年後には79.5%も成長するんですね。
じゃあ、「月次成長率5%」って聞いたら、年間では60%じゃなくて80%近く成長するってことですね。
その通りです。スタートアップ企業など、成長をアピールしたい企業が「月次成長率○%」という言い方をするときは、この複利の仕組みが使われています。
月次で言われたら、年換算して考えることも必要ですね。
その通りです。数字を見るときは、どのような計算の前提で出ているかを意識するといいですよ。
月3万円の積立投資、10年後はいくら? 毎月積み立てる場合の複利計算
ところで、最初に100万円じゃなくて、毎月3万円ずつ積み立てる場合はどうなるんですか?
おお、いい質問ですね。実は、それはかなり計算が複雑になるんです。
はい。毎月3万円を年利5%で10年間積み立てる場合、こんな感じになります。
1ヵ月目に入れた3万円は、120ヵ月間運用される
2ヵ月目に入れた3万円は、119ヵ月間運用される
3ヵ月目に入れた3万円は、118ヵ月間運用される
...
ひと月ごとに利息がつく期間が短くなっていくってことですね。これを全部計算するんですか?聞いただけで眠くなっちゃいました。
数学的には「等比数列の和」という公式を使うんですが、正直、手計算は大変です。
こういう場合は、Excelの関数を使うのが一番です。
はい。ExcelにはFV関数(Future Value=将来価値)という便利な関数があります。
=FV(利率/12, 期間, -積立額, 0, 0)
たとえば、毎月3万円を年利5%で10年(120ヵ月)積み立てる場合
=FV(0.05/12, 120, -30000, 0, 0)
※積立が月額なので、利率と期間を月にそろえている
積立額をマイナス(-)で入れるのはなぜなのでしょう?
FVなどの財務関数は、自分のお財布から出ていくケースをマイナスで計上します。それだと気持ち悪いので、「-」をつけてプラスで出るようにしているのです。
その通りです。この計算をすると、答えは約465万円になります。
465万円! 元本は3万円×120ヵ月=360万円だから、利益が105万円もあるんですね!
そうです。複利の力で、元本に対して約29%も増えるんです。
ただし、これはあくまで計算上の話です。実際の投資では価格変動リスクもあるので、必ずこうなるとは限りませんよ。また、利率がとってもよい投資話や、絶対もうかるなどという話はだいたい詐欺です。気をつけましょう。
実務で使える複利計算 。「毎年10%成長」は5年で50%増……ではない?
それでは、もう一問、挑戦してみましょう。
問題:ある会社の広告予算は、初年度100万円でした。毎年10%ずつ予算を増やしていくと、5年目の広告予算はいくらになるでしょうか?
これは複利の計算ですね! 100万円×(1.1)^5…。
えーっと、1.1を5回掛けると…。電卓使っていいですか?
1.1×1.1×1.1×1.1×1.1=1.61051
100万円×1.61051≒161万円ですね!
単純に「10%×5年=50%増え」だと150万円って思っちゃいそうですけど、実際は61%も増えてるんですね。
その通りです。複利で考えることで、より正確な予測ができるようになります。
これからは、成長率や利率を見たら、複利で計算しなきゃですね!
たとえば、売上が毎年5%ずつ減少する場合も、複利で計算します。100万円×(0.95)^5≒77.4万円。5年で約23%減ります。
イメージしやすい例だと、住宅ローンなども近いですね。残高に対して利息がかかる仕組みなので、期間が長いほど支払総額は大きくなりやすいんです。
単純に計算した25%より、実際は少ない22.6%の減少なんですね…。
ポイント
- 複利の計算式:元本×(1+利率)^年数
- 単利:最初の元本にだけ利息がつく
- 複利:利息にも利息がつく
- 長期になるほど、複利の効果は大きくなる
- ビジネスの成長率も複利で考えよう
- 積立投資の計算はExcelのFV関数が便利
今日の問題をおさらい
Q1. 100万円を年利5%で5年間運用すると、いくらになりますか?(複利計算)
100万円×(1.05)^5
=100万円×1.2762815...
≒127.6万円
答え:約127.6万円
Q2. 月間ユーザー数1000人のサービスが、毎月5%ずつ成長すると、12ヵ月後は何人になりますか?
1000人×(1.05)^12
=1000人×1.795856...
≒1796人
答え:約1796人(約80%増加)
Q3. 広告予算が初年度100万円、毎年10%ずつ増やすと、5年目の予算はいくらですか?
100万円×(1.1)^5
=100万円×1.61051
≒161万円
答え:約161万円
Q4. 毎月3万円を年利5%で10年間積み立てると、いくらになりますか?
ExcelのFV関数を使用:
=FV(0.05/12, 120, -30000, 0, 0)
答え:約465万円
(元本360万円、利益約105万円)