勘違い続出!「10杯で1杯無料」は10%オフじゃない!?
アユムさんは毎朝、会社の前のコンビニでコーヒーを買ってくるね。
はい、朝にコーヒーを飲むと、シャキッとしますからね!
そういえば、あそこのコンビニでは回数券があるよね。見たことがある。
はい、コーヒーの回数券は10杯の料金で11杯飲めるので、10%OFFです! 超お得。
えっ。だって、10杯飲んだら1杯分オマケなんですよ? 先輩、計算間違いをしていませんか?
もとにする数をしっかり考えようか。では、僕も仕事が始まる前にコーヒーを買ってこよう。
昔から、算数も数学も苦手なアユムは、希望が叶ってマーケティング部門に異動してきました。Web担で見るような「すごいマーケターになりたい!」と胸を躍らせていたが、配属後、理想と現実のギャップに苛まれることに。データ、数字、%、小数。うわぁーん、どうしたら、数字に強くなれるのでしょうか……。
そこに現れたのが、大人向け数学教室「大人塾」を運営し、数学苦手な社会人に対して指導をしているアジアゾウをこよなく愛するモリさん。
この記事を読むべき人:割引率の計算に自信がない方、回数券やサービスのお得感を正しく把握したい方
この記事を読む必要がない人:割引率を正しく計算できる方
この記事でわかること:「何杯分タダ」と「何%引き」の正しい変換方法
正しい「割引率」の求め方とは?
モリさん! 近所のコンビニでコーヒーの回数券を買ったんですが、10杯分の値段で11杯飲めるんです。これって10%引きですよね?
割引率の問題ですね。これは約9.09%引きです。10%引きではないです。
11杯のうち1杯がオマケで、オマケになった1杯を残りの10杯で割ると、1÷10=0.1、つまり10%引きではないんですか?
この〇%引き、割引率ってどうやって求めるんでしたっけ。
その通りです。まずは、割合の式を思い出しましょう。
割引率は…この連載が書籍になった『コレ解ける?おとな算数ゆるトレ』の190ページあたりを読むと…“割引いた金額”が比べられる量で、“割引前の価格”がもとにする量なので…
割引率=割引額/割引前の価格 です。
ということは、コーヒー1杯の値段はいくらかというと…。
いえいえアユムさん、ここでは、数値を当てはめて考えるだけで計算できます。
なんとなく、わかりやすそうな数を入れてみるのです。たとえば、コーヒー1杯を100円としましょう。11杯買うといくらですか?
しかし、実際の支払いは10杯分です。いくらですか。
表にしました。
| 項目 | 金額 |
| 11杯分の正規価格(割引前の価格) | 100円×11杯=1,100円 |
| 回数券で実際に払う金額 | 100円×10杯=1,000円 |
| 割引額 | 1,100円−1,000円=100円 |
| 割引率 | 100円÷1,100円=1/11≒9.09% |
1/11 ≒0.0909…。約9.09%! ほんとだ、10%じゃない。こうやって割引額と価格で計算すると、分母が10杯分ではなくて11杯分(1,100円)なのがはっきりわかりますね。
そうです。「オマケ」という表現と、「割引率」の計算では、見ている分母が違うんです。慣れてくると 1/11とすぐ出てきますが、最初は今回のように仮の金額を入れて計算するとイメージがつかみやすいですよ。
分母の取り違えが起きやすい理由
でも、「10杯買ったら1杯もらえる」という表現だと、どうしても10杯が分母な感じがしてしまうんですが…。
それがこの問題の引っかかりポイントです。「10杯買う」という行為に注目すると分母が10に見えますが、「割引率」を求めるときの分母は、お客さんが本来受け取れる価値の総量、つまり11杯分です。
「10%引き」は、“何杯分の価格で何杯もらえる”?
この“いくつか買ったら、ひとつオマケ”という仕組みは、コーヒーだけじゃなくて、日常生活によくある話ですよね。
あるあるです。たとえばキャンペーンの企画の「1個オマケ付き」を、割引率で表現したい場合です。「11個セットで10個分の値段」を「約9%引き」と伝えるか「1個オマケ」と伝えるかで、印象が変わりますね。
消費者がどちらを好むか考えて、打ち出し方を変えていくのがいいでしょう。
じゃあ、逆に「10%引き」にしようとしたら、何杯分の価格で実際には何杯もらえる計算になるんですか?
いい質問です。割引率10%は、割引額÷割引前の価格なので…。
10%=0.1=1/10
つまり、10杯分の価格のうち1杯分が割引額ということなので、9杯買ったら1杯もらえる設定が10%引きにあたりますね。
そのとおり。本来は10杯分の価格のところ、それを1杯分だけ割引して、実際は9杯分の価格で、1杯タダでもらえる計算です。
「10杯で11杯」じゃなくて「9杯で10杯」が10%引きなんですね!
はい! 分母を意識するとオトクがはっきりしますね!
最近老眼が進んでしまって、細かい数字がぼやけてきたんですが、「お得」という文字だけはなぜかくっきり見えるんですよね。
視力検査のところに「お得」という文字が書いてあったら検査結果がよくなりそうですね。
ポイント
- 割引率=割引額÷割引前の価格(=本来受け取るべき価値の総量)
- 「10杯分の値段で11杯」の場合、割引前の価格は11杯分なので、割引率は 1÷11≒約9.09%
- 「9杯買ったら1杯もらえる(9杯分で10杯)」が、正しく10%引き相当
今日の問題をおさらい
Q1. 10杯分の値段で11杯飲める回数券の割引率は何%ですか。
割引前の価格(11杯分)を基準として
1÷11=0.0909…
答え: 約9.09%
Q2. 割引率10%に相当する「〇杯買ったら1杯もらえる」の〇は何杯ですか。
割引率1/10=割引額(1杯)÷割引前の価格(〇+1杯)
1/10=1/(〇+1)
〇+1=10
〇=9
答え: 9杯