算数が苦手なマーケター向け「算数基礎講座」

割合やパーセントが苦手な大人必見! わかりやすい計算方法・考え方

20人に1人は、全体の人数の何パーセント? 大人でも計算できない人が意外と多い、割合やパーセント(%)の計算。その考え方や分数を使った計算のコツを解説します。割合を理解することで、大きさが異なるものを比較することが可能になり、比較対象の量や全体の量を算出することも可能です。

全社員の25%にあたる400人が解雇。解雇前の全社員数は何人?

先輩

アメリカの某ベンチャーでリストラだって。全社員の25%にあたる400人が解雇だって。

アユム

そうですか。すごい人数ですね!(“あたる”って何? くじ引き?)

先輩

つまり、全社員は1600人か。400人を一気に解雇って結構大きいよね、時代がどんどん変わってきているのを感じるね。

アユム

感じますね~(え、なんで社員の人数がわかるの?)。

昔から算数も数学も苦手なアユムは、希望が叶ってマーケティング部門に異動してきました。Web担で見るような「すごいマーケターになりたい!」と胸を躍らせていたが、配属後、理想と現実のギャップに苛まれることに。先輩との会話で出てきた、解雇前の社員数なんてどう計算したの? そこに登場した、大人のための算数講師のモリさんが割合に関して詳しく解説してくれます。

この記事を読むべき人: 数字や割合に対して苦手意識を持っている方。分数の計算を少し覚えている方

この記事を読む必要がない人: 割合の問題を難なく解ける方

この記事でわかること: 割合の意味
アユム

モリさん! 自分、数字が苦手過ぎてつらいです! パーセントが全然わかりません……。

モリ

一体、どうしたんですか?

アユム

“25%にあたる400人を解雇”っていう文面だけで、全社員数を求められるようになりたいです。

モリ

なるほど。割合の話ですね。

アユム

その、「割合」って昔から嫌いなんですよね。仕事でも「パーセント」ってよく出てくるんですが、大きいと褒められるくらいしかわからないです。

モリ

なるほどでは、パーセントについて解説していきましょう。

パーセントってそもそも何

モリ

世界がもし100人の村だったら』という本は知ってますか?

アユム

もし、地球が100人の村だったら、何人が男性で、アジア人が何人で、とかですよね?

モリ

はい、そうです。パーセントを日本語では、「百分率」といいます。まあ、100人の村だったら、ってイメージですね。先ほどの“25%にあたる400人を解雇”の25%だけに着目して、たとえば、100人の村人の内、25%にあたる、というのは何人だかわかりますか?

アユム

25人ですか?

モリ

正解です。では、100人の村のうち、25人を数直線で書いてみましょう。

100人の村人のうち25人。数値を表す線を数直線という

この25人のところが、実際には、400人だったんですよね。では、この村(某社)には何人の人がいるでしょうか。

アユム

え、これどうやって求めるんだろう。

モリ

今、100人の村だと25人のところ、某社では400人ですよね。これって25人の何倍ですかね?

アユム

400÷25で良いんですか? だとすると、16倍です!

モリ

その通りです。ということは、村の人数も16倍ですよね。

アユム

ということは、100×16=1600人、全体の人数は1600人ということですか。なるほど!

割合とはなにか

モリ

割合は、全体の内のどれだけにあたるか、ということを表します。それによって、全体の大きさが違っていても、比較できるようになるんですね。

アユム

??ちょっと、言っていることが、よくわかりません。

モリ

たとえば、セミナーのアンケートで「大変満足」と回答した人が多い方が良いセミナーだと評価されると仮定しましょう。
参加者が1000人のセミナーAと100人のセミナーBでアンケートをとったとき、セミナーAでは300人が大変満足と答えました。セミナーBでは50人が大変満足と答えました。さて、どちらのセミナーの方が良いセミナーだと評価されますか?

セミナーAセミナーB

参加者:1000人
大満足:300人

参加者:100人
大満足:50人

アユム

大変満足と回答した人数はセミナーAの方が多いですよね。

モリ

参加人数もセミナーAのほうが多いですよね。となると、参加人数のことも考えないと、公平な評価は難しいですね。 とにかく会場が大きくて、とにかくたくさん人を集めれば、大変満足な人も一定数いるでしょうから、よいセミナー、という結論になってしまいそうですよね。

アユム

それはそれでおかしいですね……。でも、そうなると、比較できないじゃないですか。

モリ

そこで役立つのが「割合」の考え方です。割合は、もとになる量、たとえば今回の場合はセミナーの出席人数ですが、これが違う場合でも比較できるようになります。

アユム

ふ~ん

モリ

セミナーAもセミナーBも100人の村にしてしまえば、そのうち、何人が大変満足と答えたかで、揃えて考えられるので、公平に評価できますよね。

アユム

その100人の村にしてしまうのが、「割合」なんですね。

ポイント

割合とは、全体(もとになる量)に比べて、比較対象(比べられる量)がどれだけにあたるか、ということを算出した値です。

パーセントは、百分率ともいい、計算の結果に100をかけて、単位に%をつけます。その他、歩合といい、割、分、厘…と表す単位もあります。こちらは計算の結果に10をかけます。

比べられる量 もとになる量 =割合

アユム

分数苦手です…。

モリ

分数苦手な方も多いですね。分数は、分子(上)÷分母(下)で計算します。割合など、ビジネスでは分数の形で考えるとわかりやすい指標が多いので、今は割合の分数の形と計算方法を確認しておきましょう。

アユム

はーい!

モリ

それではセミナーの評価を割合で比べてみましょう。
大変満足の回答者数 セミナーの参加者数 =大変満足の割合(%)ですね。
セミナーAは、 300 1000 =0.3
セミナーBは、 50 100 =0.5 です。

アユム

これを%にするには、100をかけるんでしたっけ?

モリ

はい、その通りです。100をかけると、小数点は右に2つずれます。

アユム

それは簡単ですね。となると、セミナーAは30%が大満足と回答、セミナーBは50%が大変満足と回答したことになりますね。

モリ

割合によって、参加者の人数によらずに評価を比べられるようになりました。では、どちらのセミナーの方が良いセミナーでしょうか?

アユム

なるほど、セミナーBの方が「大変満足」と回答した人の割合が高いので、良いセミナーはセミナーBということになりますね。

比べられる量を求める

モリ

では、50人の部署で、好きな動物についてのアンケートをとり、30%の人が「ゾウ」と答えたとき、ゾウ好きは何人いるでしょうか?

アユム

そんな部署ありますかね……。

モリ

想像は自由です。ゾウ好きが増えている実感があります。

アユム

(とりあえず、スルーしよう)30%は、小数に直すと、小数点を左に2つ動かすので0.3ですね。

アユム

となると、分数の形にすると……

比べられる量? もとになる量50人 =0.3

これは、どうやって計算するんですか?

モリ

分数は、分母と同じ数を分子にかけると、約分できるという性質があります。また、=でつながれた等式の片方を変形するときは、もう一方にも同じ数字をかけて、同じ値であることを保ちます。 なので、ここでは左辺に50をかけて分母を約分で消します。そして、左辺に50をかけるので右辺にも50をかけます。

比べられる量?×50 50 =0.3×50

アユム

なるほど。となると、今回のゾウ好きと回答した人数、つまり、比べられる量はもとになる量(回答者全員)×割合(0.3)で求められるんですね。ということは、ゾウ好きは 0.3×50=15 人か。

モリ

15人、ゾウ仲間がいたら、幸せな部署ですね。

アユム

(…?積極的にスルーしよう)なんか、これ、公式で習った気がする。すっかり忘れてる。

モリ

公式として、ひとつひとつ覚えると、忘れてしまいます。いろいろな事象に対応するために、最初の割合の分数の形を覚えておくとよいでしょう。そうすれば、計算で求めることができます。

比べられる量 もとになる量 =割合

アユム

なるほど。

もとになる量を求める

モリ

で、最初の解雇の話の場合は、全社員数、つまり、もとになる量を求める内容でした。

アユム

なるほど。となると、同じ分数の形で求められるということですね。

モリ

はい、やってみましょうか。

アユム

比べられる量、つまり、解雇された人が400人、全体、もとになる量がわからなくて、割合が25%、つまり、0.25。

比べられる量 400人 もとになる量 =0.25

アユム

これはどうやって計算するんですか? 分母が「もとになる量」なので、計算できなさそう。

モリ

分母を丸ごと打ち消しして、無理やり分母を消してしまいましょう。

400人×もとになる量 もとになる量 =0.25×もとになる量

アユム

400=0.25×もとになる量 ですね。

モリ

もとになる量を独立させたいので、両辺を0.25で割りましょう。こんな感じです。

400 0.25 0.25×もとになる量 0.25

アユム

ふ~ん

モリ

すると、もとになる量=400÷0.25 と計算できます。

アユム

電卓で計算します。1600だ!

モリ

はい。「もとになる量」をxにすると、中学校1年生のときに学んだ方程式に変わります。

アユム

なんか、割合の仕組みが少しわかりました。

モリ

はい、まずは基礎をしっかり理解して、少しずつビジネスで使う割合に慣れましょう。たとえばCVRやLTVなんかも割合の考え方ですね。分数で考えると楽です。

アユム

あれも、意味がわからないんですよね…。

モリ

はい、少しずつ理解を深めていきましょう。

今日のポイント

割合は、大きさの違うものを比較できる。

比べられる量 もとになる量 =割合

今日の問題をおさらい

Q1.全社員の25%にあたる400人が解雇。解雇前の全社員数は何人?

400 もとになる量 =0.25
もとになる量(解雇前の全社員数)=400÷0.25
答え:1600人

Q2.セミナーAは参加者が1000人で大満足と回答した人が300人。セミナーBは参加者が100人で大満足と回答した人は50人。どちらの方が大満足と回答した割合が多い?

セミナーA
300 1000 =0.3
0.3×100=30%
セミナーAで大満足と回答した割合は、30%

セミナーB
50 100 =0.5
0.5×100=50%
セミナーBで大満足と回答した割合は、50%

答え:セミナーB

Q3.50人の部署で、好きな動物についてのアンケートをとり、30%の人が「ゾウ」と答えたとき、ゾウ好きは何人いるでしょうか?

0.3×50=15
答え:15人

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