傾斜配分を説明できる? ストーリーで学ぶ「連比」
アユムさん、今度エヌさんが異動してくるから歓迎会やろう!
そうそう、レッサーパンダの威嚇している姿が好きすぎて、消灯後に暗くなった部署で1人レッサーパンダの威嚇の真似をしてストレス発散しているという噂のエヌさん。ところで、歓迎会にちょうどよい4人で総額25,500円の和食屋さんを見つけたんだ。
1人当たり…25,500÷4で、6,375円ですね。
いやいや、エヌさんの会費はみんなで負担しよう。残り3人で傾斜配分ね。
ケイシャハイブン? 会社が配分してくれるんですか?
それは会社配分。傾斜配分っていうのは、役職で差をつけて会費を決めることだよ。上司と僕が5:3、僕とアユムさんが7:4の比率で。
ゴータイサン、ナナタイヨン…鯛づくしですね! 鯛料理のお店ですか?
その鯛じゃない! 比率の対だよ! さて、全体でどういう比率になるか、そして、アユムさんの会費がいくらになるかわかるかな。
なんで僕が一番多くなるのさ。正解は35:21:12。だから、アユムさんは4,500円ね! じゃあ予約しとくね。
ちょっと待ってください! どうやって計算したんですか?
あ、もう次の会議の時間だ。計算の理屈はアユムさん、よろしく!
昔から、算数も数学も苦手なアユムは、希望が叶ってマーケティング部門に異動してきました。Web担で見るような「すごいマーケターになりたい!」と胸を躍らせていたが、配属後、理想と現実のギャップに苛まれることに。データ、数字、%、小数。うわぁーん、どうしたら、数字に強くなれるのでしょうか……。
そこに現れたのが、大人向け数学教室「大人塾」を運営し、数学苦手な社会人に対して指導をしているアジアゾウをこよなく愛するモリさん。
この記事を読むべき人:連比の考え方を理解したい方
この記事を読む必要がない人:連比の計算ができる方
この記事でわかること:比の考え方と連比の計算
「比」って結局なに? 基本からおさらい
モリさーん! 会費の計算が全然わかりません! タイが2尾出てくるとお手上げで!
それじゃないです、会費の傾斜配分の話です。合計金額は25,500円、上司:先輩が5:3、先輩:自分が7:4のとき、全体の比と自分が払う会費はどうなるんですか?
なるほど。全体にすると、上司:先輩:アユムさん=35:21:12 、アユムさんの負担は4,500円となるわけですね。
まずは比のおさらいをしましょう。比の基本についてはこちらの記事(相当算)も参考にしましょう。
えーっと、比は、複数の量をそのまま見比べて「aとbはこんな関係だよ」と示すものでした。
その通りです。そして、比の性質として、a:bのとき、aとbにそれぞれ同じ数をかけたり割ったりしても比の値は変わらないというのがあります。
頭の中で調味料をかけたりしてますが、そうじゃないですよね。
それじゃないです。たとえば、a:b=2:3のとき、2と3に同じ数をかけても比は変わりません。
その通り! その性質を使うと、2つの比をつなげられるんです。ポイントは「共通する部分を揃える」こと。
上司:先輩=5:3、先輩:アユムさん=7:4
この2つの式で、両方に出てくる人は?
共通部分を揃えよう! 先輩の数字を合わせる
では、共通する「先輩」の数字を揃えましょう。今は「3」と「7」で違いますね。
3と7を同じにする…? でも、3は3だし、7は7ですよね。
比の性質を思い出してください。同じ数をかけても比は変わらないんでしたね。
あ! だから3を大きくしたり、7を大きくしたりできるんですね。
その通り! では、3と7を同じ数にするにはどうすればいいでしょう?
えーと…3を7倍して21にする? 7を3倍して21にする?
偶然ではないんです。
【3の倍数】3, 6, 9, 12, 15, 18, 21…
【7の倍数】7, 14, 21, 28…
両方に共通する倍数の中で一番小さいのが21。これを「最小公倍数」といいます。
さいしょうこうばいすう…小学校で習った気がします!
そうです。通分するときにも使いましたね。では、それぞれの比を21に揃えましょう。
上司:先輩=5:3→先輩を3から21にするには?
正解です。もう1つは?
先輩:アユム=7:4→先輩を7から21にするには?
完璧です! これで先輩のところが揃いました。
上司:先輩:アユム = 35:21:12
わあ! つながった! 共通部分を同じ数にすればいいんですね!
実際に会費を計算してみよう!
総額25,500円を68で分けるので、比の「1」あたりの金額は?
375×12=4,500円! 先輩は375×21=7,875円、上司は375×35=13,125円ですね。
4,500+7,875+13,125=25,500円! ぴったり! やった!
これで完璧ですね。このように、2つ以上の比をつなげたものを「連比(れんぴ)」といいます。
レンピ…なんか響きが可愛いですね。連なってピッピって感じ?
レンピッピですか。少し懐かしい響きがありますね。語感だけだと、ゾウさんの子どもが母親の尻尾を鼻でつかんでついていく様子っぽいですよね。
もう一問チャレンジ! 4人の場合の連比
では、もう少し複雑な問題にも挑戦しましょう。今度は部長も参加の4人での飲み会です。
部長:課長=3:2
課長:先輩=5:3
先輩:アユム=4:3
総額32,000円のとき、各自の会費はいくらですか?
落ち着いて共通部分を順番に揃えていけばいいんです。まず課長を揃えます。
課長は「2」と「5」ですね。最小公倍数は10!
部長:課長=3:2 → 15:10
課長:先輩=5:3 → 10:6
よいですね。状況を整理するとこんな感じです。
部長:課長=15:10
課長:先輩=10:6
先輩:アユム=4:3
次は先輩を揃えます。
先輩は「6」と「4」…最小公倍数は12!
部長:課長=15:10
課長:先輩=10:6 → 20:12
先輩:アユム=4:3 → 12:9
あれ、でも課長の数字が変わっちゃいました。せっかくそろえたのに…
そうです。課長を20に変えたので、
部長:課長=15:10 → 30:20
と課長を揃えましょう。すると
部長:課長=30:20
課長:先輩=20:12
先輩:アユム=12:9 となります。
つまり…
部長:課長:先輩:アユム = 30:20:12:9
では、実際の金額を計算しましょう。まず、比率の合計は?
総額32,000円を71で分けるので、比の「1」あたりの金額は?
32,000÷71≒450.7…あれ、割り切れない!
では一旦、比の1あたりの量を450.7として会費を計算してみましょう。
それぞれが払う金額は
【部長】450.7×30=13,521円
【課長】450.7×20=9,014円
【先輩】450.7×12=5,408.4円
【アユム】450.7×9=4,056.3円 ですね!
その通りです!ですが、先輩とアユムさんの会費が小数になっていますね。実際の会費では、よくあることです。この場合、どう処理しますか?
それもひとつの方法ですね。または100円単位で丸めるのも現実的です。
なるほど。現実ではいい塩梅で〆るということですね。
ポイント
- 連比(れんぴ)とは、2つ以上の比をつなげたもの
- 共通する部分の数字を揃えることで、連比が作れる
- 同じ数をかけても比の値は変わらない性質を利用する
- 共通部分の数字を揃えるには、最小公倍数を使う
今日の問題をおさらい
Q1. 上司と先輩が5:3、先輩とアユムが7:4の比率で会費を払う。総額25,500円のとき、各自の会費はいくら?
共通する先輩を揃える3と7の最小公倍数は21
上司:先輩=5:3 → 35:21(×7)
先輩:アユム=7:4 → 21:12(×3)
上司:先輩:アユム = 35:21:12
【比の合計】35+21+12=68 総額25,500円÷68=375円(比の「1」あたり)
【アユム】375×12=4,500円
【先輩】375×21=7,875円
【上司】375×35=13,125円
答え:アユム4,500円、先輩7,875円、上司13,125円
Q2. 部長:課長=3:2、課長:先輩=5:3、先輩:アユム=4:3。総額32,000円のとき、各自の会費はいくら?
まず課長を揃える2と5の最小公倍数は10
部長:課長=3:2 → 15:10(×5)
課長:先輩=5:3 → 10:6(×2)
次に先輩を揃える 6と4の最小公倍数は12
部長:課長=15:10 → 30:20(×2)
課長:先輩=10:6 → 20:12(×2)
先輩:アユム=4:3 → 12:9(×3)
部長:課長:先輩:アユム = 30:20:12:9
【比の合計】30+20+12+9=71 総額32,000円÷71≒450.7円
割り切れない場合は、100円単位で丸めるなど柔軟に対応する
(例 部長13,500円、課長9,000円、先輩5,400円、アユム4,100円など)
答え:比率は30:20:12:9(実際の金額は端数処理が必要)
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