EPM「のべ接客人分」というサイトの新しい評価指標
今日は、企業サイトのような、直接の売上がたたないWebサイトの価値を示す新しい指標のお話しを。「のべ接客人分(epm)」という指標です。
端的に言うと、「のべ接客人分(epm:Experienced Person Minutes)」とは、サイトの「セッション数(延べ訪問数)×セッションあたりの平均サイト滞在時間」で算出した数値です。
たとえば、月間25万セッションあるサイトで、セッションあたりの平均サイト滞在時間が4分ならば、epmを求めると25万×4分=100万epmということです。
この100万epmをもって、「このサイトは、延べ100万人の人に1分ずつ接客したのに相当するメディアです」と表現するのです。多くの場合は企業サイトの評価は「何PVあった」「何UUあった」という測り方をすることが多いと思うのですが、この「epm」は、コーポレートサイトなどの価値を示す指標としてよくできている指標だと思いませんか?
特に、Webに詳しくない上司への説明に使う指標として考えると、テレビでいう延べ視聴率の「GRP」のようなわかりやすさがあると思いませんか?
このepmは企業サイトやサポートサイトのように明確なコンバージョンポイントのないサイト向けの指標であり、ECなどの直接売上がたつサイトや、コンバージョンポイントが明確な資料請求サイトなどでは、もっと直接的なコンバージョンをサイトの指標として扱うのがいいでしょう。
また、epmという指標はかなり「ざっくり」したものなので、サイトの価値を正確に見積もるための指標としては不十分です。たとえば、「月間160万ユーザー×平均訪問回数1.25回×平均滞在時間0.5分」と「月間1万ユーザー×平均訪問回数10回×平均滞在時間10分」が同じ100万epmになってしまうという点です。こういった面を補助的に表す指標として、たとえば「100万epm(幅広型)」「100万epm(ファン型)」のような説明があったほうがわかりやすいでしょう。
ただ、意外とよくできている面もあります。というのも、ほんとどのアクセス解析ツールでは直帰したセッションのサイト滞在時間がゼロ分となりますが、「サイトで接客した延べ人分」を示すepmでは、これをゼロ分で計算することで、「直帰した人=接客する前に帰ってしまった人と」して扱えるのです。
このepmという指標は、Web広告研究会の企業広報委員会セミナー「サイト評価指標の新しい形」(2011年8月25日開催)で、ネットイヤーグループの倉重氏が発表したものです。「新しい“ウェブサイトの評価基準”となるものを皆さんと一緒に考えることで、ウェブに関連する業務の付加価値の高さを改めて社内外に主張する意識を共有すること」を目的に考えられた指標の1つで、特に上層部にとって直観的にわかりやすい評価指標を定め、予算申請をスムーズに進めたいといった背景をもって考えられたものということです。
このepmという考え方をみると、アクセス解析やデータに詳しい人は「なんだその指標は」と首をかしげるかもしれません。でも、「Webに明るくない上司に対して、サイトの状況をわかりやすく示してパッと把握してもらう」ことを目的だと考えると、なかなかよくできていると思いませんか? みなさんの感想をお聞きしてみたいところです。
※倉重氏の資料ではepmの日本語として「サイト体験人分」という表現が使われていましたが、この記事ではわかりやすそうな「接客人分」という表現を使いました。
・8月25日(木)企業広報委員会セミナー(Web広告研究会)
→ https://www.wab.ne.jp/wab_sites/contents/1344
・社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会
→ https://www.wab.ne.jp/wab_sites/
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