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今の株式市場の混乱はオンラインビジネスにどう影響するのか?

この記事は2回に分けてお届けしている。前半の記事では、迫り来る世界的な経済危機の原因や状況をわかりやすく解説した。後半となる今回は、米国の金融危機がインターネット/検索業界に及ぼす影響と、その中でどのように事業を進めていけばいいのか、ランドからのアドバイスに耳を傾けてみよう。

インターネット/検索業界への影響は?

イメージ画像:株式市場

いいニュースがある。ハイテク株は、金融株とは異なる道をたどってきたことだ。グーグル、ヤフー、マイクロソフト、アップル、IBMといった大手ハイテク企業は、実に驚くほどの現金を保有しているし、ファンダメンタルズもかなり堅実だ。オンライン広告市場は弱含んでいるかもしれないが、開発途上国においてはインターネットの利用が驚異的なペースで加速しているし(グーグルは開発途上国を支援している)、先進国でも、ゆっくりとではあるが確実に伸びている。

個人的には、インターネット業界は今回のような混乱をうまく乗り切れるものと考えているが、そう思える要因は多数存在する。

  • ウェブビジネスは一般的に、不動産市場や金融市場との直接的な関わりがほとんどない(ただし、このところの金融破綻による市場全体の低迷の影響は避けられないが)。

  • ウェブの普及は世界中で進んでいて、ブロードバンドの利用も引き続き増加している(ただし、米国ではやや足踏み状態だが)。

  • ガソリン価格高騰により、車で出かけるよりも家でウェブを楽しむ消費者が増えた。

  • 景気が低迷すると、買い得の商品を探す人が増え、ウェブがそのための格好のツールになった。これまでも価格感応性とウェブの利用は関連付けられてきたが、この傾向は今後も続くと僕は予想している。

  • デジタル世代の人々が労働力の担い手となる時代が間もなく訪れる。そうなれば、ウェブが新たな経済の牽引力となる機会が飛躍的に高まる。

  • 検索の需要は減らない。投資家が臆病になって、金、銀、財務省証券を買うようになっても、世界のデジタル人口が検索をやめることはないからだ。裁量支出(教養娯楽や高級品購入など、基本的生活費以外の消費支出)は減るかもしれないが、そのうちオンラインで使われる割合は今後数年で増加し、低下するかもしれないコンバージョンレートを補うには十分だろう、というのが僕の予測だ。

  • SEOmozのコンバージョンレートは、市場が混乱しても下がっていない。つまり、SEOに興味を持ち、価値を見いだしている人々がいるということだ。事実、SEOmozのPRO会員登録を取り消す人も減っている。これがオンラインマーケティングの大きな流れを示すものではないにせよ、企業が今後もSEOに予算を割り当てることを確かに示唆している。コンサルティングの依頼件数が安定していることも、この予測にさらなる信頼性を加えている。

インターネットマーケターとウェブ新興企業へのアドバイス

僕に先見の明があるとはとても言えないけれど、この分野では多少の経験がある。2001年から2003年にかけて、ジリアンと僕は、景気の低迷、投資機会の喪失に見舞われ、市場は「ドットコム」と付くものは何でも見下すという大変な時期があったが、これを乗り越え、焼け跡から何とか会社を築き上げて成功させた。こうした経験から、えりすぐりのアドバイスを公開しよう。

  • 優秀な人材を安く採用しよう

    雇用状況が悪化したら、それは優秀な人材を得るチャンスだ。往々にして、景気が上向いているときよりも低い給与で雇用できる。ニューヨークの新興企業の中には、職を失ったばかりのハイテク技術者をさっそく雇い入れようとしている抜け目のないところもある。

  • 検証が容易で高い投資収益(ROI)が得られるプロジェクトに投資しよう

    ここは「待ち」の一手より、少々リスクの高い手段を選んで、迅速かつ容易に潜在的なROIを判断できるプロジェクトに投資する方をお薦めする。活気を失うことは、企業にとっても経済全体にとってもいいことじゃない。総じて、ビジネスで頭角を現す人というのは、景気が悪い時期に優れたプロジェクトに投資するガッツと知恵を持っているものだ。

  • 追跡可能な方法でマーケティングを行おう

    非電子的な形の広告(ブランド・マーケティング、テレビ、活字メディアなど)と同じくらい、インターネットを使ったマーケティングも効果の測定が難くなる場合がある。無駄な支出を減らすつもりなら、そうした分野への出費をカットし、SEO、PPC広告、電子メール・マーケティング、ウェブ広告などのように、売上高の増加に貢献していることを極めて詳細に監視できる分野にその分を再投資することだ。すべてのクリックを追跡することが可能なので、何に対して費用を払い、それがいくらの売り上げをもたらしたかを正確に知ることができる。

  • 「バーンレイト」に注意しよう

    「バーンレイト」(燃焼率)とは、資金が底を尽くまでの猶予期間を計算するための指標のことだ。投資や借り入れすら困難なら、財務の現状と今後の見通しが健全かどうかを再検討すべき時期だ。バランスシートとキャッシュフロー計算書をチェックし、半年から1年間利益が出なくても乗り切れることを確認しよう。もし乗り切ることが無理なら、選択肢は2つ、会社を急速に成長させてくれるような事業に投資するか、経費削減の方法を考えるかだ。前者の方がリスクが大きいように思えるが、適切に行うなら、予算や人員を削減するよりもはるかに魅力的で、賢明な方法になる可能性がある(経費を削減すると、往々にして売り上げも減らすことになる)。

  • 仕事に熱意を持とう

    いかなる時においてもこれは真理だが、経済が混乱すると、より長い時間、よりハードに働かなければならなくなり、人生の楽しみをいくらか諦める必要が出てくるかもしれない。こうした状況を救ういちばんの方法は、自分がしていることを好きになることだ。クリス・アンダーソン氏は、仕事熱心なアマチュアは退屈したプロに勝るとまで書いてるよ(^^)。

  • 自分自身でビジネスを立ち上げよう

    オンラインビジネスの非常に魅力的な点は、誰でも簡単に始められることだ。SEOmozの読者なら、ウェブで生計を立てる方法など、すでにいくつも知っているはずだ。自分にぴったりなニッチ分野を見つけて、飛び込んでみよう。うまく行かなったとしても、投資コストは意外なほど低額だ。

ウェブに波及する株式市場の嵐を乗り切るためにどんな計画を立てているか、みんながコメントしてくれるのを楽しみにしてるよ。

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