僕にとって、有料リンクに関する議論など必要ない。自分たちのサイトのためであろうと、クライアントのためであろうと、リンクは購入しないというだけの話だ。この記事では、なぜ僕らがリンク購入をしないかという基本的な理由を述べた。自分のリンク構築について、方針を明らかにするのはこれが初めてだ。
誤解されると困るのであらかじめ言っておくけど、僕はみんなに「リンクを買うな」と言おうとしているのではない。しかし、リンクを購入するのなら、自分が冒そうとしている危険について完全に理解しておくべきだ。それじゃまず、グーグルのポリシーから見ていこう。
グーグルのポリシー
まずは、グーグルのウェブマスター向けガイドラインにある「リンクプログラム」の項を見てみなくちゃ始まらない。そこには次のように書いてある。
リンクプログラムの例を次に示します。
- PageRankの操作を意図したリンク
- ウェブスパマーや不正なウェブサイトへのリンク
- 相互リンクおよび過度のリンク交換
- PageRankを転送するリンクの売買
マット・カッツ氏のブログでは、これらのポリシーについてさらに詳しく述べている。その中でも重要なものをいくつか挙げておこう。
病院で家族が脳腫瘍だと言われて、家に帰ってから脳腫瘍に関する情報をネットで調べたとしよう。
ガンマナイフに関する情報がペイパーポスト広告のブログ記事で出ていたら、それは除外して考えたいだろうし、お金をもらって書かれた記事ならその旨書いておいてもらわないと判断できなくて困るだろう?
検索エンジンも同じなんだよ。本当に知識をもって書かれたコンテンツでないならば、そうだということを検索エンジンに対して明らかにしてもらわないと困るんだよ。それがnofollowなどの方法なんだ。
- nofollowをつけていればPageRankを渡さないようになっているので、有料リンクだといっても取り締まりの対象だとは考えていない。
- ウェブマスターの視点からユーザーの視点に移しておかしいと思うようなリンクは、検索エンジンでも考慮の対象とする。
- グーグルはアルゴリズムだけでなく人力でもSEOスパム対策を講じている。
- ユーザーから提出された有料リンク報告がそのままアルゴリズムに組み込まれるわけではない。既存のアルゴリズムの精度をチェックしたり、将来のアルゴリズムの参考としたり、有料リンクを検出するためのツールを作ったりするために使われる。
- あなたのサイトでリンクを売ろうが何をしようが自由だが、同じようにグーグルも関連性の高い結果を検索ユーザーに提示するためなら何でもする。
- 有料リンクの報告はWebmaster Centralからと匿名のフォームからがあるが、グーグルが重みを強くとっているWebmaster Central経由が多い。
- 有料リンクの取り締まりを悪用して第三者を攻撃できないように、有料リンクを設置しているサイトをチェックするだけで、そのリンク先は規制の影響を受けない。
- アドセンスの違反(アドセンスのために意味のないテキストを組み合わせているスパムサイトなど)を報告するには、
- そのサイトのアドセンス広告にある「Ads by Google」をクリック
- 表示されたページで「今ご覧になった広告に対するご感想をお寄せください。」をクリック
- フォームが表示されるので送信する
補足インデックスに入ってしまったページの多くは、(有料リンクの取り締まりなどによって)外部からのリンクの価値が下がり、PageRankが足りなくなったものだ。
よくある不満と誤解
グーグルのポリシーについては、きちんと説明されていない部分も多い。そのいくつかをここでご紹介しよう。
ジム・ボイキン氏のブログ本文とそれに対するコメントを見てもわかるとおり、「Yahoo!カテゴリ」などのディレクトリサイトがどう作用するかについて、多くの混乱がある。結局のところグーグルは、強い編集ポリシーを持っているディレクトリからのリンクなら認めるだろうということだ。
たとえば、「Yahoo!ビジネスエクスプレス」サービスに申し込んで審査料の5万2,500円を支払ったからといって、それでYahoo!カテゴリへの登録が保証されたわけでは絶対にない。もし登録されたとしても、申し込んだのとは違うカテゴリに登録されるかもしれないし、サイトの説明が依頼したとおりになっているとも限らない。
ここで重要な点は、グーグルがヤフーの編集判断を信用しているということだ。ヤフーの編集者も間違えることはあるし、かなりひどいサイトがディレクトリに登録されていることも時にはあるのだけれど、総じてヤフーのディレクトリは高く評価されているということだ。
グーグルが重視しているディレクトリサイトはほかにもある。グーグルはリストを公表していないけれど、グーグルの基準を満たしているのは、全ディレクトリサイトの20%くらいしかないんじゃないかな。おそらくは、(ウェブ全体をカバーするような)正真正銘の水平型ディレクトリは少数で、特定の業界に特化した垂直型ディレクトリの方が多いと思う。グーグルはこちらの方に重きを置こうとしているからね。
さらに混乱する話をしよう。小規模企業の場合、300のディレクトリサイトからリンクを購入するとうまくいくことが多いという話を、かなりの数のSEO業者から聞くんだ。実際、そういうことがあるのかもしれない。
この問題全体をより複雑にしているのは、グーグルが「オプトイン」方式ではなく「オプトアウト」方式のやり方を採用していることだ。わかりやすく言うと、ディレクトリサイトにはPageRankの受け渡し能力を最初から与えないでおいて、人間が評価し、おメガネにかなった場合だけその能力を与える、というやり方ではないようなのだ。すべてのサイトと同じように、ディレクトリサイトにも最初はPageRankを受け渡す能力があって、何らかのアルゴリズムを使って、あるいは人間が評価した結果、不適切なサイトやディレクトリからはPageRank引き渡し能力が奪われることになる。
しかし、これは理解しておいてもらわなければいけないのだが、グーグルが目指しているのは、怪しげなディレクトリサイト(料金を取って何百というディレクトリのリンクを提供しているプログラムを含む)からリンクを購入しても、何の価値ももたらされないようにすることだ。
それなら、ペイパーポストという仕組みには価値があるはずだという意見の持ち主もいる。これはまさにYahoo!カテゴリの評価作業のようなもので、ブロガーは自分が良いと思ったものでなければ、たとえ報酬をもらってもその話題について書こうとはしないだろうというわけだ。問題となるのは、この仕組みがリンクジュースを受け渡すという考えの下に発展したという点だ。そしてグーグルは、ブロガーが報酬を貰って何かに関する記事を書くという、その動機を快く思わない。
「グーグルはウェブをコントロールしようとしているが、彼らにそんなことをする権利はない。グーグルは僕らにリンクを購入するなと言うが、これは僕らのウェブであって彼らのウェブではない」という主張もある。広告目的のリンク購入に対するグーグルの意見は、次のようなものだ。
有料リンクがすべてわれわれのガイドラインに違反するというわけではない。
リンクの売買は、広告目的で行われるのであればウェブにおける通常の経済活動の範囲内だ。
しかし、検索結果の操作目的ということであればそうではない。
広告を目的として購入したリンクであれば、そのように明示しなければならない。それには以下のような方法がある。
- リンクタグに「rel="nofollow"」という属性を付ける。
- 「robots.txt」ファイルで検索ロボットを排除した中間ページに、リンクをリダイレクトする。
いいかな。nofollow属性なんていうとクライアントは怒りだすかもしれないが、そのことで彼らを責めることはできない。SEO専門家でない小さなウェブサイトの所有者は、nofollow属性が何かなんて知りもしないのだから、イライラするのも当然だ。しかし、リンク売買があまりに目に余るものにならない限り、グーグルが行うのは、単にリンクにPageRankを転送させないようにすることだけだ、ということは覚えておいたほうがいいだろう。
グーグルは、サイトに対してリンク売買の権利を公然と認めている。ただし、グーグルが示しているガイドラインの範囲内でそれを行うのであれば何の問題もないけれど、もし範囲を逸脱している場合は、購入したリンクが見つかったら、そのリンクが無効になり、グーグルからの検索トラフィックを一部ないしはすべて失う可能性がある。だが彼らは、決して君のリンク売買を妨げているわけではない。
グーグル自身が、アドワーズ広告およびアドセンスを通じてリンクを販売している。その通りだ。しかし、君のアドワーズ広告キャンペーンは、君のサイトにPageRankをまったく受け渡していない(だからここまで論じてきたPageRankを受け渡すリンクの範疇に含まれない)。
まずは、どんなリンクが有料リンクとしてグーグルに目を付けられるのかを説明した。後編では、さらに詳しく有料リンクの危険性を解説し、どんなリンクなら大丈夫なのかを説明しよう。→「なぜ有料リンクがヤバいのか? グーグル八分の再来?――僕ならリンクは買わない(後編)」を読む
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