有料リンクとは? - ブラックハットSEO大全#08
ブラックハットSEO(悪質なSEO)を知り、避けるためのこのコーナー。記事を読んで理解した内容は、SEO会社への発注時に具体的に聞いたり、自社サイトの対策状況をチェックしたりといった使い方をしてほしい。
「有料リンク」とは
対価を得てページ上に設置しているリンクのうち、検索エンジンによるリンクの評価がリンク先に受け渡される状態のもののこと。
どんな手法か詳しく解説
サイト上にリンクを設置することで対価を得ていて、それが通常のリンクであれば、ほとんどの場合は有料リンクとみなされます。
ただし、リンクの評価(PageRankなど)をリンク先に受け渡さない状態になっていれば、有料リンクだとみなされません。リンク評価をリンク先に受け渡さないようにするには、次の2つの方法のどちらかを使います。
以下のいずれもしていないリンクを販売すると有料リンクリンクにnofollowを付ける
HTMLの例
<a href="http://example.com" rel="nofollow">リンクテキスト</a>リンク先のURLをリダイレクト(転送)用のURLにして、そのリダイレクトページを検索エンジンがインデックスしないようにrobots.txtで指定する
HTMLとrobots.txtの例
HTML:
<a href="/ad/1">リンクテキスト</a>robots.txt:
User-agent: *
Disallow: /ad/1
バナー広告なども有料でリンクを設置していますが、一般的な広告配信システムは上記のような方法でリンク評価を受け渡さないようにしているため、有料リンクだとはみなされません。
有料リンクだと判断されるかどうかのポイントは、あくまでも「リンク評価がリンク先に受け渡されるかどうか」です。Webサイト管理者が検索エンジン向けではなく訪問者がクリックして移動してもらうための広告としてバナー広告を有料で掲載している場合でも、リンク評価が受け渡される状態であれば有料リンクだとみなされてしまいます。
ブラックSEO会社はなぜこの手法を使うのか
SEO会社は、順位を上げるページの評価を上げるために、そのページに対して張られているリンクの数を増やす施策を行います。しかし、自然なリンクを獲得するのが難しい場合や、自然なリンクだけでは競合に負けてしまう場合に、被リンクを作為的に増やして検索エンジンからの評価を高めようとします。
その際に、他のサイトに対価を支払ってリンクを掲載してもらうことで、被リンク獲得の手間と時間を節約しようとすることがあるのです。
なぜこの手法が問題なのか
検索エンジンは、ページの評価を受け渡すリンクの売買を、ガイドライン違反として明示しています。
有料リンクを Google に報告する必要がある理由(ウェブマスター ツール ヘルプ)
PageRank を転送するリンクの売買は、Google のウェブマスター向けガイドラインに対する違反となり、検索結果におけるサイトのランキングに悪影響を与える可能性があります。
……(中略)……
Google では、過度のリンク交換や購入したリンクでの PageRank の転送など、検索エンジンの結果の操作を目的としたリンクについては評価を下げるように努めています。リンク プログラム(ウェブマスター ツール ヘルプ)
相互リンクに参加している一部のウェブマスターは、リンクの品質、ソース、自分のサイトに与える長期的な影響を無視して、相互リンクだけを目的としたパートナー ページを作成しています。これは Google のウェブマスター向けガイドラインに対する違反となり、検索結果におけるサイトのランキングに悪影響を与える可能性があります。リンク プログラムには次のようなものがあります。
- PageRank の操作を意図したリンク
- ウェブ スパマーや不正なウェブサイトへのリンク
- 過剰な相互リンクやリンク交換
- PageRank を転送するリンクの売買
検索エンジンスパムとは?(Yahoo!検索インフォセンター)
以下は、検索エンジンスパムの例です。
……(中略)……
検索エンジンが付与する表示順を不正に上昇させているウェブページ
こうして検索エンジンが明確にガイドライン違反としているにもかかわらず、堂々とリンク販売を行っているSEO会社も数多くあります。
注意すべきは、「この企業の製品についてブログ記事を書いてくれれば1記事150円支払います」といったブロガープロモーションサービス(ペイパーポストと呼ばれます)を利用して記事を書いてもらう場合に、記事のなかに特定のリンクを含めるように指示していれば、有料リンクだとみなされる場合があることです。この場合、記事を書くブロガーが対価を得てリンクを掲載していることになるからです。
そのため、「このサービスに参加して書く記事内からリンクを張る場合は、リンクにrel="nofollow"属性を付けること」といった条件を付ける必要があります。
ちなみに、商用サイトのYahoo!カテゴリへの登録にはYahoo!ビジネスエクスプレスでの料金支払いが必要なため、これが有料リンクだといわれる場合もありますが、同サービスの料金は「掲載の料金」ではなく「審査の料金」であるとして、現在は有料リンクだとはみなされていません。
NG度+行った場合のリスク
NG度の表記について | |
---|---|
1 | 無意味な対策です |
2 | サイトの評価が下がる場合があります |
3 | サイトの順位が下がる場合があります |
4 | サイトの順位が大きく下がる場合があります |
5 | サイトが検索結果から削除される場合があります |
NG度:4
※サイトの順位が大きく下がる場合があります
サイトの順位を上げるために有料リンクを購入していて、そのリンクがリンク売買によるものであると検索エンジンが判断した場合には、リンクの評価がなくなり、さらにリンクを販売していたサイトの評価が大きく下げられます。
- リンクを購入していた側は、有料リンクから得ていた評価がなくなり、そのぶんだけ順位が落ちます。
- リンクを販売していた側は、有料リンクを設置している限りは、ペナルティとしてサイトの評価が大きく下げられ、順位が大きく落ちます。
ただし、有料リンクはプログラムで判断しづらいものであるため、競合や第三者からの報告によって判明する例が多いようです。過去にあった有料リンクだとする報告と、それに起因すると思われるペナルティの発動の例をいくつか紹介しておきましょう。
- 日経BPネットが有料リンク掲載、明らかなSEO目的でGoogleを挑発中?
- 有料リンク販売は地方自治体の新財源?
- 有料リンク販売がバレて商工会議所のサイトがPageRank降下
- 日本でも有料リンク販売サイトにPageRankペナルティ発動
通常は、リンクを購入していた側が大きくペナルティを受けることはありません。もしリンク購入側にペナルティを与えるようになっていれば、第三者がライバルのサイトへの有料リンクを勝手に購入してライバルを陥れることが可能になってしまうからです。
しかし、明らかにリンクを購入していることが判明した場合は、リンク購入側がペナルティを受ける場合もあるようです(ペイパーポストで有料リンクを購入したために、日本のグーグルのPageRankを米グーグルが引き下げた例があります)。
どうすれば見つけられるのか
サイトに対して張られているリンクが有料リンクかどうか(有料リンクを購入しているかどうか)は、リンク元サイトを1つずつチェックして調べます。リンクの周辺に「PR」や「AD」といった広告的な表記があり、かつrel="nofollow"がない直接リンクである場合は、有料リンクの可能性があります。リンク元の調査方法は、ワードサラダの回で説明したリンク元の調査方法を参考にしてください。
とはいえ、実際にはあるサイトに対して張られているリンクが有料リンクかどうかは、そのリンクを獲得した人に確認するしかありません。サイトの支出のなかに有料リンクの支払いのような項目がないか確認しましょう。
自社サイトで有料リンクを販売しているかどうかは、サイト上の各リンクに関して、リンクの設置を指示した人に確認するしかありません。
もしやってしまっていたら
有料リンクを購入していたら、その契約を終了させましょう。有料リンク購入や有料リンク販売が検索エンジンに突き止められてペナルティを受けてしまった場合は、購入または販売していた有料リンクをすべて削除したうえで、Googleウェブマスターツールに登録し、サイトの再審査依頼をしましょう。
まずは、自分で管理しているサイトのリンク元を確認することから始めてみてください。
コメント
nofollowも、robots.txtで
nofollowも、robots.txtでの指定も付いていないが、有料じゃないリンクは案外多い気がしますが…。
プレスリリースサイトなでも、こういう指定がなくPagerankが受け渡されるものもあるので、そこまで有料リンクとしてペナルティ対象にはならないかと思いますが、いかがでしょうか。
リンク設置の目的によると思われます
編集部の安田です。「有料じゃない」は「有料の」の書き間違いだと想定して返信しますね。
有料リンクは厳密に定義しようとすると非常に難しいものです。
最終的には「検索エンジンがNGと評価するものがNG」としか言いようがないのですが、判断の1つの基準としては「検索エンジンがなくても同じことをしていたか」というものがあります。
ページの隅のほうに小さく掲載しているキーワードリンクのかたまりは、検索エンジンがなければ設置しなかったものかもしれません。でも、プレスリリースサイトで参照先にリンクを張るのは、検索エンジンがなくても行うことでしょう。
そういう視点から考えると、プレスリリースサイトで、掲載されている情報に対して関連のある情報へのリンクが掲載されている場合は、そのリリースサイトへの情報掲載が有料だからといって「有料リンクである」と即断される可能性は低いのではないかと思います。
ただし、そのプレスリリースサイトの表玄関で「うちでプレスリリース出すとリンクがnofollowじゃないからSEO効果あるよ」と大々的に言っていたら、検索エンジンに目を付けられる可能性はあるかもしれませんが。。。。