ブラックハットSEO大全

有料リンクとは? - ブラックハットSEO大全#08

結構な金額を投じたのに結果として通報等によって効果がゼロになってしまう危険な施策だ
株式会社イトクロ+Web担編集部 2010/11/12 8:00 |

ブラックハットSEO(悪質なSEO)を知り、避けるためのこのコーナー。記事を読んで理解した内容は、SEO会社への発注時に具体的に聞いたり、自社サイトの対策状況をチェックしたりといった使い方をしてほしい。

ブラックハットSEO大全

「有料リンク」とは

対価を得てページ上に設置しているリンクのうち、検索エンジンによるリンクの評価がリンク先に受け渡される状態のもののこと。

どんな手法か詳しく解説

サイト上にリンクを設置することで対価を得ていて、それが通常のリンクであれば、ほとんどの場合は有料リンクとみなされます。

ただし、リンクの評価(PageRankなど)をリンク先に受け渡さない状態になっていれば、有料リンクだとみなされません。リンク評価をリンク先に受け渡さないようにするには、次の2つの方法のどちらかを使います。

以下のいずれもしていないリンクを販売すると有料リンク
  • リンクにnofollowを付ける

    HTMLの例
    <a href="http://example.com" rel="nofollow">リンクテキスト</a>

    ※「rel="nofollow"」を付けると、そのリンク先にはリンク評価を受け渡さないという指示になります。
  • リンク先のURLをリダイレクト(転送)用のURLにして、そのリダイレクトページを検索エンジンがインデックスしないようにrobots.txtで指定する

    HTMLとrobots.txtの例

    HTML:
    <a href="/ad/1">リンクテキスト</a>

    robots.txt:
    User-agent: *
    Disallow: /ad/1

    ※robots.txtの指定は、検索エンジンのクローラーに対して、「/ad/1」というURLへのアクセスを禁止する内容です。リンク先との間に検索エンジンがアクセス(インデックス)できないページがあるため、リンクの評価が受け渡されなくなります。

バナー広告なども有料でリンクを設置していますが、一般的な広告配信システムは上記のような方法でリンク評価を受け渡さないようにしているため、有料リンクだとはみなされません。

有料リンクだと判断されるかどうかのポイントは、あくまでも「リンク評価がリンク先に受け渡されるかどうか」です。Webサイト管理者が検索エンジン向けではなく訪問者がクリックして移動してもらうための広告としてバナー広告を有料で掲載している場合でも、リンク評価が受け渡される状態であれば有料リンクだとみなされてしまいます。

ブラックSEO会社はなぜこの手法を使うのか

SEO会社は、順位を上げるページの評価を上げるために、そのページに対して張られているリンクの数を増やす施策を行います。しかし、自然なリンクを獲得するのが難しい場合や、自然なリンクだけでは競合に負けてしまう場合に、被リンクを作為的に増やして検索エンジンからの評価を高めようとします。

その際に、他のサイトに対価を支払ってリンクを掲載してもらうことで、被リンク獲得の手間と時間を節約しようとすることがあるのです。

※しかしながら、有料リンクを購入しているサイトに対抗するために、有料リンクを購入してしまい、競争が激化し、さらなるリンクの購入が必要になってしまうなどの状況も発生しているようです。そのため、特定のビックワードなどでは上位表示の競争が激化しすぎているため、上位表示のためには有料リンクが不可欠になってしまっているなどの現象も起こってきてしまっているようです。

なぜこの手法が問題なのか

検索エンジンは、ページの評価を受け渡すリンクの売買を、ガイドライン違反として明示しています。

  • 有料リンクを Google に報告する必要がある理由(ウェブマスター ツール ヘルプ)

    PageRank を転送するリンクの売買は、Google のウェブマスター向けガイドラインに対する違反となり、検索結果におけるサイトのランキングに悪影響を与える可能性があります。
    ……(中略)……
    Google では、過度のリンク交換や購入したリンクでの PageRank の転送など、検索エンジンの結果の操作を目的としたリンクについては評価を下げるように努めています。

  • リンク プログラム(ウェブマスター ツール ヘルプ)

    相互リンクに参加している一部のウェブマスターは、リンクの品質、ソース、自分のサイトに与える長期的な影響を無視して、相互リンクだけを目的としたパートナー ページを作成しています。これは Google のウェブマスター向けガイドラインに対する違反となり、検索結果におけるサイトのランキングに悪影響を与える可能性があります。リンク プログラムには次のようなものがあります。

    • PageRank の操作を意図したリンク
    • ウェブ スパマーや不正なウェブサイトへのリンク
    • 過剰な相互リンクやリンク交換
    • PageRank を転送するリンクの売買
  • 検索エンジンスパムとは?(Yahoo!検索インフォセンター)

    以下は、検索エンジンスパムの例です。
    ……(中略)……
    検索エンジンが付与する表示順を不正に上昇させているウェブページ

こうして検索エンジンが明確にガイドライン違反としているにもかかわらず、堂々とリンク販売を行っているSEO会社も数多くあります。

注意すべきは、「この企業の製品についてブログ記事を書いてくれれば1記事150円支払います」といったブロガープロモーションサービス(ペイパーポストと呼ばれます)を利用して記事を書いてもらう場合に、記事のなかに特定のリンクを含めるように指示していれば、有料リンクだとみなされる場合があることです。この場合、記事を書くブロガーが対価を得てリンクを掲載していることになるからです。

そのため、「このサービスに参加して書く記事内からリンクを張る場合は、リンクにrel="nofollow"属性を付けること」といった条件を付ける必要があります。

ちなみに、商用サイトのYahoo!カテゴリへの登録にはYahoo!ビジネスエクスプレスでの料金支払いが必要なため、これが有料リンクだといわれる場合もありますが、同サービスの料金は「掲載の料金」ではなく「審査の料金」であるとして、現在は有料リンクだとはみなされていません。

NG度+行った場合のリスク

NG度の表記について
1無意味な対策です
2サイトの評価が下がる場合があります
3サイトの順位が下がる場合があります
4サイトの順位が大きく下がる場合があります
5サイトが検索結果から削除される場合があります

NG度:4
※サイトの順位が大きく下がる場合があります

サイトの順位を上げるために有料リンクを購入していて、そのリンクがリンク売買によるものであると検索エンジンが判断した場合には、リンクの評価がなくなり、さらにリンクを販売していたサイトの評価が大きく下げられます。

  • リンクを購入していた側は、有料リンクから得ていた評価がなくなり、そのぶんだけ順位が落ちます。
  • リンクを販売していた側は、有料リンクを設置している限りは、ペナルティとしてサイトの評価が大きく下げられ、順位が大きく落ちます。

ただし、有料リンクはプログラムで判断しづらいものであるため、競合や第三者からの報告によって判明する例が多いようです。過去にあった有料リンクだとする報告と、それに起因すると思われるペナルティの発動の例をいくつか紹介しておきましょう。

通常は、リンクを購入していた側が大きくペナルティを受けることはありません。もしリンク購入側にペナルティを与えるようになっていれば、第三者がライバルのサイトへの有料リンクを勝手に購入してライバルを陥れることが可能になってしまうからです。

しかし、明らかにリンクを購入していることが判明した場合は、リンク購入側がペナルティを受ける場合もあるようです(ペイパーポストで有料リンクを購入したために、日本のグーグルのPageRankを米グーグルが引き下げた例があります)。

どうすれば見つけられるのか

サイトに対して張られているリンクが有料リンクかどうか(有料リンクを購入しているかどうか)は、リンク元サイトを1つずつチェックして調べます。リンクの周辺に「PR」や「AD」といった広告的な表記があり、かつrel="nofollow"がない直接リンクである場合は、有料リンクの可能性があります。リンク元の調査方法は、ワードサラダの回で説明したリンク元の調査方法を参考にしてください。

とはいえ、実際にはあるサイトに対して張られているリンクが有料リンクかどうかは、そのリンクを獲得した人に確認するしかありません。サイトの支出のなかに有料リンクの支払いのような項目がないか確認しましょう。

自社サイトで有料リンクを販売しているかどうかは、サイト上の各リンクに関して、リンクの設置を指示した人に確認するしかありません。

もしやってしまっていたら

有料リンクを購入していたら、その契約を終了させましょう。有料リンク購入や有料リンク販売が検索エンジンに突き止められてペナルティを受けてしまった場合は、購入または販売していた有料リンクをすべて削除したうえで、Googleウェブマスターツールに登録し、サイトの再審査依頼をしましょう。

まずは、自分で管理しているサイトのリンク元を確認することから始めてみてください。

もし有料リンクを販売しているサイトがあった場合、有料リンクを報告のフォームを使ってグーグルに報告することもできます(ただし、Googleウェブマスターツールへの登録が必要です)。現在の検索エンジンの仕組みでは有料リンクを自動的に効率良く発見することが難しいため、そうした報告はグーグルにとっても役に立つようで、昨今では日本のグーグルも有料リンク報告に対して迅速に対応しているようです。
用語集
Googleウェブマスターツール / HTML / PageRank / SEO / nofollow / robots.txt / インデックス / クローラー / リンク / 検索エンジン / 被リンク / 訪問者
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

アクセシビリティ
広義には、障害者、高齢者を含むすべての人間が、同じレベルでサービスや機器、施設を ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]