ここ数週間程の間に、取り上げたくなるおもしろいニュースがたくさんあった。ただ紹介するのも何だから、僕の意見も添えて書いてみよう。
- ※Web担編注
参照先の記事は、Search Engine Landによる米国での検索エンジンの人気比較。英語情報だが、リンク先のグラフを見ていただくとイメージはつかめるだろう。グラフ中の略称はデータの計測者を示す。
- CS:comScore
- NR:Nielsen//NetRatings
- HW:Hitwise
- CP:Compete
大筋で言うと、Googleが引き続き伸びており、MicrosoftによるLive.comはしばらく人気が落ちていたが変化なしまたは計測によっては伸びているというもの。
検索エンジンの市場シェアなんて、本当の所は誰も知らない。comScoreだって、Nielsenだって、Hitwiseにだってそれはわからない。これらの調査会社がその主張どおり、人口統計学的な多様性や特徴のデータを本当に扱っているのなら、これほど数値に差が出ることはないんじゃないか。実際には、最初に言ったことと逆になるけど、Yahoo!、News Corporation、Hearstなど、規模の大きい独自ドメインを数多く管理する大手メディア企業なら、どの検索エンジンが検索の何割くらいを扱っているのか、おそらく実感しているだろう。各検索エンジンが、どうして毎月のユニークビジター数とユニーク検索数を発表しないのか、さっぱり見当がつかない。そうしたデータがあれば、広告の販売や知名度の強化に役立つだろうに。何かマイナス面でもあるんだろうか?
この話については、SEO Book.comのAaron Wall氏が3月26日に書いて、それを読んでから僕も考えるようになった。コンテンツの整理が行き届いていると、ページ滞在時間は減るけど、記憶やブランド化は強まるって話。だとすると、一般的に成功の尺度だと捉えられている指標は、少し逆になるかもしれない。平均的な読者が、SEOmozの記事1本を見るのに70秒しかかけていないとなったら、ブログをもっと面白くして、さらに対象を絞ったものにしなきゃと僕なら思うな。読者の滞在時間が短いのを見て、コンテンツの整理とレイアウトがうまくいった、とは思わない。ユーザビリティの専門家Jakob Nielsen氏の調査が示唆するのは、レイアウトが優れたものになると、良い結果を得ているのに、実は「悪い」指標を目にすることになるってことだ。
- ※Web担編注
参照先の記事は、大筋では、「キーワード広告とSEO(自然検索への最適化)を両方うまくやると、それぞれを別にやるよりも効果が相当上がり、1+1=3となる」というもの。その手法とは、「キーワード広告でパフォーマンスの高いキーワードを見つけてSEOす」「自然検索からの誘導でパフォーマンスの高いキーワードには必ずキーワード広告を打つ」「自然検索で存在感を上げればキーワード広告に費やすコストを減らせる」「ブランド名のキーワードに対して防衛的な対策をとる」「検索ユーザーのアクションの各段階で、キーワード広告とSEOはそれぞれ異なる段階にアピールできる」といったあたり。
これはいやな話だ。だって、キーワード広告をもう一度学び直さなくちゃならないでしょ。僕がキーワードを得意にしていた3年前ならまだしも、状況は完全に変わっていて、トップのキーワード広告と、アルゴリズム検索結果でトップにつけることの両方が揃ったときに生まれる「特別な」認知度は、実現に向けて取り組む価値が本当にある、ということらしい。この辺は、多分Rebeccaに丸投げできそう(笑)。
SEM関連の記事を募集し、優秀な人に賞品が提供されるこのコンテストは、昨年Ben Wills氏が受賞して、大々的に始まった。彼はブログを止めてしまったけど、カンファレンスでは、大騒ぎするファンの一団を引き連れた彼を今でも見ることができる。今年は少し厳しくなるかもしれない。というのも、記事の提出は1度しかないけど、プラス面として賞の総額が最大1万ドル相当になり、内容も良いのが盛りだくさんだから。もちろん、今年も僕は審査する側なんだろうな(笑)。
Google爆弾アルゴリズムの証明
※Web担編注Google爆弾(Googlebomb)とは、多くのページから特定の言葉でリンクを張ることで、対象のページでその言葉が使われていなくても、検索エンジンでその言葉が検索されたときに対象のページを上位に表示させる手法。有名な例では、Googleで「miserable failure(哀れな失敗)」を検索すると米ジョージ・ブッシュ氏の自己紹介ページが1位に表示されるというものがあった。Googleは2007年になって悪意のあるGoogle爆弾が効かないようにアルゴリズムを変更している。
Google爆弾対策のアルゴリズム更新は完全に自動化していて、手作業で語句を対象に加えることはないと語るMatt Cutts氏とそのチームを、いつもなら信じる。でもそうなら、この検索結果(Oswald Cobblepot)の第3位は取り除くべきなんじゃないのかな。アンカーテキストを使った爆撃に対抗する何らかのアルゴリズムが存在するなら、これは引っかかるはずだ(Googleが早々に変更を加えるかもしれないから、スクリーンキャプチャを貼っておこう)。
なぜこんな検索結果が出てくるのか、不思議に思っている人に説明すると、MattがRebeccaに仕掛けた単なる悪ふざけ。内輪ネタみたいなもの。僕らはといえば、Googleの順位ネタの完全なオタクで、暇な時間に友人にちょっかいを出しているだけだ。
- ※Web担編注
参照先の記事で新聞というメディアが消えない理由として挙げられているのは、インターネット接続が高速でないエリアも多くITリテラシが高くない人は存在するし、ローカルな情報はインターネットメディアのトップページには出てこない、なによりも、新聞は変わり続けていること、などだ。
Lisa Barone氏の記事にリンクしているのは、この問題を扱った最高の仕事だから。僕自身の見方もこれに近い。新聞や従来型のメディアは一部で後退するかもしれない。しかし、Robert Scoble氏の子供たちが同氏のブログほどに読まないとしても、世界に本当の価値をもたらすインフラは、メディア出版業界が完全崩壊するにはあまりにも強大だ。協力関係や提携やアクセス性などで新聞が作り上げたシステムは、ブロガーにとって及びもつかないものだ(報道機関みたいに組織化し始めない限りは)。
Neil Patel氏がSEO事業者を代表してJason Calacanis氏の発言にピシャリ
※Web担編注参照先の記事では、The Jason Calacanis WeblogのJason Calacanis氏による「SEO市場の90%は嘘つきセールスマンが作っており、そういったSEO事業者と契約するのは、役に立たない商品を作ってる企業だ」という発言に対する、SEO業界からの客観的な答を示すNeil Patel氏による記事。Pronet AdvertisingのNeil Patel氏がSEO手法を指示してJason氏がそのとおりやってみるという挑戦をし、提案内容の10%しかサイトに反映してないのに1週間で検索エンジンからの誘導が20%以上増えている。
この記事を書いたToddに本当に感謝する。ブログのタイトルに使いたいとかねがね思っていたけど、リンクするだけでかなり気分が良くなった。検索エンジンに好みがあるというのが、SEOの真実だ。検索エンジンは機械的に動作し、自動化アルゴリズムによって機能しているのだから、それに関して経験をたくさん積めば、何が効果的で何がそうじゃないのか、本当に優れた知識が身に付く。ほかのスキルと同じことで、黒魔術のようなものはない。経験を積んだシェフが、香りと肉の上に置いた指の感覚でステーキの焼け具合を知るように、そして偉大な配管工が、水漏れする水道管の音を聞くだけで、どこが悪いのか言い当てるように、優れたSEOの専門家も順位の問題を診断して、修復や手助けができるんだ(ただし僕らの仕事には、膨大なマーケティングの知識が必要)。
Googleがヨーロッパからのスパムへの対策に乗りだす
Googleがこの問題に本気なんだと示す3つの記事があり、多くの動きも見て取れる。Viktor Nebehaj氏が東ヨーロッパについて語った記事をはじめ、Stefanie(ミュンヘンで初対面したばかり。素晴らしい女性)の書いた最新のスパム報告、そしてMatt Cutts氏もダブリンに展開中のGoogleスパム担当者たち(中でもBrian White氏)について、ブログで言及した。これは最近のご時勢を表すものだ。Googleは米国発のスパムに関して、何らかの有効な対策を手にして、この問題の8割をもたらしていた20%のサイトに対処できたと捉えている。そしていま、その対策をヨーロッパに持ち出そうとしているんだ。ダブリンのGoogleチームが具体的に追いかけている有名な悪党は結構な数に上り、連中は怖がっているに違いない。
- ※Web担編注
参照先の記事では、Pronet AdvertisingのMG Siegler氏が、Digg(米国で大人気のソーシャルニュースサイト)のコメント機能がうまく作り込まれておらずDigg上でのコメントが役に立っていないため、どうすればDiggのコメント機能を有益なものにできるかを、読者から得たコメントなどを元に述べている。なかでも、Slashdotで使われている「カルマ」ポイントを用いたコメント(投稿者)のモデレーションシステムが有効なのではないかという話題だ。
誰もが知っているように、現状のDiggのコメントシステムは、最高に意地が悪くて嫌らしくて、なおかつ変な奴らにとって有利に働いている。辛らつで人を傷つけるようなコメントが多くのdiggポイントを獲得し、目に留まりやすい位置にある。ユーザーがカルマという評価点を持ち、「funny」の印がついたコメントを算入しないSlashdotのシステムが有効だという点で、僕はNeilに賛同する。今よりも専門性が高く、尊敬に値する評者のコミュニティが出来上がるだろう(手遅れではないという希望をもって)。話は変わるけど、この機会にSEOmozでコメントしている人たちに感謝したい。このブログの議論が、一貫して建設的かつ有益なのは驚くべきことだ。
- ※Web担編注
参照先の記事では、Diggで人気を集めるための手法が述べられている。友人に手伝ってもらう、Digg上で友人を多く持つ、ネット以外の知り合いに初期の勢い付けを手伝ってもらう、記事タイトルでユニークな形容詞を使ったり/ありふれたフレーズを避けたり/クリックしないと損しそうな価値を感じられるものにしたり/興味深い質問をしたり/「最高の」「ものすごい」といった権威付けする単語を使ったり/写真があるならそれを「写真付き」のように明示したり/トップ10やベスト20のリストにしたり/異常に長いまたは非常に短いものにしたりする、コメント機能を有効活用する、過去に人気があったトピックを扱う、など。さらに、Diggの暗黒面やマーケティング活用についても述べている長文エントリだ。
Daniel Tynski氏がまたYOUmozに投稿してくれた。Diggで評価を集める素晴らしいアイデアや戦略をたくさん披露しているよ(他所のリンクベイト用ポータルにも有効だ)。
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