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『ウェブ進化論』で語られなかった大切なこと

Web 2.0的ビジネスを支える黄金ルールの「真実」

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「顧客のロングテール」思考で優良顧客以外にも売れる

菅谷氏によれば、クリス・アンダーソンの論は、視点が商品であるところに限界があるという。つまり、何を売るかに主眼を置いているため、売れる頻度の低いものを切り捨てずに売るという発想になる。しかし、本当に必要なのは、商品ではなく「顧客」の視点であり、これによってロングテールが初めて「現実的」な戦略になるというのが菅谷氏の意見だ。

パレートの法則では、「20パーセントの優良顧客が、売り上げの80パーセントを占める」。そのため、優良顧客を増やすことが売り上げ増加に直結するので、優良顧客に対して手厚いサービスをしようということになる。めったに買ってくれない客のところへ行くよりも、いつも買ってくれる客のところへ行くのが、優秀な営業マンだというわけだ。1人の人間にできる仕事量には限界があるのだから、対面でサービスを提供する場合には、これは完全に正しい。

売り上げとバランスをとるべきコストは、この場合は新規顧客獲得および既存顧客フォローにかかるコストである。営業マンが出向いて商品の説明をするより、電話や郵便によるダイレクトマーケティングの方が効率はいいが、電子メールによるダイレクトメールならば、郵便料金よりも格段にコストが安いうえ、労力も少なくて済む。自社のサービスを知っている見込み顧客を得ることについて、ネットをはじめとする情報通信技術は大きく寄与してくれる。

次のステップは「優良顧客を育てる」ということだ。対面型のサービス提供の場合の、新製品が出たら新しい資料を持って説明に行くとか、ある商品を買った人に関連の商品を紹介するといったことである。ECサイトならば、それを機械にやらせることができる。いつもたくさん買ってくれる人にも、たまにしか買ってくれない人にも、同じように新製品やキャンペーン、関連商品の情報を提供する。これが、ECサイト上ならば低コストで簡単に行える。顧客とのコミュニケーションコストが下がったことにより、20パーセントの優良顧客以外もフォローすることができるようになったというわけだ。つまり、商品のロングテール部分ではなく、「顧客のロングテール」部分を増やすのである。

データベース化と機械化がロングテール成立の鍵

また、このアプローチでさらに重要なのは、顧客とのコミュニケーションを自動化する点にある。いくらインターネット経由で情報提供できるといっても、顧客ごとにサービス内容を人間がすべてピックアップして入力していたのでは、さして労力の削減にならない。顧客情報をデータ化し、そのデータを元にしてどのような情報を提供すべきかをルール化し、顧客のアクションから情報提供までを自動化することがもっとも重要なのである。

たとえば、アマゾンでは、本を買うと「この本を買った人はこんな本も買っています」というメッセージが表示されたり、メールで新刊の案内が届いたりする。もし書店の店員が同様のことをするとしたら、ものすごく記憶力のよい人間である必要があるうえ、もしかしたら顧客はうっとうしいと感じるかもしれない。機械化することによって、おしつけがましさが薄まるという効果もあるという。

ビジネス戦略としてロングテールを取り込むとき、グラフの横軸に何をとるかをじっくり考えてみる必要がある。商品の種類を増やすのは業種によってはリスクだが、顧客はデータなのでリスクはない。顧客フォローの物理的な限界を自動化によって排除できれば、これまでつかみそこねていた売り上げを新たな顧客から得られるのだ。

※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウVol.3』 掲載の記事です。

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