『ウェブ進化論』で語られなかった大切なこと

『ウェブ進化論』で語られなかった地に足の着いた企業ウェブサイトの運営と取り組み

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『ウェブ進化論』で語られなかった大切なこと

地に足の着いた企業ウェブサイトの運営と取り組み

Web2.0に殺されずにネットをビジネスに活用するための心構え

2006年は『ウェブ進化論』を皮切りに、数多くの「Web 2.0本」が出版され、大手書店では専用コーナーができるなど、ちょっとしたブームとなった。そんななか、9月に『Web2.0が殺すもの』という刺激的なタイトルの書籍が登場した。著者である宮脇睦氏の「Web 2.0に浮かれすぎるのは危険」という言葉は、地元の中小企業のウェブサイト制作に携わる自身の実感として発せられたものだ。企業がウェブへ進出するときに本当に大切なことは何かを“現場の視点”から訴える。

宮脇 睦(みやわき あつし)

注目されるWeb2.0の正体とは「都市伝説」+「祭り」?

『ウェブ進化論』が大ベストセラーとなり、グーグルの時価総額膨張も手伝ってか「Web 2.0」という単語が席巻している。目新しい言葉を見つけると一斉に飛びついてしまうのは、IT、コンピューター業界の悪弊といってもよいだろう。

「i-○○」や「e-○○」という名前を付けて大はしゃぎしていた時代を、「○○2.0」はなぞっている。

業界特有の佃煮にするほどウヨウヨいるコンサルタントの影響や、Web担当者と決裁権の問題、秒進分歩で常識が変わるなどの理由があるが、ブログだ集合知だロングテールだと新しい単語に飛びつけばすべてが解決するかのように喧伝するさまは、もはや新しい都市伝説だともいえるだろう。

クライアントとともに泥臭くコンテンツ作りをしている「現場」からすると、「商売に役立つウェブサイトの作り方」からはほど遠い「祭り」にしか見えない。

「集客力」を磨くことがビジネスの重要ポイント

経営コンサルタントから「経営でもっとも大切なものは資本だ」と聞いたことがある。なるほど「経営」はそうかもしれないが「商売」は違う。商売においてもっとも大切なものは「お客様」だ。利益は、誰でもないお客様が運んでくるのだ。

リアルビジネス(=ウェブ上で完結しない商売や店舗を構えているという意味)ならば簡単な話で、まずチラシを撒き、DMを発送し、新聞や雑誌に広告を掲載して「客を集める」ことから始める。店の看板も客を集めるのが目的のため、テナント契約が済めばできる限り早く設置するのがセオリーだ。ところがウェブとなると、この集客の発想がないところが多いのだ。

さすがに本誌の読者は「作っただけで客が来る」とは思っていないだろうが、SEOやSEMも集客のための技術である。メルマガもブログも集客ツールとして機能する。しかし、掲載するコンテンツは議論しても「集客」を本気で議論していることは少ないのではないだろうか。

広告など金を払って業者に任せてしまう集客方法もある。同時に、名刺や封筒といった「アナログのアプローチ」からの集客も一考の余地はある。手前味噌になるが、筆者の名刺はちょっとした工夫がしてあり、名刺交換した方のほとんどに覚えていただき、ウェブサイトにアクセスしたいと思わせるような仕掛けがある。本気でウェブサイトに訪問してもらいたいと思うのなら、集客という視点を本気で考えなければならず、できることはなんでもするという貪欲さを持ちたい(図)。

図 地道な集客活動で成功した好例、株式会社マツブン刺繍。足立区六町にある刺繍工場のサイトで、いわゆるWeb 2.0的技術は一切使っていない。契約しているサーバーの制限もありCGIも使えなかったが、きちんと作り込んで「集客」に力点を置くことにより、初年度に1,020万円の粗利益を担当者1人で達成した。翌年の単月最高粗利益は450万円を達成して業績は拡大中。時間も費用もほとんどかけずに小さく試して、結果が出てから大きく投資する理想的な流れとなった。
http://www.matsubun.com/

コンサルタントには「ブログで集客」を勧めている方もいるが、それには賛成しかねる。あなたが眞鍋かをりや古田監督ならばそれも1つの方法だが、彼らはブログで有名人になったわけではなく、有名人が綴るブログということで注目されたのだ。ブログ依存は危険だ(コラム参照)。


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