「進化論」以前に成すべきサイト運営基本のキ
ウェブサイトの目的・目標設定と効果測定手法を明確に言えますか?
『ウェブ進化論』は、言ってみれば“経営陣に対してWeb 2.0的考えへの変革を促す書籍”だと言えるだろう。しかし、残念ながら、現場のWeb担当者への具体的なアドバイスは非常に少ない。特集記事の後半では、大変化の波に乗る前に確認しておかなければいけないこと、変化の大波に隠された危険な落とし穴に飲まれないための心得など、「大変化」を前に現場の担当者が考えるべきこと、成すべきことを示す。
TEXT:編集部
協力:菅原裕(CreatorsNet)
Web 2.0の前にしておくべきことは?
まず、Web 2.0への大きな変化に関する話をする前に、大前提となる非常に大切なことを考えてほしい。
あなたが担当しているウェブサイトの目的は何だろうか。ウェブサイトの目標、つまり成功とみなす条件は何だろうか。その目標をどうやって測定しているのか。
うまくいっているウェブサイトの取材では、こういった質問に対して、Web担当者からは即座にしかも具体的な回答が得られることがほとんどだ。
断言しよう。どんなウェブサイトでも、目的・目標・効果測定を明確にしておくことは必須である。そこをしっかりせずに『ウェブ進化論』も「大変化」もない。それ以前の話だ。
サイトの目的
ページビュー(PV)数や訪問者数は、あくまでもサイトにどれだけの人が来て、どれだけの情報を見たかの指標に過ぎない。あなたのサイトには、その人に何らかのアクションをしてもらう、最終的な目的があるはずだ。考えられるサイトの目的としては、次のようなものが挙げられる。これらを組み合わせて全体の目的を明確に設定するといいだろう。
●売り上げ/利益
最もわかりやすい例だろう。ECサイトならば、集客やPVが大切だとしていても、実際にはほとんどの場合は売り上げが目的となるはずだ。場合によっては、ウェブサイトでの販促活動によって実店舗での売り上げアップをねらう場合もある。
●見込み客の獲得
無料セミナーに来てもらう、資料請求をしてもらう、製品情報を問い合わせてもらう、など、営業があとからコンタクトをとるための見込み客を増やすことが目的の場合も多い。最終的には売り上げだが、サイト上では売り上げまで結びつけない場合の目的がこれになるだろう。
自治体や教育機関、医療機関のサイトでは、入学者や来院者の誘導がこれにあたる。
●イメージアップ
ブランディング、コミュニティ形成、ファン形成などさまざまな形があるが、売り上げに直結しないが長期的な視点でのイメージアップも、目的としては明確でいいだろう。ブログなどでスタッフの素顔を見せるのもある意味ではイメージアップにつながることもある。
●マーケットリサーチ
サイト上でのアンケート実施やさまざまな情報の掲載を通じて、潜在顧客のニーズを把握することを目的とするのもありだろう。うまくいけば市場調査やグループインタビューでは得られない隠れたニーズを発見できるかもしれない。TVCMの効果をウェブのアクセス数で測るのも今や一般的な手法だ。
●既存の顧客サポート
ソフトウェアやハードウェアの更新情報や、家電の取り扱い説明書などを掲載したり、自動車のメーカーがドライブ情報を掲載したりといった内容がこれにあたる。
自治体や教育機関、医療機関のサイトでは、ごみ収集日や行政手続き情報、授業カリキュラムの公開、休講情報などがこれだ。
●人材募集
見落とされがちだが、ウェブサイトの役割としては非常に大きい。人材募集サービスを利用したとしても、応募者は必ず企業のウェブサイトを見に来るものだ。優秀な人材を獲得するための情報掲載ならば、目的はここに設定するべきだろう。
●情報伝達
会社概要、会社の地図、製品情報、チェーン店や販売店への新製品情報の連絡など、直接的/間接的な自社の売り上げアップにつながらない情報提供だ。ただし、会社概要と地図、社長挨拶の提供だけが目的というサイトは、他の目的を持てないか再考するべきだ。
●IR
Web担当者が直接触れることは少ないかもしれないが、サイトの目的として定義して然るべきものだ。自治体や教育機関、医療機関のサイトでは、予算・決算や契約・入札情報などがこれにあたる。
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