ベンダーよりもCMSに詳しくなる! 4つのステップで進めるCMSの情報収集
CMSを選定するための4つのステップとは
コンテンツを効率よく管理するためのCMSだが、美しい成功事例やスムーズな製品デモに魅せられてしまったために、選定を誤ったり、導入に難航したりする場合がある。さらには期待した効果が得られないどころか、かえって足かせになってしまう場合さえある。
今回は、筆者がCMSを理解し使いこなせるようになるために実践してきた4段階のアプローチを具体的に紹介したい。その4段階とは、
- コンテンツ管理の基本的な考え方を理解する
- CMS導入事例から学ぶ
- CMS製品を洗い出す
- 実際に使ってみて現実を知る
というものだ。CMSの選定や導入を始める前の事前準備として、この4つの段階的アプローチをお勧めしたい。この情報収集によって、CMSの現状と将来像についての理解を深めれば、CMSをどう活用できるのか、活用すべきなのかがより明確になるだろう。
(1)コンテンツ管理の基本的な考え方を理解する
CMSでは、これまでいろいろなソリューションが提案されてきた。CMSという概念そのものがあいまいだった時代から進化と淘汰が繰り返され、バージョン管理やテンプレート、ワークフローなど、特定の基本的な機能を共通で持つようになってきた。これは偶然ではなく、これまで多くの開発者や利用者によって提案され、開発され、支持され、洗練されてきたコンテンツ管理の考え方が反映されていると考えることができる。
まずは、この考え方、意義や背景、アプローチについて、理解しておく必要がある。とくにバージョン管理やテンプレートなどの基本機能は、すぐに理解したつもりになりがちだ。ここで今さら根本的な考え方に立ち返る理由は2つある。
- 製品を評価する際に、どこまでが王道アプローチで、どこからが製品特有の特徴なのかがわかるようになる。
- 製品のデザインや使い勝手、スムーズなデモなどに感情移入することなく、製品の開発者が採用した根本的なアプローチに意識が向かうようになる。
特定のCMS製品に関する情報ならGoogle検索などで見つかるが、普遍的な「コンテンツ管理」の理論については、情報がまとまった書籍などを読むことをお勧めしたい。今回は書籍とレポートの2つを紹介しておこう。
- 書籍『コンテンツマネジメント パーフェクトガイド [基本・設計編]』
まずは書籍から。コンテンツ管理に関するバイブルとして高い評価を得てきたボブ・ボイコ氏の『コンテンツマネジメント パーフェクトガイド [基本・設計編]』が2007年末に日本でも発売された。コンテンツ管理に関する理論的な本としては、和書としては唯一の存在だろう。
ボリュームが多くてやや冗長なため、少し読みづらいのが難点だが、最初は斜め読みでもかまわない。「コンテンツ」を「管理」することの意味、管理方法の考え方や経緯、CMS製品の多様性などについてのイメージがつかめれば、この時点ではOKだろう。CMSを使い始めた後にもう一度読み返すと、さらに理解が深まり、この本の価値がわかる。
- レポート『Web CMS Report 2008』
英語に自信がある場合は、米国のCMS調査機関であるCMS Watchが発行している商用レポート『Web CMS Report 2008』をお勧めしたい。欧米で販売されているCMS製品30点についての評価レポートに加えて、コンテンツ管理の本質やトレンドに関する具体的な解説が含まれており、実践的な解説書としても優れているためだ。
筆者も最近数年ぶりに最新版を読んだのだが、CMSベンダーに対する中立的な態度を貫く姿勢、理論から製品レビューまでのカバーの幅広さ、最新技術の本質を捉えたわかりやすい解説、隅々にわたって内容が陳腐化しないように行き届いた配慮と改善の努力がされていることに感動すら覚えた。
スタンダード版で975ドルからと価格は少々高いが、ぜひ一度読んでみてほしい。CMSの初心者なら、根本的な基本の理解ができるし、経験豊かな専門家にとっても、書籍やブログでは決して得られないあらたな発見があるだろう。
コメント
Gartner資料の入手先
Gartner Merketscope for WCMがダウンロードできるSitecoreのサイトはこちら。
http://www.sitecore.net/Products/Resources/whitepapers/Gartner-Marketscope.aspx
9月末にはMagic Quadrant for ECMも出ました。
http://mediaproducts.gartner.com/reprints/microsoft/vol6/article3/article3.html
Re: Gartner資料の入手先
編集部の安田です。
この親コメントは、元記事の筆者の清水氏による投稿です。わかりにくくてすいません。
清水さん、追加情報ありがとうございます。