国内&海外SEO情報ウォッチ 「海外SEO情報ブログ」の鈴木 謙一氏が、日本と海外の検索マーケティング情報をさらっとまとめて毎週金曜日にお届け。
海外&国内SEO情報ウォッチ

SEOの順位決定要因が1180万件の検索結果から判明! → 信じちゃダメなやつかも!?【SEO情報まとめ】

1180万件のグーグル検索結果を分析して判明した、SEOの順位決定要因「重要なもの」「重要でないもの」――そんな情報をSEOツールベンダーが出しているが、これはどこまで信じていいのだろうか?

ページ

1180万件のグーグル検索結果を分析して判明した、SEOの順位決定要因「重要なもの」「重要でないもの」――そんな情報をSEOツールベンダーが出しているが、これはどこまで信じていいのだろうか? SEO情報を判断するときのポイントとともに解説する。

これ以外にも、GW明けではあるが、今回は良質な情報が揃っている。

GW中にGoogleが公開したコアアルゴリズムアップデートや、日本のSEO専門家インタビュー、多国語サイトでのhreflang、preload指示での高速化などなどなど、すべての情報に目を通しておいて損はないだろう。

  • 2020年初のコアアップデートをグーグルが実施
  • 日本を代表するSEO実践者が過去と現在そして未来のSEOについて語る
  • 無尽蔵にできあがるタグページの扱いはどうしたらいいのか?
  • 多国語サイトで hreflang を設定するべきか悩んだときに見たいチートシート(日本語訳)
  • ウェブ上で15%のサイトが実装しているrel=preloadでウェブページを高速化しよう
  • サイトがダウンして2~3日たつとインデックスから消え始める!?
  • グーグルが警告「ウェブページの検証にキャッシュリンクを使わないで!」
  • グーグル、Search Consoleのエクスポート機能を改良。すべての情報をダウンロード可能に
  • グーグル、Webmaster Conferenceライトニングトークの動画シリーズを開始
  • 内容が薄いページはまとめて本当に強い少数のページを作るべき、とGoogle社員がアドバイス
  • 「メタ ディスクリプションがない」がモバイル ファースト インデックスの一般的なエラーに追加

今週のピックアップ

SEOの順位決定要因が1180万件の検索結果から判明! → 信じちゃダメなやつかも!?
相関関係と因果関係は同じではない (Brian Dean on Twitter) 海外情報

SEOツールを提供している企業が、1180万件の検索結果をもとに上位表示とランキング要因の相関関係を調査した。調査結果の要点を次のようにまとめている。

「おおっ!」と参考にする前に、この解説の続きをちゃんと読んでほしい。

重要な要因:
  • ドメイン評価
  • 短いURL
  • ページオーソリティ
  • 包括的なコンテンツ
  • バックリンク
重要ではない要因:
  • 構造化データ
  • 表示速度
  • 文字数
  • titleタグ

さて、筆者がこの調査データを紹介したのは、これをもとにSEOに取りんでほしいからではない。むしろ逆だ。

この調査を皮肉ったツイートを紹介したい。

重要な要因:
  • 自分自身で判断する
  • 読んだものすべてを信じない
  • 相関関係と因果関係は同じではない
重要ではない要因:
  • SEOに関するツイート
  • ドメイン評価やドメインオーソリティといった、SEOツールベンダーが発明した指標
  • このツイート

なぜ筆者はこの調査に対して否定的なのか。1000万件以上の検索結果を調査したのならば、かなり包括的で参考になる情報だと思ったかもしれない。たしかにそうなのだが、それでも参考にすべきではないと思う背景には、次の3点がある。

  • 相関関係と因果関係を混同(させようと)している
  • グーグルが使っていない指標を使っている
  • SEO全体として軽視すべきではないものを重要ではないと決めつけている

もっとも問題なのは、1つ目の相関関係と因果関係を混同(させようと)している点だ。検索結果の相関関係のデータを読むときには注意が必要だ。まず、相関関係と因果関係は同じではない

たとえば、調査によって次のようなデータが得られたとする:

検索結果で上位表示しているサイトにバックリンクが多いという共通点がある

では、バックリンクを増やせばあなたのサイトも上位表示できるのだろうか? そうとは限らない。実際には他の要因で上位表示しており、上位表示した結果としてそのページを知りリンクする人が多いだけの可能性もある。「検索順位とバックリンクに相関性がある」ことがすなわち「バックリンクが上位表示に貢献している(因果関係にある)」とは限らないのだ。

グーグルのゲイリー・イリェーシュ氏は、次のようにコメントしている。

僕のお気に入りのプレゼンテーションは、バックリンクに関するものだった。これはダメだなと手のひらを顔にあてる準備をして、20分間最後まで座っていなければならなかった。

ところが驚いたことに、そのプレゼンテーションの大部分は、検索数が多いキーワードはどんなものであっても、1位のページにはリンクがそれほど集まっていなかったという事実を示していた。

すごくいいプレゼンだった。

どうせ適当なことを発表するのだろうと否定的な態度でそのプレゼンをイリェーシュ氏は聞いていたのだ。ところが、バックリンクがなくても上位表示できることを講演者は伝えていたという。バックリンクと上位表示に必ずしも因果関係がないことを明らかにしており、良い意味で、イリェーシュ氏は期待を裏切られた。

論点を戻すが、相関関係と因果関係は異なることをまず知っておかなければならない。重要なことなので、この点を身近な実例でもう少し理解してもらおう。

相関関係に関して、次のような調査がある:

取扱説明書をPDFで保管している人は、収入・貯蓄が多い

言い換えると、こういうことだ。

取扱説明書のPFD保管と収入額・貯蓄額の高さに相関関係がある。

しかし、いま収入も貯蓄も少ない人が取扱説明書をPDFにして保管するようにすれば、収入が上がったり貯蓄が増えたりするだろうか? そんなはずがないことは、だれにでもわかるだろう。取扱説明書を電子化して保管して人は管理意識が高く、それが仕事での成果やお金の扱いにも反映しているのではないかと推測される。

繰り返すが、相関関係と因果関係は違うのだ。

もちろん、相関関係が因果関係になっていることもある。しかし、どれが因果関係でもあるのかは、別途そのための調査をしないと判断できない。

「上位表示とランキング要因の相関関係を調査した結果」といった情報は、たびたびでてくる。しかし、そうした記事を見たら、まずは次のことをチェックしてほしい。

次のようなことを、調査者が最初に明言しているかどうか:

  • 相関関係と因果関係が同じではない
  • 相関関係があるからといってランキング要因だとは限らない

そうした記載がないとしたら、理由は次のどちらかだろう(どちらにしても信用できない):

  • 相関関係と因果関係が異なることを知らない
  • 意図的に触れていない(注目を浴びるため?)

冒頭で紹介したランキング要因調査には、ほかにも問題がある。

2つ目が「グーグルが使っていない指標を使っている」点だ。

調査では「ドメイン評価」や「ページオーソリティ」といった独自の指標をもとにしている。グーグルが使っていない指標を使うことに実用的な価値があるとは思えない。

もちろん、それらの指標が何らかの形で検索順位に影響している可能性は否定しない。しかしグーグルが「それらの指標を使っていない」と明言している以上、同様の因果関係をもつ他の指標があるはずであり、そちらのほうが直接的に関係している可能性が高い。

SEOツール独自の指標は、

  • SEOコンサルタントがクライアントを説得するとき
  • 稟議を通すために上司や取締役に示すとき

といったシーンでは、使い勝手の良い数字だ。しかし、SEOの実務においては、「参考にする」レベルを超えて重要視するべきものではない。

また、3つ目の「SEO全体として軽視すべきではないものを重要ではないと決めつけている」点も問題だ。

調査では、次のようなものは重要ではないとしている:

  • titleタグ
  • ページの表示速度
  • 構造化データ

たしかにtitleタグもページの表示速度も、ランキング要因としての影響力は弱い。構造化データもランキングには直接影響しない。

しかし、これらの要因は、次のような全体のSEOを考えれば、軽視していいものではない:

  • 検索エンジンにページ内容を解釈してもらう
  • 検索結果でよりユーザーにアピールする
  • 検索からきたユーザーのUXを良くする

こうしたことを「重要ではない」と決めつけてしまうと、(特に、SEO初級者や、知識はないが決定権がある上司が)気にかける必要がないと誤解してしまうおそれがある。

とにもかくにも、ランキング要因調査には要注意だ。

昔と違って、グーグルが検索順位を決める仕組みには非常に多くのものが関係しており、またその影響もアルゴリズム変更やコンテキストによって変化している。

だから、単純な「これが重要だ!」と結論づけるものであればあるほど、鵜呑みにしてはいけないのだ(Web担でも、そうした記事は長らく掲載していないのに気づいただろうか)。

★★★★★
  • すべてのWeb担当者 必見!

グーグル検索SEO情報

2020年初のコアアップデートをグーグルが実施
順位変動は発生するのか? (Google SearchLiaison on Twitter) 海外情報

広範囲に渡るコアアップデートをグーグルは実施した。2020年初のコアアップデートだ。

Googleの公式な対外向けツイッターでのアナウンスを金谷氏が日本語で紹介している。

アップデートの展開(太平洋夏時間で5月4日)直後に筆者がざっと確認した限りでは、気付くような変動は発生していなかった。しかし、それから1日たって、かなり大きめの変動が発生しているようだ。現時点ではアップデートやその影響の詳細が判明していないが、特筆すべき情報が手に入れば次回お伝えしたい。

コアアップデートが実施されたからといって特別な対応は不要だ。それでも、もし(悪い)影響を受けたと判断したのであれば、コアアップデートについて解説した公式ブログの記事を読み直しておくといい。

★★★★☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)

日本を代表するSEO実践者が過去と現在そして未来のSEOについて語る
最強のSEOは検索エンジンを意識せずに実践するSEO? (Web幹事) 国内情報

サイバーエージェント木村氏のインタビュー記事を紹介する。インタビューのテーマはもちろんSEOだ。SEO黎明期の傾向(スパムの傾向)に始まり現在求められるSEO施策について、長年の経験から木村氏が語っている。

前半後半の2部構成だ。長い記事ではあるが、参考になる情報が満載なので、あっという間に読み切ってしまうだろう。

特に筆者の印象に残ったのは締めくくりの言葉だ。引用しておく。

SEOがうまくいくには、逆説的ですが「SEOや検索エンジンがない世界だったとしたら、どんなことに気をつけるだろう?」と自問自答するといいでしょう。

そんな世界があったとして、ご自身の行動を想像してみてください。訪問してくれたお客様に気持ちよくコンテンツを読んでもらうために、UXに気をつけるでしょう。つながりを強固にするためにソーシャルも頑張るでしょうし、PRにも知恵を絞るようになるはずです。SEOという概念があるから小手先のSEOに走ってしまい、やがてその小手先のSEOがGoogleに対策されてしまう。

「もし検索エンジンがこの世になかったら、何をすべきか?」を突き詰めて考えると、SEOに限らずメディアが良い方向に進む気がしますね。

グーグルがしばしば口にする「アルゴリズムを追いかけるな、ユーザーを追いかけろ」と共通する考え方だ。最強のSEOは検索エンジンを意識せずに実践するSEOなのかもしれない。

★★★★★
  • すべてのWeb担当者 必見!

無尽蔵にできあがるタグページの扱いはどうしたらいいのか?
タグページに価値があるかどうかでまず判断 (John on Twitter) 海外情報

コンテンツを分類する目的で「タグ」を利用しているウェブ担当者も多いことだろう。ところが、タグページというものは、放っておくと無尽蔵にできあがってしまうことがある(特にユーザーが任意でタグを作れる場合)。

タグページの扱いについてグーグルのジョン・ミューラー氏は次のようにアドバイスした。

一般的に言って、タグページが価値を出していないと感じるのであれば、そもそも作らないようにする。ナビゲーションとして役に立っているが検索結果からの着地ページとしては役に立っていないのであれば、インデックスされないようにnoindexタグを使う。

価値があるかどうかは、最終的にはあなたとあなたのサイトによって決まる。

まず、タグページがユーザーの役に立つものかどうかで判断する。役立たないのであれば、不要かもしれない。役に立っているものの、検索結果からのトラフィックを期待するページではないのであれば、noindex タグを設置してインデックスさせないようにするといいとのことである。

★★★★☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
用語集
CSS / Googlebot / HTML / JavaScript / SEO / インデックス / キャッシュ / クロール / ダウンロード / ドメインオーソリティ / ナビゲーション / ファーストビュー / リンク / 検索エンジン / 構造化データ / 訪問

ページ

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

Python
「Python」(パイソン)は、プログラミング言語の1つ。プログラマのグイド・ヴ ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]