役たたずなSEO目的ページをサイトごと落とすGoogleの新アルゴリズム「ヘルプフル コンテンツ アップデート」【SEO情報まとめ】
グーグルが画期的な検索アルゴリズムを導入する。その名も「ヘルプフル コンテンツ アップデート」。まだ英語圏だけのこのアップデートの仕組みは? どんなサイトが落ちてる? 今のうちに把握しておこう。
ほかにも、「文字数とコンテンツ品質」「SEOと自動翻訳」「2022年2回目のコアアップデート」などなど、あなたのSEO地力アップに役立つ情報を、今回もまとめてお届けする。
- ヘルプフル コンテンツ アップデートで順位が下がったのはどんなサイト?
- 1000語未満のページは低品質? サイト内の半分のページを削除した結果はいかに
- SEOに適した自動翻訳ツールを教えてほしい
- 2022年2回目のコアアップデートをグーグルが実施
- グーグルが日本専任チームを設置、地域に特化した検索サービスを展開
- 2つの言語を1ページ内で使うとグーグルはちょっと困る模様
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今週のピックアップ
役たたずなSEO目的ページをサイトごと落とすGoogleの新アルゴリズム「ヘルプフル コンテンツ アップデート」
ユーザー第一 vs. 検索エンジン第一 (グーグル 検索セントラル ブログ) 国内情報
グーグルは「ヘルプフル コンテンツ アップデート」と名付けたアルゴリズム更新を実施した。名前が示すとおり、有用な情報をより高く評価するアップデートだ。
ただし、まずは英語で書かれたコンテンツが対象。いずれは他の言語でも導入する予定とのことだが、現状では日本語のコンテンツには影響しない。それでも重要なアップデートなので、Google検索セントラル ブログでの解説をもとに主要点を解説する。
ヘルプフル コンテンツ アップデートの導入目的を、グーグルは次のように述べている:
ヘルプフル コンテンツ アップデートは、訪問者に満足感を与えているコンテンツを高く評価し、訪問者の期待に応えていないコンテンツとの差別化を図ることを目的としています。
訪問者に満足感を与えているコンテンツを、「ユーザー第一のコンテンツ」とグーグルは表現している。たとえば、次の質問に「はい」と答えられればユーザー第一のコンテンツのアプローチができているそうだ。アップデートの影響で評価が下がることはないだろう。
特定のユーザー層がすでに存在しているか、想定されており、その人たちがビジネスまたはサイトを直接訪問した際に、コンテンツを有用だと感じてくれると思いますか。
コンテンツは、実体験や深い知識(たとえば、実際に商品やサービスを使用したり、ある場所を訪れたりした経験に基づく特別な知識)を明確に示していますか。
サイトには主要な目的またはテーマがありますか。
コンテンツを読み終わったユーザーは、あるトピックについて、目的を果たすのに十分な情報を得たと感じることができますか。
コンテンツを読んだユーザーは、有益な時間を過ごせたと感じられますか。
コア アップデートや商品レビューに関する Google のガイダンスに留意していますか。
「ユーザーを第一に考えるコンテンツ」の対局に位置するのが「検索エンジン第一のコンテンツ」だ。グーグルによれば、検索エンジン第一のコンテンツは検索ユーザーが満足できないコンテンツと強い相関関係があるそうだ。アップデートの影響で順位が下がるかもしれない。
次のような状況に一致した場合は、検索エンジン第一のアプローチに陥っているかもしれないとのことだ:
コンテンツは、人間のために作成されたというより、主に検索エンジンからユーザーを引き付けるためのものですか。
どれかが検索結果に表示されることを期待して、さまざまなトピックで多くのコンテンツを制作していますか。
多くのトピックについてコンテンツを作成する際、かなりの部分に自動化を使用していますか。
価値を付加することなく、主に他の人の意見を要約していますか。
既存のユーザー層のためではなく、ただ話題になっているという理由で記事を書いていますか。
ユーザーがコンテンツを読み終わっても、他のソースからより良い情報を得るために再び検索する必要があると感じさせてしまいますか。
Google が優先する文字数があるとどこかで聞いたか読んだかしたために、特定の文字数になるように記事を書いていますか。(そのような設定は存在しません)。
検索トラフィックを獲得できると考えて、実際の経験がないにもかかわらず、ニッチなトピックを扱うことにしましたか。
実際には答えがない質問にコンテンツ内で答えることを約束していますか(たとえば、未定のはずの商品の発売日や、映画の公開日、テレビ番組の放送日)。
ヘルプフル コンテンツ アップデートをアナウンスした公式記事では、技術的な仕組みについても説明している。こちらにもひととおり目をとおしておきたい。
グーグルは、このアップデートによる評価をページ単位ではなくサイト単位で扱うとしている。
この更新により、新しいサイトワイド シグナルが導入されます。これは、ウェブページをランク付けするための数あるシグナルの一つとして考慮されます。Google のシステムは、価値がほとんどない、または付加価値が低いとされるコンテンツ、または検索を行うユーザーにとって特に有用でないコンテンツを自動的に識別します。
有用でないコンテンツ自体だけでなく、そうしたコンテンツを比較的多く含むと判断されたサイトにあるコンテンツも、表示すべきコンテンツがウェブの他の場所にあると考えられ、検索での掲載順位が下がります。
「幸いにも」という表現が適切かどうかはわからないが、冒頭で触れたようにヘルプフル コンテンツ アップデートは日本語には今はまだ影響しない。このアップデートで悪影響を受けないためにも、検索エンジン第一のコンテンツがサイトに存在しないことを確実にしておこう。
もっとも、このコラムの読者のみなさんはユーザー第一のアプローチで常にコンテンツを作成していると筆者は信じている。
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ヘルプフル コンテンツ アップデートで順位が下がったのはどんなサイト?
独自で作成したコンテンツがないサイト (SISTRIX) 海外情報
ヘルプフル コンテンツ アップデートではどんなサイトが影響を受けたのだろうか?
SISTRIX(シストリックス)が、自社のランキングチェックツールのデータをもとに分析したところ、全体的には大変動と判断できるようなランキングの顕著な変化は見られなかったという。
それでも、ヘルプフル コンテンツ アップデートの影響で大きく順位を下げたと思われるサイトがいくつかある。
たとえば、次のサイトだ:
- 歌詞サイトのgeniuslyrics.net
- 辞書サイトのen-academic.com
- 文法サイトのaskdifference.com
- 取扱説明書サイトのmanualzz.com
- 文法サイトのgrammarhow.com
- 着信音サイトのringtonesfree.mobi
- 着信音サイトのmusikringtone.com
いずれもサイトも、2022年9月、つまりヘルプフル コンテンツ アップデートあたりを境にトラフィックが減っている。
ヘルプフル コンテンツ アップデートで順位が下がったこれらのサイトを筆者が実際に訪問して気付いたのは次の点だ:
- 他のサイトからのコンテンツを引用しているだけ
- 他のサイトのデータを(API か何かで)自動取得しているだけ
- サイト独自のコンテンツが極めて乏しい
- 他のサイトでも入手できるコンテンツばかり
つまり、ヘルプフル コンテンツ アップデートで順位が下がったのは、コンテンツ作成に労力をかけている様子がないサイトばかりだ。また、多くのサイトはウザいくらいに広告が多かった。これは、ユーザー第一のアプローチだとは言いづらい。
シストリックスによれば、ヘルプフル コンテンツ アップデートで順位が大幅に上がったサイトは特に観測できなかったそうだ。ヘルプフル コンテンツ アップデートはどちらかというと、今まで不相応に順位が高かったサイトの評価を下げる特徴をもつアルゴリズムなのかもしれない。
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グーグル検索SEO情報
1000語未満のページは低品質? サイト内の半分のページを削除した結果はいかに
オーガニック検索トラフィックを60%失った (John Mueller on Twitter) 海外情報
「低品質だとみなしたページを50%削除した」というサイトがあったが、その基準は「1000語未満のページはどれも削除すべきだ」というものだったらしい。
結果は、98%のアクセスが404ページとなった。もちろん検索ユーザーは直帰する。そのサイトはオーガニック検索からのトラフィックを60%失った。
こんなことをやってはいけない。
ツイッターでのこうした投稿を読んだグーグルのジョン・ミューラー氏は次のようにコメントした:
薄っぺらいコンテンツかどうかの判断に、文字数は何の関係もない。
自分のサイトのトピックに関しては専門家なんだから(専門家であるべき)、ユーザーにとって何が有用なのか何がつまらないものなのかを見分けられるはずだ。品質の判断基準に文字数を使ってはいけない。
Word count is not a sign that a page is thin content. You're the expert on your site's topic (or you should be), you can make a qualified call on what's helpful for users, and what's fluff. Don't use word count. https://t.co/lnuYObPiY6
— 🌽〈link href=//johnmu.com rel=canonical 〉🌽 (@JohnMu) September 15, 2022
ミューラー氏が指摘するように語数(文字数)が少ないからといって、低品質だとは言えない。必要な文量は書くトピックによって変化する。そもそも、文字数はランキング要因ではない。
今回のピックアップで紹介した「ヘルプフル コンテンツ アップデート」への対応をと考えて、こんなミスをしてしまわないように注意してほしい。
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SEOに適した自動翻訳ツールを教えてほしい
自動翻訳コンテンツはインデックスされないので考慮に値せず (John Mueller on Twitter) 海外情報
SEOに適した自動翻訳のツールやプラグインの推奨を教えてもらえませんか?
このような質問に、グーグルのジョン・ミューラーはピシャリと返した:
自動翻訳はインデックスされないだろう。したがって、実際にはSEOを考慮するに値しない。
Automatic translations should not be indexed, so SEO isn't really a consideration.
— 🌽〈link href=//johnmu.com rel=canonical 〉🌽 (@JohnMu) September 26, 2022
グーグル検索のガイドラインでは、人間によるチェックや編集を経ずにツールで自動翻訳したコンテンツを禁止している「自動生成コンテンツ」に該当する。ランキング操作が認められた場合は手動対策の対象になりうる。
AI翻訳の精度が高まっていくにつれて、こうしたガイドラインも変わっていく可能性はある。とはいえ、現時点ではガイドラインに従うほうがよさそうだ。
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2022年2回目のコアアップデートをグーグルが実施
もう少し役立つ情報が欲しい (金谷 武明 on ツイッター) 国内情報
広範囲にわたるコアアップデートを9月12日にグーグルは展開した。2022年のコアアップデートとしては5月実施に続いて2回目だ。
グーグル検索セントラルのツイッター公式アカウントによるアナウンスを金谷氏が日本語でリツイートしてくれた。
本日、広範囲にわたるコア アルゴリズムのアップデート(September 2022 Core Update)をロールアウトしました。ロールアウトが完了しましたら、ランキングに関する更新情報のリリース履歴にてお知らせします。https://t.co/yU5HDkEpU9 https://t.co/7FbFMSeTbK
— Takeaki Kanaya ★ 金谷 武明 (@jumpingknee) September 12, 2022
Google検索ランキングの更新ページの情報によれば、9月26日(太平洋時間)の時点で展開は完了しているとのことだ。
展開の開始・完了以上の情報をグーグルはまったくといっていいほど提供していない。淡白すぎるようにも感じてしまう。コンテンツ改善に役立つようにもう少し実務的な情報を提供してほしいものだ。
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