上級SEOテクニック5選――サイト最適化後にやるべきこと(後編)
SEOによる検索トラフィックの伸びが鈍化してしまう「SEO停滞期」に行う価値がある「上級SEOテクニック」を解説するこの記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。
ランドが考える「5つの成長機会」のうち、前回は1つ目の「新しいキーワードとコンテンツ」について説明した。今回は、引き続き残る4つを見ていこう。
→まず前編を読んでおく
SEOにおける5つの成長機会②
新しいバーティカル検索やSERP機能
グーグルを通じて利用できるバーティカル検索の種類は驚くほどたくさんある。では、どのバーティカル検索機能に対応していくべきなのだろうか。
Mozcastを使用すれば、雑多な情報を排除してシグナルを識別するのに役立つ。
バーティカル検索が検索結果の1%を下回る場合、その機能は優れたターゲットにはならないだろう(その機能の浸透率が相当高い、非常に限られたニッチな市場ではない限り)。
ここでのプロセスはシンプルだ。バーティカル検索やSERP機能が世界中で相当数の検索結果に表示されたり、検索結果からの訪問を呼び込むうえで重視している多くのSERPに表示されたりするのなら、労力をかける価値があるのはまず間違いない。
- Googleニュース
- ショッピング
- レビュー
- 画像
- ナレッジパネル
- ツイート
- ローカルボックス
などはどれも、通常なら「従来の青いリンク」形式の検索結果に行っていたであろう多くのクリックを奪い取る可能性を秘めている。競争に先駆けて、あるいは競争している最中でもいいから、そうしたSERP領域を自分のものにできるなら、トラフィック増加の可能性が大幅に高まる余地は十分にある。
ここで1つ注意してほしいことがある。YouTubeはそれ自体が世界で2番目に大きな検索エンジンだ。動画なんて大した機会を提供してくれないと思っているのなら、もう一度よく考えてほしい! 動画は、グーグル本体から来るトラフィックほど直接的ではないとはいえ、ほぼすべてのニッチ分野にとって、飛びきりのオーディエンスの注目やブランディング価値を呼び込める可能性がかなり高い。グーグルがYouTube以外のコンテンツにリッチスニペットを適用しなくなって以来、動画のSEOは変わったが、動画が巨大な検索チャネルであることに変わりはない。
SEOにおける5つの成長機会③
SERPのさらなる独占 ―― 検索結果での複数表示や検索順位のわずかな上昇がもたらす支配力
僕は、競争の激しい一連の検索結果でMozがトップ3に入っているのを見て、「これで十分だ。次は何か別のことをターゲットにしよう」と思ったことが何度もある。だが、この考え方では、本当の機会を失っているかもしれない。
1つの検索結果ページに複数のコンテンツが表示されれば、より多くのスペースが得られるだけでなく、両方でトラフィックを増やしてクリック率(CTR)を上げることにもなる。
検索結果ページに2つのコンテンツが表示された場合、CTRは単純に順位Xと順位Yを合わせたものより高くなることを示した分析もある(残念ながら、きちんとブックマークしておかなかったのでもう見つけることができない)。複数表示の効果は、各要素を足し合わせたものを上回るのだ――そう、壮大なラブロマンスのように。
同様に、2位や3位で「十分」と考えるのも、検索トラフィックを大幅に伸ばせるチャンスを失っていることになるかもしれない。どんなCTR曲線を理想とするかにもよるが、1位は平均すると2位の1.5~2.5倍のトラフィックをもたらしており、バーティカル検索やSERP機能が組み込まれているSERPでは、それよりさらに多い可能性もある。
頭の中にあるこれまでのSEOの伝統的考え方、つまり、「すでにトップ3やトップ5に入っているキーワードはそのままにしておく」という考え方は捨てて、1位に手が届きそうなSERP(あるいは、倍ほど順位が離れているもう1つの優れたコンテンツ)に力を注ごう。
SEOにおける5つの成長機会④
購入者ファネルの上位への移動
これまで、SEOについて検討している組織を数え切れないほど支援してきた中で、彼らがコンバージョンに直接つながるキーワードだけを追求していることに気づいた。
さあ、僕のあとに繰り返して言ってみよう。
SEOはリスティング広告ではない
つまり、SEOではキーワードのターゲットを一定のコンバージョン率をもたらしてくれるターゲットに制限する必要はないのだ。検索上位を獲得してその位置を維持すると、何年にもわたってオーガニック検索から訪問してもらえるため、ROIは何年にもわたって変わらずに維持される。
また、キーワードとコンテンツの組み合わせを、コンバージョンを生み出すものだけに制限すべきでもない。たとえばMozでは、コンバージョンへの道が長くて曲がりくねっている場合もあることを認識している。
2~3年前に発見したのだが、当社のソフトウェアの無料トライアルに申し込む人は平均して、登録前にMozのウェブサイトを7.5回訪問していた。なんと7.5回だよ! しかも、コンバージョン前に訪問してくれた回数が多い人ほど、いい顧客になってくれる傾向があった。より多くの機能を使い、キャンセルが少なく、コミュニティに参加してくれる割合も高かった。
ということは、大部分のコンテンツでは、関わってくれた人々のなかから熱狂的なファンを作り出すことを狙えばよく、必ずしもそれらの訪問者をできるだけ早く効率的に購入者に変えようとする必要はない。それがわかったのは素晴らしいことだった。
この教訓は、僕たちだけに当てはまるわけではない。君もよく考えてみるべきだ。自分の顧客のジャーニーがどこから始まっているのか、彼らが抱える問題に対して君の製品(またはソリューション)を検討するようになるずっと前から探しているものは何なのだろうかということを。
キーワード調査やコンテンツ作成をファネルの上位に移動することのメリットは2つある。
商業的意図や直接コンバージョンの意図が低いキーワードやフレーズをターゲットにするほうが、競争はそれほどきつくなくなる傾向にある。
ファネルの上位にあるキーワードやコンテンツの世界は飛躍的に拡大することが多く、検索トラフィックが増加する可能性が大幅に高まる。
たとえば、米ワシントン州シアトルで働く屋根職人のSEOを手伝うことになったとしよう。
既存のキーワードの選択肢はおそらく非常に限られていて(「シアトル 屋根ふき」「雨漏り シアトル」「屋根ふき 業者 シアトル」など)、競争もきわめて激しいだろう。しかし、ファネルの上位に移動すると、突如として可能性に満ちた世界が広がる(「屋根 保護」「屋根用シーリング材 比較」「シアトル 屋根 全天候型」「暴風時に最適な屋根板」など)。
僕が知っている地方の小規模事業主たちは、コンバージョンファネル全体を啓発的なコンテンツを中心に構築し、自社のウェブサイトやYouTubeの動画に写真のチュートリアルを投稿していた。彼らは、口コミを通じてこの仕事の話題を拡散してくれる忠実なオーディエンスを獲得することで、従来のコンバージョン重視のキーワードに依存せずにすんでいる。しかも、そうしたオーディエンスは直接の顧客でもないことが多いのだ!
また、検索広告向けリマーケティングリスト(Remarketing Lists for Search Ads:RLSA)という機能もある。これは厳密には有料検索だが、君のサイトをすでに一度訪れたことのある人が、ファネルのさらに下位のキーワードで検索している場合、この人にもう一度リーチしたければ、Google AdWordsで高い入札単価を設定して、より効果的に入札できるというものだ。
SEOにおける5つの成長機会⑤
世界に向けた多言語のターゲティング
市場拡大を目指している大企業の場合、自分の国や言語を超えて成長できれば、非常に大きな可能性への道を切り開くことになるかもしれない。
しかしそれは簡単なことではなく、SEOではほとんどゼロから始めることにもなりかねない(新規TLD拡張子かサブフォルダかなど、世界への拡大をどのように追求しているかによっても異なるだろうが)。これは僕の専門分野とはとても言えないが、エリ・シュワルツ氏が記事で書いていた「思い込みをするな、固定観念に縛られるな」という姿勢にものすごく共感する。
最初に必ずキーワードと市場を調査しよう! 単に経済や人口の規模、言語まで似ているからといって、習慣、製品、サービス、またはニッチ分野が市場に占める割合まで同じだと思い込んではいけない(ほら、シュワルツ氏の言う通りじゃないか)。
英国人は(トーストなどに塗って食べる個性的な味の)マーマイトが大好物だが、これが米国で(というより他のどの国でも)ヒット商品になるとは考えにくい。あるいは、リッチな主婦たちの日常を追う米国のリアリティ番組『The Real Housewives』シリーズを外国に輸出しようとしても、制作者は苦境に陥ることになる可能性が高い。また、ドイツのバイエルン地方では家の外壁にフレスコ画を描く伝統があるが、こうした壁画サービスの業者はバイエルン以外のどこへ行っても行き詰まることになるだろう(個人的には素晴らしい装飾だと思うので、これは残念だ)。
注:この記事で解説した内容はもちろん、あらゆる形式のウェブマーケティングを網羅するとか、インバウンドチャネルや獲得チャネルをすべて包括するといったものではない。コンテンツ、ソーシャル、メール、コミュニティ、有料メディアなどは、どれも検討する価値があるだろう。しかし、SEOを重視するチームや、オーガニック検索に絶好の機会を見出している人なら、おそらくこの中に求める戦術があるだろう。
最後に1つ付け加えておこう。ときには、有料検索広告を加えたり削除したりすることで、オーガニック検索のトラフィックにどんな影響があるか実験してみるのも面白い。それぞれに効果があったケーススタディを目にすることも多いのだから、思い込みで判断してはいけない!
ソーシャルもやってます!