上級SEOテクニック5選――サイト最適化後にやるべきこと(前編)
この記事では、「上級SEOテクニック」として考える価値のある「SEOにおける5つの成長機会」を解説する。いったんSEO施策の反映が一段落し、検索トラフィックが伸びてしばらくすると、その伸びが鈍化してしまう。そうした「SEO停滞期」に行うべきことだ。
さまざまなオーガニック検索キャンペーンに取り組んできたコンサルタントや社内のSEO担当者なら、ほとんど誰もが経験していることがある。
どんなSEO活動も、始めてから最初の3~6か月はほぼ必ずといっていいほど、成果を出すための作業に時間が取られるものだ。間違いの修正や、既存の問題の改善、次善策への対応や調整、さらには、現在の状態と最新のベストプラクティスのギャップを埋めることなどなど(サイトが巨大だったり複雑だったりすると、期間はもっと長くなるにしても)。
SEOの良いところは、その期間が過ぎ、作業がいったん完了したら、その後何か月・何年にもわたって、かけた労力がさまざまな恩恵を生んでくれることだ。
使いやすく最適化された新しいページは、検索結果の上位に表示されたりトラフィックを獲得したりするようになり、これがさらに多くのリンク、パーソナライゼーションによる重点化、露出、共有、ビジネスを生む。
優れたコンテンツがあり、開発チームが継続的に改善を進め作業リストのチェック項目を減らしていくなら、(さらに、新しい項目をさほど増やさないようにするなら)、対応しやすく成果の出やすい作業項目はだんだんと減っていく。僕はこれを「SEOの停滞期」と呼びたい。
サイトの既存部分は最適化が終わった。コンテンツの作成プロセスを効率化して、今ではSEOの基準に達している。SEOでやるべきことを列挙した、あの膨大な作業リストはようやく落ち着いて、定期的に対処すればいい管理可能な項目ばかりになった。
――誤解しないでほしい。これは素晴らしい状況だ。最後までそこに到達しない企業はたくさんある(僕たちだって、SEOmozからMozへの移行後、まだそこまでは達していないのだ!)。
だが、達成したら達成したで、またそこから問題が生まれる。腹の立つ問いかけだ。
で、次は何をするんだ?
実際には、こう言い返したいところだろう。
何を言ってるんだ! SEOのおかげでトラフィックが10倍になり、コンバージョンプロセスも合理化されたし、新規顧客の半数以上はSEOで獲得できた顧客じゃないか!
残念ながら、こんな風に答えたところで、意味はない。
だからここで、SEOの活性化を図り、SEOの停滞期から高成長へと転じさせるため、たいていの組織が持っている5つの機会に目を向けなければならない。このすべてがどのサイトにも効果を発揮するというわけではないが、どれも分析し調査する価値はある。
この記事では、読者として比較的上級のSEO担当者を想定している。オンページSEOなどでページを最適化し、キラータイトルやmeta descriiptionタグでスニペットを工夫し、障害になるかもしれないすべての技術的問題を修正し、キーワード調査やコンテンツの作成、拡散などはすでに何回か試みているという想定だ。今回のプロセスは、その次にやるべきことだ。
SEOにおける5つの成長機会:
- 新しいキーワードとコンテンツ
- 新しいバーティカル検索やSERP機能
- SERPのさらなる独占
- 購入者ファネルの上位への移動
- 世界に向けた多言語のターゲティング
前述のようなSEO停滞期に入っていて、オーガニック検索トラフィックの前年比増加率が横ばい状態になっていると感じているのなら、この記事の説明を読んで、これからの1年でどこに注意するべきかについて賢明な選択をしてほしい。
時にはどの選択肢を選ぶべきか明確でないこともあるかもしれないが、その場合には、実験し、繰り返し、測定してから、優先順位の決め方を判断しよう。
SEOにおける5つの成長機会①
新しいキーワードとコンテンツ
このオプションが最も頻繁に検討されるのは、検索順位が上位をキープしているのに、検索トラフィックの伸びは減速しつつあるときだ。成長を重視する組織は、すでに既存のキーワード群で上位を占めていても、それに満足せず、貴重なトラフィックをもたらす可能性のあるキーワードやフレーズをさらに増やそうとする。
さて、多くの場合、これは理にかなっている。当然の取り組みだ。
だがこれは、「当然なこと」と「適切なこと」が必ずしも一致しない場合もあるという、あのなんとなくしっくりこない状況の一例でもある。
キーワードリスト(とコンテンツ作成のターゲット)を拡大するうえで、成功のカギを握るポイントを以下に挙げる。
①実際に価値をもたらすオーディエンスやキーワードを理解する
残念ながら、僕たちは時に、検索順位やトラフィックを重視するあまり、それ自体には何の意味もないことを忘れてしまう。
新たなSEO施策によって新規訪問が大幅に増えても、短期または長期のコンバージョンという点で(それどころか、再訪問やメール登録、製品ページへの訪問など、ファネルの次の段階にとっても)目に見える効果がほとんどないのなら、その対策は見当違いなのかもしれない。
一部のトラフィックを「純粋にブランド重視のもの」と割り切ったり、一部のコンテンツについて「リンクを獲得する可能性は高いが訪問者のコンバージョンは難しいもの」として扱ったりしても、別に問題はない。ただし、その割合が制御できないまでになったとき、それを抑制して理にかなったターゲティングに戻すのは君の仕事だ。
②ドメイン名の検索順位獲得力を把握する
ニッチなサイトばかりのなかでは、そこそこのコンテンツでも検索上位に食い込めるようなパワフルなサイトが少数存在する。基本的にこうしたサイトは、グーグル(と検索ユーザー)に働きかけて、特定のトピックについては自分たちのコンテンツが選ばれるよう仕向けている。
だが、このような力を獲得するには信じられないほどの時間とエネルギーが必要だ。Mozが最近買収したSERPscapeのおかげで、僕はこれを次のように定量化できた。
まあ、厳密にはこれを定量化したのは僕ではなくもっぱらラス・ジョーンズの仕事だが(友よ、ありがとう!)、数字を見れば状況は明らかだ。圧倒的多数のサイトは、ごく僅かな数のキーワードで検索上位を獲得しているに過ぎず、その中から抜け出して、商業的に価値のある多くのSERPで上位を獲得できるのは、ほんの一部にすぎない。
これを目標にするなら(長期的には、大きな市場で支配的な地位を占めようとするなら誰でもすべきだが)、上位に出るのは絶対に無理と思える飛び抜けて高い目標と、ちょうどよい目標、簡単な目標を適度に組み合わせて追求するべきだ。ドメインオーソリティは役に立つ指標の1つだが、最近のグーグルではトピックのオーソリティが複雑であることを考えると、ここではプロのSEO担当者が身につけた第六感を働かせる必要もある。
③拡散とリンク獲得に最も効果的なツボを押さえる
ソーシャルメディアは、検索順位を押し上げる単独リンク元としてはほとんど機能していないことを僕たちは最近学んだ。
だが一方で、リンクなしでは、コンテンツが上位に表示される可能性が非常に低いことも分かっている。
そのため、僕たちが作るコンテンツでは、直接的なトラフィックや価値をもたらすとともに、リンクや検索順位を獲得できるようなタイプの拡散を目指す必要がある。これは、どんなコンテンツ作成者にとっても難題と言えるものだが、コンテンツをプロモーションや売上促進の目標にも合わせようとする場合には特に難しくなる(実際これを実現できるのはきわめて稀で、できればまさに偉業だと言えよう)。
僕の経験から言うと、うまくいく可能性が最も高いコンテンツは、次の3つのコンテンツが交わるところにある。すなわち、「君(コンテンツ作成者)が大きな情熱を抱いている対象に関するコンテンツ」「ウェブ上でこれまでになかった(または簡単に利用できなかった)固有の価値をもたらすコンテンツ」「オーディエンスが共感できて、共有や拡散をしたく気になるコンテンツ」だ。
これを一貫してできるようになれば、SEOの成長軌道に戻ることができるだろう。
この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。ランドが考える5つの成長機会のうち、今回は最初の1つ「新しいキーワードとコンテンツ」について説明した。後編となる次回は、残る4つについて見てみる。→後編を読む
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