CAPTCHAがコンバージョン率に及ぼす影響を調べてみた
ゆがんだ文字列の画像のような、人間には理解できるがプログラムでは解析しにくい情報を提示して、何が書かれているかを入力させ、正しく答えられているかチェックする仕組み。スパム目的などの機械アクセスを防ぐために利用されることが多い。
僕は個人的にスパムが大嫌いで、これについては読者の多くも同じ意見だろうと思う。少し前のことだけど、あるクライアントが、自分とこのウェブフォームから送られてくるスパムを根絶できないかと尋ねてきた。僕はいつも参考にしているサイトを巡回して答を探ったが、提示されていた解決策に少しがっかりした。その解決策とはつまり、CAPTCHA(キャプチャ)だ。
僕自身はCAPTCHAが好きではないし、それがウェブフォームのコンバージョン率にどのような影響を及ぼすのか、常々疑問を抱いていた。そこで僕は、CAPTCHAの使用と、それがウェブフォームのコンバージョン率に及ぼす影響について考えをはっきりさせるために、ケーススタディを実施することに決めた。
CAPTCHA導入がコンバージョン率に及ぼす影響の調査
このケーススタディは、僕が管理しているか、またはアクセス権を持つ50以上のWebサイトで行った。対象のWebサイトの中には、開設して1年未満の新顔もあれば、5年以上経つ古株もある。どのサイトのウェブフォームにも、名前、住所、都市名、メールアドレス、コメント、といった一般的な項目の記入欄があった。
調査には半年をかけた。まず、半数のサイトでCAPTCHAを使い、残りの半数ではCAPTCHAを使わないようにして3か月間調べ、後半の3か月は、CAPTCHAありのサイトとCAPTCHAなしのサイトを入れ替えて調査したんだ。50強のウェブフォームそれぞれについて、「成功コンバージョン」「失敗コンバージョン」「スパムコンバージョン」の記録を取った。
入力内容に必要以上のリンクやサービスへの勧誘が含まれている場合に、その入力は「スパムコンバージョン」として記録される。「失敗コンバージョン」は、ユーザー/ボットが、CAPTCHAを誤って入力したか、数回の試行を経てもついに正しくCAPTCHAを入力できなかった場合にカウントされた。これに対して、ウェブフォームに必要な情報がきちんと入力され、その中にスパム的な情報が一切含まれていなかった場合を「成功コンバージョン」とした。
さあ、データを見てみよう!!!!
CAPTCHAなしの期間中 | CAPTCHAありの期間中 | |||
---|---|---|---|---|
成功コンバージョン | 2134件 | (95.9%) | 2156件 | (92.7%) |
失敗コンバージョン | 0件 | (0%) | 159件 | (6.8%) |
スパムコンバージョン | 91件 | (4.1%) | 11件 | (0.5%) |
全コンバージョン | 2225件 | 2326件 |
このデータを見ると、CAPTCHAありにした場合、スパムを88%減らせる代わりに、失敗コンバージョンが159件も発生しているのがわかる。これらの失敗コンバージョンは、スパムかもしれないが、CAPTCHAが正しく読み取れなくて、結局入力を諦めてしまっただけの人たちだという可能性もある。CAPTCHAありにした場合、スパムと失敗コンバージョンを合わせた数字は、3か月で全コンバージョンの7.3%にのぼる。CAPTCHAなしの場合、スパムの割合は、同じ3か月間で全コンバージョンの4.1%だった。ということはつまり、CAPTCHAを使う場合、その企業はコンバージョンの3.2%を失う可能性があるんだ!
多くのクライアントが、利益を出すためにコンバージョンを重視している事実を考えると、3.2%ものコンバージョン損失は、売り上げの減少につながりかねない。僕なら、収入の可能性をみすみす逃すよりは、少数のスパムをふるい落とす方がいい。
僕はクライアントたちに、コンバージョンを失う可能性があるからCAPTCHAの使用は避けるよう勧めた。僕が現在取り組んでいるのは、以前から「ハニーポット」CAPTCHAという手法を試すことだ。この手法では、空欄のままにしておくべき入力フィールドを、CSSを使って非表示にしておく。フォームが送信されたら、そのフィールドを調べ、そこが空欄になっていなければ、それを削除せずにスパムとして分類すればいい。
CAPTCHAの使用と、それがウェブフォームのコンバージョン率に及ぼす影響について、みんなはこれまでどんな考えを持っていただろうか? ウェブフォームに書き込まれるスパムを防いだり減らしたりするために、みんながどんなテクニックを用いているのか、ぜひ聞かせてほしい。
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