目的別に見る6つのSEO戦略――ビジネスに合わせて選ぶSEOの目的(前編)
検索エンジン最適化(SEO)に真剣に取り組んだ経験のある人ならほぼ全員、SEOによって驚くほど多様な成果が得られることに気づいている。サイトオーナーは、顧客獲得につながる特定の語句やフレーズで高い検索順位を得ようとしてSEOに手を出すことが多いのだが、ブランド構築や評判管理から自然なトラフィックの増加に至るまで、二次的、三次的な効果がすべて影響を受けることにおのずと気がつく。
今回の記事では、SEOのさまざまな適用例を取り上げるとともに、各自の事業に適したSEOの目標を選ぶ方法について説明しよう。
そう、価値を生み出すSEO戦略だ。
#1 自然なトラフィックの獲得を目的とするSEO
検索エンジン対策としてサイトを最適化し、キーワードでターゲティングしたコンテンツを作成することにより、検索エンジンから直接的なトラフィックがもたらされる。作成したコンテンツを見つけ、利用したり楽しんでくれたりする人が増えるにつれ、コンテンツの共有、直接的なトラフィックの増加、参照リンクの獲得へと進んでいく。
ウェブ上には、このトラフィックを活用して広告を掲載し、検索エンジンによってもたらされるトラフィックを利益に結びつけているサイトがたくさんある。バナー広告からグーグルのアドワーズのようなコンテンツ連動型広告、アフィリエイトプログラムに留まらず、ウェブ広告は巨大な産業(eMarketerによると、2009年には250億ドルを超える見込み)へと成長した。
どんな場合に利用すべきか
サイト上で何か行動したり金銭取引を行うことなく、(多くの場合は広告を通じて)トラフィックから利益を出せる場合に利用しよう。キーワードターゲティング
ありとあらゆるものが対象になる。この場合の目標は通常、特定のキーワードを選ぶことではなく、関心の的となっている語句や検索量の多い語句が自然にターゲットとなるような上質のコンテンツをたくさん作成することだ。特定の語句で1種類だけの最適化を行うのではなく、検索量の多いクエリとロングテールクエリの両方からトラフィックを獲得するために、サイト全体におけるアクセシビリティとベストプラクティスに注力する。上質のコンテンツを作成することに集中し、キーワードベースの最適化については、作成したコンテンツのタイトルや見出しの効果を高める二次的な手段としてのみ使うこと。ページおよびコンテンツの作成と最適化
階層が浅く、非常にクロールしやすいリンク構造にすることは、すべてのコンテンツをインデックス化してもらうために極めて重要だ。優れた情報アーキテクチャを実践して巧妙で詳細なカテゴリ/サブカテゴリ構造を採用し、作成したコンテンツから最大の利益を引き出そう。さらに、ページ自体の最適化(タイトル、見出し、サイト内リンクなど)をうまく行うとともに、記事を共有しやすく、バイラルマーケティングに適したものにする必要がある。
#2 Eコマースでの販売を目的とするSEO
SEOにおいて最も直接的な収益化であり、基本的な目標の1つになるのが、Eコマースで販売している商品と関連性の高いトラフィックを増やして売上増につなげることだ。検索トラフィックはウェブ上でも特に上質なトラフィックだ。それは主として、検索クエリはユーザーが持つ特定の目的を表しており、そのクエリが通販サイトの扱う製品やブランドと一致した場合、コンバージョン率が非常に高いことが多いからだ。
フォレスター・リサーチでは、2009年のEコマース市場が2350億ドル規模を上回ると見込んでいる(だが、最近の景気悪化がこの数字に多少影響を及ぼす可能性はある)。これほど多くの金額がウェブ上で流通している状況を考えれば、Eコマースを対象としたSEOがとりわけ競争が激しく利用例も多いことは、さほど意外でもない。
どんな場合に利用すべきか
Webサイト上で直接販売する製品やサービスがある場合に利用しよう。キーワードターゲティング
本格的なSEOを実施する前に、キーワード広告によってターゲットとするキーワードの有効性と潜在的なROI(費用対効果)を検証するのは、優れた手法だ。適度なトラフィックがあり、コンバージョン率の高いキーワードを見つけたら、あとはSEOの実行あるのみ。ブランド名や製品名を含むものなど、クエリがより具体的であればあるほど、ビジターが購入へと至る可能性が高いことが往々にして確認できるだろう。ページおよびコンテンツの作成と最適化
コンバージョン率の高いトラフィックをもたらすような、価値が高いが競争が激しいキーワードでの検索結果で上位を獲得するためには、サイト内の最適化とともに、ある程度本格的なリンク構築が必要となるのが一般的だ。この場合、手作業によるリンク構築も選択肢に入るが、コミュニティや顧客たちを活用した拡張性のある戦略も同等に有効な(あるいは、もっと価値の高い)選択肢になり得る。
#3 マインドシェアとブランド構築を目的とするSEO
あまり一般的ではないが、同様に強力なSEOの応用術が、SEOを使ったブランド構築だ。自分たちのブランド認知とオーソリティを高めるため、検索結果の上位に表示されることや、それによってもたらされる露出機会を利用することには、多大な価値がある。その価値は、ブロガー、ソーシャルメディア、コンテンツ制作者、報道機関など、代表的なウェブパブリッシャーの多くが認めているところだ。
しかし、その手順はかなり単純だ。広告を反復提示して購入者の選択肢に入れてもらう従来の宣伝目標と非常に似ている(より詳しくは、英語記事だが「ブランド構築の3つの法則」を参照のこと)。したがってオンラインマーケターも、Webサイトのページが特定のテーマに関して常に検索ランキングのトップに表示されていれば、トラフィックや購入の検討、オーソリティとして認められることに好影響を持つことに気付いている。
どんな場合に利用すべきか
直接的なトラフィックの獲得や収益化よりも、市場の注目を集める方が重要な事業を行う場合に利用しよう。メンバーの獲得と参加を必要とする新しいソーシャルコミュニティ、ブログ、企業などに当てはまることが多い。キーワードターゲティング
自然なトラフィックを集める場合と同じように、この場合もキーワードに焦点を当てることはあまり重要ではない。おそらく、求めている大量のトラフィックをもたらす間口の広いキーワードがいくつか見つかるだろうが、ロングテールのほうがはるかに達成しやすく、集中的な取り組みも少なくて済む。自分のサイトやブランドに興味を持ってもらったり覚えてもらったりするのに役立ちそうなトラフィックをもたらすキーワードを選択しよう。ページおよびコンテンツの作成と最適化
自然なトラフィックを獲得する場合と同じ原則が適用できる。アクセスしやすいサイトを作り、適切なリンク構造とベストプラクティスを採用して、特定のキーワードよりもドメイン名のオーソリティを高めるリンクに注力しよう。
この記事は前後編の2回に分けてお届けする。次回は今回に引き続き、残る3種類のSEO戦略についてお伝えする。→後編を読む
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