グーグルが寄生・間借りサイトのアフィリエイトやクーポンを叩き落とす。理由は「信頼の不正利用」
グーグルは2024年3月のスパムアップデートで、「サイトの評価の不正利用」と呼ぶ新たなスパム要因(寄生サイト)に関するポリシーを5月5日から適用することを事前に発表した。
同社は次のように述べている:
時に、独自の優れたコンテンツを持つウェブサイトを、そのサイトの評価の高さを利用する目的を持った第三者が提供する低品質なコンテンツが間借りすることもある。
たとえば、ある第三者は、信頼できる教育関連サイトで消費者金融サービスのレビューを公開し、そのサイトから検索結果の上位に表示される恩恵を得ようとするかもしれない。
このようなコンテンツが検索で上位に表示されると、そのウェブサイトのコンテンツに対してまったく異なる期待を抱いているかもしれない訪問者を混乱させたり、誤解させたりする可能性がある。
このポリシーを適用して4日目の5月8日の時点で、グーグルがサイトの評価の不正利用にメスを入れようとしている紛れもない兆候があった。次に示す表は、ビジビリティが最も低下したサイト10件の情報だ;
グーグルの検索順位および常に変化しているインターネットというリアルタイムの空間で、日ごとの低下や上昇を解釈することは非常に難しい。しかし、次の2点において稀なケースの1つだ:
- グーグルから事前に警告があった
- 影響の主要な傾向を簡単に特定できる
重要なポイント
まずは、明らかな点から確認しておこう。これらのサイトは低下率が100%で、上位10サイトのうち1サイトを除いてすべてがクーポンまたは割引コードのサブドメインだった。時には、相関関係が因果関係を示す場合もあるということだ。これらのほとんどは大手ブランドであり、対象とする市場で十分な知名度を得ている。
このデータを取得したのは、米国(en-US)のグーグルSERPだけだが、英国、オーストラリア、カナダといった他の英語圏でも大幅な低下が示されている。
次に示す表は、米市場を対象にしている主要メディアサイトのうち、低下率が最も大きかったサイトだ。
このリストの5位以下は低下率が100%に満たないが、プライマリドメインまたは「www」サブドメインで低下していることに気づくだろう。このデータセットには割引クーポンに関するキーワードが多数含まれており、ニュース関連の検索だけを示すものではない可能性があることに注意してほしい(クーポン以外のトラフィックの減少を正確に表していない可能性があるということだ)。
これらのケースのほとんどすべてで、当該サイトがmeta robotsタグまたはrobots.txtを介してコンテンツのインデックス作成を解除しようとした形跡は(この記事の執筆時点で)ない。影響が手作業での措置によるものなのか、あるいはアルゴリズムのアップデートによるものなのか、このデータセットからは判断できない。
打撃を受けたのはサブドメインだけか?
これはSEOの中でも多くの難しい問題を含むトピックであるため、非常に具体的な疑問に焦点を絞ってみよう。クーポンに関するコンテンツは、サブドメインにあったから影響を受けたのだろうか? 上の表から、その答えは簡単に言えば「ノー」だ。下位5件の場合(そして他の多くの場合)は、サブフォルダが関わっていた。
- www.latimes.com/coupon-codes
- www.miamiherald.com/coupons
- www.oregonlive.com/casinos
- www.inquirer.com/sports/betting
- www.mlive.com/betting/reviews
寄生部分以外にも影響が
さらに調べると、各サイトの主要セクションにあるページもペナルティを受けたようだ。
たとえば、あるローカルニュースサイトの「キャリアと教育」セクションにある記事にある、次のようなコンテンツを考えてみよう。
記事のタイトルやURLは紹介しないが、この場合、記事全体が第三者の割引コードを掲載するために作成された宣伝用コンテンツなのは明らかだ。このコンテンツをサイトの他のセクションに隠しても、グーグルの厳しい目から逃れることはできないだろう。
クーポンコードだけか?
上に挙げた5件のサブドメインデータが、もう1つ重要な疑問を提起していることに気づいた人もいるかもしれない。
小売業者のクーポンコードはサブドメインに設定されていることが多いため見つけやすいが、例に挙げたサブフォルダ5件のうち3件はギャンブルに関連している。これらのケースでは、いずれもサイト全体のオーソリティや評判を悪用した可能性のある有料コンテンツやアフィリエイトコンテンツが、サブフォルダに含まれていたようだ。
次に示すものは、アフィリエイトリンクを含む可能性のある宣伝用コンテンツの例だ:
特定のサイトを名指しするのはためらわれるが、影響を受けたコンテンツの種類を把握することは非常に重要だと思うし、このコンテンツにはクーポンコードやプロモーションと多くの類似点がある。
このデータセットでは、消費者金融サービスのアフィリエイトコンテンツがペナルティを受けたという証拠もいくらかあったが、コンテンツ自体は隔離されていて見つけにくかった。
つまり、次の点に注意してほしいということだ:
サイトの評価の不正利用という領域は、決して小売業者のクーポンやプロモーションコードに限定されたものではない。
このペナルティは公平または有益か?
これは簡単な問題ではない。
明確な点はある。これらのサイトの多くは明らかにグーグルが警告しているコンテンツに合致しており、メインサイトのオーソリティや評判を利用して、サイトやその訪問者との関連性が低いコンテンツが上位に表示されるようにしていたことだ。
しかし、判断しづらい点もある。いかなる罰則措置があろうとも、ペナルティを受けたサイトより下位に表示されるサイトが、それより質の高いコンテンツとは限らないという問題だ。
となると、次の疑問が生じる:
検索ユーザーの視点から見て、(今回順位を落とした)USA TODAYのクーポンセクションは、それに取って代わるクーポン専門サイトより役に立たないものだろうか?
そもそも、クーポン情報は同じようなソースから取得されているのだから、そうとは限らないだろう。
では、USA TODAYに掲載されていようが、クーポン専門サイトに掲載されていようが、同じクーポンの情報ならば検索ユーザーにとって同じということだろうか?
答えは「NO」だろう。当然ながら信頼性について疑問が生じる。検索ユーザーは、そのコンテンツが大手ブランドとつながっていれば信頼する可能性が高い。
大手サイトがクーポン情報など第三者のコンテンツをホスティングするということは、そうした情報の信頼性を厳しく調査することなくブランドと信用を貸していることになる。これは信頼の不正利用だと見なされる可能性がある。
グーグルから見れば、問題はこうした手法が広がりすぎたことであり、無視し続けられなくなったのだと思う。打撃となったサイトには不運なことに、ペナルティは厳しく、影響を受けたコンテンツは一掃された。この結果についてどう感じるにせよ、これは口先だけの脅しではなかった。SEO担当者は、グーグルの新たなガイドラインを真剣に受け止める必要がある。
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