Step 2-8 ターゲットユーザーの設定
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クイズ
- ここで復習です。企業にとって「良いサイト」とは、どんなサイトでしょう?
- あらゆる人に来てほしいので、どんな人に来てほしいかは決めない
- 誰に、どのような目的で訪れてもらうのかを追求する
もちろん良いサイトとはビジネス目的にかなった、ユーザーニーズを満たすWebサイトですよね。一番避けたいのは「とりあえず、いろんな人がたくさん来る」サイトです。誰も満足させることができないサイトにならないよう、誰に、どんな目的で訪れてもらうのかを明確にしなくてはなりません。そこで、2-8では「誰に」に注目して説明したいと思います。
Step 2-7までで、設計フェーズの工程まではひととおり説明してきました。次の工程「開発フェーズ」についてはStep 3で解説する予定です。Step 2-8~2-11では、「誰に」にあたる「ターゲットユーザー」、そして「ユーザーシナリオ」にフォーカス。これまでにも説明してきましたが、復習を兼ねながら作成ポイントなども含めて、少し詳しく解説していきます。
(1)ターゲットユーザーの設定(2-8)
(2)UXに基づくユーザーシナリオの作成(2-9~2-11)
Step2-8は、Webサイト構築・運用のためのワークフロー中、設計フェーズの「サイト設計」に関わる内容です。
戦略策定フェーズ | 1. プロジェクトの発足 |
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2. プロジェクトの方向性の決定 | |
3. Web戦略の策定 | |
設計フェーズ | 4. サイト設計 |
開発フェーズ | 5. サイト制作・開発 |
6. 運用準備・運用開始 | |
運用フェーズ | 7. 運用・効果測定・改善 |
セグメント化
サイトの役割を確認しよう
Step 1-1、Step 1-2でも解説したとおり、サイトには役割があり、「既存顧客へのサポートを行う」ことが役割のサイトであれば、「(現在の)顧客」がターゲットユーザーになりますし、「取引先に会社のことを知ってもらう」のが役割のサイトであれば、「取引先」がターゲットユーザーになります。
そして、「(現在の)顧客」のためのサイトであれば、彼らに満足してもらえるサイトを目指さなくてはなりません。まずはサイトの役割を確認しましょう。
メーカーの例をもとにさらにセグメント化してみよう
ここで、ターゲットユーザーについてもう少し深堀してみましょう。たとえばあなたの会社は、スマホケースのメーカーで、潜在顧客(まだ顧客にはなっていないが、なってくれそうな人たち)を対象に、商品の認知を高めるサイトの作成を目指しているとします。主なスマホの機種に合わせて、次のような何種類かの商品を作っていますが、それぞれはどのような顧客に向けて作られた商品でしょうか?
A人気アニメXとのコラボ商品
B衝撃に強く、防水性も高い、タフであることを重視した商品
Cイタリア製皮革を使ったリッチ商品
商品開発部では、AはアニメXを視聴しているファンの人たち向けで、Bは主にアウトドア派の人向け、Cは高級志向のビジネスマン向けに作ったのかもしれませんね。
このように同じ会社のなかでも、その商品によってユーザー像は異なってきます。
ではさらに、アニメXを視聴しているのはどのような人たちでしょう? 年代や職業に特徴があるでしょうか? たとえば「機動戦士ガンダム」と「鬼滅の刃」では年代に違いが出そうですが、職業の違いはなさそうです(もちろん、調査をしてみないとわかりませんが)。このように、共通した特徴によってユーザーを分類していくことを「セグメント化する」といいます。
今回の例のように商品によって特徴が異なる場合は、商品開発部あるいは商品マーケティング部の人たちにヒアリングしておきましょう。その際には、その商品の価格帯、使われる場所、商品のプロモーション方法なども聞き、よりターゲットユーザーを明確にします。
セグメント化の際の基準はさまざま
セグメント化していく基準はさまざまです。たとえば、Web会議システムツールのサービスサイトであれば、ITリテラシーによってユーザーをセグメントするのも1つの方法です。高額な音響システムを販売するサイトであれば、顧客の検討期間によってセグメントしてもよいかもしれません。サイトのKGI、KPIを確認し、そこに大きく影響すると考えられる基準を用いましょう。
①Webサイトの役割、KGI・KPIの確認
② ①をもとにターゲットユーザーのセグメント化を行う
なお、新型コロナの感染が拡大する前と後とでは、人々の行動や意識することは大きく変わりました。こうした人の行動変化を考慮した上で、ターゲットユーザーを考えることも大切です。そしてそのターゲットに合わせてサイトを作っていきます。
ここで注意してほしいのはあくまで「ユーザーの視点」をもって検証する必要があることです。企業側の売りたい視点だけで考えないよう、気を付けてくださいね。
ニーズの整理
ユーザーシナリオ作成に必要なニーズ整理
ターゲットユーザーの分類後は、その分類ごとにニーズを整理していきます。Step 2-10、Step2-11でユーザーシナリオ(Step2-4参照)について事例をまじえて解説しますが、ユーザーシナリオを考えていくときに起点となるのがニーズです。セグメント化したターゲットユーザーが何を求めてWebサイトに訪れるのかというニーズ別にユーザーシナリオは作られます。
①Webサイトの役割、KGI・KPIの確認
②①をもとにターゲットユーザーのセグメント化を行う
③②のそれぞれのニーズを整理する
たとえば、Web会議システムツールのサービスサイトで、セグメントしたターゲットユーザーが「企業のシステム担当者」であった場合、Webサイトを訪れるニーズとして、どのようなものがあるでしょうか?
AWeb会議システムツールのサービスについて詳しく知りたい
Bどのような会社が提供しているのかを知りたい
といったニーズが想像できます。
では、Aの場合のニーズを掘り下げて考えましょう。ターゲットユーザーは、趣味で調べているわけではなく、仕事でWeb会議システムツールを探しています。限られた時間のなかでサービスについて詳しく調べ、良さそうなサービスであれば、資料請求や見積り依頼、問い合わせなど具体的なアクションまで至ることを望んでいる、と考えられます。つまり、サービスについて知りたいユーザーのGOALは、資料請求や問い合わせといったアクションになります。
ところで、「サービスを調べて資料請求をする」というサイトでの遷移を考えた場合、40代前半男性のユーザーと、20代後半の女性のユーザーとでは、必要とする情報や導線、レイアウトやデザインに大きな違いがあるでしょうか? 答えはNoです。資料請求したいユーザーの求める情報や導線は、年代や性別を設定するペルソナによって大きく変わるものではありません。
このように、Webサイトに訪れるターゲットユーザーの「ニーズ」を整理し、そのニーズごとにユーザーシナリオを作成することで、主要なニーズを網羅したシナリオ作成が可能になります。
リニューアルなどサイト全体の導線設計を行うような場合、ユーザー層を掘り下げるペルソナよりもニーズ単位で作成するユーザーシナリオの方が効率的で効果的です。一方、ペルソナは、特定コンテンツの記事内容作成や、バナー・写真のクリエイティブのABテストなど、個別制作の判断材料として活用すると良いでしょう。
ニーズ整理の注意点
ニーズをより明確なものにするためには、思い付きではなくアクセスデータなど定量的な情報を活用する必要があります。たとえば、現在Webサイトを訪れているユーザーの60%が店舗検索を行っているのであれば、「店舗を探している」ニーズが一番重要、ということになります。
- セグメント化、ニーズ整理のいずれにおいても思い込みを排し、ユーザー視点で検証することが重要
2-8ではターゲットをセグメント化し、ニーズを整理することについて解説しました。Step 2-9では、ユーザーシナリオ作成の際に考慮したいCX・UXについて解説します。
- ポイント
- 2-8「ターゲットユーザーの設定」のポイント
- ①Webサイトの役割、KGI・KPIの確認
②①をもとにターゲットユーザーのセグメント化を行う
③②のそれぞれのニーズを整理する - いずれにおいても、思い込みを排し、ユーザー視点で検証することが重要です
- やってみよう
- 仮に、Webサイトの役割を想定し、同僚や友人にインタビューしてペルソナを作ってみよう
- もっと学び、成長するために
- 参考記事:Webサイトをユーザーニーズに最適化する3つのポイント https://webtan.impress.co.jp/e/2016/10/11/23861
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