Step 1-2 ターゲットユーザーのニーズとWeb戦略
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クイズ
- 企業にとって「良いサイト」とは、どんな人が来てくれるサイトでしょうか?
企業のサイトですから、「顧客」「取引先」「製品を買うかどうか迷っている人」など、いろいろ考えられますよね。
Step 1-1で紹介したように、良いサイトは企業に貢献できるサイトのことです。「顧客」も「取引先」も「顧客になってくれるかもしれない人」も、企業に貢献してくれるだろう大切な方々ですから、いずれも正解だと思えます。ただしビジネス目的にかなったWebサイトの役割を考えたとき、正解にもなり、不正解にもなり得ます。
「既存顧客へのサポートを行う」サイトであれば、「(現在の)顧客」が正解ですし、「取引先に会社のことを知ってもらう」サイトであれば、「取引先」が正解になります。そして、「(現在の)顧客」のためのサイトであれば、彼らに満足してもらえるサイトを目指さなくてはなりません。
一番避けたいのは「とりあえず、いろんな人がたくさん来る」サイトです。誰も満足させることができないサイトになってしまう可能性があるからです。
- あらゆる人に来てほしいので、どんな人に来てほしいかは決めない
- 誰に、どのような目的で訪れてもらうのかを追求する
Webサイトのユーザーについて、どれだけ知っていますか?
「誰に、どのような目的で訪れてもらうのかを追求する」ために、まずは「誰に」について考えてみましょう。この「誰に」をターゲットユーザーと言いますが、あなたは、自分が担当する(あるいはこれから構築する)Webサイトのターゲットユーザーのことをどれだけ知っているでしょうか?
- 「男性60%で女性25%、その他15%」といった性別比率はわかっている
- 「20代が80%で30代が15%、その他5%」といった年代別比率を把握している
という方は多いかもしれません。
しかし、Webサイトを制作していく上で重要なのは、ターゲットユーザーが「何を求めているのか」です。つまり、ターゲットユーザーのニーズを徹底的に知ることが大切になります。
- ターゲットユーザーを明確にし、そのニーズを把握することが重要
Amazonを例に考えてみよう
身近な例でユーザーニーズについて考えてみましょう。たとえば、大手メーカーの日常使いの洗剤をAmazonで購入するユーザーのニーズは何でしょう?
- いつも使っている洗剤を手軽に手間なく注文したい
- 必要な時に、すぐに届けてほしい
- 洗剤がなくなる前に届けるシステムがほしい
といったことではないでしょうか?
ネットショップで何かを購入するときのユーザーニーズには、その人が20代なのか40代なのかはあまり関係ありませんよね(なぜ忙しいのかは年代によって違うかもしれませんが)。
Amazonでは、こうしたユーザーニーズに応えるために、次のようなシステムを備えています。
- 過去の注文履歴から再購入できる機能
- 数時間後や翌日に届くシステム
- 定期的に届けてくれるシステム
つまり、ユーザーニーズを徹底的に考えると、必要な機能やコンテンツがみえてくるわけです。
大切なのは、「ユーザーニーズを把握して」「それに応える」ことです。
しかし、そうした段階を経ずに「Amazonと同じ」機能やコンテンツを作ってしまいがちなのが人間です。そうすると、自社顧客のニーズと合わなかったり、本来満たすべきニーズを把握しきれていなかったりして、うまくいかない結果になってしまいます。
たとえば、あなたが電機メーカーで、掃除機を販売しているネットショップの担当だとします。そのネットショップで「掃除機を定期的に届けてくれる」機能があったら、うれしいでしょうか? 3か月ごとに新しい掃除機が届いても、何もうれしくないですよね(集塵パックの定期配送ならばニーズはありそうですが)。
さて、ターゲットユーザーのニーズを考えるときに大切なのが、ユーザーがどのような状況、状態に置かれているのかを想像することです。たとえば「洗剤がなくなる前に届けるシステムがほしい」とユーザーが望んだのはなぜでしょうか? 忙しくてスーパーに行く時間がないからかもしれませんよね。
では、そんなに忙しいのはどんな人でしょう? 忙しい人は、どんな不満(問題)を抱えていて、どうしたら幸せでしょうか? ユーザーの抱えている問題を想定し、その問題を解決してあげることが必要です。
こうしたユーザーの問題を考える際にヒントとなる手法の1つに、ペルソナがあります。何歳くらいの女性で、どこに住み、どのような職業で、どんな風に生活をしているのかといった、仮想的なユーザーの人格を具体的にしたものがペルソナです。
このペルソナから、どんな問題をかかえているかを想像してみてください。その際、注意したいのは「ペルソナに引っ張られすぎない」ということです。ユーザーの問題を考えるために考えたペルソナなのに、変なことをいっているようですが、個人のスペック情報にとらわれすぎると逆にニーズが見えてこないことも多々あるからです。そのため、年齢や性別にとらわれず、その人の問題を見つけることが重要です。問題解決を目的にWebサイトに人は訪れます。これをニーズとして捉えてください。
あなたはビジネス戦略のなかのWeb戦略を意識していますか?
ところで、Step 1-1で解説したように、Webサイトはビジネス戦略に沿って設計・構築を行います。ビジネス戦略では、Webサイトだけではなく、テレビCMをはじめマスメディアへの広告、カタログやパンフレット作り、営業マンの対応などさまざまな施策を複合的に行うことで成果を目指すことが多いでしょう。そうした複数の施策のなかで、Webサイトの役割、ターゲットとするユーザーを設定し、目標を明確にしたWeb戦略が必要になってきます。
フランスワインを売る場合を考えてみよう
たとえば、あるフランスワインAを売るにしても、「法人向けにはケース売りの価格などの情報を盛り込んだカタログをしっかり作り、営業マンがレストランや酒屋を回る」、「コンシューマー向けにはECサイトで特徴を明確にしたページを作って売る」といった具合に、WebサイトにはWebだからこその役割があるわけです。
- ビジネス戦略上のWeb戦略であることが重要
そして、繰り返しになりますが、ターゲットとするユーザーを明確にすることが重要で、ターゲットユーザーの「サイトを訪れる目的=ニーズ」を満足させるサイトにしていかなくてはなりません。
そのためにも、ターゲットユーザーがどのようにWebを使っているのかを知っておく必要があるでしょう。使い勝手のよいサイトでなければ、彼らを満足させることはできないからです。そこで、Step 1-3では、「ユーザーのWeb利用法」を中心に解説します。
- ポイント
- 1-2「ターゲットユーザーのニーズとWeb戦略」のポイント
- ターゲットユーザーを明確にし、そのニーズを把握することが重要
- ビジネス戦略上のWeb戦略であることが重要
- やってみよう
- ターゲットユーザーを絞り、そのニーズを書いてみましょう
- 書いたものを上司や同僚に話してみよう
- もっと学び、成長するために
- ユーザーニーズをドキュメント化するためのテンプレートサンプルを用意しました。
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