Step 4-8 SNSのKGI・KPIに基づいた運用
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クイズ
- 「SNSの運用を突然任されたけれど、とにかくSNS上で話題になって、[いいね]をもらえれば良いわけだよね」 この考え、〇でしょうか?
企業アカウントを運用しているのであれば、[いいね]をもらえれば、それで良いとは言い切れません。SNS運用も企業のマーケティング活動の1つです。WebサイトのKGI、KPI同様、SNSにおいても何をKGIとし、何をKPIとしてウォッチしていくのかを決めて運用していく必要があります。[いいね]数だけでOKとはいえませんので、注意しましょう。
- SNSでは、[いいね]をもらえればそれで良い
4-8では、SNSのKGI・KPIや各SNSの特徴など、運用の前提となるポイントを紹介します。
SNSのKGI・KPIを設定しよう
Step 2-4でWebサイトのKGI、KPIについて解説しましたが、SNS運用においてもKGI、KPIを設定しましょう。たとえば、
「自社サービスのターゲットである20代後半~30代前半の認知度を30%上げることをKGIとして、Instagramで10万アカウントにリーチすることをKPIとする」
のように設定するわけです。
SNSのペルソナ
KGI、KPIを達成するためには、ターゲットのニーズを見極めるペルソナを決めておくことが重要になります。SNS施策用のペルソナであれば、どんなSNSを使っているのか、そのSNSには何時ごろに、どんなデバイスを使ってアクセスしているのかにも注目してください。
たとえば、あるECサイトのペルソナの簡単な例として、Step 1-2で紹介したものが次になります。
上記の例のほかに、SNSのペルソナでは「16時半ごろ、スマホで、Instagramにアクセスしていることが多い」といったことも設定しておきます。
SNSのKGI例
SNSは、認知獲得→ファンの育成→関係性強化といった、どのマーケティングフェーズでも活用できます。次図は、各マーケティングフェーズでどのようなKGIを設定できるのか、そのKGI達成のためにSNSがどのように活用できるのかを示したものです。
たとえば、「認知獲得(認知)フェーズ」では、「潜在顧客の認知獲得」をKGIとして、「SNS広告」や「キャンペーンの実施」などの施策でSNSを活用できます。
また、「ファンの育成(興味関心、比較・検討、購入)フェーズ」では、「ブランド好感度の向上」をKGIとして、「インフルエンサーの活用」や「アクティブサポート」などの施策に使えるでしょう。なお、アクティブサポートとは、自社サービスなどに対するユーザーのSNS投稿を積極的に発見して反応することです。
「関係性強化(リピート、推奨)フェーズ」では、「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上」をKGIとして、「ソーシャルリスニング」や「パッシブサポート」などの施策に活用可能です。LTVは、ある顧客が一生涯に渡ってもたらす売上などの価値で、ソーシャルリスニングは、ユーザーの投稿を収集してデータ化し、分析することでマーケティングに活用すること。パッシブサポートは、アクティブサポートと対になる言葉で、積極的にユーザーの投稿を発見して反応するのではなく、問い合わせがあれば反応するサポートになります。
SNSのKPI例
KPIを設定する際には、あくまでもKGIを達成するためのKPIであることを忘れないようにしましょう。たとえば、KGIが「ブランド認知の向上」であれば、「フォロワー数」「リーチ/インプレッション数」などがKPIになるでしょう。また、KGIが「売上」であれば、「コンバージョン数」「クーポン利用数」などをKPIとしてあげることができます。
なお、計測できる数値はSNSによって異なります。KPIは定期的に追っていく数値なので、「計測して分析できる数値」を設定してください(KPIの数値を確認できるTwitterアナリティクス、Facebookインサイト、Instagramインサイトについては、後述します)。
SNSの種類と特徴を知ろう
SNSといってもいろいろな種類があり、KGIやターゲット、ペルソナによって、有効なSNSも変わってきます。各SNSのユーザー層や特徴を理解したうえで考えて選びましょう。次図では、人気ソーシャルメディアのアクティブユーザー数とその特徴をあげています。
LINE
LINEは、国内月間アクティブユーザー数9,000万。日本全国、全世代で利用されており、もはやネットでコミュニケーションをとる場合のインフラともいえるSNSです。情報をプッシュ通知できるので、キャンペーンなど特別な情報を認知してもらう場合などにも便利に活用できます。
Twitterは、国内月間アクティブユーザー数4,500万。ユーザーの平均年齢は36歳で、20代が多く利用しています。現在起こっていることを短文でリアルタイムに投稿する場合が多く、その情報拡散力、影響力はとても大きいといえます。ハッシュタグによって興味関心でつながっていくSNSであることも特徴になります。
Instagramは、国内月間アクティブユーザー数3,300万。現在ではさまざまな年齢層に広がってきていますが、ユーザー層は10代と20代で半数以上を占めています。画像や動画によるビジュアルでの訴求に適したSNSで、ハッシュタグからの流入が多いのも特徴です。利用する場合は、フィードとストーリーズとを使い分けると良いでしょう。なお、フィードはアプリの枠内に通常表示され、ストーリーズは24時間で消えてしまうものの、フルスクリーンで表示されます。
Facebookは、国内月間アクティブユーザー数2,600万。登録者をみると20代と30代が中心で、ビジネスシーンで使用されることが多いことが特徴です。実名登録がルールのためか、ユーザーどうしがリアルでもつながっているケースが多いといえます。Twitterのような文字数制限はほぼないに等しく、テキストはもちろん、画像、動画、リンクなど、さまざまなコンテンツを投稿できます。
TikTok
TikTokは、国内月間アクティブユーザー数950万。ユーザー層は10代と20代が半数以上で、10分までの短尺動画を投稿できるSNSです。豊富な動画編集機能があることが特徴です。
LinkedInは、国内月間アクティブユーザー数200万。30代から40代の男性が多く、ビジネスシーンでの活用が中心のSNSです。世界中のプロフェッショナルをつないでおり、求人やキャリアについての情報が多く発信されています。
SNSの効果測定ツールを見てみよう
SNSの運用では、KGI達成に向かって、KPI項目の計測値を定期的に確認し、投稿内容を改善していくことが大切になります。そこで、数値を確認できるTwitterアナリティクス、Facebookインサイト、Instagramインサイトを簡単に紹介しましょう。
なお、各ツールは、アップデートにより一部メニューや表示画面が変わることがあります。定期的に各SNSの公式サイトで情報を確認してみてください。
Twitterアナリティクス
Twitterアナリティクスは、Twitterアカウントをお持ちであれば誰もが無料で使用できます。もし、あなたがTwitterを使っていれば、メニューの「もっと見る」→「アナリティクス」を選択してみてください。表示された画面の上部にある「ツイート」を押すと、次図のようなツイートアクティビティの管理画面が表示されます。
この画面では、ある1つのツイートがどれくらい他のユーザーに表示されたのか、「いいね」を押されたのか、リツイート(ツイートを再びツイートして、自分のフォロワーに共有すること)されたのか、エンゲージメント数などがわかります(過去28日分)。エンゲージメント数は、そのツイートに「いいね」したり、リツイートしたり、URLをクリックしたり、といった何かしら反応した数のことです。
上記の画面だけでなく、Twitterアナリティクスでは、月ごとのツイート数やトップツイート、トップフォロワー、新しいフォロワー等も確認できます。
Facebookインサイト
Facebookインサイトは、利用するためにはFacebookページ(Facebookにおける「公式アカウント」にあたるもの)の管理者である必要がありますが、やはり無料で提供されています。あなたがページ管理者であれば、メニューに「インサイト」と表示されているので、そこを選択してください。
すると、次図のような画面が表示されます。左側メニューから確認したい項目を選べば、フォロワー数、[いいね]数、リーチ数だけでなく、かなり詳しい数値を確認できます。ページのファンがよく見る時間帯も知ることができるので、この情報から何時ごろに投稿すると良いかを判断することもできるでしょう。
Instagramインサイト
Instagramインサイトは、Instagramアカウントを作り、それをプロアカウント(ビジネスアカウント)に切り替えれば無料で提供されます。「インサイト」を選択すれば、次図のような画面が表示され、「リーチしたアカウント数(投稿を1回以上閲覧したユニークアカウント数)」「コンテンツでのインタラクション([いいね]などの反応数)」「合計フォロワー(フォロワー数)」が確認できます。該当の項目を選択すると、さらに詳しい情報を知ることも可能です。
4-8では、SNSの企業アカウントを運用する際の前提知識として、意識してほしいポイントを紹介しました。4-9では、投稿の改善例を紹介します。
- ポイント
- 4-8 「SNSのKGI・KPIに基づいた運用」のポイント
- SNSの企業アカウントを運用する際には、そのKGI・KPIを明確にする
- ターゲットのニーズを知るために、SNSのペルソナを設定する
- 各SNSの特徴をふまえ、どのSNSを活用するかを考える
- SNS運用では、効果測定で数値を見ながら、投稿内容を改善していくことが大切である
- やってみよう
- 競合他社のSNSを見て、そのKGI、KPIを考えてみよう。
- もっと学び、成長するために
次の本が参考になります。
- 『デジタル時代の実践スキル SNS戦略』後藤真理恵:著 翔泳社:刊
- 『デジタル時代の基礎知識 SNSマーケティング 第2版』林雅之、本門功一郎:著 翔泳社:刊
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