Web担当者になったら知っておきたい「基本」が学べる Web担ビギナー

Step 1-1 ビジネスとWebサイトの目的

1-1で知ってほしいことは、担当するWebサイトのビジネス上の役割を明確にすることが大切だということです。

クイズ

企業にとって「良いサイト」とは、どんなサイトでしょうか?

あなたはどんな風に考えたでしょうか。「かっこいいサイト」「楽しいサイト」「役に立つサイト」などでしょうか。

でも、実はそれらは残念ながら外れです。個人の趣味のサイトならば「かっこいい」「おもしろい」ようにするのはアリですが、企業がコストと人件費を使ってWebサイトを作るのならば、それではいけません。そのWebサイトが「自社のビジネス」にどんな役割を果たすのか、言い換えれば「事業に貢献できるのか」を定める必要があります。

つまり、「企業にとって」の「良いサイト」とは、その企業のビジネスに何らかの形で貢献できるサイトです。さらに、「Webでなければできないこと」や「Webだからこそより良くできること」を役割としてもっていれば、さらに「企業にとって」「良いサイト」だといえるでしょう。

  • キレイなサイトを作る、かっこいいサイトをつくる
  • とりあえず企業Webサイトをつくる・リニューアルする
  • Webサイトが自社のビジネスのどの部分にどういう役割を果たすかを明確にする

あなたのWebサイトは何の役割を求められていますか?

あなたの会社、事業部は何のビジネスをしていますか? そのビジネスのために、あなたが管理する(あるいは構築する)Webサイトはどのような役割を果たしますか?

たとえば、あなたの会社が「メーカー」で、「販売ルート拡大」のために「オンラインで自社製品を販売して売上を得る」ことが役割のサイトでしょうか? あるいは、「商品価値の認知を高める」ために運用している「商品の情報をより広く知ってもらう」ことが役割のサイトでしょうか?

ビジネス目的からサイトの役割を考えよう

企業が運営するWebサイトにはいろいろな種類があります。たとえば小売業の会社を考えてみましょう。1つの会社の中に、次のような複数のサイトが考えられます。

  • 自社が仕入れた商品の特徴を知ってもらい、さらに顧客に買ってもらうECサイト
  • 短期で売上をUPするため、期間限定でのセールをうたうキャンペーンサイト
  • 自社の商品に対する思いを知り、自社を好きになってもらうためのオウンドメディア
  • 優秀な人材を確保するために、自社がどのような理念に基づいているのか、採用は行っているのかを記した企業サイト など
1つの会社の中に、さまざまな役割のWebサイトがあります

ほかにも役割に合わせてさまざまなサイトが存在しています。ECサイトと企業サイトが一緒になっているサイトもあれば、製品ごとに複数のECサイトをもっている企業もあります。それは、Webサイトが企業戦略の施策の1つだからです。戦略に沿って、複数のサイトが構築・運営されています。

  • 企業戦略に基づいたWebサイトになっているかが重要

まずは、どのようなビジネス戦略のもとに、どのような役割を担って運営されている(あるいはこれから構築する)Webサイトかを確認しましょう。

なお、Webサイトの役割について上司に聞いても、納得がいかないこともあるかもしれません。その際にはいったん持ち帰り、上司から得た情報や自分が集めた情報をテーブルに並べてみて、何が課題でどのような解決策があるのか、その解決策の1つとしてサイトはどのような役割をもつのか、それらを自分で考え、ドキュメント化してみることをオススメします。

そうすることで、上司の話と自分の考えの違いがどこにあるのかが明確になります。上司がどこを見ているのか、それを理解しようとした上でコミュニケーションをとることで、お互いに理解を深めながらその違いを埋めていくことができます。

つまり、Webサイトは、自社ビジネスにとって有効に貢献できること、ブランド価値の向上、売り上げ促進、経費削減など成果に寄与することが必要だということです。2-1から具体的なサイト構築について解説していきますが、Webサイトはビジネス戦略を実現するためにあることを念頭においてくださいね。

ユーザーの目的を満たすWebサイトになっていますか?

ここで視点を変えて、企業ではなくユーザーの立場からWebサイトを考えてみましょう。あなたがWebサイトを訪れるのはどのようなときでしょうか?

自社のビジネスに有効に利用できることだけを考えてWebサイトを作っても、成果は望めません。なぜなら、Webサイトを使うのはユーザーだからです。

ユーザーがWebサイトを訪れる目的はさまざまです
  • 使っている製品が正常に動かないときに、メーカーのサポートページへ
  • どうしても近日中に読みたい本がいつも行く本屋にないときに、オンラインブックストアへ
  • プレゼン資料に入れたい数値を調べたいときに、検索して信頼できるサイトへ
  • 度忘れした単語を思い出したいときに、関連ワードで検索して結果ページへ
  • 飲み会の幹事を任されたときに、グルメサイトへ    など

ほかにも、ビジネスに関わるニュース・最新情報を得るためにニュースサイトへ行ったり、あるいは顧客企業の情報を知るために該当企業サイトを訪れることもあるでしょう。さまざまな目的をもって、ユーザーはWebサイトを訪れています。

企業にもWebサイトを構築する目的がありますが、ユーザーにもWebサイトを訪れる目的があります。サイトがビジネス目的を達成するためには、ユーザーに訪れてもらい、意図通りの行動をしてもらわなくてはいけません。しかし、ユーザーの目的を満たすサイトでなければ、そもそも来てもらえません。「ビジネス目的に合う」と「ユーザーの意図に合う」がうまくかみ合うサイトを作る必要があるわけです。

  • ユーザーの目的を満たすWebサイトになっている側面も重要
企業の目的とユーザーの目的がうまく合致するサイトを目指すことが大切

ビジネス戦略に基づいたWebサイトの目的を果たすには、ユーザーの目的を満たすものにしなくてはなりません。では、そのユーザーとは具体的にどういう人でしょう? こう言い換えてもいいかもしれません。あなたのWebサイトは「誰に、何を目的に」訪れてもらいたいのでしょう? そしてどのような行動をとってもらいたいのでしょう?

1-2では、この「誰に」という部分を中心に解説します。

ポイント
1-1「ビジネスとWebサイトの目的」のポイント
  • ビジネス目的に基づいたWebサイトの役割を知る
  • 企業の目的とユーザーの目的がうまく合うサイトにする
やってみよう
  • ビジネス目的を果たす施策を考え、そのためにサイトができることを書き出してみよう
  • 書いたものを上司や同僚に話してみよう
もっと学び、成長するために
本記事の監修者

濱田 優(はまだ ゆう)

株式会社キノトロープ 執行役員
制作部 部長 プロジェクトマネージャー/システムコンサル

千葉県出身。2006年、オンデマンドCDサービス、音楽配信、CD全国流通・海外プレスの事業を立ち上げ。事業を売却し、全都道府県を巡る日本一周旅行へ。
プログラマとして再出発し、書籍を2冊(『Zend Framework 2徹底解説』(秀和システム)、『JUnit速効レシピ』(秀和システム))出版。
現在は、システムコンサルとして事業会社様の問題解決を行うほか、大学や専門学校での講師、セミナー等での講演も務める。
2020年、キノトロープの連結子会社、株式会社フューチャープランの代表取締役社長に就任。

Twitter:@hamadayuu1

デザイン:三苫慧子
この記事が役に立ったらシェア!

最新のニュース

メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

Google広告
Google検索、YouTube、Googleマップ、Google Playスト ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]