リンクビルディングの効果を高めるテクニカルSEO①リテンション戦略と被リンク監査
この記事では、リンクビルディングキャンペーンの
- パフォーマンス
- 長期的な影響
を最適化するために、こうしたキャンペーンの
- 事前
- 最中
- 事後
にサイトに実装できるテクニカルSEO施策をいくつか取り上げる。
これらの施策によって短期的なパフォーマンスを上げ、ブランドに対する関心や注目を集中的に高めることで、持続的な恩恵が得られるようになる。
リンクビルディングキャンペーンの大原則
新規ユーザーの維持を中心に戦略を立てる
リンクビルディングキャンペーンを実施するにあたって重要なのは、「新規ユーザーを獲得する」(acquisition)だけでなく、「新規ユーザーをしっかりとつかまえる(維持する)」(retention)ことも意識することだ。
なぜ新規ユーザーの“維持”が重要なのかを。まず次の点を理解してほしい:
リンクビルディングキャンペーンで生成されるトラフィックの多くが、初めてのユーザーのものである。
これが何を意味するか。初めてのユーザーには、次のような傾向があるということだ:
- 読み込みの遅いコンテンツを待ってくれる可能性は低い
- サイトから良い印象が得られなければ再びアクセスしてくれる可能性も低い
キャンペーンを実施する目的には、さまざまなものがあるだろう:
- ブランドに焦点を当てたPR活動
- コンテンツに焦点を当てたアウトリーチ戦略
- その中間に位置づけるもの
いずれにせよ、そのリンクビルディングキャンペーンを投資する価値があるものにするには、ユーザーに今後何年もブランドとつながりを保ち、エンゲージしてもらうことが可能な、強力なテクニカルSEOのフレームワークでなければいけない。
キャンペーンのトラフィックを最大限に活用するには、ユーザーがさまざまなチャネルやソースからスムーズにサイトにつながり、エンゲージできるようにしよう。
SEOにおいて優先すべきものは、次の3つに大別できる:
- ソーシャルでのシェアラビリティ(共有しやすさ)を高めるタスク
- サイト全体のSEOを改善する機会を生み出すタスク
- より広範なマーケティング活動の一環としてキャンペーンの実効性を最大限に高めるタスク
それでは、リンクビルディングキャンペーンのパフォーマンスを最適化して向上させるSEO施策を見ていこう。キャンペーンの一環として、次のことを目指すべきだ:
ソーシャルメディアチャネルでコンテンツを発見してくれる多くのモバイルユーザーに対し、次のような手段によってシェアラビリティを高める:
- サイトの読み込みを高速化して表示を安定させる
次のようなことを通じて、サイト全体のSEOを改善する機会を高める:
- サイト内リンクの最適化
- E-A-T(専門性・権威性・信頼性)指標の改善
- ランディングページからのオンページSEO
次のようなことを改善していき、キャンペーンの実効性を最適化する:
- トラッキング
- チャネル統合
- 長期的なリンクトラフィックの計画
顧客の維持をベースにした最適化は、ユーザーにとって素晴らしいだけでなく、中核となるキャンペーンよりはるかに早くから計画して導入できるため、効率的に管理できる。また、あらゆるタイプのリンクビルディングキャンペーンに適用できるほか、基本的な被リンク管理戦術と連携して機能する。
リンクビルディングキャンペーンの準備
被リンクの監査で基礎を固める
被リンクの新規獲得に取り組む前に、被リンクを監査し、次のようなデータを集めよう:
- 既存の被リンクの件数
- 既存の被リンクのリファラーの品質
被リンク監査ツールを使用して、次のことを確認しよう:
- 自分のページにリンクしている外部サイトの数
- 自分のページにリンクしている外部サイトの具体的な内容
- 外部サイトからの被リンクプロファイルの品質
- 既存の外部被リンクがあるページ
- 404エラーが表示されるために「ターゲットエラー」と見なされる被リンク
- 301リダイレクトされるページに張られた被リンク
こうした監査によって、次に示す戦略的な洞察を得て活用できるはずだ:
人気コンテンツの情報から、既存のオーディエンスやネットワークでうまく機能するコンテンツの種類は何かを判断できる。
リンクの総数は、キャンペーンのパフォーマンスを実証する貴重なベンチマークとなる。
インバウンドリンクの質と分布は、最も効果を発揮する対象のリファラー、ターゲットページ、アンカーテキストをチームで設定するのに役立つ。
インバウンドリンクに有害なリンクや質の低いリンクがかなりの割合で含まれている場合は、キャンペーンを本格的に開始する前に、Google Search Consoleで否認リストを作成して送信するなどの是正措置を講じる必要があることがわかる。
被リンクのナビゲーションエラーを修正するべき理由
本格的なリンクビルディングを進める前に、まず監査で行っておくべきことがある。それは、リンクされているURLが404エラーを返していたり、リダイレクトしたりしていないかを確認する作業だ。
なぜならば、301ページや404ページに張られた被リンクは次のように効果が落ちるからだ:
- トラフィックが301リダイレクトリンクを経由してサイトを訪問した場合、その接続からはPageRank値が若干失われる
- 404ページへのリンクから受け取るPageRank値はほぼゼロになる可能性がある
これらのリンクを修正するとリンクの価値を取り戻すことができ、全体のドメインオーソリティが向上するため、キャンペーン対象ページのオーガニック検索パフォーマンスを高める助けになる。
また、これらの改善により、ユーザーの接続時間が短縮され、トラッキングデータも改善される。Googleアナリティクスなどのツールでは、クリックされた元のソースを特定することが難しく、参照トラフィックのはずが直接トラフィックに誤って分類されてしまうことが多い。そのため、最も効果の高い参照元を知りたいマーケターにはあまり役に立たない。
被リンクのナビゲーションエラーを修正する方法
リンク修復プロセスでは、リンクを可能な限り新しいURLに更新しよう。すでにあるリンクの価値を高めるために、以下の措置を講じよう。
被リンクのURLが404を返している場合、そのURLから適切なコンテンツを返すURLに301リダイレクトを割り当てる。
新しいページを割り当てる場合は、リンクが期待しているのと同種のコンテンツに合わせよう。そのURLで以前に「靴」に関する情報を公開してていたのであれば、リダイレクトする先も「靴」に関するページにする。
被リンクのURLがリダイレクトを返している場合、現時点で設定されている301リダイレクトが目的とする最終的なページにリンクされていることを確認する。
もしリンクされているURLから最終コンテンツまでに複数回のリダイレクトが発生しているのであれば、可能であればリダイレクトチェーンを削除し1回のリダイレクトで済むようにする。これによって、リンクの価値をできるだけ維持し、サーバーへの要求を減らし、クロールバジェットを最適化できる。
ソーシャルプロファイル、ディレクトリリスティング、社内のプロジェクトサイト、パートナーサイトなど、リンクする先のページを管理できる場合は、掲載しているリンク先を確認し、必要に応じて更新する。つまり、「自分で管理できるリンクから、301や404のURLをなくす」ということだ。
見落しがちなポイントとして「常時HTTPS化したのに、ソーシャルプロファイルやリスティングに古いHTTPのリンクが張られている」といったものがある。これは更新できるし、更新するべきだ。
これらのリンクを改善することで、次のような成果を得られる:
- 検索エンジンのロボットがサイトをクロールしてインデックスを作成する処理がさらに簡単になる
- 人間のユーザーがページを表示する際に必要な時間を短縮しUXを回全できる
- アウトリーチ活動を開始する前にブランドメッセージの一貫性を強化できる
この記事は、前中後編の3回に分けてお届けする。今回は、リンクビルディングを開始する準備段階としての被リンク監査について説明した。次回から、この前編で紹介した3つの優先事項について、順番に説明していく。
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