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【SEO成熟度#1】テクニカルSEO成熟度、あなたの組織は今どのステージ?(前編)

SEO成熟度とは? テクニカルSEO成熟度の6段階とは? いま自社はどの段階? 次の段階に行くのに必要なことは?
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

SEOコンサルティング会社の人間がよくする大きな失敗の1つに、次のような決めつけがある:

  • クライアントは検索対策をよく理解している
  • 我々の実施に賛同していて、やる気になっている

「検索対策のために我々にお金を出すことにしたのだから」と思い、さっそくフルスピードで進めてどっさりと提案を投げてみたものの、対策が実施されずに驚いてしまうことがある。

これは根本が間違っている。忘れてしまいがちだが、次の2つはクライアントによってさまざまである:

  • 検索対策に関する成熟度
  • 知識レベル

たとえ高度な知識があるクライアントでも、抱えている組織面の課題が対策実施の障害になることがある。

この記事では、クライアントのSEOの実践に関する成熟度曲線について解説する。成熟度モデルを示し、クライアントが成熟度スペクトラムのどこに位置するのかがわかれば、現状に合わせてうまくコミュニケーションがとれるようになるし、我々の提案が実施される可能性も高められる。

そもそも「成熟度モデル」とは?

成熟度モデルは、元々は米国防総省のために開発され、後に「シックスシグマ」という方法論で広まった考え方。組織が実践のなかで継続的に向上する能力を測定するために作られている。

企業の現在の成熟度を診断するのに便利なだけでなく、成熟度曲線の次の段階へ進むための注力するべき取り組みも確認できる。いま組織がどういう状態かを把握し、前進していく方法を考えるための強力なツールだ。

ネットを調べると成熟度モデルにはいろいろなものがあり、モデルによって用語が異なるが、大半は次のようなパターンになっている:

  • ステージ1: 場当たり的&発展途上
  • ステージ2: 事後対応&再現可能
  • ステージ3: 戦略的&定義されている
  • ステージ4: 管理されている&測定されている
  • ステージ5: 効率的&最適化している

SEOに当てはめる場合、成熟度は2通りの考え方ができる。

1つは「テクニカルSEOの成熟度」、つまりSEOのベストプラクティスを実施する技術面に関する成熟度だ。クライアントが現時点で実施しているSEOは、次のうちどれに当てはまるだろうか:

  • 高度で優れたもの
  • 基本的なもの
  • まったくなっていない
  • はたまた逆効果になっている

ここから、どのようなプロジェクトを準備するのがいちばん効果的なのかがわかる。

もう1つは「SEO実践の成熟度」、つまりマーケティングプログラムとしてのSEOを組織が実践する力の成熟度だ。クライアントは、次のうちどれだろうか:

  • オーガニック検索の重要性を支持している
  • 予算と人員を適切に割り振っている
  • 検索をマーケティングの取り組みに組織として組み込んでいる

こういった観点によって、我々の仕事の妨げになりかねない組織の最重要課題が把握できるようになる。

テクニカルなSEO成熟度

まずは検索対策の知識と能力に関する成熟度モデルを見ていこう。

SEO能力の判定基準

SEOの成功に寄与するいくつかの重要な判定基準(カテゴリ)で組織を判定する。

  • コラボレーション:

    組織内の仕事や組織とサービスプロバイダーのあいだの仕事を可能な限り最高のものにするため、適切な関係者が連携して協力しているか。

  • モバイル対応:

    モバイル対応と最適化をしているか。

  • テクニカル:

    基盤となる技術面のベストプラクティスを、一貫性をもって実施・管理しているか。

  • コンテンツ:

    デジタルコンテンツによるマーケティング活動とそのプロセスにオーガニック検索を組み込んでいるか。

  • オンページ:

    ブランドコンテンツのオンページ最適化は、どれだけの範囲を対象としているか。

  • オフページ:

    「リンクビルディング」「ローカルリスティング」「ソーシャルプロファイル」「サイト外の資産」など、ブランドサイト外における最適化の広さと厚み。

  • 新技術:

    「音声検索」「AMP」「構造化データ」といった、検索に影響する新しい技術に対する意欲と採用状況。

  • データ分析:

    組織がデータをどこまで中心に据えているか。管理も測定もまったくやっていないところがあれば、事後的なパフォーマンスレポートを実施しているところや、検索対策の判断が完全にデータ主導になっているところまである。

ステージ0~5の各段階をカテゴリごとに定義したSEO能力のスコアカードを次に示す(成熟度の各ステージについては後述)。

※以下の表は上下左右にスクロール可(デスクトップでは[Shift]キーを押しながらマウスホイールで左右スクロール)
SEO能力のスコアカード
カテゴリステージ
0(混沌)1(不存在)2(戦術的)3(戦略的)4(習慣)5(文化)
コラボレーションコラボレーションなし。かつ情報共有も嫌がる。コラボレーションなし。事後に依頼。SEOについて知っていることをクライアントから依頼する必要があった。作業が終了する前に、早い段階でコラボレーションを開始。プロセスの調査および計画の段階でコラボレーションを開始。作業が終了する前に、早い段階でコラボレーションを開始。プロセスの調査および計画の段階でコラボレーションを開始。
デジタル戦略/チャネル戦略の選択にオーガニック検索のデータが一貫して役立てられる。
作業が終了する前に、早い段階でコラボレーションを開始。プロセスの調査および計画の段階でコラボレーションを開始。
デジタル戦略/チャネル戦略の選択にオーガニック検索のデータが一貫して役立てられる。
プロセスのすべての段階においてクロスチャネルのコラボレーションと意思決定。
モバイル対応モバイル体験なし。モバイル体験なし。ごく一部の重要ページについてはモバイルに対応、またはドメイン名に「m.」を付けたモバイルサイトを別に用意。しかし、サイト全体のモバイル対応はなく、明確なモバイル最適化はなし。完全にレスポンシブで、技術的にもモバイルに対応したサイトを用意。
明確なモバイル最適化はなし。
完全にレスポンシブで、技術的にもモバイルに対応したサイトを用意。
コンテンツとスピードをモバイル向けに最適化。アプリストア資産も、できれば最適化。
使い勝手、スピード、コンテンツについての考え方がモバイルファースト。
完全にレスポンシブなモバイル対応サイト、最適化、テスト。
アプリスト資産について、積極的なASOプログラム。ディープリンキングおよびアプリ内インデクシング。
テクニカルブラックハットな戦術乱雑なコード、一貫性のないテクノロジー、時代後れのやり方。期限切れのサイトマップとrobots.txtファイル。404エラーの修正やHTTPSのセキュリティなど、テクニカル面における最低限の最適化。HTTPSによるセキュリティ。
壊れたページなし。
URL正規化済み。
ページ読み込みスピードの継続的な改善。
Schemeマークアップの利用。
重複コンテンツの管理。
SEOエラーのモニタリング。
一部のテクニカルプロジェクトにSEOコンサルティング。
テクニカル面の高度な最適化。
HTTPSによるセキュリティ。
壊れたページなし。
URL正規化済み。
ページ読み込みスピードの継続的な改善。
Schemaマークアップの利用。
重複コンテンツの管理。
SEOエラーのモニタリング。
一部のテクニカルプロジェクトにSEOのコンサルティング。
新たなテクニカルプロジェクトとUXプロジェクトの大半にSEO要件を設定。
テクニカル面の最低限の最適化とHTTPSによるセキュリティ(壊れたページなし)。
テクニカル面の基本的な最適化(ページ読み込みスピード、URL正規化、Schemaマークアップ)。
積極的なモニタリング、メンテナンス、技術面の最適化の取り組み。
新しい検索技術の採用(AMP、OpenGraph、アプリ内インデクシング)。
開発者との連携/提携。テクニカルなプロジェクトにはSEO担当パートナー。
コンテンツコンテンツが弱い、薄い、重複、冗長、過度に最適化されている。コンテンツが限定的、無計画、最適化なし。公開中や公開後にSEOを実施(事前計画なし)。事前に決定したトピックについてはコンテンツ作成前にキーワード調査を実施。オーガニック検索のデータをコンテンツ戦略とUXに活用。オーガニック検索のデータにアナリティクス、ソーシャルなどチャネルのデータを組み合わせてデジタルコンテンツ戦略を推進。
オンページ過度の最適化。キーワードスタッフィング。コンテンツ最適化なし。
コンテンツが薄い/弱い/重複。
最低限のオンページ最適化(title要素、meta description、h1要素)。
重複コンテンツは上手に回避。
既知のSEOシグナルについてオンページ最適化とコンテンツ最適化を徹底的に実施。
検索需要に基づき最適化したリッチコンテンツページの追加を開始。
既知のSEOシグナルについてオンページ最適化とコンテンツの高度な最適化を徹底的に実施。
検索需要に基づき最適化したリッチコンテンツページの追加を開始。
コンテンツ最適化ワークフローと配信の「フライホイール」を駆使した高度な最適化。
オンページ最適化戦術のテスト、モニタリング、反復。
既知のSEOシグナルについてオンページ最適化とコンテンツの高度な最適化を徹底的に実施。
検索需要に基づき最適化したリッチコンテンツページの追加を開始。
コンテンツ最適化ワークフローと配信の「フライホイール」を駆使した高度な最適化。
オンページ最適化戦術のテスト、モニタリング、反復。
オーガニック検索の情報に基づくコンテンツのアイデア作り。
オフページリンクペナルティ。スパム的なリンクディレクトリやリンクエクスチェンジ。質の悪いゲストブログ。リンクビルディングなし。
オフサイト最適化なし。
積極的なビルディングはなし。受動的なリンク受け入れ。
大手ソーシャルメディアのプロフィールとローカルリスティングを作成。
早い段階からリンクビルディングを実施。
パートナーや加盟している団体のメンバー、受賞歴、プレスリリース、ソーシャルプロフィールの最適化など、リンクを稼ぎやすいところで積極的にリンクを依頼。
積極的なリンクビルディングの取り組みとリンクを稼げるコンテンツの作成。
パートナーや加盟している団体のメンバー、受賞歴、プレスリリースなど、リンクを稼ぎやすいところで積極的にリンクを依頼。
ウェブを積極的にモニタリングしてリンクのない言及を探す。
リンクプロファイルの積極的なモニタリング。好機をとらえて定期的にリンクを呼びかけ。
ローカルリスティングのオーナー登録と最適化。
パートナーや加盟している団体のメンバー、受賞歴、プレスリリースなど、リンクを稼ぎやすいところで積極的にリンクを依頼。
ウェブを積極的にモニタリングしてリンクのない言及を探す。
ローカルリスティングのオーナー登録と最適化。
リンクビルディングキャンペーンとパートナーシップの働きかけが恒常化。
コンテンツ戦略との連携による獲得リンクの増加。
レビュー、フォーラム、コミュニティなどサードパーティサイトの整備。
新技術新しい技術がわからない。注力もしていない。新しい技術がわからない。注力もしていない。
リスク許容度なし。
最終目標をほとんど考えることなく目新しい技術を追求。ビジネス目標を達成するため、新しい検索技術の明確な機会を把握。実装のための調査と計画。新技術の意義を理解して実装し、検索などのチャネルで活用。新技術の実装とテストを積極的に実施。新技術の実装とテストを積極的に実施。
検索のために新技術におけるビジビリティとエンゲージメントを果敢に追求。
効果測定。継続的な最適化。リスク許容度が高い。
データ分析なし。あり。オーガニック検索のレポートはなし。SEOの取り組みの公開後、特定プロジェクトのフォローアップを気まぐれに実施。定期的なレポーティングはなし。検索順位、トラフィック、エンゲージメントの定期的なレポーティング。
事後的なパフォーマンスレポーティングでインサイトからアクションアイテムを得る。
検索順位、トラフィック、エンゲージメント、コンテンツ消費、コンバージョンの定期的なレポーティング。
パフォーマンスレポーティングを利用し、インサイトを基にSEO戦略と次の一手を進める。
検索順位、トラフィック、エンゲージメント、コンテンツ消費、コンバージョンの定期的なレポーティング。
マルチチャネルのファネルとテストとコンバージョン率の最適化。
データ主導型の組織。
データ管理、パフォーマンスレポーティング、意思決定に日常から積極的に取り組む。

SEO能力の成熟度のステージ

すでに説明した各判定基準について、次のようなステージを考える。

  • ステージ0(逆効果):

    有害なSEOを進めており、損害が出ていることもある。

  • ステージ1(不存在):

    それとわかるSEOの戦略や戦術を実施していない。検索対策はまったく新規のプログラムになる。

  • ステージ2(戦術的):

    SEOの基本的なベストプラクティスはいくらか進んでいるものの、ちゃんとした構成や事前計画がほとんどない場当たり的なものになりがち。

    スキルと作業は業界の最低限の基準を満たしているものの、かなり基本的なものにとどまっており、ともするとまとまりに欠ける。

  • ステージ3(戦略的):

    SEOの価値を支持しており、ベストプラクティスを実施して流れから遅れないためにリソースを割くとともに、主要な取り組みにSEOを組み込んでいる。

    実施している検索対策は戦略的でまとまりがある。

  • ステージ4(習慣):

    マーケティング活動の大半で、SEOの導入が、義務化されていない場合も期待されている。

    基本的なベストプラクティスを実施するだけでなく、検索におけるプレゼンスを高めるため、新しい技術のテストを積極的に繰り返している。過去の取り組みのパフォーマンスを次のステップに活かしている。

  • ステージ5(文化):

    マーケティングのDNAの一部であるかのようにSEOに取り組んでいる。

    リソースとプロセスを確保。知識と学び続ける姿勢がある。プロセスの見直しと最適化を継続的に実施している。

    業界の動向にあわせてSEOのプログラムを進化させている。最先端の新しいSEOをテストする機会を狙っている。

この成熟度モデルは、業界で評判の高い数多くのSEO仲間たちにレビューしてもらった

※特にSeer Interactiveのキム・ジョーンズ氏Briggsbyのステファニー・ブリッグズ氏Credoのジョン・ドーティ氏Evolving SEOのダン・シュア氏Rickety Rooのブレイク・デンマン氏に感謝する。

ただし流動的な生きた文書であり、わたしたちの業界にあわせて進化するものとして作られている。また、みなさん自身の現実にあうように、必要に応じて進化させてほしい。

この検索対策能力の成熟度モデルはこちらからダウンロード可能。Googleのスプレッドシートなので、クライアントと使ってもらえる。

ステージ0がある理由

この検索の能力成熟度モデルには、従来のモデルにない「ステージ0: 逆効果」を加えた。オーガニック検索はほかと違い、悪影響によって単なるゼロではなくマイナスになることが実際にあるからだ。

たとえば次のようなケースだ:

  • 社内にも代理店にも、賢明な検索対策のためのコラボレーションがない。
  • コンテンツが薄い、弱い、重複、冗長、過度に最適化されている。
  • モバイル利用者への対応がない、あるいはとてもお粗末。
  • ブラックハット的なSEO施策に手を染めている場合や、リンク関連などでペナルティを受けている。

組織の能力成熟度に基づいて選ぶ

成熟度がいちばん下の状態からSEOをスタートする組織には、次のような施策を勧めることはないだろう:

  • AMPやビジュアル検索のような高度なもの
  • 詳細なSchemaマークアップ
  • ターゲティングによる広範囲のリンクビルディングキャンペーン
    など

最初は、次のような基本的なことにする必要がある:

  • サイトのセキュリティ確保
  • 情報アーキテクチャの整理
  • title要素やmeta descriptionの修正

逆に、すでに能力成熟度のいちばん上にいる組織には、前述のような基本をお勧めして時間を無駄にすべきではない。おそらく実施済みだ。その組織でまだマスターしていないすばらしい検索対策を実施するために、革新的で新しいものを探すほうがいい。

まだスタート地点だ

もっとも、テクニカルな能力と知識は、表面的な部分について取り組み始めたにすぎない。「何を実施するべきか」がわかっても、「なぜそのタスクをちゃんと遂行するのが難しいか」までは理解できない。

本当に解決していくべき問題は、組織やそこで働く人によって違ってくることが多い。少なくとも、SEOのベストプラクティスにチェックを入れていけばいいような単純なものではない。

この記事は、前中後編の3回に分けてお届けする。クライアントのSEO能力の判定について説明した今回に引き続き、中編となる次回は、クライアントがSEO施策をどの程度うまく実践できているかを判定する方法を見ていく。

→中編を読む

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